天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

GeekGig ~アジャイル開発における、QAエンジニアの立ち回り~に参加してきた

showcase-gig.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

GeekGigは、エンジニアリングをテーマにGeekな話をするイベントです。

今回は、株式会社ヒューマンクレスト、株式会社Showcase GigのQAエンジニアによるミートアップです。 アジャイル開発でよくある課題に対して、QAエンジニアとしてどのように立ち回ればよいかをディスカッションします。

現在、アジャイル開発での課題を感じているQAエンジニアの方や、これからそのような課題に直面するであろう方にお楽しみいただけるかと思います。

会の様子

各チームの体制

Showcase Gigさんでは、開発チームにQAエンジニアが所属する形になっているということでした。ただ、QAエンジニアはQAチームの中から開発チームに出向くような形を取っているということです。

ヒューマンクレストさんでは、第三者検証機関として活動しているということで、お客さんの開発チームごとにQAエンジニアを派遣するような形としているということでした。
また、PJが繁忙期になったときは、テストセンターというグループを組んで、そこでテストを実際に実施するということです。
また、アジャイル開発の案件が多いこともあって、派遣の仕方としては、最初から最後までQAエンジニアを派遣するということでした。

ドメイン知識のキャッチアップ

ヒューマンクレストさんではドメイン知識のキャッチアップをするために、自社で都度ドメイン知識のナレッジをRedmineに貯めたり、ユースケースを中心に整理したりといった工夫を取っているそうです。

また、Showcase Gigさんでは、顧客との会話を密に行っているCSチームとの連携によって、ドメイン知識のキャッチアップを行っているということでした。

よくある課題

「品質意識が低い」という課題に関してディスカッションがされていました。(とにかくリリースが大事で不具合が多数あるのはアジャイルでやっている以上仕方がない、という話が出てしまう)
こうした状態に対しては以下のような活動をされているそうです。

  • テスト項目を顧客や開発チームに早めに展開する
  • 三者検証機関だから...という距離が置かれがちということもあり、開発チームの一部メンバーに「体験入部」という形で自分たちのチームに入ってもらう
  • 品質指標を定義する。(リリースできる状態や、リリースができるけど不具合が出ている状態...)
  • 開発チームでやってもらうテストとQAチームでやってもらうテストをそれぞれ可視化し、お互いにどんなテストをやろうと思っているかを事前に話し合う。

QA担当だからできることはあるか?

まず、チームの緩衝材や潤滑油になることがQAチームではできるのではないか?ということでした。
QA担当は良くも悪くもチームの外のような形になりがちなので、ある種のファシリテーターのような形として、チームを一つにまとめることができるということです。

また、QAチームを開発チームの中に入れない選択肢を意図的に取ることで、プロダクトを横断的に見ることができる(=QAチームが色々なプロダクトを見た経験を活かせる)という話も出ていました。

QAのやりがい

QAをしていてやりがいを感じるときとして、以下のような話が挙がっていました。

  • ユーザーに価値が届けられたことが実感できたとき
  • 課題や障壁を乗り越えてチームを一つにまとめるようなことができた瞬間
  • 全体を見ている分、これやりたい/あれやりたいとなったものが気軽に多く提案できること

会全体を通した感想

アジャイル×QAをテーマにさまざまな話が聞けて面白かったです。

特に、ヒューマンクレストさんは、これまで第三者検証機関の方々から聞いてきた話とは全然違う系統の視点で話を聞くことができて、非常に面白かったです。(第三者検証機関だからこそワンチームにまとめあげることができる...)

大人のソフトウェアテスト雑談会 #139【年の瀬】に参加してきた

ost-zatu.connpass.com

今週もテストの街葛飾似参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

転職の軸

転職でどうやって会社選びをしようか悩まれている方がいて、どういう軸で転職先を決めていくのか?という話が出ていました。
そのため、参加していたメンバーそれぞれの経験談を話して、どういう軸で決めたのか?のような話をしていきました。

自身も企業選びを最近までしていた身なので、悩むのはめちゃくちゃわかる一方で、全然違うポイントで悩んでいたり、転職先を異なる思考プロセスで決めようとしていたのは非常に面白かったです。

途中からは相談をしていた方とは別の方が転職の軸に関して相談をし出したりして、さすが葛飾という感じでした。

途中からはRyoさんが参戦して、分析的に決めるよりかは、奥さんに「どっちの方がいいと思う?」と聞いてこっち!と言われた方に行くという話や、U理論における問題のマトリックスの話などが出ていて、非常に面白かったです。

