天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

吉羽 龍太郎さんとソニーが語るプロダクトマネジメント - TechLovers #2に参加してきた

sony.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

ステークホルダーとの付き合い方を考える

最初にryuzeeさんから基調講演がありました。詳細は以下の資料を見ていただくとして、資料の補足があった部分についてだけメモをしておきます。

www.ryuzee.com

ステークホルダーのイメージ

色々なイメージがあると思いますが、

  • 最近はあんまりいないけれどゴルフのことばかり考えている人
  • 「こうしろ」とお告げを言ってくる人
  • すぐ怒る人

などがよく言われがちだという説明がありました。

ステークホルダー分析

資料では色々な分析手法が紹介されていますが、必ずしもすべての分析が必要なわけではないという話がありました。

また、時間をかけて説明があったPOWER/INTEREST GRIDに関しては、4種類に見事に分けられるというよりも度合いがあることが大切なので、実際にマッピングをしてみるとよいのではないか?ということでした。

影響力が大きい層からの意見のFBにNoを言う方法

面倒くさいから命令しよう、みたいな方向性に行くとまずいので、プロダクトのビジョンだったりといった背景を説明して、「どうせNoと言ってもやれるんでしょ」みたいにならないように説明責任をつくす必要があるということでしtあ。

ソニーにおけるプロダクトマネジメント スマホアプリ事例紹介

こちらに関しても資料があるので、詳細は以下の資料を見ていただくとして、資料の補足があった部分についてだけメモをしておきます。

speakerdeck.com

ソニーにおけるプロダクトマネジメントの特長

顧客が多種多様なためペルソナなどを作るのが難しいという話と、ソフトウェアエンジニアが手に追えるような人数ではない量のステークホルダーという話と、カテゴリーが違うと開発方法をはじめとしたプロセスがぜんぜん違うという話がありました。

機器の多機能化

最近の機器は多機能であり、お客さんも「そんな機能あったの??」となってしまうような状態になっているという話がありました。

権限委譲の効果

一般的な権限委譲の効果に加えて、判定や承認プロセスを軽くしながら、膨大なステークホルダーの数を減らすことができたという効果もあったということでした。

デリゲーションポーカー実施時のコツ

デリゲーションポーカー本来の定義だと、解釈の揺れが起き得るような表現に鳴っているため、会社内で通じる具体例で会話するようにしたということでした。

ソフト/ハードの連携

最終的には、確認会をはじめとしたコミュニケーションを密に取る機会を用意するようにして、サプライズがお互いで起きないようにしていたということでした。

Q&A

講義の後はQ&Aがありました。以下、質問と回答を一問一答形式かつ常体で記載してきます。

ハードがあるとハード側がWFで仕様が固まっているのでそもそもアプリ側になにか合わせることはないイメージだが、アプリ側がハード側に合わせるみたいな形はあるのか?

アプリだけで完結する機能はどんどんリリースするがそうではない場合、同時に仕様を決めてしまうことが多い。

影響度大×関心高から他の象限に移動する方法はあるのか?

  • 分析をナラティブに書いて、AさんがYesというならBさんも必ずYesという場合もあるなどを見極める。また、そのようなステークホルダーを集めて、お互いにやり合ってもらうという手もある。
  • 根っこの部分は合意するけれど枝の部分は権限委譲してください!と話すようにしている。

デリゲーションポーカーには経営層も参加したのか?

ビジネスオーナーレベルと議論した。

関心が高くあってほしいステークホルダーの関心が低い場合どうすればよいか?

身も蓋もない話かもしれないが、プロダクトがいけていない可能性が高い。「お!?」と思われるような動くプロダクトをデモすることが大切。

ryuzeeさん会心のNoはあるか?

後悔の方を覚えている。ryuzeeさんはあんまりNoと言えず、むしろやる気に感じるようなタイプだったが、労働時間がめちゃくちゃだったので、今思うとああいうときにNoと言っておけばよかったなあと思っている。

アプリ側と機器側が同じチームで開発するほうが効率したほうが良いような気はするのだがどのようになっているのか?

違うチームになっている。どちらも一長一短だと思っていて、分けたほうがアプリ側のチームがクラウドの最新情報などをキャッチアップしてすぐに反映するようなメリットがある。

ビジネス/開発はどのような組織構成になっているのか?

今のところはクロスファンクショナルのような形だが、どれが正解とかはないと思っていて、力関係によって頻繁に組織再編が起きるようなイメージ。

ステークホルダー間で対立が発生すると、影響力が大きい人が優先されるイメージがあるがどうすればいいのか?

開発者に対して暴走してしまったような場合は、マネージャーが止める必要がある。

社長が忙しくて時間取れないけれど影響力大/関心低のゾーンな場合どうすればいいのか?

社長がふらっと顔を出せるような会社なら、打てる手はまだある気がする。30分くらいは取れるようなイメージ。また、関心低と言っているが何かしら想いを持っている人が多いのではないか?

ステークホルダーは少ないほうがよいということか?減らす方法はあるのか?

関わる人が少なすぎると市場に出したときに失敗する確率が高いので、一言で減らしたほうがいいという話ではない。どちらかというと、影響力があって関心が高いステークホルダーがあまりにも多すぎるのは非常によくない。

製品間で仕様が競合したりするときに、ステークホルダーで対立してしまったりはしないのか?

「かんたん」というコンセプトがあるので、そのコンセプトをもとにプロダクトマネージャーが一次判断をするような形で対処している。

最終的にステークホルダーが勝つと考えるとデリゲーションポーカーなどでも委譲の度合いが求める度合いに合わないとストレス高そうだがどのように対処するのか?

口を出してきているということは、何かしら重大な不安があるのではないかと思う。なので、まずは話を聞く。そのうえでただの思いつきだと言うなら、デリゲーションポーカーで決めましたよね、という話をしていく。

全体を通した感想

ステークホルダーにここまで悩まされている人が多いのか...というのはまず素直に質問を聞いていて感じました。

アジャイルをやっていると、どちらかというとステークホルダーが少なくて困っているような人たちが多いのかとこれまで思っていたのですが、ソニーさんのイベントということもあったのかステークホルダーが多すぎて困っている人が多くいらっしゃるようで、そこは結構自分の中での思い込みが大きかったなあというのを実感しました。