天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

大人のソフトウェアテスト雑談会 #158【SUPER Jr.30】に参加してきた

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スクフェス新潟

じゅんぺーさんがいらっしゃったこともあり、スクフェス新潟の話をしていきました。

テストの街葛飾のスポンサーチケットが余っているので誰が行きたいか?という話や、オンサイトオンラインの切り替えができるかどうかの話、スピーカーやスタッフの方などが、意外とチケットの登録がされていないという話、誰がいつ新潟入りするのか?...といったお話が出ていました。

怪しいテストあれこれ

杓子定規的に使われるテスト用語の話をしていきました。

狩野モデル

「これ当たり前品質なんでやってください」という話に使われてしまうと結構怪しいという話や、QAが狩野モデルを引用して作るべき機能を定義し出したりすると怪しいという話が出ていました。

アジャイルテストの4象限

「3象限は楽観的探索的テストだ」「全象限使われていないからだめじゃん」みたいな使い方は結構怪しいという話が出ていました。

また、そもそもアジャイルテスティングの話はだいぶ古いので、そろそろtesting3.0的な進歩が起こっていかないとだめだよね、という話もありました。

品質特性

書かれていない特性を無理やり品質特性に当てはめたり、「この品質特性考えられてないじゃん!」みたいな指摘に使用したりするのが危険だという話が出ていました。

スペースの動機

Twitterでスペースの機能がありますが、あれをどういう人がやりたいと思っているのか?という話をしていきました。

葛飾は雑談が充実しているということもあって参加者が誰も積極的にスペースをやっていないため結局答えは出ませんでした笑

全体を通した感想

今日はじゅんぺーさんが来てくれたおかげで、スクフェス新潟の話が色々と聞けて非常に楽しかったです。
いよいよ来週に迫っているので、自分も発表準備をどんどんブラッシュアップしていきたいと思いました!

エンジニアリングマネージャー と 目標設定に参加してきた

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こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

目標設定の基本 by ryuzeeさん

disclaimer

基本というタイトルにしているものの、時間の関係で目標設定にまつわるあれこれを網羅することは不可能なので、「〜の話が基本なのにないじゃないか」というマサカリは辞めていただきたいということです。

目標設定でよく言われる話

導入として、目標設定で「定量化」を求められることが多いけど、目標を定量化するというのは怪しさもあり、本質からは若干ずれているんじゃないか?という話がありました。

目的と目標

辞書定義を基に考えると、目的は最終的に達成したいことであるのに対し、目標は目的を達成するための手段であると捉えられるという話がありました。

企業の目的

ドラッカーの話から、企業の目的とは顧客を創造することであり、企業が何かを決めるのは顧客だという話が引用されました。
そこから、顧客との価値交換システムを中心に据えて目標設定をしていくことが重要なのではないか?というお話がありました。

組織目標の中には、どうしても顧客の価値交換システムとは直接関わりがないものもありえますが、それが目標の大部分を占めているのはおかしいだろうということでした。

SMART

目標設定をする上ではSMARTが取り上げられることが多いのですが、Mがどうしてもフォーカスされがちで、Rがより重要なのではないか?という話がありました。

測定可能であるものの関連性がないものはビルドトラップに陥る危険性やグッドハートの法則が発動してしまう可能性があり*1、価値のないものが大量に生産されるリスクがあるそうです。

目標の数

基本的に時間は足りないものなので、目標の数は自分の口ですぐに思い出せるくらいの数が適切だというお話がありました。

目標の検査と適応

半年前の目標が有効な場面は必ずしも多くないため、上司と話をしたりする中で、適宜目標をアップデートしていく必要があるだろうという話がありました。

企業のシステム的にアップデートできるタイミングは半期に一度しかないなどはあるあるですが、そういったときはGoogle Docを実質的な目標シートにするなどといった工夫をすることが重要だということです。(組織のルール上だめだと言っている人もいるが、意外と運用でカバーできる可能性もある)

パネルディスカッション by仲さん牧志さんryuzeeさん

仲さんとryuzeeさんのディスカッション

以下のようなポイントが提示された上で、「報酬と目標設定が結びついてしまっている状況の場合、アウトカムを出しつつ本人の頑張りを評価できるような目標設定をするにはどうしたらいいのか?」という議論が進んでいきました。

  • エンジニア目線で先行指標を定義すると、XX個リリースみたいになりがち
  • 売上指標に対してエンジニア個人が直接的に関わりにくいので、売上で評価が変わることに納得感をもたれづらい
  • 古い機能の維持をしている人は新しい機能をリリースしている人よりも評価がされづらい

