天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか」の読書会に参加してきた

educational-psychology.connpass.com

前回参加した時の記事 

aki-m.hatenadiary.com

勉強会の概要

前回に引き続き、

  1. 事前に担当章を読んでくる
  2. 同じ章を読んだ人が集まり、大事な所や要点を確認する(エキスパート活動)
  3. それぞれの章を読んだ人が集まって、2で話した内容を共有する(ジグソー活動)
  4. 全員で感想などを言い合いする

の流れで進めていきました。今回自分は第四章を読んできました。

学びになったこと

一時的選好の分類に対する理解

小笠原さんとchachakiさんと、エキスパート活動を通して一時的選好の種類についてのディスカッションができたのが学びになりました。
特に、一時的選好の一つである「痛み」については、自分は他の選好と比べると特殊な分類だと理解していたのですが、小笠原さんからは「特殊ではなく、寧ろこの本で言う選好の最たる例じゃないか」という話を聴くことができて面白かったです。(自分の解釈と全然違う話が出てくるのはやっぱり楽しいです!)

本書を読み進めていく上で抱く違和感の言語化

本書を一回読破している山田さんが、「面白い本で納得感もあるんだけど、読んだ後に何か騙された気がした」と前回の勉強で言っていたのですが、この騙された感覚が何なのかが分かり、良かったです。(chachakiさんが本書を読んでモヤモヤした点を話してくれました)
具体的には、最初は素朴理論っぽい説明*1からスタートするのに、あるタイミングで急に定量的な話(数式など)が出てきて、素朴理論っぽく説明されていた部分が、全て定量的な話に置き換えられているような気がしてしまう、という話でした。

報酬と快楽の関係性

双曲割引の考え方を使うと、報酬と快楽は別物で、繋がりの無いものだと考えられることが分かりました。
「惹きつけられるもの、注意が向くもの」が報酬であるのに対して、「望ましいと感じられるような体験全て」が快楽であり、それ故に痛みは報酬になり得るという考え方が面白かったです。
ただ、報酬という言葉が想起させる一般的な定義と、「惹きつけられるもの、注意が向くもの」という本書の定義は大分かけ離れているので、論理的報酬や形式的報酬とかいう表現にして、一般的な報酬とは違うことを区別した方がいいね、という話もディスカッションで出て、自分も含め全員が完全に同意していました。*2

全体を通した感想

知識構成型ジグソー法を使用した進行が特徴的な勉強会ですが、一人で読書するよりも遥かに知識の定着や理解度の向上ができるので、前回に引き続き参加することが出来て良かったです。
一度本書を読み通している山田さんがいらっしゃるのも心強く、理解が今一つできない部分や、少しもやもやが残る部分(この説明が今後どう繋がっていくのだろう...)を解消してもらえたのもありがたかったです。

また、勉強会が終わった後は22:00~3:40くらいまで、本読書会とは関係ない話をして盛り上がりました。
こちらも大変学びになる内容が多く、参加することができて良かったです。
話の内容の一例を挙げると、科学的態度についてのディスカッション、人の話で違和感がある部分について気が付くための考え方やコツ、メタメッセージの話、言語化のトレーニングの話、プロダクトマネジメントの話、ビジネスキャンパスを書いた時の落とし穴、潜在課題の話...盛りだくさんでした。
森さんやchachakiさん、kawagoiさんの話が聴けて贅沢な時間でした。
ただ、金曜日とはいえ、明け方まで話すのは体に良くなさそうなので、のめり込み過ぎないように注意していきたいとは思います笑

*1:夜更かししたくないのにしちゃう例など、誰もが感覚的に分かるような例から話が展開される

*2:おそらく、伝統的経済学者に対して、「あなたたちがこれまで考えてきた報酬は報酬ではないよ」ということを意図的に伝えたかったのだとは思うのですが...

「スクラムっぽいプロジェクトから学んだ、本当に必要だった事。そしてその先へ」に参加した

distributed-agile-team.connpass.com

今週も distributed_agile_team のイベントに参加してきたので、感想を書いていきます。

イベント概要

以下、イベントページからの引用です。スクフェス三河で印象的な講演だったので、楽しみにしていました!

