天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「知識0から学ぶソフトウェアテスト」が良著だった

テストの勉強をする過程で、「知識0から学ぶソフトウェアテスト」を読んだのですが、これが良著だったので、記事に書いていこうと思います。

本の概要

ソフトウェアテストの入門書として2万部近く売れている、情報工学博士の高橋寿一さんが書いた本です。
ソフトウェアテストの入門書として様々な記事で紹介されており、ソフトウェアテストの基本知識が、学術的な根拠+高橋さんの考えの基でまとめられている本です。
専門的案内容もできる限り分かりやすく記載されており、技術書としてはすらすら読んでいける本でした。

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】

  • 作者:高橋 寿一
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

個人的に学びになった箇所

同値分割法を用いた「強いテスト」と「実践的なテスト」の作り方

同値分割の解説に留まらず、同値分割法を用いて実際に強いテストを作るための考え方、実践的なテストを作るための考え方、が載っていたのが学びになりました。
特に実践的なテストの方は、限られた時間の中でテストする現職では、必ず役に立つ場面が来そうだと勝手に確信しました。

非機能要求のテスト

非機能要求のテストだと、自身はパフォーマンステスト位しか経験がなかったので、セキュリティテストの難しさとテストの指針の考え方、MTBFや信頼度成長曲線の考え方は学びになりました。

(Microsoftで実際に使用されている)ソフトウェア品質のメトリックス例

品質を考えたり、リリース承認をもらう際に他の人に品質に問題がない旨を説明したりする場面など、品質のメトリックスについて考えさせられる場面は非常に多いです。
その際に参考になる指標として、Microsoftで実際に使用されている例をはじめ、多数のメトリックスが紹介されており、大変参考になりました。
また、各メトリックスについて、高橋さん個人の見解(メトリックスの優れている点、落とし穴に落ちがちな点...)が書かれていたのですが、「なるほど」と思わされるような意見が多く、こちらも学びになりました。
ただし、銀の弾丸になるようなメトリックス(品質を正確に表現するようなメトリックス)がないのは本書でも書かれていましたし、テスト界隈の著名な方が口にしているのも何度も耳にしたので、注意したいです。

多数の参考文献

本の概要の部分で書いたように、本書ではソフトウェアテストの体系的知識が分かりやすくまとめられているのですが、多数の参考文献がポイントポイントでついていました。
そのため、読んでいて気になった部分・もっと深く知りたくなった部分で学びを深めることができたのが良かったです。
100冊近い参考文献が紹介されていたため、全てを読み切ることはできなかったのですが、今後テストを学んでいく過程で、少しずつ読んでいこうと思います。

全体を通した感想

現在テストの勉強をしている真っ最中で、初心者レベルのテストの本は大体読み終わったのですが、本書が一番分かりやすくて、参考になる部分も多かったです。
そろそろ社会人5年目を迎える立場で、入門書を読み始めるというのは、正直抵抗だったり悔しい思いも多少あったのですが、読んでいる間はそんな思いを忘れさせてくれるような本でした。
ソフトウェアテストの勉強を本格的に進めていくと、数学の力が必要になってくるという点は、数学が苦手な身としては一抹の不安を覚えましたが、今後学んでいくべき内容や、ソフトウェアテストの基礎知識を一通り抑えることができて良かったです。
JSTQBの話題で周りが盛り上がっていて、テストの勉強をするモチベーションがまた一段高くなったので、引き続き努力を続けていこうと思います!