天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

アジャイル開発とスクラム~第二版~を読んだ

最近は「ユニコーン企業のひみつ」の盛り上がりが凄いですが、「アジャイル開発とスクラム~第二版~」を読み終えたので、今日はこちらの感想を書いていこうと思います。

本の概要

アジャイルスクラムの第一人者が企業のリーダー層に送る必読書、8年ぶりに大改訂!

ソフトウェア開発手法「アジャイル」と、その手法の1つである「スクラム」の体系的な解説書が初版刊行から8年の時を経て、装い新たに新登場です。

第2版となる本書では、ビジネスで広く存在感を示すようになったアジャイルの新しい知見を盛り込み、内容をアップデート。

アジャイルスクラムの全体像や、野中郁次郎の知識創造プロセスとの関係など、初版での核心部分はそのままに、アジャイルを組織内で大規模化するためのスケールフレームワークなど、新たな観点から、解説を追加しています。

また、国内有名企業による実践をまとめた、事例記事&インタビューも一新。KDDIANAIMAGICA.Lab、NTTの最新事例を収録し、国内企業ならではの取り組みを紹介しています。

日本におけるアジャイル開発の第一人者、平鍋健児氏、アジャイル開発実践者の筆頭である、及部敬雄氏、そして世界的な経営学者でありスクラムの提唱者、野中郁次郎
これら国内を代表する著者陣による提言は、ITエンジニアはもちろん、あらゆる業界・企業のリーダー層に受け取ってほしい内容です。

印象的だった箇所

アジャイル開発とスクラムを実践した企業の実例

NTTコムウェアANA、永和システムマネジメント、IMAGICA Lab、KDDIと、多種多様な企業がアジャイル開発やスクラムを実践した実例を紹介してくれていました。
どの企業も、様々な苦労を抱えたり障害にぶつかりながら、顧客が喜ぶプロダクトを作ったり組織を改善していったりしていて、刺激をもらうことができました。
また、各々の企業のコンテキストに合わせて、スクラムアジャイルの理念を踏襲しながら具体的のどのような施策を打っていったのかが分かったのも印象的でした。

スケールフレームワーク

大規模スクラムは賛否両論で色々と言われていますが、「既にスクラムを導入してうまくいったチームが2つ以上ある」「大規模化する必要がある」という前提付きで、アジャイルのスケールフレームワークが解説されていました。
自分は今すぐにスケールフレームワークが必要な状況ではないのですが、各フレームワークの特徴と生まれるまでの簡単な過程が記載されていて、他の文献と比較してこれだけ分かりやすい解説で端的に各種フレームワークが書かれている本はないのかな、と個人的には思いました。

本から感じる熱量

特に本の終盤にかけて、アジャイル開発の知見を参考にしながら、組織あるいは社会にイノベーションを起こしていけるんだという熱を個人的には感じることができました。
野中先生が力強い言葉で日本企業の可能性について言及している部分などは、読んでいてぐっときましたし、おわりにの章に記載されているやり取りについては、やり取りをしている場面が脳裏にイメージできました。

全体を通した感想

本書の著者である野中先生、平鍋さん、及部さん全員のお話をリアルタイムで聴いたことがあったということもあり、本を読んでいく中で頭の中にお三方の顔や声が浮かんできて、楽しく読むことができました。
また、周りの評判等で本を選定するのもいいですが、多少の接点がある方の本を読むことで、内容も他の本より頭に残りやすい気がしました。(内容が頭の中に残りやすかったのは、もちろん本の内容が分かりやすかったということもあります)

アジャイルスクラムを勉強していたり実践している人や野中先生の本を読んでいる人だと、新しい知識という意味ではそこまでないかもしれませんが、知識が整理された&企業で実際にアジャイルが導入されて起きた変化の事例が知れたのは良かったです。
内容は全体を通して本当に綺麗にまとまっていて読みやすく、基礎知識の整理&各企業で実際にアジャイルが起こした変化&スクラムの原点である野中先生の知見と、盛りだくさんの内容が凝縮されている最高の一冊でした。