入社4年目の若手SEです。
配属から2年間、開発PJに携わりたい!と訴え続け、待ちに待った開発PJへの参画。
アジャイルやるよ!って始まった新規チームの軌跡。
涙なくして語れない大失敗からの学びをお伝えします。
始めてのスクラムは難しかった。
ScrumFestMikawaで登壇して半年後。
新しいチームではどうなっているのか、失敗談とその後をお伝えします。

楽しかったこと

少し特殊(だけどあるある)なチームの話

(POがスクラムチームにフルアサインできないので)POが2人、開発者が6人いるチームの中でスクラムマスターを藤田さんが行っている*1話を聴きました。
今回は、「終わらないレトロスペクティブ」にフォーカスして発表がありましたが、冒頭では起きている様々な問題がおしゃれな感じで紹介されていて、どこのスクラムチームでも、スクラムマスターは大変だなあと思いました。

藤田さんの改善スキルの高さ

新米スクラムマスターとして色々な失敗をしながらも、失敗の原因をすぐに言語化し、自分よりも知識がある人にアドバイスを求める姿勢を聴けて楽しかったです。
アドバイスをすぐに実践して、その結果チームが良い方向に進んだという話は、見事の一言でした。

ふりかえりのファシリテーションにつてい語るラジオ

藤田さんとKANEさんとEmiさんが、ふりかえりのファシリテーションをする難しさを語ってくれていたので、ふりかえりamの公開収録を聴くような感覚で、ラジオを開いていました。
皆さんの心地よい掛け合いが聴けて楽しかったのは勿論ですが、皆さんなりのふりかえりを上手く回すコツや、ふりかえりを楽しむための工夫、ふりかえりをしていてあるあるな悩みを聴けて、楽しかったです。
終盤には、藤田さんのふりかえりamへの出演や、ふりかえりカンファレンスの宣伝もあり、KANEさんのふりかえりへの情熱を感じました笑

全体を通した感想

藤田さんが改善をしていくスピードの速さと、素晴らしいマインドセット(すぐに人に相談、自分事で考える力、逆境や失敗に立ち向かう強さ...)が素敵でした。
個人的には、プレゼンを通して藤田さんの学びの過程が分かったのがとっても良かったです。
チャットも盛り上がりが凄くて、質問もたくさん出ていました。(藤田さんのスキルの高さに感動する声も多く上がっていました!)
いい話を聴いて満足できたのは勿論、同じ社会人4年目としていい刺激をもらえました!藤田さんのスキルを見習って、自分も精進を重ねていきたいです!

また、今日は本編終了後の本編で、ホストのきょんさんが途中で消息不明になるというアクシデントがありましたが笑、その代わりに皆さんと色々会話ができて、これはこれで楽しかったです。

*1:現在進行形

「リファクタリングから読み解くサービス成長」に参加した

flexy.connpass.com

上記のイベントに参加してきたので、感想を書いていこうと思います。

イベント概要

以下、イベントページからの抜粋です。

世の中の主流がインターネット上に移行してきた中で、「高速化」が一つキーワードになってきています。とりわけソフトウェアのサービスにおいては、技術の選定やソースコードを日々アップデートしていくことがダイレクトに”高速なサービス成長”に繋がります。本イベントでは、技術選定やリファクタリングといった観点から、高速なサービスの成長を実現する為のエッセンスをお届け致します。

参加したきっかけ

自身が開発しているシステムでは稼働歴が長くなるにつれて技術的負債が溜まっており、負債を解消するために様々な取り組みをしていきたいと考えています。
そのため、リファクタリングの話が経験豊富なCTOの方々から聴けるという本イベントに関心が湧き、参加しました。

イベントで印象的だった箇所

綺麗に書き換えるリファクタリングに注意

エンジニアとして綺麗に書き換えたい気持ちがあるのは当たり前ですが、綺麗に書き換えたいだけの理由でリファクタリングするのはリスクに見合ったリターンが得られないという話がありました。
綺麗に書き換えることで解決したい課題をできる限り定量的に表現する作業が重要で、そのためにソースコードをビジネス価値に変換する努力をエンジニアがしていく必要があるという意見が出て、深く共感しました。
ソースコードが汚いのでリファクタリングしよう、位の感覚でリファクタリングするのが理想形の一つだと思っていたのですが、考えを見直すきっかけになりました。

