天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

プロダクトマネージャーのしごと - Forkwell Library #33に参加してきた

forkwell.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

これまで Forkwell のイベントで登壇されたエキスパートの方々は、先達が記した書籍から「気づき」を得て実践し、振り返り、再現性のある「学び」として身に付けていく中で、実績を築いてこられました。 しかし、日々限られた時間の中で知識や情報をアップデートし続けるのはそう簡単ではありません。 Forkwell Library では、著者・訳者・実践者らを登壇者として招き、そんな思いを抱えた開発者の皆さまが「学びのきっかけ」を得られる勉強会を目指します。

今回の第33回目では、2023年9月5日(火)発売の『プロダクトマネージャーのしごと 第2版 ―1日目から使える実践ガイド』共同訳者の吉羽龍太郎氏をお招きします。 本書は、プロダクトマネジメントにおけるあいまいさや矛盾、不本意な妥協を紹介し、プロダクトマネージャーに必要な考え方と日々の行動、過ごし方を解説しています。 ツールやフレームワーク、ベストプラクティスでは対応できない課題に対処する方法を解説している、プロダクトマネージャー必携の一冊である本書について、共同訳者の吉羽氏にお話を伺います。

会の様子

基調講演

プロダクトマネジメント関連のFW

プロダクトマネジメントのFWには、リーンキャンバスやデザインスプリントなど、ベストプラクティスと呼ばれるものが幾つもありますが、これらは全て有用なフィクションであり、導入することが成功につながらないという話が本書では一つの章を通じて書いているということです。
シャインオブジェクトシンドロームで説明されるように、我々はベストプラクティスの導入を手当たり次第に行いがちですが、それ自体に疑問を呈しているというお話でした。

ベストプラクティスを適用する前に

組織には必ず制約があるものであり、まずは組織の現状を直視して、課題を解決するところからスタートしましょうという話が出ているということでした。
また、導入する際には小さく仮説検証する形でスタートすることも重要だということでした。

ADPR

Ryuzeeさんは、POとPdMの違いなどを研修の中で質問されるそうですが、そういった役割定義には意味がなく、組織によっても全然異なるものだという話がADPRという形で書かれているというお話がありました。
本書では、あなたの仕事はここからここまでです、という話をするのではなく、まず目の前の仕事にベストを尽くすことに集中すべきだという主張が本書ではされているということです。

ベストプラクティスの導入が成功につながらないとして、成功するためにどんなスキルが必要なのか?

本書では、COREスキルが必要だということで、具体的には以下が挙げられていました。

  • ステークホルダーとのコミュニケーションスキル(C)
  • 持続的に成功する組織化(O)
  • プロダクトのユーザーニーズとゴールのリサーチ(R)
  • プロダクトチームがゴールに到達するための日々のタスクの実行(E)

また、現状のスキルセット以上に、まだ知らないことや身についていないことを探求していくマインドセットも重要だということでした。

コミュニケーションスキルの詳細

心地よさより明確さを優先し、自分にとって当たり前が人にとって当たり前ではないことを自覚しており、大事なことを何度でも説明する能力が必要だということでした。

ちょっとしたコミュニケーションテクニックも紹介されているということで、具体的にはDisagree&Commitというテクニックが紹介されているというお話がありました。賛成か不賛成を必ず明示することで隠された意見を出すことができるそうです。

また、ステークホルダーとの付き合い方も紹介されているそうで、ステークホルダーに抵抗するのではなくなるべく正しい情報を提示することや驚き最小の原則の重要性などが記載されているそうです。

持続的に成功する組織化の詳細

機能する自律的なチームを作り、自らがいなくてもチームが回るようなチームを作っていくことが重要だということでした。(「自分は次に何をやればいいんですか?」みたいな言葉がチームメンバーから出たら負け)

良いチームを作ることは、次のプロダクトの成功にもつながるため、昨今は非常に重要な能力になっているという話もあるそうです。

リサーチの詳細

ユーザーの現実に生き、プロダクトがユーザーにとってどのような意味があるのかを考えられ続けることが重要だということでした。
色々な本で言われていることと同じですが、ユーザーと話をして、ユーザーに賢く思われるのではなく知らいないふりができるようなふるまいが求められるということです。