今日はこの話がメインだったので、ほとんどの時間はこれに関して話をしていました。

仕事の目標

仕事でどういう姿に最終的はなっていたいのか?という話をしていきました。

参加していたメンバーで当然ばらばらだったのですが、

  • 未踏の地が開拓できるような仕事をしていきたい
  • 最終的に誰かに「仕える」ような形になりたい
  • 街の木の葉っぱ全部に陽をあてられるような仕事をしたい

などなどが挙がっていました。

全体を通した感想

今日は話題が高スピードでぽんぽんと入れ替わる普段の葛飾とは違って、めちゃくちゃ濃い一つの話題で持ちきりという形でしたが、これはこれで面白かったです。

葛飾の雰囲気があって葛飾のメンバーがいればどんな話でも面白いんだな、ということを実感する会でしたw

LAPRAS公開社内勉強会「教えて!RSGT2023の楽しみ方」#2に参加してきた

lapras.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2023 (RSGT2023) は初学者からエキスパートまで様々なスクラム実践者が参加し、お互いの知見を共有し合う学びの場です。

来年は2023年1月に御茶ノ水会場とオンラインのハイブリッドで開催されます。

LAPRASでは、RSGT2023に(ほぼ)開発メンバー全員で参加することとなり、 初めて参加するメンバー向けの社内勉強会 を企画していました。

今回のイベントは、せっかくなので 社内勉強会をYouTubeで配信しよう!という趣旨の内容です。

また勉強会のゲストとして、コミュニティー常連の、 クリエーションライン株式会社 笹 健太さん にもご参加いただき、楽しみ方を教えていただく予定です。 RSGTの楽しみ方 気になるセッションについて聞いてみたい 会場の雰囲気を知りたい こんな内容に興味がありましたらぜひご視聴お待ちしております! (そして願わくばLAPRASメンバーがコミュニティのみなさんと交流するきっかけになりますように!)

会で印象的だったこと

RSGTの過ごし方/楽しみ方

前回のRSGTに参加してきた方々から、RSGTの過ごし方や楽しみ方を聞いていきました。

  • セッションを聞きつつ、意図的にセッションを見ない時間を作った
  • 廊下とかでうろうろしている人と話す(セッションを見なくても録画配信があるので大丈夫)
  • ワークショップは当日しか楽しめないので、参加するとよい
  • ブースが楽しい(昨年は書籍プレゼンキャンペーンがあったり、本を貸し出したり、モブプロで実際にプロダクトを作っている人たちが多い)。ブースは会社の宣伝というよりもイベントを盛り上げようとしている人が多い

といった話が出ていました。

また、さささんからは楽しみ方の変遷を聞くことができました。
さささんは、セッションに参加する→セッションに参加して質問をしてみる→ワークショップに積極的に参加する→知り合いが増えてきて、廊下を楽しむのとセッション半々くらいになる→ほとんど廊下を楽しむ、という変遷をたどったということです。

仲良くするためのコツ

以下のようなものが挙がっていました。

  • Day0で知り合いを作る会に参加してみる
  • Day1のCLのセッションでは知り合いを作るセッションをやるので、そこに参加すると良い
  • コーチーズクリニックに参加すると、有名な方と話ができてつながりを作ることができる

興味があるセッション

会の参加メンバーが気になるセッションを話していきました。以下、話に出ていたセッションを挙げていきます。

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  • あんまり生産性を意識してログを書いていないような気がするので、聞いてみたい
  • 牛尾さんの話は間違いなく面白いので聞いてみたい

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  • コミュニティを3年半くらい続けているのだが、価値があるのか?と言われると微妙なところなので、改めてコミュニティに関して考えるきっかけにしたい

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  • システムコーチングに注目しているため、このセッションを聞くことで学びのモチベーションを上げて、そのままシステムコーチングに申し込んじゃおうかと思っている

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  • きょんさんのセッションは生で見ると楽しいセッションになっているため、他のセッションとは違ってリアルタイムで見たい気持ちがある

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  • 過去に所属していた組織の中で笑顔にフォーカスされることはなかったし、そこにエモさを排除するという話も相まって非常に興味がある
  • リモートワークが基本なので、コミュニケーションのヒントになりそう

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  • 500ページ以上のスライドで時間を大幅に超過しつつ、見事に伏線を回収していった前回のセッションが印象的で期待が持てる
  • まさにPOとの調整やPOの考えを汲み取りながらいいプロダクトをどう作っていこうか?というのを考えているので、すごく響く内容だと思う

