天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

「スタートアップにおける組織設計とスクラムの長期戦略」を深掘りに参加してきた

distributed-agile-team.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。(セッションの同時視聴→感想戦という流れで、自分は感想戦だけ参加していました)

チーム開発だと個人単位の評価が難しいのはなぜか?

きょんさんは個人単位の評価はできると思っている上に、なぜチーム開発だと個人評価が難しいのか?という話をしていきました。

よしきさんは、チームの目標があってそこに対しての評価をした後に、チームに対して個人がどれだけ目標達成に寄与したのか?というのを評価するようにしているという話があり、それが難しいということでした。

きょんさん的には、そのようなやり方はプロジェクトガチャに依存してしまうので評価方法として破綻していると考えているそうで、例えば同じ個人であってもプロジェクトで一緒に組む人が誰かで評価が変わってしまうので、そういったやり方をしないということです。(職位が下の人は職位が上の人を活躍させるために仕事をするという側面もあるし、職位によって求められる貢献が変わってくるのも自然なこと)

よしきさん的には、きょんさんの考え方は納得感があるけれども、スタートアップだとランクごとの評価基準などがない(組織の成長に応じて評価基準がどんどん変わっていってしまう)ので、評価の度にその人が職位や期待値に対してどれくらい貢献したのか?というのを納得感ある形で着地し続けることが難しいと思うという話が伝えたかったということでした。

上司ガチャへの対応

よしきさんは、上司やマネージャーの好みがそれぞれ違った結果部下やメンバーが上司の好む動きをするみたいなことは避けるように、評価制度やEM同士がディスカッションをする場所を設けて対応しているということでした。
この結果、バランスをとってしょうもない評価制度ができてしまうリスクもありますが、今のところはそうなっていないようで、これは角を取るような表現にするような目線合わせをしないようにしているという話がありました。

きょんさんも執行役員が横でつながってお互いの評価の仕方をクロスチェックするような仕組みを入れているということです。

マネージャーが他人を評価するための教育

よしきさんは、マネージャー研修の中で一通りは用意しているということですが、そのトレーニングの質がどれだけ高いかという話は判断ができないということです。

きょんさんも、マネージャー研修はやっているものの、ケースメソッド以外で評価の練習をすることはできていないため、その点は問題に感じているということです。

評価とフィードバック

よしきさんは、四半期といった頻度が少ないサイクルは、フィードバックという仕組みとしては鈍いので、1on1といった高頻度で実施するフィードバックと併せて使うようにしているということでした。(スクラムでいうふりかえりまで待たずに改善していいという話と同じ)

よしきさんの取り組みとエンジニアを増やす取り組みはコンフリクトしているのか?

きょんさんから、よしきさんの今回話した取り組みをみると、外形的に見えているよしきさんの会社の動き(エンジニア採用)はコンフリクトしているように見えたという話がありました。

よしきさんが今回話したような取り組みは、組織のスケールに耐えられるようにするための取り組みである側面が大きいということで、組織で今後起きるであろう変化に対してのチャレンジをしているということでした。

きょんさんは、今回の発表の情報だけだと、なぜ今回話したような取り組みを最初にやるのか?というところに疑問が残るそうで、例えば評価制度の話とかよりも色々な人がフィードバックを言えるような仕組みづくりをまずやりたいと思ったそうです。(システムを大きくしていきたいという話が出てきたらまずはオブザーバビリティを担保をしたい)

よしきさんの組織における基本思想としては、マネージャーがオブザーバビリティを担保するような形になっていて、それがどこまでいけるのか?というのは考えていかなきゃいけないと思っているそうです。また、よしきさんはとにかく形骸化するような制度や取り組みができないように注意しているということでした。

新しい価値観の浸透のさせ方

新しい価値観を浸透させようと考えていこうとするとき、経営陣や役員という中では全体性が保たれていて評判もいいし応援もしてもらえるんだけれど、いざ現場で実践しようとしてみると既存の価値観と違うことが原因で反発を生んでしまうようになり、360度フィードバックなどに頼ってしまうと、新しい価値観をリードする人ほど結果的に評価が下がってしまうという問題があるという話がありました。

全体を通した感想

評価には絡む変数が多すぎるので、例えばチームと言ったあまり実践がされていないような変数を組み込むとより複雑になり、色々な問題が出てきたりそもそも何が現状の評価制度の課題なのかがわからなくなったりしてしまいそうだなあと思いながら聴いていました。

個人的には組織設計の部分を楽しみにしていたのですが、どちらかというと評価制度の話で盛り上がっていてそこは予想外でした笑