まず、目標設定の達成度を見るとその人の評価ができるのか?というところにそもそもの疑問を持っているという話がryuzeeさんからありました。
スプレッドシートで数値をぽちぽちしたら評価が定量的に出るなんてことは本当にあるのか?ということで、理想的にはマネージャーがメンバーの仕事ぶりを長い時間よく観察した上で評価が決まることが重要なのではないか?というお話でした。
そのため、目標設定自体はしつつも、普段一緒に仕事をしている人の360度フィードバックなども使いながら評価を決めていくことが重要ではないか?ということです。

また、評価を受けたときに被評価者がびっくりしてしまう時点で負けだということで、それを防ぐために評価に関して話をする回数を確保しておくことが重要じゃないか?という話もありました。

牧志さんとryuzeeさんのディスカッション

続いて、成長をサポートする効果的な目標設定やふりかえりは?という話でディスカッションがありました。

ryuzeeさんは、「こういう風に目標設定をするといいよ」は正直わからないけれど、「この目標はいけていないな」というのは検査と適応を繰り返すと分かるため、適宜達成状況を評価者と被評価者の間で一緒に話しながら、目標設定の運用を重要視するとよいということでした。

また、別観点からのアドバイスとしては、発達の最近接領域の話が挙げられており、自分ができることよりもちょっと上のレベルの目標を設定することが重要なのではないか?というお話もありました。

Q&A

チームで価値を生み出すことがゴールなので個人の目標設定をするのが難しいのだが、どのようなコツがあるのか?

チームの誰かとコンフリクトするような目標や、目標を立てたことでチームの足を引っ張る可能性があるインセンティブが生まれる目標をたてるくらいなら、個人目標を立てなくてもいいのでは?と思うというお話でした。

結果的に顧客への価値と技術評価はどのように紐づくのか?チーム内同一評価をしない前提ならどう個別評価すればいいのか?

悩みつつではありますが、開発した機能が顧客にどう利用されるのか?を意識して評価の説明しているようにしているという話がありました。

また、最終的なユーザーの価値に関連した目標を立てるようにしつつ、チーム内での期待値やチーム内でどんな部分にスペシャリティを持っているのか?という話をするようにしているという話も出ていました。

他にも、組織によって「なんで目標設定するの?」が全然違ってくるので、なぜ(評価するために)目標設定が必要なのか?を話すことが重要ではないか?という意見も出ていまいた。

アウトカムと業務の関連が薄い、社内情シスやプロダクト維持みたいな場合はどう評価すればよいのか?

目標設定で評価は決まらないという話を前提にしつつ、情シスやプロダクト維持もアウトカムにはなるのでそこを評価したらいいのでは?という話がありました。

また、運用業務はかなり評価が難しいというのはそのとおりだと思うという意見も出ていました。

全体を通した感想

後半のディスカッションで、マネージャーの方を中心に、現場の生々しさがあふれるような質問が多く集められていたのが印象的で、参考になるお話も多く聞くことができて、非常に楽しかったです。

*1:報酬と結びつくとなおその可能性は高い

ふりかえりカンファレンスのスライドまとめ

タイトルの通り、ふりかえりカンファレンスのスライドをまとめた記事になります。

※本当はふりかえりカンファレンスの全セッションの感想を投稿する前に投稿する予定だったのですが、予約投稿の日時を間違えてしまい、変なタイミングでの公開になってしまいました...

ふりかえり変幻自在

miro.com

こうしてふりかえりは終わってしまった〜ふりかえりが停滞するメカニズムと息を吹き返すためのいくつかの方法〜

speakerdeck.com

古いから新しい! Project Retrospectives のふりかえり〜1年弱翻訳を続けて得た学び〜

speakerdeck.com

ふりかえりは関係性の再構築から始める 〜 話し合える関係性を作る方法

参加者限定公開(ふりかえりカンファレンスのメインボードのセッションフレームに内容は公開)

「ふりかえりアレルギー」だった私がFun Done Learnをここまで好きになった理由

speakerdeck.com

インフラ構築をふりかえりでカイゼンする! - お互い何してるかわからないチームから、モブ・ネットワーク機器コンフィグ作成をやるチームへ

speakerdeck.com

実録!ふりかえりを400日間続けると人はどう変わるのか?ふりかえりをふりかえり!