ビジネス的に成長しているソフトウェアのリファクタリング

成長しているビジネスのソフトウェアは仕様が複雑になりやすいため、コードが複雑になる前提を忘れがちだという話が印象的でした。
リファクタリングソースコードに対して必ずしも行う必要はないので、アーキテクトやソースコードリファクタリングのみではなく、仕様を減らす(or単純にする)リファクタリングも検討していく重要性を実感しました。

リファクタリングが嫌なメンバーの話

コードを書き換えるのを嫌がるエンジニアの話を聴けたのは、現場だとそんなに周りにいないので貴重でした。
単純にそのような価値観に触れ合えたのも有意義でしたし、どういう風に説得するかの話が聴けて良かったです。

その他

戦略的余白の重要性やリファクタリングアンチパターンリファクタリングや技術選定のリスク管理リファクタリングとテストの関係性...の話が聴けました。
CTOの方々の頭の使い方や多数の経験談の話が聴けて、楽しかったです。

感想

技術選定やリファクタリングについて、CTOの方々の話が聴けたのは有意義でした。
また、リファクタリングというビッグワードに対して解像度を上げた後、「リファクタリングをなぜやるのか」「技術選定がなぜ大事なのか」みたいな所から話が始まってくれたのが好印象でした。
6年間かかって技術的にボトルネックになっていたソースコードリファクタリングした話や、リファクタリングの成功談(ドメインモデルのリファクタリング)失敗談(誰もが問題意識を持っているモジュールに対してリファクタリングを試みるも頓挫した話)など、リアルな話が多く聞けたのも楽しかったです。
リファクタリングに関して、コメント欄でも多数の質問があり、皆さんの関心度の高さが伺えました。
印象的だった部分以外でも参考になる考え方が数多く聴けたので、参加できて良かったです。

大人のソフトウェアテスト雑談会 #42【自己証明】に参加してきた

ost-zatu.connpass.com

テストの街葛飾に参加してきたので、今日もゆるゆると感想を書いていきます。
※前のイベントがあったので、途中から(30分くらい遅れて)参加しました。

MarkさんのRSGT2021の講演の再演

QAチームとスクラムチームが、それぞれ別チームとして活動しながら*1協働して、問題に対して向き合った話を、Markさんが再演してくれました。
探索的テストを現場で活用した話や膨大なリグレッションテストとの闘い、モダンテストの7原則の話など、テストの話が面白くて学びになるのは勿論ですが、異なる文化のチームとのコミュニケーションを取った話は、テストとは関係なく日頃の仕事で参考になる話で、学びが深かったです。
Markさんの講演を聴いたのは2回目でしたが、Markさんの引き込まれるような話っぷりと、発表の内容に自然と引き込まれていく不思議なスライドもあり、前回同様に(もしかしたら前回以上に)楽しめたと思います。
自分以外の参加者の皆さんも、Markさんの発表に吸い込まれていたようで、発表直後は発表内容やスライドのデザインに対して、賞賛の嵐でした!

Markさんのウィスキー話

あれ、ここは何のイベントだ?(笑)と終始思っていましたが、RSGT2021の再演後、Markさんがウィスキーのあれこれについてたっぷりお話をしてくれました。(後々考えると、大人の雑談会だからぴったりのテーマでしたね)
ウィスキーの体系的な知識や、産地ごとにどのようなウィスキーがあるかの紹介、ウィスキー初心者の人が何を飲めばいいか、ウィスキーの大人な楽しみ方...初めて聴くお話ばかりで面白かったです。
どんな分野でも突き詰めた人の話が聴けるのは面白いなー改めて実感しました。

その他

Markさんのウィスキーの話の続きで、ウィスキーやお酒に関するあれこれを話したり、亀有のローカルな話や葛飾区民や葛飾区のあれこれ話、漫画の話など、ゆるゆると話していました。
どの話もごく普通の雑談ではあるのですが、どの話題も密度が濃くて普通の雑談よりも質が高い気がするのが*2、このイベントの不思議な所です。

全体を通した感想

イベントはしごで、Markさんの再演からスタートしたので、23時ごろにはへとへとになっていましたが、最後はリラックスしながらウィスキーの雑学を学べて素晴らしいバランスで、さすが大人の方々が集まるテストの街葛飾でした笑