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  • 今はそんなに困っていないのだが、過去にスクラムをやっていてマンネリ化したことが何回もあったので、過去の想いを精算できるのではないかという期待がある
  • 三菱重工でやった取り組み、というのが非常に気になる

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  • レビューとかふりかえりってやろうと思えばできるけど、効果的にやるというのは非常に難しいと実感しているので気になる
  • 優しくも厳しいセッションなので響くだろうしすごく勉強になると思う

会全体を通した感想

前回に引き続き、こうしてRSGTを盛り上げるイベントを立ち上げてくださっているのは、イベントが楽しみになる側面もあって非常にありがたいです。自分もRSGTがより一層楽しみになるイベントでした。

また、気になるセッションでは自分のセッションも取り上げていただくことができて、とても嬉しいです。
会で触れられていた通り、超超超大激戦の枠での発表になるので、どんな参加者の方でも間違いなく他のセッションと悩まれると思うのですが、来てもらった人が絶対に後悔ないようなお話ができるように準備していこうと思うので、楽しみに待っていてもらえればと思います!

(オンライン読書会) 能動的推論  ~心、脳、行動の自由エネルギー原理~に参加してきた

educational-psychology.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会で話して面白かったことと感想を書いていこうと思います。(少し遅れて参加したので、前半の方に話していた内容に関しては聞き漏れています)

ハミルトンの最小作用原理と能動的推論

能動的推論のアナロジーとしてハミルトンの最小原理の話が出ていました。
ここで、前回の読書会でも出てきた統計物理学の話があり、ミクロな視点で捉えると一連の現象として説明が難しくても確率分布を活用したりマクロな視点で捉えると説明できる現象があるという話が出てきて、これが能動的推論で変分法を活用するモチベーションになっているという話がありました。

行動の最適化

まず最初に最適化されるのは推論のやり方であって、その後に行動が最適化されるという風に、順番が最適化にはあるよね、という話をしていきました。
書籍内でもあったように、経済学や強化学習などで言われているような行動(価値関数)の最適化とは異なる観点で行動の最適化が語られているのが面白かったです。*1

信念の度合い

信念というと確固たるものを思い浮かべがちなのですが、信念はあくまでも確率分布であり、度合いがあるという話が出ていました。

信念は隠れ状態だからわからないけれど行為の状態はわかるため、目的論でいえば目的自体は隠れ状態になっているけれども、目的を観測することはできるよねということで、不確実性を取り込んだ考え方ができるようになっているのは面白かったです。

ベイトソン

前回の読書会に引き続き、ベイトソン味が溢れる話がいくつも出てきました。

  • ハミルトンの最小原理では、物理現象としては一定の状態に収束していくやつと発散するやつがあり、成功は結果として生き延びたものだという考え方はまさにベイトソンに近い
  • 階層的な生成モデルがベイトソンの論理階型の話と近い
  • 普段高山に暮らしていない人が高山に登ったら一時的に血圧などを整理して適応するが、高山に暮らし続けるなら遺伝的に極値を調整するというベイトソンの話が、能動的推論の「能動」と共通している

変分推論

第二章の「能動的推論の常道」で話されていたようなHOW的な話から駆け上がったとしても、今回読んだ「能動的推論の王道」の観点から駆け上がったとしても、汎関数の最適化や変分法の概念にたどり着くというのは面白いという話が出ていました。

さらっと流していた2章の変分近似の話と共通しているのは面白いですし、2章の話を思い出させてくれる読書会のありがたみを改めて感じました。

期待自由エネルギーの反駁

期待自由エネルギーは変分自由エネルギーの10年後に出てきたものだという話を教えてもらい、いくつか疑問を呈しているような記事があるというのを紹介してもらいました。

note.com

www.slideshare.net

全体を通した感想(本コミュニティで今年の読書会を終えた感想)

学びと心理学のコミュニティでは年内最後の読書会でしたが、今年は濃い本を2冊読むことができて非常に楽しかったです。(1冊しか読み終わっていないですが笑)

様々な分野に関する知識を持ち合わせている方々が集っている読書会なので、多く学びがありました。(今日の読書会でも、物理学の話やベンジャミン・リベットの話など自分一人ではどうやっても連想できないような話が色々とつながってきて、充実した時間を過ごすことができたと思います。)

*1:厳密には、経済学や強化学習でも価値観数の最適化を純粋にしない変分法を活用した最適化などもありますが...

