昨日に引き続き、2021年のふりかえりをしていこうと思います。
今日は、2021年に参加したカンファレンスについてふりかえりをしていきます。カンファレンスの定義は諸説ありますが、とりあえず一日以上の期間開催されていたイベントを、カンファレンスと呼ぶことにします。
- 参加したカンファレンス
- カンファレンスの想い出(得られたもの)
- 全体を通した感想
参加したカンファレンス
参加したカンファレンスを時系列で挙げていきます。(ブログにちゃんと記録が残っているの便利!笑)
RSGT2021
Agile Tech Expo#1
ふりかえりカンファレンス
スクフェス大阪
Agile Tech EXPO#2
1on1カンファレンス(第2回)
スクフェス三河
スクフェス札幌
Day1は仕事があって不参加でした。
カンファレンスの想い出(得られたもの)
各カンファレンス終了後、毎回ふりかえりをしているのですが、2021年終了時点で各カンファレンスについて何が得られてどう役立ったと実感しているのか、想い出と共にふりかえりしていこうと思います。
RSGT2021
コミットメントの量/コミットメントのパス数
きょんさんのセッションで、コミットメントの量/コミットメントのパス数という考え方が紹介されていたのですが、これが自分のチームにおける改善活動の運用・日々新しい取り組みをする時の運用に役立ちました。
具体的には、レトロスペクティブなどで新しい取り組みを始めようとしたとき、皆にコミットメントの量・数を尋ねる質問を聴いて、そのデータを取った結果、改善活動がスムーズに進む/進まない条件がコミットメントの量・数から洗い出せるようになり、活動を始めたけど頓挫する、ということが非常に少なくなりました。
チーム開発が好きなことの自覚
自分がチーム開発が好きなことを、satoryuさんや中村洋さんのセッションから自覚できた結果、この一年はチーム開発を上手くやるために力を注ぎ、様々な取り組みをすることができました。
一応、2020年までも自然と色々な取り組みを行っていたのですが、チーム開発が好きな自覚を持てたことで、よりアクセルを踏んで取り組みができましたし、自分が好きなことをしているという自覚が持てたお陰で、思う通りに進まない時も、「好きなことをやっているんだし悩むことはない」と思えるようになりました。
素敵な繋がり
「とにかく知り合いを増やすことを目的にした会」で繋がりを持った@g_yanagiさんから、スクフェス大阪で登壇するきっかけをいただくことができました。
このスクフェス大阪が次の登壇、また次の登壇へと繋がり、そしてRSGT2022での登壇の道筋を繋いでくれました。
ふとした繋がりがまた別の繋がりを作り、その繋がりがまた別の繋がりを作る...というループは、本当に素敵だし、自分がこの一年楽しく過ごせた大きな一因となっているため、本当に感謝です。
人は皆繋がっている
人は皆が違う価値観を持っているという話が出た一方で、それでも何かしらの深い直観・共感を通して繋がっている、という話が野中先生やきょんさんからありました。
この話は、自分が仕事をしたり日常生活を送る上で、とても大きな影響を及ぼしてくれた話で、何か特定の仕組みや原則を押し付けるのではなく、その人にあったやり方、その人をいきいきとさせるやり方、というのを常に考え、個人個人を尊重しながら全体をいきいきとさせるにはどうしたらいいか?を模索するようになりました。
まだまだ道半ばではありますが、この考え方を常にしたことで上手くいったことが幾つもあり、今までトレードオフ関係にあったものが崩れ、これまで手に入れることができなかった成果を獲得する経験を体感できました。
Agile Tech Expo#1
ユーザの良い声をチームに持ち帰る
ユーザの良い声をチームに届ける、ということを意識し始めたのはこのイベントで中村洋さんのセッションを聴いてからだったと思います。
自分はユーザと接する機会がチームの中でもダントツに多いのですが、これまではチームにはユーザからのネガティブな声、クレームを中心に届けていました。
