天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

第2回1on1カンファレンスに参加してきた

www.1on1meeting.org

今日は1on1カンファレンスに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

(組織の能力を引き上げるためにも)個々の能力を引き上げる重要性は高いと言えますが、個人を支援する人のスキルアップというのは中々難しいのが現状です。*1
そこで、支援する人に役立つ様々な分野の情報・コツをシェアしようというのが、この場です。

会の様子

オープニング

まなみんさんから、1on1に対する想いや会を開催することになった背景、今日のセッション紹介や今日の過ごし方についてのアドバイス...がオープニングセッションとしてありました。
以前別のコミュニティでもおっしゃっていましたが、1on1ガイドを現在コミュニティで執筆中で、その内Publicな場で公開されることも予定されているということで、楽しみです。

オープニングから今日の会がわくわくするような場になる予感がありました。

「『誰かと2人で話をすること』の特殊性について」~「1 on 1」に必要な「安全」について精神科医産業医の視点から~

まずは、小川先生から、1対1で対話する際に医学の観点で気を付けていることについて講演がありました。

医学史の話*2からスタートし、医者が1on1で患者と対話をする重要性&難しさと、その上で医師が患者と1on1する時に考えていることについての説明がありました。

医師というコンテキストならではのお話*3もありましたが、現場でも使えるようなTipsも多数あり、特に転移・逆転移の話は経験的にも思い当たる節があり、大変参考になりました。

ひとりの心の内を「ことば」にして、間合いをはかる

ちゃちゃきさんが、1on1とUXリサーチの共通点・相違点を整理したうえで、ちゃちゃきさんがUXリサーチャーとして*4個人の言葉をどういう考え方で捉えているのか、どのようなことに注意しているのか、というのを紹介してくれました。

1on1に限らず、個人との対話の意義であったりコツというのが、分かりやすい例え(一部については実例)で語られており、質的分析による「測り方」や言葉の磨き方というのが大変参考になりました。
質的分析の難しさ&奥深さを実感することができて、1on1に限らず個人との対話に活かしていくための一つのアプローチが知れたのが楽しかったです。

www.slideshare.net

対話を一歩深める方法

コーチとして活躍されている*5濱田さんから、コーチングの文脈でよく聞く、「その人の中に答えはある」って実際どういうことで、どうやると対話を深めることができるのか?というお話がありました。

実際に対話をしていて陥りがちな罠を、具体的な会話ベース*6で紹介してくれたのですが、自分がやられたこともやったこともあって、ずきずきと刺さる内容で学びが深かったです。*7
また、会が終わった後にストレングスファインダーの使い方というところで人との相性を測ることができるのかという質問があったのですが、ストレングスファインダーはあくまでもその人がどのように目標達成に向けて登るのかということに使うので、あまり相性面で活用できる訳ではない、という話が聴けたのも参考になりました。

個人と向き合う意義

個人と対話する意義の話からすたーとして、個人と対話をする上でeroccoさんが考えていること&その中でも特に1on1という文脈でeroccoさんが気を付けていることをお話してくれました。

eroccoさんが自分自身に対して真摯に向き合い、相手のために何が自分にできるか、どんな姿が素敵な未来なんだろうか、というのを考え続けて、eroccoさんが考えた答えの一つ一つを、答えに辿り着くまでの過程と一緒に紹介してくれる素晴らしいセッションでした。
eroccoさんらしく、一言一言が心に訴えかけてくるのが印象的で、共感を大切にしている話、よりたくさんの感謝を相手に伝えられるようにeroccoさんが気を付けていることの話、正義が人を殺してしまうという話は、個人的には特に刺さりました。

話すことで「自分」を知れる1on1ミーティング~その人らしさを発揮する支援への挑戦物語~

まなみんさん個人の話にフォーカスを当てた話*8からスタートして、まなみんさんが普段相手の力を引き出すためにどのようなことを気にしているのか、というお話を聴くことができました。
発表の流れがとても綺麗で、最初にどんな想いで1on1を始めていたのか、という話やまなみんさんが人と向き合うモチベーションの話をして、その前提で実際にどのようなことを気にしてどのようなアプローチをしているのかといった話をしてくれたので、まなみんさんが何を気にしていて、それがなぜなのか?というのがすんなり入ってきました。

二人の関係性があって1on1は成り立つものなので自分だけがのめり込んでもお互いに苦しい、相手の話を聴くことを諦めないというお話は、自分自身の経験とも重なる部分があり、じーんと心に沁みるような感覚で伝わってきました。

職場のシーン事例を認知科学の視点で広げて考える

職場の事例を三宅先生に紹介して、三宅先生がどのようなことが気になるのか?どのように事例を観察するのか?という話を伺うセッションでした。

三宅先生の説明が上手で、三宅先生がどういう点が気になるのかというのが聴けたのがまず面白かったです。
自分は第一回の1on1カンファレンスで三宅先生のお話を聴くことができて、そこで認知科学教育心理学といった話に興味を持ったので、その時のことを思い出しました。

さらに、説明には三宅先生のやさしさや三宅先生の認知科学に対する期待*9といった話が聴けたのも、非常に楽しかったです。
特に最後の、インターディシプリナリーの話から、「大きな革命がやってくるかもしれない」という発言までの流れは心を打たれるものがありました。

クロージング

まなみんさんからカンファレンスの簡単な総括がありました。
個性あふれるこれまでの講演をふりかえり、改めていいカンファレンスだったなあと実感できました。

全体を通した感想

セッションは勿論ですが、途中のBreaking time(登壇者が参加者の質問をベースに登壇のテーマに近い内容で雑談する時間)が良くて、発表内容で気になった部分をより突っ込んで聞くことができて楽しかったです。
セッションの観点が多種多様だったのも面白くて、各セッションで共通している部分を見つけるのも学びになりましたし、違う角度の意見を聞くことができるのも面白かったです。

セッションと休み時間の配分も個人的には丁度よくて、他のカンファレンスよりも休み時間を長く取れた感覚があって、集中し過ぎることなく、リラックスしながらお話を聴くことができました。

楽しい話をたくさん聴くことができて、第一回に負けず劣らず、大満足のカンファレンスでした!!

*1:支援したい人の個性を適切に把握して能力を発揮できるようにするようにするのは非常に難度が高いですし、コミュニケーションの個別性が高いが故に各々が独自に進めてしまう

*2:ざっくり言うと、賤業と呼ばれた医学の権威が低い時代の話→大学で医学が学問として正式に認められ、医師の権力が一気に高まった話→父権主義的な側面が強くなった話→医者のいうことが絶対、という風潮に対して疑問が高まって患者の権力が高まった話...

*3:危害を加えられ、最悪殺人に至るおそれがあるため物理的安全性を確保する必要がある

*4:普段は7割位はエンジニアとしてお仕事されているということでした

*5:Gallup認定コーチ

*6:上司と部下がいて、部下の心の声と実際の声のGapなど

*7:会場の皆さんも刺さっていたようです笑

*8:なぜ1on1にのめり込んでいるのか

*9:認知科学をやってよかったなと思っている話