スクフェスから生まれた自分の夢と夢の実現を後押しするコミュニティ

この記事は、スクラムギャザリング&スクラムフェス Advent Calendar 2022の24日目の記事です。

RSGT2023

RSGT2023がいよいよあと18日後に迫ってきました。

自身は3度目の参加になりますが、これまでのアドベントカレンダー記事で素晴らしい話が続々投稿されたり、LAPRASさんがRSGTを盛り上げるイベントを開催してくださったり、びばさんや及部さんやきょんさんがRSGTを盛り上げる事前イベントを立ち上げてくれていたおかげで、例年になく盛り上がっているような感覚があります。

adventar.org

www.youtube.com

 

 www.youtube.com

beyond-hardware-agile.connpass.com

connpass.com

distributed-agile-team.connpass.com

 

また、本当に光栄なことに、RSGT2023では自分も以下の内容でsession speakerとして話をする予定です。
セッションでは、コミュニティが生み出す価値や、価値あるコミュニティがどのように育まれていくのか?価値あるコミュニティを育むためにはどのようなことをしたらいいのか?...を話す予定です。

社内外でコミュニティに携わっている方(特にコミュニティの立ち上げや運営に関わっている人)が素晴らしいコミュニティを育めるようになるセッションを予定しているので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

confengine.com

裏番組で話す川口さん牛尾さんきょんさんは、普段のスクフェスでセッションがあったり何かしらの記事が公開されれば例外なく100%拝見する方々なので、今回セッションが見れず本当の本当にものすごく悲しいですが、そんなお三方と同タイミングで話す機会をいただけたことに感謝しつつ、自分のセッションを見に来てくれた方が「悩んだけどこのセッションに来てよかった」と思えるようなセッションにできればと思っています。

スクフェスから生まれた自分の夢と夢の実現を後押しするコミュニティ

さて、ここからはこの記事の本題に入っていきます。
この記事では、自分がスクフェスと出逢ってから現在に至るまでの過程を話すことで、スクフェスと出逢って自分が持った夢の話、そして夢の実現に向けて現在進行形で力強く背中を押し続けてくれているコミュニティの話をしていきます。

スクフェスとの出逢い

自分がスクフェスと出逢った(スクフェスを知った)のは、分散アジャイルチームの会でスクフェス三河の同時試聴会をしたことがきっかけでした。

distributed-agile-team.connpass.com

ここで、自分は幾つかのセッションを参加者の皆さんと同時視聴しました。
そして、以下2つのセッションから特に大きなインパクトを受けました。

confengine.com

confengine.com

1つ目に貼った藤田さんのセッションは、セッションの内容もさることながら、自身と同じ社会人歴の方が堂々と話をし、自身より明らかに多くの知見や経験を持っていることに大きな刺激を受けました。
自分も藤田さんのようになりたいと思うとともに、藤田さんが発していた「自分は負けず嫌いだから...」のキーワードを聞いて、自分も藤田さんに負けていられないという気持ちがわきました。

2つ目に貼ったeroccoさんのセッションは、eroccoさんの人柄に心が惹かれたとともに、「嫌なことはやらない」「できないことはやらない」という話にすさまじい衝撃を受けました。
このときの自分は、仕事で嫌なことを耐えた先に明るい未来があると思っていましたし、できないことができなければ一生次のステップにはいけないと考えていたので、希望が生まれるとともに180度考え方を変えるきっかけになりました。

他にも細澤さんのセッションや及部さんのkeynote、のりっくさんのセッションなども見て、同様に雷に打たれるような感覚を覚えていました。
こんな話が聞けるスクラムフェスって一体どんなイベントなんだろう...?という興味がわき、直後に迫っていたスクフェス札幌2020のチケットをイベント直後に購入しました。

最高だったスクフェス札幌2020

この流れで参加したスクフェス札幌は期待通りどころか期待をはるかに超えるようなカンファレンスでした。

長くなるので一つ一つに細かい言及をするのは避けますが、コーチーズクリニック, セッション, OST, エネルギー溢れる参加者との交流, アジャイル札幌の皆さんとの出逢い...どれをとっても最高でした。
スクフェス札幌が終わってすぐに、RSGT2021のチケットを買いました。

夢が芽生えたRSGT2021

RSGT2021は、きょんさんの発表をまず聞きました。

speakerdeck.com

実はこのとき、きょんさんのことはあまり知りませんでした。
前述したスクフェス三河の同時視聴会を主催されていたので認知はしていたのですが、仕事で何をしているかなどは分かっていなかったのです。