しかし、このセッションを聴いてからは、ユーザが満足していた様子や、自分のプロダクトに対してしてくれた感謝の声を意識的にチームに対して届ける(&ユーザから吸い上げする)ようになり、チームがユーザの声に苦しみながら開発することが減ったと感じています。
ふりかえりカンファレンス
チームの関係の質にフォーカスする重要性
LTで喋る内容をまとめる過程や、LTでの皆さんの反応を通して、チームの関係の質にフォーカスしてふりかえりをする重要性・意義を強く認知したのはふりかえりカンファレンスからでした。
リーンコーヒーをはじめ、チームの関係の質を高める取り組みは今でも多数続けていて、チームに入りたての人からは、「本当にいい雰囲気でやりやすい」「これだけチームの関係性を高めるのに時間を使うのは驚いた。けど重要さも実感した」というお話をしてもらえたりしたのは、とっても嬉しかったです。
新しいふりかえり手法
ふりかえりの問題分析、よこなーる、ストレングス・トーク...多数のふりかえり手法を新規に習得しました。
ふりかえりには勿論ですが、それぞれの手法が生まれた背景や何を大切にしているのか?という部分は、日々のチーム開発において役立つ場面が多く、リーンコーヒーの1ネタだったり、議論が膠着した時やチームが停滞気味の時の起爆剤として大きく役立ちました。
スクフェス大阪
初めてのセッション登壇経験
LTを除いたセッション登壇経験はスクフェス大阪は初めてでした。
プレゼンを作る過程では、魅力的なプレゼンとは何か?人はどんな要素があると話にのめり込むのか?といったことを考える&学ぶ経験を初めてして、非常に勉強になりました。色々と紆余曲折はありましたが、スクフェス大阪で勉強したプレゼンの基本知識が基盤となって、他のカンファレンスや社内での発表につながりました。
圧倒的な数の発表を通して多数の人を知れた
スクフェス大阪はとにかく発表数がとんでもなく、今まで存じ上げていなかった方々を多数知ったり、名前は知っていたけどどんな活動をしていてどんな考え方を持っているのか知らなかった方々の話を知るきっかけになりました。
定期的にアクセスする情報対象が大量に増えたと同時に、今までにない視点・斬新なプレゼンスタイルなどとも出逢い、自分の中で引き出しが大きく増えた印象がありました。
YOW!
森さんの発表で紹介されていたYOWは、今年千回以上行い、仮説検証は勿論、思考プロセスや頭を整理する道具の一つとして自然と使うようになりました。
色々と素晴らしさは実感しているのですが、とにかくやりやすいのが一番の特徴で、自分の頭で考え、実行して、試す、という機会を自然と増やせるようになったのは間違いなくスクフェス大阪で出会ったYOWのお陰です。
厳密に言うと、スクフェス大阪の発表を聴く前に一度分散アジャイルチームでYOWのことは伺い、そこから実践をしていたのですが、YOWが生まれたバックグランドを聴くことができたのは自分にとって大きな出来事でした。
Agile Tech EXPO#2
MUIT Youtube
金融ドメインの開発話は世間であまり公に公開されている例が少ないのですが、このカンファレンスを通してMUIT Youtubeの存在を知ることができました。
内容が学びになるのは勿論、同じ金融ドメインで働く者として、こうして外部に情報をどんどん発信していくMUITさんの取り組みは刺激になります。
技術に寄ったアジャイルの実例
自分は、実際に現場で適用されたアジャイルの実例を聴くということを大切に(そして楽しみに)しているのですが、チームワークや組織論といった側面からアジャイルの実例を多数聞くことがこのカンファレンスではできました。
中でも、プログラマの良心に沿った活動をしているというソニックガーデンさんの話は一際衝撃を受ける内容で、現場でも同感するエンジニアが多数おり、考え方を仕入れることができて良かったと今ふりかえると強く想います。
1on1カンファレンス(第2回)
個々人に寄り添うということは?