www.docswell.com

DevOpsに投資するリソースの無いスタートアップがふりかえりを改革して自己組織化されたチームへ近づいている話

speakerdeck.com

塩をひとふり、素材の味を引き出す、ふりかえりランゲージ

speakerdeck.com

シリコンバレーのチームで経験したふりかえり - 共通点とギャップ

speakerdeck.com

誰もが大嫌いな「振り返りと名付けられたアウトプットのない儀式」をhackした

参加者限定公開(#スライド・ブログ置き場に公開されています)

チームの状態を「即興性」の視点からふりかえってみよう~素早く学習できるチームになるために

speakerdeck.com

ポジティブとネガティブを両立させる ふりかえりのファシリテーション - Deep Democracy Retrospective -

スライドなし

LT

フィードバックが欲しいと言われたインターンシップにふりかえりを導入してみた話

スライドなし

好きな歌を手がかりに新しいふりかえりをつくろう! - GetWildの場合

speakerdeck.com

「ふりかえり」は、Retrospectiveか、Reflectionか

www.slideshare.net

プロダクトチームから他部署に伝播するふりかえり文化

speakerdeck.com

ダイエットはいいぞ!! ふりかえりに臨む前にもう一つ必要なこと

スライドなし

これまで10年くらいふりかえり続けて思ったふりかえりに必要なたった1つのこと

speakerdeck.com

KPT-TOD(KPTを味変してみた)

speakerdeck.com

HYOW/JYOWにしてみたYOW!〜YOWに背景(Haikei)や状態(Joutai)を足してみた

参加者限定公開(スライド・ブログ置き場にあります)

スクラムフェス福岡の全セッション感想

www.scrumfestfukuoka.org

タイトルの通り、スクラムフェス福岡の全セッション感想をまとめたブログになります。

注意点

一部のセッションについては、以前のブログで感想を書いたりしたので、そのようなセッションは過去に書いた感想の内容と被っています。

eスポーツ2.0 -eスポーツがインストールされた社会がもたらす新しい価値-

冒頭の経歴紹介を聞いたときには、あまりにも色々なことをやりすぎて何をやっている人なのかわけがわからなくなりましたが、話を聞いていると自分がやりたいことや好きなことを一直線に進めるめちゃくちゃ強い芯を持っている方なんだなあというのがひしひしと伝わってくる素晴らしい発表でした。

自分自身ゲームは大好きで、eスポーツはその道に進むことを新卒で就職活動したときに本気で考えていたので、めちゃくちゃ当事者意識高く聞いていたのですが、自分が調べていた時期からもまだまだ市場が伸びていて、懐かしさを感じながら聞くことができました。中島さんはお話がとても上手なこともあり、ゲームがしたくなる気持ちがふつふつと沸いてくるセッションになっていて、素晴らしかったです。

また、楽しいことをやって仕事につなげるというのは今のチームでもひしひしと実感しているところなので、共感も強かったです。

アジャイルコーチクイズ王 2023

自分は現在アジャイルコーチではないのですが、たくさんの問題に正解できてよかったです。

アジャイルコーチングは読んでからしばらくブランクがあったのですが、本で読んだ内容が頭に入っていたので安心しました。(有名なポイントが問題の中心になっていたというのはありますが)

クイズ王が終わった後に、自分の回答速度を見てアジャイルコーチングを買ったという方も多くいらっしゃったので、売上にも貢献したんじゃないでしょうか笑

エンジニア(ほぼ)全員が参加してわかったこと ~みんなで行こうよスクラムカファレンス!~

RSGTに社内ほぼ全員が参加したというだけで十分にすごいのですが、それぞれがただ参加して終わるのではなく、OSTなどで学びを共有しあったということに驚きましたし、kotoneさんのように参加する側から参加を奨励する側にシフトしたメンバーがいるというのがめちゃくちゃすごいなあと思いました。

自分自身も、RSGTでは社内メンバーと一緒に参加して、登壇した感想を社内のイベントで話すことをしたり夜に社内メンバーでご飯を食べたりしたのですが、これまでのカンファレンスとはまた違った楽しを実感できたので、社内メンバーとのカンファレンス参加は強くおすすめしたいです。

多様性の高いGatheringを実現する情報保障の試み - RSGT2023 うきうきテーブルで分かったこと -

(自分基準で)久しぶりのChiemi先生の発表でしたが、試行錯誤の結果や、試行錯誤の中で立てていた仮説とその検証結果が丁寧に整理されつつ、Chiemi先生の優しさを感じられるような発表で、最高でした。