しかし、この発表を聞いて、またしても雷に打たれるような衝撃を受けました。
何から何までが衝撃だったのですが、

  • 自分が衝撃を受けて学んでいたアジャイルをunlearnし、アジャイルの次の世界をすでに見据えていること
  • ソフトウェア工学の歴史を作ることを目標にしていること
  • PJごとに組まれPJが終了すると同時に解散するチームではなく、生涯や人生をともにすることを前提にチームを組んでいること
  • 所属しているメンバーのレベルが恐ろしく高いこと

は特に衝撃が強かったです。
セッションを聞いた自分は、いつか47機関(=きょんさんが所属するチーム)で働いてみたい、あるいは47機関を超えるようなチームで働いてみたいと思いました。

しかし、システム開発の経験が非常に浅く、アジャイルも学び始めたてだった自分にとってあまりにも遠い話ですし、今の自分にそんなことを口に出す資格はないと思いました。
このときセッションのメモを書いていたのですが、いつか47機関で働いてみたいという想いは一度書いたものの消しました。

qiita.com

そんなこんなで時は流れ、オンライン懇親会の時間が来ました。
そこでは、小笠原さんとのりっくさんが主催していたとにかく知り合いを増やす会や、Discordでの懇親会に参加したのですが、きょんさんの発表であった「いきいき」をみなさんが体現していることに驚きました。

元々知り合いも全然いなかったのですが、なべさんが話の輪にいれてくれたこともあって、色々とお話をすることができました。
いきいきとした皆さんと話をしていて、きょんさんのセッションで自分の心からも記事からも消したことをもう一度思い出しました。

そうして、「いつか47機関で働く or 47機関を超えるようなチームで働く」という夢ができました。
幼少期(4歳)に一瞬抱いていた、「お金をたくさん寄付して世界のみんなを幸せにしたい」以来の夢でした。

スクフェス&コミュニティめぐり

当時の自分は、アジャイルの知識が浅かったことはもちろん、いわゆる"上流工程"や運用保守に携わることが多くてコードをほとんど書いたことがなく、gitも使えませんでした。
そのため、夢に向かうためには、とにかく勉強が必要でした。

あまりにも途方もない道のりに思えましたが、そんな自分を支えてくれたのはスクフェス、そしてコミュニティでした。
「テストの勉強方法をなにか教えて下さい」「技術力を上げるにはどうしたらいいと思いますか?」「開発者として読んだ本がいい本はありますか?」「スクラムってどうやったらできるようになりますか?」などなど、ど素人丸出しの質問を繰り返していましたが、出逢った皆さんは「そんなのも知らないの?」「そんなの自分で考えなよ」という態度は微塵もみせず、丁寧に教えてくれました。

こうしてコミュニティやスクフェスに参加しながら、皆さんから教えてもらった本を1ヶ月100冊〜300冊のペースで積み、ご飯の時間やお風呂の時間も含めて起きている時間はほぼすべて勉強をし続けました。

仕事への取り組み方もまるで変わりました。
アジャイルコーチもいないし、スクラムの実戦経験がある人が0のチームだった上に、規制産業だったり受託開発だったりと、スクラムをやるには諸々厳しい条件が揃っていましたが、本や記事、動画、Podcastなどでとにかくインプットをして、コミュニティのOSTスクフェスのセッション視聴で足りない実践経験を補い、試行錯誤を仕事で繰り返しました。

また、コミュニティに少しでも恩返しができればと思い、スクフェスにプロポーザルを出して登壇をし始めました。
プロポーザルを出すにあたっては、ここでもコミュニティの皆さんに手伝ってもらいました。何度も登壇経験がある方からいろいろなフィードバックをもらいながらプロポーザルを書いたこともあって各地のスクフェスで登壇を続けることができました。

叶えたい想いが増幅される夢

こうして勉強をしている間にも、「いつか47機関で働く or 47機関を超えるようなチームで働く」という夢は強くなりました。

47機関の話をきょんさん以外から聞いたり、いろいろなスクフェスやコミュニティのイベントできょんさんやbleisさんが47機関の話をしているのを聞いて、想いがどんどん増幅されていったのです。

特に、スクフェス大阪2019できょんさんが47機関の歴史について話した基調講演の再演を見たときには、47機関が歩んできた道とその過程で得たもの、ソフトウェア工学の歴史を作るという目標が生まれた経緯を聞いて、涙が止まりませんでした。