オンライン区長の、探索的テストとモンハン(!?)の話が聴けなかったのが心残りですが、また今度の機会に再演していただけるとのことなので、リアル葛飾の話と合わせて次回以降に期待しようと思います。

*1:スクラムの文脈だとQAチームとスクラムチームと分けず、スクラムチームの中にQAチームが吸収されるのが一般的なイメージ

*2:中だるみが来たり話が飽きたりする前に次の面白い雑談に移る

Scrum Developers Night! Online 〜3rd〜に参加してきた

smn.connpass.com

Scrum Masters Night!が主催しているScrum Developers Night!に参加してきたので、感想を書いていきます。

参加のきっかけ

自分はスクラムで開発者という立場なのですが、開発者の方々が集まって話を聴ける機会が(自分が知る限り)貴重なので参加しました。
また、他のイベントと比べて個人個人が発言する量が多いイベントなイメージがあるので、皆さんと話をしていく過程で頭が整理されたり、皆さんに整理を助けてもらえたりすることを期待して、参加しました。

イベントの概要

Scrumに取り組んでいる(取り組もうとしてる)Developer向けのイベントです。
参加者同士のディスカッションを通じて、スクラムを実践する上で「技術的プラクティス」や「変化に強い設計」をどのように考えるか等、現場でぶつかった課題や疑問に対して解決のヒントを得ることを目的としています。

イベントの流れと雰囲気

オープニング(15分)+OST準備(15分)+OST(45分×2)+クロージングという流れで進みました。
OSTでは、以下のようなテーマをゆったりとした空気で話していきました。

  • スクラムによる属人化解消方法
  • 全く性質が異なる仕事をチームが抱えている時、見積ポイントってどう見積するか?
  • ふりかえりで出たTryが続かない
  • POと仕様の話をする時に何を気を付けているか?
  • オンラインでのファシリテーション

基本的には、それぞれが気になったテーマを話しているテーブルに移動する形でしたが、運営の方が一人は各テーブルにいらっしゃり、上手く場を回してくれていました*1

イベントで印象的だったこと

ふりかえりで出たtryの扱い方

KPTなどでふりかえりしていると、Tryが膨大に出てきたり、解消に時間がかかるTryが出てきて困ったり、決めたTryが継続しなかったり、Tryの扱いはかなり苦戦する所ですが、皆さんそれぞれの扱い方が聴けて面白かったです。
解消に時間がかかるTryや放置されがちなTryに対して、解消する問題を今一度明確にしたり、実現可能性と解消した時のメリットの2軸で整理したり、インペディメントリストで管理したり...様々な扱い方が聴けて、面白かったです。

自分が悩んでいたこと(未来への適応や見積もりの精度向上)について相談できた

見積もりの精度向上&未来への適応の両方に個人的には課題を抱えていたので、OSTでテーマ出ししてみました。
話を引き出してもらったり、他のチームが見積もりに対して抱えている課題感を教えてもらったり、こうしたらいいんじゃない?みたいな提案をいただいたり...課題の整理ができたので良かったです。

皆さんの話の引き出し方

OSTのテーマとは関係ありませんが、(特にスクラムマスター経験者の)皆さんが開発者の悩みを上手く引き出していく様子から、多数のことを学べました。(質問の仕方、枕詞の付け方、会話の振り方...)
自分自身、もしかしたら今後スクラムマスターになるかもしれないので、生きた教材を見れて、贅沢で貴重な時間を過ごすことができました。

その他

見積もり精度を上げるためにボラティリティを計測する方法や、新技術への移行をする際に調査チケットを切る話...が聴けました。どの話も、現場のリアルな話なので、本やインターネットで見る知識よりもすんなり入ってきましたし、素直に共感をすることができました。

イベント全体の感想

柔らかい空気で話もしやすくて、楽しかったです。
自分が出したテーマ含め、色々と会話ができて満足しました。
Scrum Masters Night!と違って、自分が出したテーマに対してファシリテーションする必要がなかったので、テーマ出しした内容についてとことん話せたので良かったです。
開発者の中に紛れ込まれているスクラムマスターの方々が見事にファシリテーションをしてくれましたし、高橋さんの完璧なタイムマネジメントも見事でした。

自分が初めて発言した外部のイベントがScrum Developers Night!~1st~だったのですが、このイベントに参加したことで、スクラムをはじめ様々な勉強を本格的に始めたりイベントに参加するきっかけができたので、改めて感謝したいです。*2
また次回も参加したいと思います!