自分もRSGTではうきうきなっとうのテーブルに何回か参加したのですが、「音声認識で自分が発話した内容がある程度文字に表示されるという体験をすると、相手に伝わっているものだと誤解してしまう」というのは自身も陥っていた罠だったので、「音声認識を使えば会話ができる」の安直さはひしひしと感じていました。

チームのメトリクスと一年間向き合ってみた

「あなたのチームは機能してますか?」はチームのメトリクスというイメージからは少し離れているようなイメージがある本だったのですが、チェックリストを活用しながら集計を続け、その集計結果を基に支援の仕方を変えるというのは面白いなあと思いながら聞いていました。

また、プレゼンの後半では集計結果を実際に見せてくれながら「こんなことを考えていたよ」というのを言語化してくれていたのですが、現場で使っていたものをそのまま見せてくれたこともあって、臨場感が溢れていてメトリクスと向き合うイメージがわきやすかったです。

シーズン2〜スクラムチームのバトンを渡す〜

次世代に引き継ぎしよう!みたいな話はよく聞きますが、会社の重要な部門であるが故に交代〜成果を出すまでのリードタイムが短いという難易度が高い状況で、どのような方法を取ったのか?というのは希少価値が高い話ですし、プレゼンのストーリーも素晴らしくて何回聞いても楽しい発表でした。

引き継いだ後の「伴走者」という立ち位置は、自分の意見を言い過ぎてもいけず放任してもうまくいかないという立場なので非常にバランスを取るのが難しい印象を持ったのですが、発達の最近接領域を見つけていく動きやコーチングに徹したりと、学べるポイントが多くありました。

また、質疑応答の中で出ていた、がんがん意見を言うフェーズとコーチングに徹底するフェーズを関係性によって変えていくという話もすごいわかるなあと思いながら聞いていました。

QAエンジニアがAcceptance Criteriaを書いてみんなで読んだら、いい感じに開発ができているよ

自分がQAエンジニアとして活動していた時代にも同じようにACを書くことをしていたのですが、そこでフィードバックをエンジニアから受け取った時の話と共通する部分が多く聞けて、面白かったです。

また、自分の場合読み合わせをしていなかったため、rinaさんが読み合わせてよかったと言っていた部分とのdiffを比較できて、読み合わせをしたからこそ生まれた話やACを書くという行為から生まれた話それぞれを考えながら以前の活動をふりかえることもできて、学びが深い発表でした。

スクラムマスターの採用事情

採用の話をする前に前提条件として持っていた、「組織的に長期的なキャリアを考えられていないのであれば採用しないほうがいい」という話がめちゃくちゃ刺さりました。(ここが逆になってしまっていて、「スクラムマスターがいないからまずはスクラムマスターを採用して、キャリアはその人に合わせて考えたい」という話もよく聞くので、ここの前提条件をまず抑えることは当たり前にも思えるけどめちゃくちゃ大切だと改めて理解しました。)

発表の本筋の内容としても、スクラムマスターのジョブディスクリプションの話やカンファレンスと採用の話など、あんまり公には出ていないような内容をぼかしすぎることなくしっかり言語化してくれていて、自分から見るとブラックボックスになっていた部分の認知が深まる、学びが深い発表でした。

スクラムイベントを効果的な場にするためのファシリテーションの学び方

ファシリテーター完全教本をベースにしながら、具体的な例だったり天野さんがわかりやすいと感じた表現、天野さんの経験談がバランス良く混ぜられていて、非常に聞きやすい発表でした。

ファシリテーター完全教本は一通り読んだのですが、参照などを正確に追えていない部分や忘れていた部分もあったので、改めて読み直そうと思いました。

また、質疑応答では、天野さんや川口さんが「ファシリテーションすること」よりも「(例えば)チームで率直に物事が言い合えるような場を形成すること」などにフォーカスを向けているようなやり取りをしていたのが非常に面白かったです。

F1 福岡グランプリ'23 スクフェスシリーズFinal

今回は比較的安定した出走が見られて、暴走やコースアウトはいつもに比べると少なめだった印象ですが、抽象度もジャンルも豊かなお題に対して名言が連発していて楽しかったです。(ただ、その中でも頭取がマイペースにレースを走られている様子が見れたのは、めちゃくちゃいいキャラだちをしていましたw)

個人的には、「プロジェクトを止めることはできないけど失敗させることはできる」「なんかできるんでしょ」の2つのフィードバックはめちゃくちゃ刺さりました。

yotaさん新チャンピオンおめでとうございます!

