天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

アジャイルカフェ@オンライン 第55回に参加してきた

agile-studio.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

木下さん天野さん家永さんのアジャイルコーチ3人が、アジャイル実践者からの質問に対して深堀りをしていくイベントです。

今日のテーマは、「スクラムマスターが完璧だったらアジャイルコーチはいるの?」でした。

会の様子

アジャイルコーチはスクラムマスターにどう働きかけるか?

最初に、アジャイルコーチがどういうことをするのか?という前提を揃える意味で、今回のイベントではアジャイルコーチはスクラムマスターに対してどのような働きかけをする想定なのかを整理していきました。

といったものが挙がっていました。

アジャイルコーチとスクラムマスターはどういう関係性の変遷をたどるのか?

アジャイルコーチは、最初はスクラムマスター見習いのような人に直接はたらきかけますが、それが徐々に組織のスクラムマスター単位になったということでした。
さらに、組織の中でスクラムマスターが複数出てきたあとは、スクラムマスターコミュニティの補佐のような立場で、コミュニティを経由して知見などを伝播させる立場になるというお話がありました。

そのため、最終的にはスクラムマスターのサポートからは離れるだろうということで、これまでの経験的には早ければ2-3年で離れることになると思われるというお話でした。*1

「完璧」とは?

そもそも完璧とはなんだろうか?という話がありました。

完璧の定義は動的であり今日の完璧は明日の完璧ではないという前提で考えると、以下のような状態は完璧と言っていいのではないかという話がありました。

  • スクラムオブスクラムマスターのような立ち位置になった
  • 自分自身で新しい知識を吸収できるようになった
  • スクラムマスターをコーチできるようになった

アジャイルコーチングの成功体験

アジャイルコーチングが成功し、離れた後も機能し続けた例として、t_wadaさんに会社レベルでTDDのコーチングをしてもらった結果、会社でTDDやテストに適切に投資する文化が醸成されたという話が出ていました。

また、スクラムマスターではなく開発者に対してオブジェクト指向開発のアプローチを伝えようとしているという現在進行系の取り組みが例として挙げられ、必ずしもスクラムマスターにアプローチしなくてもいいのではないか?(スクラムマスターが完璧でなかったとしてもチームがうまく回っているのであればよいでのはないか?)という話が出ていました。

立場は変わってもコーチングは必要

アジャイルコーチである以上、自分自身に対してコーチングしてくれる人は重要であり、天野さんであれば懸田さん、木下さんであれば全然別の領域のパーソナルコーチ、家永さんであれば天野さんや木下さん(+生成Ai)といった人にコーチングをお願いしているという話がありました。

そのため、スクラムマスター対アジャイルコーチという関係性での支援はなくなっても、元スクラムマスターの人に対しての支援は何かしらの形でずっと続くであろうということです。

相談の仕方も変わってくるだろうということで、自分たちが持っている課題感や今やっている取り組みに関して自分たちで言語化をし、コーチングをお願いすることになるだろうということでした。

会全体を通した感想

アジャイルコーチという役職なのかはさておき、チームに対して継続的に支援があることは重要だというお話で、このあたりは色々意見の違いもありそうだなあとは思いつつ、面白かったです。

また、お三方が現在進行系でコーチをつけているというのは驚きで、多くの経験を積んだり知識を蓄えたりしても自分たちの考えを硬直化させないように気を払っている部分には尊敬の気持ちがすごく湧きました。

*1:人が好きで研修講師としてキャリアを積んでいてパーソナルコーチングを行っていた方が2-3年で離れた