RSGTを契機に、個々人の考え方や価値観を尊重する重要性を実感した自分でしたが、このカンファレンスでは、「じゃあ個々人に寄り添って個々人を活かすってどういうことなの?」というのを多数の視点から考えるきっかけになりました。
認知科学の勉強を始める最後の一押しになった*1のはこのカンファレンスがきっかけでした。
また、小川先生が医療的な側面から個々人にどう寄り添うか、というのを伝えてくれたのですがこの内容は衝撃を受ける部分もあり、何でもかんでも自分一人で解決を試みるのではなく、自分がどこまで寄り添っていいのか(専門家(お医者さん)に任せるべき範囲はどこからなのか)というのを意識しながら人と接するようになりました。
人を殺す正義と正論
コンサルタント職ということもあり、社内では正義感を持った行動や正論が好まれて尊重される風景が多く見受けられます。
正論や正義感自体は一概に悪いことではないと思うのですが、errocoさんの発表で、正論や正義感の中には人を傷つけ、絶望感や劣等感を与えてしまうものがあるという話があり、これは自分の中で衝撃を受ける発表でした。
この発表以来、感謝をよりはっきりと伝え、自分のアドバイスやふるまいが何らかの劣等感や絶望を生み出さないか、というのをより考えるようになりました。*2
スクフェス三河
皆さんが歩んできた軌跡
スクフェス三河では、川口さん, いづさん, errocoさん, 藤田さんをはじめ、皆さんがスクラムやアジャイルと共に歩んできた軌跡を話された発表が多く、多数の壁にぶち当たったり試行錯誤をしながら、皆さんがどのように乗り越えてきたのか、乗り越える際に大事だったことは何か、というのを多数のストーリーを通して聴くことができました。
勇気や感動がその場で貰えたのは勿論ですが、スクフェス三河で話されていたこのようなストーリーは自分が苦しくなった時にふと思い出されることが圧倒的に多く、今後も一生忘れることはなく、自分に勇気や希望を与え続けてくれるんじゃないかな、と感じています。
きょんさんからのフィードバック
自分が登壇した内容について、きょんさんからフィードバックをいただくことができました。
登壇に限らず、フィードバックをじっくりともらえること自体が貴重なのでそれだけでもありがたいのですが、自分が当たり前だと盲信してしまった部分や、発表の魅力を無くし得る構成など、多種多様な観点で話を伺えて、発表は勿論、自分が日々チームでしているふるまいや何かを伝えたいときに疎かにしていること、にも気が付けて、本当にありがたかったです。
スクフェス札幌
satoryuさんの発表
スクフェス札幌2021、というと自分の中ではまず第一にsatoryuさんの発表が出てきます。今年全体を通してみても、本当に印象的なセッションでした。
カンファレンスの魅力、カンファレンスやイベントが人をなぜこれだけいきいきとさせるのか、どんな場・どんな行動が魅力的な環境を作るのか、というのが、(ぼけを挟みながら)最高のバランスで語られており、カンファレンスの素晴らしさや自分が日々勇気を貰えているカンファレンスやコミュニティという場の特長がはっきりと意識できたのは間違いなくこのセッションのお陰でした。
カンファレンスやコミュニティを楽しめる構造が意識できたのに加えて、社内で魅力的な場を作るためにはどうしたらいいか?を考える足掛かりともなり、学びも多い講演で、今後も役に立つことを確信しています。
チームのコミュニケーションパスの偏り
リアルタイムでセッションを聴けたわけではないのですが、及部さんの- ふりかえりからはじめよ - チームづくりのシンプルな本質 -のセッションで、チームのコミュニケーションパスの偏りの話があり、はっとしました。
ファシリテーターを置いたふりかえりの問題点や、チームにただ単にふりかえりを進めただけでは上手くいかないという話は直感的に理解していて、自分自身が避けるようにしていたのですが、何で上手くいかないのか?という原因の一つがこのセッションで明らかになったのがその理由です。
このセッションを聴いてから、チームでリーンコーヒー形式で行っていたふりかえりの進め方でコミュニケーションパスが偏らないようにやり方を少し見直ししたり、モブワークでペアの入れ替えを増やしつつチームの規模を変えたりして(例えばペアワークになるようなチームも作ったりして)、実験途中ではありますが、今の所は以前のチームであったようなコミュニケーションミスが劇的に少なくなっており、チーム立ち上げて日が浅いのにこれまで以上のスピードでスウォーミングが進んでいる感覚があり、チームが新たに立ち上がって間もないタイミングで発表を聴けて幸運だったなあと感じています。
札幌で発表できたという想い出
詳しくは以下のブログに書きましたが、スクフェス札幌にプロポーザルを出し、採択されて発表できたのは今年自分個人の経験の中では最高の想い出になりました。voteしてくれた皆さん、当日発表を聴きに来てくれた皆さん、そしてアジャイル札幌の皆さん、どうもありがとうございました!
全体を通した感想
一つ一つのカンファレンスが濃かったこともあって、大分長くなってしまいましたが、改めてふりかえるとカンファレンスで学んだことは現場で役立っていることが多く、どのカンファレンスについても、参加することができて良かったなあと思います。
一方で、過去のふりかえり記事を見て、そういえばこんなこと思っていたけど今はあまり意識できていないな。。となった部分や、そういえばこんな話があった!(今考えていることのヒントになりそう)という話も多く、こうして日が経った後に改めてふりかえりをする意義を感じました。