*1:もしかしたら意図的ではないかもしれませんが、そうなっているように個人的には見えました

*2:ここで皆さんの圧倒的な知識量と自分の未熟さを知れて衝撃を受けました

ソフトウェアテストの入門書を読んだ感想を書いていく

一昨日昨日に続き、今日もテストの話を書いていきます。
今日は、自分が丁度一週間で読んだ、テストの入門書たちの感想を書いていこうと思います。

読んだ本

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

  • 作者:高橋 寿一
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

個人的には入門書の中でNo.1の本。昨日感想を書きました。

aki-m.hatenadiary.com

マンガでわかるソフトウェアテスト入門 テスターちゃん

マンガでわかるソフトウェアテスト入門 テスターちゃん Vol.1

マンガでわかるソフトウェアテスト入門 テスターちゃん Vol.1

  • 作者:松谷 峰生
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

漫画ということもあり、読みやすさは断トツでした。
本も薄く、THE・入門書という印象でしたが、Myersの三角形やソフトウェアテストの7原則については抑えられていましたし、AIをどうシステムテストしていけばいいかや探索的テストで如何にして探索してバグを見つけるか、といった内容の記載もあり、学びも多かったです。
とはいえ、さすがに掲載されている知識量は、他の入門書には劣っています。

ソフトウェアテスト入門 押さえておきたい<<要点・重点>>

ソフトウェアテスト入門 押さえておきたい<<要点・重点>>

ソフトウェアテスト入門 押さえておきたい<<要点・重点>>

  • 発売日: 2008/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

テストの種類、テスト技法、テスト設計のやり方、テスト仕様書の読み方&書き方、テストスキルアップの方法(テストエンジニアとしてのキャリアパス)...基本が丁寧に抑えられていたのが好印象でした。
テストの基本知識が一番体系的に整理されてまとまっていた本だったのかな、と思います。
一方で、内容が古い気がする点(2008年出版)や、解説の分かりやすさとしては他の入門書と比べると及ばなかった点は、少しだけ残念でした。

[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト

[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト

[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト

マインドマップソフトウェアテストに活用するイメージが持てていなかったのですが、テスト設計/テスト実装/仕様分析、更にはテスト計画という所までマインドマップが使えることを知って驚きました。
そして、マインドマップを使って実際に自分でもテスト設計してみたのですが、これが想像以上に楽しい...!
テストに対して、退屈な作業でマイナスのイメージが先行しているような人は、是非この本を読んでみるのがお勧めです。(過去の自分がまさにマイナスのイメージをテストに持っていたので、自信を持ってお勧めできます!笑)

ただし、これは個人の環境の問題もありますが、いきなり「マインドマップを使ってテスト仕様書とかを書いてみたい」と話しても、許可はまずもらえないと思うので、現場ですぐに使えるかというと微妙だな、という感想は持ちました。
まずは、これまでのようにテストを実施する傍ら、マインドマップを書きながら使い方を練習し、ある程度上手く使えるようになってきたら(これまで書けなかったようなテストケースが書けて来たら)、マインドマップの導入を進めていく形がいいのかな、と思っています。
前述したように、マインドマップを書くのは楽しいので、練習がそこまで苦にならなそうな点がありがたいです。

今後どう勉強していくか

参考文献を読み漁る

まずは、テスト上級者の方々が読んでいた本を自分も読んでいこうかな、と思っています。(参考記事・関連記事に詳細は記載)
量もさることながら、ここから一段階も二段階も勉強する内容のレベルが上がっていくと思うと、中々気が遠くなりはしますが、テストの勉強が楽しい今の気持ちを大切に、自分のペースで勉強していければいいなーと思います。

イベント参加

テスト関連のイベントにも積極的に参加していこうと思います。イベントに参加したら必ず、感想と学びをブログ(Public)とMarkdownファイル(Private)にまとめる習慣は継続していきたいです。
JaSSTやWACATEといったシンポジウムやカンファレンスも気になっているので、前向きに参加を検討します!