RSGT2022

そうしているうちに、RSGT2022を迎えました。

1年前に夢が芽生えたRSGTに再び参加することは想像通りでしたが、一つ嬉しい誤算がありました。

なんと、RSGT2022にはsession speakerとして参加することができたのです。
1年前のRSGT2021での自分を考えるとこれはとても想像ができなかったことでした。
発表はめちゃくちゃ緊張してうまくいかなかったところもたくさんありましたが、すごく幸せでした。

そして、初めてオフラインでイベントに参加して、参加者の熱量に驚きました。
RSGT2021で感じたいきいきを、そこら中で感じました。本当にたくさんの方とはじめてオフラインでお話しました。
ブログにも書いたのですが、とにかくめちゃくちゃギャザリングしました。これまでの人生の中でも経験したことがない感覚で、スクフェスやコミュニティの素晴らしさを体感できましたし、最高に楽しめました。

aki-m.hatenadiary.com

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RSGT2021に参加して、たくさんの人とギャザリングして、自分がスクフェスやコミュニティに支えられてきたことを改めて自覚しました。

社内での変化

こうしてRSGT2022が終わって、普段の仕事に戻ったのですが、社内でも思わぬ変化がありました。
RSGTは社内で正式に承認プロセスを取ったりせず勝手に話してしまったので*1社内には誰も伝えていなかったのですが、さすがにRSGT2022の知名度もあって一部の人には自分が話をしていたことがばれていました。

発表の内容的にも、極めて恣意的に捉えようとすると会社を批判しているとも言える話だった*2ので、何かしら注意されることを覚悟していたのですが、自分に声をかけてくれた全員が自分の発表をたたえてくれたり、今後も発表を続けていきなさい、と背中を推してくれました。

更にそれにとどまらず、アサインの切れ目だった1月には、普通に仕事をしていて話すことがないようなレイヤーの方々や経営層の方々が複数人自分と面談する機会をわざわざ設けてくださり、自分が今後どうしたいか?という希望を真摯に聞いてくれました。
「これからのキャリアでずっと一緒に働けるようなチームに所属して、チーム開発したたい」「これまでWebシステムもモバイルもクラウドも全然触ったことがないけれど、技術の幅を広げたい」「ドメイン知識が評価されているのはわかっているけれど一旦その知識を活かした領域からは離れたい」などなど、会社視点ではめちゃくちゃ受け入れ難いお願いをしましたが、自身のアサインを白紙にした上で会社の全PJを探して、自分の希望が満たせる可能性がある環境を用意してくれました。
更に、社内カンファレンスの企画や自身を支えてくれているコミュニティとのタッチポイントの設定など、PJ外でも自分がやりたいことをやらせてくれることになりました。

こうして対応していただけたことはめちゃくちゃ感動しましたし、本当に心から感謝しかないです。

再びスクフェス&コミュニティめぐり

こうして社内外で色々あったことも追い風になり、夢を叶えるために2022年も引き続きコミュニティやスクフェスを社外では巡っていきました。

特にスクフェスでは、初めて45minのセッションを話したり、90minのトラックキーノートを経験したり、スクフェス参加者のほとんどが聞くDay0で話したり、2021年よりも更に濃い経験をさせてもらいました。

コミュニティやスクフェスに参加するたびに、たくさんの方から学ぶ原動力となるエネルギーや知識をいただいた結果、学ぶことはどんどん楽しくなり、ペースも2021年よりも加速していきました。
特に、2021年から引き続きパーソナル・コーチングをspring.Akiさんにしてもらい続けたり、メンタリングをさとりゅうさんにお願いすることができたのは自分にとって大きな出来事でした。

得たものや学んだことはその他にも本当にたくさんあるのですが、多すぎてここには書ききれないので、詳細は先日書いた2022年のふりかえり記事に譲ります。

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いよいよRSGT2023

そうして走り続けてきた2022年ももう一週間で終わり、あと18日でRSGT2023が開催されるところまで来ました。
冒頭にも書きましたが、本当にありがたいことに自分はRSGT2023もsession speakerとして参加することができる予定で、とても楽しみです。

そして、昨年に引き続き、今年も嬉しい誤算がありました。それも、昨年よりも更に嬉しい誤算です。

その誤算とは、RSGT2023のプレゼンを47機関のメンバーとして迎える予定であることです。
RSGT2021で生まれた夢は、2年の期間を経て叶うことになりました。

