天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「人類よ!これがスクラムマスター・アジャイルコーチだ!アジャイル開発の10年と今後を語ろう」に参加してきた

mabl-japan.connpass.com

「人類よ!これがスクラムマスター・アジャイルコーチだ!アジャイル開発の10年と今後を語ろう」のイベントに参加してきたので会の様子と感想を書いていこうと思います。

イベントの概要

以下、Connpassからの引用です。

mabl Japan コミュニティウェビナーでは、mablを導入・実践するユーザー企業さまによる経験、実践情報を共有していただいたり、ソフトウェア品質やテスト自動化のエキスパートをお招きしてその知見を発信していただいております。

今回は、ゲストに著名なアジャイル実践者である @TAKAKING22 さまをお招きして、アジャイル開発のこれまでの10年、これからの10年を議論させていただきます。

今や当然になりつつあるアジャイル開発やスクラムですが、その起源をたどると、2001年に公開された「アジャイルマニフェスト」にたどり着きます。

そこから10年後の2011年、アジャイルマニフェストが書かれたソルトレイクシティで開催されたAgile Conferenceでは、多くのマニフェスト署名者が集まる歴史的なイベントになりました。

そしてさらに10年が過ぎ、今年はアジャイルマニフェスト誕生20周年を迎えます。オンラインの誕生イベントも開催され(動画視聴可能)、次の10年が語られ始めました。

発表者の二人は、過去に同じ開発プロジェクトにおいて、アジャイル開発を経験しました。私はスクラムマスターとして参加し、@TAKAKING22はエンジニアとしての参加です。

そのプロジェクトは、1000人を超える開発組織の中で初の「アジャイル開発を導入する」と謳ったプロジェクトでした。もちろん途中、困難はありましたが、無事にプロダクトはリリースされ、プロジェクトが終わり、ふたりは異なる環境でスクラムマスターやアジャイルコーチの経験を積んでいきます。

共に歩んだアジャイルプロジェクトから10年。それぞれの経験をふりかえりながら学びを確認し、今後の10年を考えるセッションです。

なお、このイベントは、日本のアジャイル開発の第一人者である平鍋健児氏によるデブサミ2012のセッション「アジャイル開発の10年と今後を語ろう」へのオマージュでもあります。平鍋氏の書籍『アジャイル開発とスクラム 第2版』も8年の時を経て第2版が今月発売され、@TAKAKING22も著者に名前を連ねています

会の様子

以下、時系列で会の様子を書いていきます。

藤原さんと及部さんの過去物語

藤原さんと及部さんの、アジャイルとの出会いや海外のアジャイル関連のカンファレンスで受けた衝撃についてのお話を聴くことができました。
出てくる話はどれも衝撃的でしたが、非日常的なカンファレンスの場(著名人から道案内をしてもらったりプールで遊んでいたり...)の話は衝撃的でした。

現代におけるアジャイル

日本でも、ソフトウェア開発の中でアジャイルが当たり前になりつつあるというお話と、アジャイルの課題について藤原さんと及部さんのトークを聴いていきました。
アジャイルの課題(失敗するアジャイル)であった話が特に面白かったのですが、「成果を出せ」と言われた時に及部さんならどう答えるか?という質問に対しての「当たり前に出しますけどと答える」という回答の力強さが大好きでしたw
上からの指令に真面目に答えようとし過ぎてしまうなど、自分に刺さる話も多くて心が痛かったです。
ここは相談される内容(チャットの質問)がリアルで重い内容が多く、皆さんが悩んでいる様子が伺えました。
自分が悩んでいる話とは違いましたが、藤原さんが「アジャイルを導入していて出てくる悩みはどこもこんなもの」と仰っていたのが印象的でした。

アジャイルによって変わる組織

アジャイルを進めることで、従来型組織(フロントエンジニアだけのチームやQAだけの組織など)からアジャイル型組織(チームにフロントエンジニアやバックエンジニアやQAが存在する組織)への変遷が見られていく話を聴いていました。
従来型組織だとどうしてもプロダクトに対して向き合いにくい、という話は自分の経験からも、理論的な説明からも納得できる話でした。
また、アジャイル型組織に変遷してもすぐに従来型組織に戻って、またアジャイル型組織に変遷して...という風にいったりきたりを繰り返すことが多いよね、という話だったり、そもそもアジャイル型組織があるべき姿なのか?スケールしないのではないか?という意見を聴くことができたりして、とても面白かったです。

良いアジャイルコーチやスクラムマスターとは

藤原さんが及部さんに「良いスクラムマスターとは?」「良いアジャイルコーチとは?」という質問をしていました。答えるのが中々難しい質問だなーと勝手に思っていたのですが、「チームを機能させていいプロダクトを作っていくんだという気持ちが一番強い人がスクラムマスターになると良いんじゃないか」「アジャイルコーチとはきっかけを作ってくれる人なんじゃないか」と答えていて、100%共感することができました。

Ask the speaker

すべてのプロダクトでアジャイル開発した方が良いのか、受託開発とアジャイルの相性の話、改善のためのふりかえりがただの愚痴の場になってしまいがち、ピラミッド型組織の図が良く分からないので補足説明が欲しい、PO代行の是非、2030年のアジャイルの話をしていきました。
どれも濃い話だったのですが、「改善のためのふりかえりがただの愚痴の場になってしまいがち」という質問で及部さんが話していた、Problemを話すことで場の雰囲気が悪くなってしまうのはProblemだ、という話が一番印象的でした。

また、次の10年はアジャイルがどうなっていくかという話で、及部さんが及部さんの完全なる私見という前提で、「自分たちのチームが生み出したプロダクト勝負になっていくんじゃないか」という旨の話をしていて、及部さんのプロダクトに対しての熱量を感じることができました。

全体を通した感想

会の参加者が400人弱という大規模なイベントで、質問も数多く出ていて盛り上がっていました!
色々な質問があったのですが、アジャイルにやっているから上手くいく/上手くいかないとかではなく、それ以外に問題の原因がある場合が多いのかもなーとぼやっと思いました。
アジャイルに進めていくからといって、アジャイルに注目し過ぎることはせず、プロダクトやチームをもっと良くするためにどうしようということを考え続けたいなあと思いました。

聴いていてわくわくしたり考えさせられるような話が多く、楽しかったです。
前半後半通して、濃密な2時間を過ごすことができました!