本業(仕事の現場)

本業でも、テストの仕事を積極的に実施していきたいです。
ただ、最近はソフトウェア開発以外の仕事も増えていく予定なので、中々テストをがっつりやるのは難しいかもなあ...という気は残念ながらしています。
勉強のために、他の人が作ったテストを見てみたり、テストを実施する人とコミュニケーションを取ってみたりするだけでも力になると思うので、できる限り知識を実際に現場で使えるようにしていきます。

参考記事・関連記事

入門書を選ぶ際に参考にしたサイト

swquality.jp

テストの楽しさを教えてくれたきっかけのAgile Testing Condensedと読んだ感想文

leanpub.com

aki-m.hatenadiary.com

きょんさんがソフトウェアテストを勉強していった軌跡の一部

kyon-mm.hatenablog.com

テストを自分が勉強しようと思ったきっかけ

aki-m.hatenadiary.com

「知識0から学ぶソフトウェアテスト」が良著だった

テストの勉強をする過程で、「知識0から学ぶソフトウェアテスト」を読んだのですが、これが良著だったので、記事に書いていこうと思います。

本の概要

ソフトウェアテストの入門書として2万部近く売れている、情報工学博士の高橋寿一さんが書いた本です。
ソフトウェアテストの入門書として様々な記事で紹介されており、ソフトウェアテストの基本知識が、学術的な根拠+高橋さんの考えの基でまとめられている本です。
専門的案内容もできる限り分かりやすく記載されており、技術書としてはすらすら読んでいける本でした。

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

  • 作者:高橋 寿一
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

個人的に学びになった箇所

同値分割法を用いた「強いテスト」と「実践的なテスト」の作り方

同値分割の解説に留まらず、同値分割法を用いて実際に強いテストを作るための考え方、実践的なテストを作るための考え方、が載っていたのが学びになりました。
特に実践的なテストの方は、限られた時間の中でテストする現職では、必ず役に立つ場面が来そうだと勝手に確信しました。

非機能要求のテスト

非機能要求のテストだと、自身はパフォーマンステスト位しか経験がなかったので、セキュリティテストの難しさとテストの指針の考え方、MTBFや信頼度成長曲線の考え方は学びになりました。

(Microsoftで実際に使用されている)ソフトウェア品質のメトリックス例

品質を考えたり、リリース承認をもらう際に他の人に品質に問題がない旨を説明したりする場面など、品質のメトリックスについて考えさせられる場面は非常に多いです。
その際に参考になる指標として、Microsoftで実際に使用されている例をはじめ、多数のメトリックスが紹介されており、大変参考になりました。
また、各メトリックスについて、高橋さん個人の見解(メトリックスの優れている点、落とし穴に落ちがちな点...)が書かれていたのですが、「なるほど」と思わされるような意見が多く、こちらも学びになりました。
ただし、銀の弾丸になるようなメトリックス(品質を正確に表現するようなメトリックス)がないのは本書でも書かれていましたし、テスト界隈の著名な方が口にしているのも何度も耳にしたので、注意したいです。

多数の参考文献

本の概要の部分で書いたように、本書ではソフトウェアテストの体系的知識が分かりやすくまとめられているのですが、多数の参考文献がポイントポイントでついていました。
そのため、読んでいて気になった部分・もっと深く知りたくなった部分で学びを深めることができたのが良かったです。
100冊近い参考文献が紹介されていたため、全てを読み切ることはできなかったのですが、今後テストを学んでいく過程で、少しずつ読んでいこうと思います。

全体を通した感想

現在テストの勉強をしている真っ最中で、初心者レベルのテストの本は大体読み終わったのですが、本書が一番分かりやすくて、参考になる部分も多かったです。
そろそろ社会人5年目を迎える立場で、入門書を読み始めるというのは、正直抵抗だったり悔しい思いも多少あったのですが、読んでいる間はそんな思いを忘れさせてくれるような本でした。
ソフトウェアテストの勉強を本格的に進めていくと、数学の力が必要になってくるという点は、数学が苦手な身としては一抹の不安を覚えましたが、今後学んでいくべき内容や、ソフトウェアテストの基礎知識を一通り抑えることができて良かったです。
JSTQBの話題で周りが盛り上がっていて、テストの勉強をするモチベーションがまた一段高くなったので、引き続き努力を続けていこうと思います!