RSGT2022で話すテーマは、自分の夢を叶えることを後押しし続けてれくれたコミュニティです。
自分と自分の夢を支え続けてくれたコミュニティの皆さんの前でコミュニティの話ができること、そしてその話を47機関のメンバーとしてできて、本当に幸せです。

新たに生まれた夢

改めての報告ですが、12/1からデロイトトーマツコンサルティングに入社しました。
12月中は研修などをしつつ少しずつ仕事に着手という感じで、来年からは47機関に入関(?)して働いていく予定です。

さて、こうして大きな夢が叶った自分ですが、これで夢がなくなったわけではありません。

自分の今の夢は、47機関のチームメンバーとして、ソフトウェア工学の歴史に47機関の名を刻むことです。

これは本当に実現が難しい夢だと想いますし、自分の人生をかけて臨む夢になるかもしれません。

でも、47機関の現在地やコミュニティの力を知っている自分は、その内実現することになる夢なんだろうと勝手に思っています。

47機関に入れる予定であることが分かってからしばらくした今でも、まだ現実を信じられない状態で、今こうしてブログを書いているのも夢なんじゃないかと半分くらい本気で思っていますが、今は本当にわくわく感がすごくて、とても幸せな気持ちです。

 

 

記事は以上です。

本当は、47機関として今後やっていく抱負や転職の細かい経緯なども書きたかったのですが、記事が長くなってしまうので、こちらは別の機会に改めて整理してお話できればと想います。

あと、例のやつを最後に貼っておきます!

www.amazon.jp

*1:自分は会社や運に恵まれていたのですが、これは会社とのトラブルに発展する可能性もあり、絶対に真似しないほうがよいです

*2:当然そのような意図は発表に一切ありませんでした

Tech系Podcastを同時視聴したり、アジャイル系の相談したりに参加してきた

distributed-agile-team.connpass.com

今週も分散アジャイルチームの会に参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

きょんさんの雑談

10日連続で飲み歩いて酔っ払っている(?)きょんさんの話を聞いていきました。

  • いろいろなアドベントカレンダーに対してきょんさんが思うこと
  • どうでもいいブログが量産される話
  • きょんさんの生態に関するお話
  • きょんさんの年末の超ハードなスケジュール
  • 人の才能を解像度を高くして発見し、統合/結合していく話

などなどを聞いていきました。

「複雑さ」について語り合う会の話

architect-club.connpass.com

aki-m.hatenadiary.com

自分も参加してブログに書いたのですが、アーキ部が先週開催されて、その内容に関しての追試のような形で、きょんさんと雑談していました。

以下のような話をしていきました。

  • 当日の会の様子で、ブログに書けなかったことの補足
  • 悩んで悩んで考え抜いてできた!となったものは失敗だと思っているという話(スケールしない)
  • 考えなくてよい仕事を如何に増やせるのか?が大事だと思っているのでそこに頭を使うのが大事だと思う
  • 15の幾何学的特性に沿って、大小関係とか余白が先にデザインされているような状態でプログラミングしたとき、ほぼ何も考えることはなかったし、バグもほぼ0だった(プロトタイプ理論に基づく作業のデザイン)

続:×3 enPiTのあるチームのはなし

これまで定期的に出てきた話題を、今日も話していきました。
今日は、

  1. チームが現状にあまり満足していないので、満足させるようにしたい
  2. プロダクトに対してレビューをしてもらいたいが、ユーザーに触れてもらえる機会がこの後ない。仮にそういう機会を設定してもらうようなことはできるが、本当の機会ではないので、怪しい

の2点に絞って話をしていきました。
以下、それぞれで話していたことを書いていきます。

1. チームが現状にあまり満足していないので、満足してもらえるようにしたい

  • 満足というのは人によってどうなったら満足なのかは違うので、必ずしもプロダクトがユーザーに満足してもらえる、という方向性で考える必要はない。失敗しても学びがあるのなら満足という人もいるだろうし。
  • この授業内で満足してもらえるようにしたいなら、満足というのがふわふわしているので、チームメンバーそれぞれで現実的に到達可能な目標でどういう状態になったら満足してもらえるのか、というのを話せるとよさそう。

2.  プロダクトに対してレビューをしてもらいたいが、ユーザーに触れてもらえる機会がこの後ない。仮にそういう機会を設定してもらうようなことはできるが、本当の機会ではないので、怪しい

