天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか」の読書会に参加してきた

educational-psychology.connpass.com

前回参加した時の記事 

aki-m.hatenadiary.com

勉強会の概要

前回に引き続き、

  1. 事前に担当章を読んでくる
  2. 同じ章を読んだ人が集まり、大事な所や要点を確認する(エキスパート活動)
  3. それぞれの章を読んだ人が集まって、2で話した内容を共有する(ジグソー活動)
  4. 全員で感想などを言い合いする

の流れで進めていきました。今回自分は第四章を読んできました。

学びになったこと

一時的選好の分類に対する理解

小笠原さんとchachakiさんと、エキスパート活動を通して一時的選好の種類についてのディスカッションができたのが学びになりました。
特に、一時的選好の一つである「痛み」については、自分は他の選好と比べると特殊な分類だと理解していたのですが、小笠原さんからは「特殊ではなく、寧ろこの本で言う選好の最たる例じゃないか」という話を聴くことができて面白かったです。(自分の解釈と全然違う話が出てくるのはやっぱり楽しいです!)

本書を読み進めていく上で抱く違和感の言語化

本書を一回読破している山田さんが、「面白い本で納得感もあるんだけど、読んだ後に何か騙された気がした」と前回の勉強で言っていたのですが、この騙された感覚が何なのかが分かり、良かったです。(chachakiさんが本書を読んでモヤモヤした点を話してくれました)
具体的には、最初は素朴理論っぽい説明*1からスタートするのに、あるタイミングで急に定量的な話(数式など)が出てきて、素朴理論っぽく説明されていた部分が、全て定量的な話に置き換えられているような気がしてしまう、という話でした。

報酬と快楽の関係性

双曲割引の考え方を使うと、報酬と快楽は別物で、繋がりの無いものだと考えられることが分かりました。
「惹きつけられるもの、注意が向くもの」が報酬であるのに対して、「望ましいと感じられるような体験全て」が快楽であり、それ故に痛みは報酬になり得るという考え方が面白かったです。
ただ、報酬という言葉が想起させる一般的な定義と、「惹きつけられるもの、注意が向くもの」という本書の定義は大分かけ離れているので、論理的報酬や形式的報酬とかいう表現にして、一般的な報酬とは違うことを区別した方がいいね、という話もディスカッションで出て、自分も含め全員が完全に同意していました。*2

全体を通した感想

知識構成型ジグソー法を使用した進行が特徴的な勉強会ですが、一人で読書するよりも遥かに知識の定着や理解度の向上ができるので、前回に引き続き参加することが出来て良かったです。
一度本書を読み通している山田さんがいらっしゃるのも心強く、理解が今一つできない部分や、少しもやもやが残る部分(この説明が今後どう繋がっていくのだろう...)を解消してもらえたのもありがたかったです。

また、勉強会が終わった後は22:00~3:40くらいまで、本読書会とは関係ない話をして盛り上がりました。
こちらも大変学びになる内容が多く、参加することができて良かったです。
話の内容の一例を挙げると、科学的態度についてのディスカッション、人の話で違和感がある部分について気が付くための考え方やコツ、メタメッセージの話、言語化のトレーニングの話、プロダクトマネジメントの話、ビジネスキャンパスを書いた時の落とし穴、潜在課題の話...盛りだくさんでした。
森さんやchachakiさん、kawagoiさんの話が聴けて贅沢な時間でした。
ただ、金曜日とはいえ、明け方まで話すのは体に良くなさそうなので、のめり込み過ぎないように注意していきたいとは思います笑

*1:夜更かししたくないのにしちゃう例など、誰もが感覚的に分かるような例から話が展開される

*2:おそらく、伝統的経済学者に対して、「あなたたちがこれまで考えてきた報酬は報酬ではないよ」ということを意図的に伝えたかったのだとは思うのですが...