また、データを上手に扱うことが重要だそうで、優先順位決めをはじめ適切な場面でデータ活用ができることは重要だそうです。

プロダクトチームがゴールに到達するための日々のタスクの実行の詳細

山のようにあるやったほうがいいことの中で、優先順位をつけ、その仕事を実行することが重要だということでした。

Q&A

講演の後は質疑応答がありました。以下、質問と回答を常体かつ一問一答形式で記載します。

読んでいるとプロダクトマネージャーのしごとが大変すぎて辛い気持ちになるのだが、プロダクトマネージャーの喜びという観点で話が欲しい

単一障害点になることも多く辛いと思う。でも、自分たちが出ているプロダクトが世に出ていて多数のユーザーが使っているのを目の当たりにすると、喜びも大きいのではないかと思う。
そのため、プロダクトへの思い入れはすごく大事。

プロダクトマネージャー経験がまだないのだが今のうちにできることはあるか?

ちょっとした守備範囲を任せてもらえるように動く。
なお、個人開発に関しては結局自分がしたいようにするという形になりがちなので、そんなにお勧めはできない。

プロダクトではなくチームのマネジメントもプロダクトマネージャーの仕事だと思っているのだが、どう考えるか?

Ryuzeeさん個人としては、ピープルマネージャーを別に置いて、その人が評価や採用などを行う方が良いと思う。ピープルマネージャーとプロダクトマネージャーを兼務してしまうとチームが疎かにされがち。

ベストプラクティスがない分、どうすれば良いかは本に書いているのか?

ベストプラクティスをまず試してみるというのは良いと思う話がある。ベストプラクティスは意味がないのではなく、有用なフィクション。分からない状態で進めるなら実験を繰り返すしかないので、失敗した際に変化しやすいプロセスやフレームワークを採用した方が良い。

スクラムのPOの仕事と本書の仕事は同じものと理解して良いのか?

書籍のメッセージ的にはPOとプロダクトマネージャーで仕事の違いがあるのか?を考えること自体が無意味。
組織によっては同じになるし、組織によっては違ってくると思う。

コミュニケーション力を磨ける書籍などはあるのか?どう向上していくのか?

コミュニケーションに限らないが、練習するしかないと思う。1on1の場を活用するとか。

Ryuzeeさんが関わったチームの中で、失敗しながらも成長していったチームの話があれば知りたい

どのチームを失敗している。失敗するのが普通。そのため、ryuzeeさんが関わったチームは全て失敗して成長している。

思い込みに疑問を投げかけて最適な解を判断する方法に共感した。主観を排除する方法はあったりするのか?

オピニオンVSファクトを使う。事実と意見を分離して話をする。

アウトカムに繋がらない質問を知りたい

講演にあった、どんな機能が欲しいですか?だったり、相手をがっかりさせたくないバイアスが働きがちな質問。また、質問内容ではないけれどリップサービスされがちになるお金を与えたりするのは辞めた方がいいとはアドバイスしたりする。
あとはアンケートで代替するとかはやめた方がいい。

プロダクトマネジメントとプロダクトマネージャーの関係を知りたい

プロダクトマネジメントはプロダクトチーム全員がやる。その上で、プロダクトがうまくいかないときに最終責任を取るのはプロダクトマネージャーという整理がわかりやすい。

言語化のコツを教えて欲しい

文章をとにかく書く。パワポは誤魔化しが効かないのでだめ。

この本を読んでスクラムマスターに適用できる話も多いなあと感じたが、Ryuzeeさんはどう感じたのか?

元も子もない話を豪速球でする人だなあと思った。

次の翻訳はどの本か?

教えられないが、アジャイルでもプロダクトマネジメントでもないという話だけしておく。

会全体を通した感想

安定のryuzeeさんクオリティが見られるプレゼンテーションでした。
自身の豊富な経験も交えながら書籍の内容をかいつまんで説明してくれたので、どのような観点で役に立つのか?という話が分かってよかったです。