天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

大人のソフトウェアテスト雑談会 #41【RSGK】に参加してきた

ost-zatu.connpass.com

テストの街「葛飾」に参加してきたので、感想と会の様子を書いていきます。

オープニング

特に号令等もなく、今日もゆるゆるとスタートしていきました。
Ryoさんの受験ふりかえりの話、高橋寿一さんの話やオンライン区長の話...を話していきました。

isekiさんの話~歴史に学ぶダメダメ兵器~

戦争のために実際に作られたプロダクト(兵器)の失敗について色々紹介し、現代になって進化したかを考えてみよう、という講演でした。
以下の兵器が話に挙げられていました。

38式歩兵銃...仕様書がなく、扱い方が良く分からない。衝撃を受けた場合に、運用でカバーする想定になっている。

十一年式軽機関銃...機能を詰め込み過ぎたせいで、内部構造が複雑になり、壊れやすくなった。作っている内に、手段と目的が逆転した。

大和...要件を決めるのに3年かかり、艦隊⇒航空母艦に時代がシフトした。大鯨を作っていた時代に失敗をふりかえらず、開発現場が責任を取らされた経験があり、開発現場は萎縮していた。

烈風...設計と開発と製造とテストの部門が分断されたことにより、コミュニケーション不足の発生。これは有り得ないから無視しよう、とテスト結果を軽んじたが、実際に起こった。

現代のソフトウェア開発で起こりがちな失敗と同じような失敗が兵器作りの過程でされているのを知れて、面白かったです。オンライン区長が軽やかに話してくれて、あっという間に時間が過ぎていました。
また、全然兵器の開発が上手くいかず、お尻に火が付いた結果取られた兵器の開発手法がアジャイルチックな開発に変遷していった(さっと作って早い段階で失敗し、失敗した部分を修正していく)という話も非常に面白かったです。*1

Ryoさんの話~FIELD WORKERから学ぶAGILE COACHとしての生き方のすゝめ~(再演)

分散アジャイルの会で講演してくれた内容を田中亮さんが再演してくれました。(同じ内容でしたが、前回よりも時間を取ってゆっくりと話してくれました)
聴いたのは2回目でしたが、やっぱりめちゃくちゃ面白い話だなあ、というのが素直な感想でした。
面白い話は何度聴いても面白いことを実感しました。
フィールドワークの話や民族誌学/民族学の知識が少し身についていたこともあり、前回よりも頭に入る内容も多かったのも嬉しかったです。
前回のブログで書けていなかった、自分が面白いと感じた部分を書いていきます。

統計学民族誌学が一度淘汰されるも、復権する話

統計学が台頭したことで、数値検証的な側面が弱い民族誌学は一度淘汰されるも、数十年経って、定性的な観察の重要性が再認知されて復権するという話が面白かったです。
現場でも数値は強力で、どうしても信用を置いてしまいがちですが、定性的情報も十分科学的情報(定性的調査法から得たデータ)になり得ますし、疎かにせずに丁寧な観察を続けていきたいと思いました。(前回のRyoさんの発表を聴いて観察のヒントがもらえ、現場で色々と新発見できたので、感謝です!)

妥当性>信頼性

ベンチプレスの和歌山県チャンピオン(体脂肪率一桁)がBMIで肥満だと判定された例を挙げて、信頼性はあるけど、妥当性がないデータの無意味さを話してくれました。
また、その一方で、信頼性がなくても妥当性があるなら十分活用の余地がある(勿論信頼性も妥当性もあるのがベスト)という話を聴きました。
現場では信頼性も妥当性もあるデータは中々集まらないですが、この時に、個人的には妥当性よりも信頼性を重視したデータを集めてしまいたくなりがちなので、注意していきたいです。

サクセスストーリーや失敗談も価値はあるが、事例を中心とした話も価値があるのではないか

フィールドワーカーのように、複数人が事例を徹底的に観察して、その事例をどこかに共有して、より深い客観性が導き出されたら、それはそれで価値があるんじゃないか、という話でした。
あった出来事を基にストーリーを作って物事を解釈しがちですが、複数人(例えばチームメンバー)と一緒に、解釈を挟まずに物事を観察&記録して、そこで観察した結果を客観的な話に昇華していくと、普段見えていないことが見えてくるのかもな、とぼやっと考えました。

全体を通して

今日は普段と違って、雑談ベースではなくて講演を聴く時間がほとんどでしたが、isekiさんの講演もRyoさんの講演も、ソフトウェア開発と一見関係がない他分野の話なのに、ソフトウェア開発に学びを取り入れることができる面白い話で、聴いていて楽しかったです。
自分も色々な学問をどんどん学んで、少しでもソフトウェア開発を良くする引き出しを増やせるように頑張ります!

*1:なぜ本気を最初から出さなかったのか...という話を皆でしていましたw