  • とりあえず代理の人にレビューをしてもらうのがいいと思う
  • 授業を受けている同じ学生というコンテキストなら、仮の授業でも設計してみて、フィードバックを受けてみてもいいと思う。授業を受けている同じ学生であれば、雑な感覚だけど5割くらい共感できていればそこそこ的を射ているフィードバックになると思う

全体を通した感想

アーキ部はkawasimaさんの体調もあって、少し消化不良な感じで個人的には終わってしまっていたので、補足的な話を聞けたのは個人的にはすごくよかったです。

何よりも、今日は最初からきょんさんのアクセルが全開だったのが楽しかったですw

『ソフトウェアテストをカイゼンする50のアイデア』読書会を聴く会 に参加してきた

connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会で印象的だった話と感想を書いていこうと思います。

会の概要

miwaさん咳さんよしたけさんの3人で、「ソフトウェアテストカイゼンする50のアイデア」の本を読んで、読んでいる様子やその感想を見ていくという会です。miwaさんが一文字一文字音読して、区切りのいいところでみんながそこに対して話し合うというスタイルで進んでいきました。(今日はP21〜を読んでいきました)

会で印象的だったこと

マインドマップのツールでそこまでテストをするか?

本書で挙がっていた例ではマインドマップツールを作っているので、使えなかった際に致命的な何かがおこるわけではないため、ネットワーク環境のせいで使えない想定まではしなくてもいいのでは?(手厚いのであるに越したことはないけれど)という話が出ていました。

ただ、使うのを前提に考えがちなので、そこで使えないことに注目することができていたのはすごいな、という話も出ていました。
また、仕様を信じてテストすると本書で改訂あるバグは出てこないので、仕様を信じなかったという意味でも偉いよね、という話もありました。

P22に誤字

P22の序盤の方に、「サポートを提供できなくなってします」と書いてあり、誤字がありました。

2つ目の洞察が出たのは面白い

P22に書いてある2つ目の大きな洞察が得られているのはよいのですが、これまでの話の流れからすると直接出てきそうな観点ではなかったので、どうやって出てきたのかは気になるし面白いね、という話がでていました。

ログを普段仕込んでテストしているか?

普段テストしているときに、ログを仕込んでいるか?という話題がありました。

よしたけさんのチームでは、本書に書いてあるような厚でみログを仕込んでテストすることはないということです。

咳さんのチームでは、ログは「この通り動きました」しか示していないので、「自分が書いたところではこういう風に動いたよ」ということしかわからず問題の本質がわからないことも多いので*1、ログさえあればいいとは思っておらずログをとにかく書くという話には懐疑的だそうですが、開発者によってはログを仕込んでいることもあるということでした。

考えやすいところに飛びつくのは危険

考えやすい部分やわかりやすい部分がはっきりと見えているのは、隠れているパターンが見逃されがちで危険だという話が出ていました。
仕様はみんなで考えて作ることができるものなので、「ここだけ考えておいてね」みたいなある種の分業は危ないよね、ということです。

ユーザー価値にフォーカスするのは探索的テストだけではない

「〜したい」ではなく、「〜するために」という部分にフォーカスするのは探索的テストに限った話ではなく、常に考えるものだよね、という話が出ていました。
これと合わせて、過程にフォーカスする重要性(どうやって1,000件という数字を出したのか?を尋ねる重要性)や、自分たちが見ているのは常にある一面上のものだけだということを意識し続けておくのは大事だという話もありました。

なお、咳さんのチームでは「ユーザー価値」という言葉は出てこないけど、「これなにが嬉しいんだっけ?」はすごくよく出てくるということです。

よしたけさん的には、「価値」はめちゃくちゃ広いフェーズで「品質」に近い言葉で、認識齟齬が置きやすいですし、話をごまかすために使われちゃう言葉なので、あんまり使いたくはないということでした。
似たよう話で、咳さんも「効率」とかは話をごまかしちゃうために使われがちなので、

「それ何分の何?」と聞いてしまうということでした。(「率」を差しているのか無駄なことをやっているのかが気になる)

会全体を通した感想

ログの部分でデグレを心配しちゃうところや、考えやすいところに飛びつくのは怪しいという話や、「価値」という言葉に怪しさを感じるところなど、今回はたくさん共感できる部分があり、頷きが止まらない会でした。

会の本筋ではない(?)のですが、「洞察が深い」とか「いい洞察だね」って言われるのはなんかドキッとしちゃうという話からお互いに言われた場合を想定するくだりも面白かったです笑

*1:ログはどうやら正常です、で調査が終わってしまうこともある