大企業を変革せよ!「すごいリーダー」不在のアジャイルチャレンジ

大企業で周りが全員WF畑でアジャイルにも特に興味を示していない、一度アジャイル導入しようとしたけれど失敗してしまった...厳しい状況が続き、発表を聞いている自分自身も心が折れそうになった中で、CoEの仲間たちのテコ入れから一気に風向きが変わり、着実に組織が変化の道を歩むようになる、というストーリーは映画を作れるんじゃないか?というくらいの流れで、久しぶりに心が揺さぶられてめちゃくちゃ感動するようなプレゼンテーションでした。

セッションの後半には西内さんの「想い」が湧き出ていて、その「想い」を受け取ることで涙が出るような心の揺さぶりもあり、本当に素敵な発表でした。

締め殺しイチジクの話 - 大きな既存システムにどう立ち向かう?

20分で終わるのか?20分でkiroさんっぽいプレゼンになるのか?というのが気になっていたプレゼンですが、どちらも見事に満たされていて、kiroさんらしさも節々から出ながら実用性もあるプレゼンテーションでした。

Discordの感想やスクフェスが終わった後の感想記事を見ると、金融業界の方を中心に内容に共感されている方が多くいらっしゃったので、kiroさんが狙っていた通りのプレゼンテーションになったんじゃないかなーというのを感じていました。

事業会社がアジャイル・トレーニングを始めて受けた。1年後、売上げ8倍へ変貌した。何が起こったのか。

もちろん他の要素もあったかもしれませんが、アジャイル・トレーニングを受けたことで組織変革が起きて、1年で8倍もの売上に影響したということに驚きを覚える発表でした。

色々なエクササイズを研修で受けていく中で、数あるプラクティスの中でも特にKUDOカードが印象に残って、研修を受け終わった後もKUDO WALLとしてKUDOカードの仕組みが継続され続けたというのが個人的には非常に面白かったです。

また、経営層からのトップダウン・アプローチと現場同士の密なコミュニケーションから生まれたボトムアップ・アプローチが研修という共通のコンテキストを通して見事に組み合わさったんだなあというのも感じました。

オンサイトキックオフでロケットスタート!貴重なリアル対面を活かすやり方と構造

個人的には久しぶりにさささんのプレゼンを聞いた気がするのですが、「100%中の100%モード」だったり「もじもじをふっとばす」などパワフルな用語が至るところで遣われていたり、プレゼン自体からも勢いが溢れていたりと、「The さささん」のようなプレゼンテーションでした笑

自己開示の話をしていたときに出ていた、仕事/プライベート, 過去/未来の軸の整理はふりかえりや雑談のときに使って効果を実感していたので、キックオフのときにも有効なんだろうなあと思い、キックオフのタイミングでも今度取り入れてみようと思いました。

家族を犠牲にしない!子育てエンジニアのコミュニティとの関わり方

家族とコミュニティ活動がいつの間にかトレードオフのような関係になってしまうという話をよく聞いたりする中で、光が指すような発表でした。

傍から見ていると、子育てしながらなのにコミュニティをいくつも運営していてすごいなあと思っていたのですが、自分自身が参加しやすいようなコミュニティを作った結果運営することになっているというのはなるほどなあという感じでした。

どの話もすごく共感できたのですが、コミュニティに関わらず「家族で一緒に参加する」というのは本当に重要だよなあと個人的には思っていたところ及部さんも似たようなアプローチをされていたので、嬉しかったです。

スクラムマスターから見た頼りになるプロダクトオーナーとは、宿泊業である星野リゾート現場出身POから学ぶ

現場で実際に働いて感じたことがそのまま素直に言語化されていたように感じる発表で、現場感が溢れていて非常によかったです。

頼りになる「プロダクトオーナー」というよりも頼りになる「チームメンバー」に置き換えても全然違和感がないなあと思いながら話を聞いていました。

星野リゾートは旅行先の近くに宿があれば必ず利用しているのですが、そこでスタッフの方の動きを見ていて感じるホスピタリティがプロダクト開発の中でも体現されているというのは、感慨深いものがありました。

僕たち流のカルチャーバブル - 社外コミュニティも巻き込んだスーツとハッカーの物語 -

まつしゅーさんと川西さんが実際にやってきた社内コミュニティづくりの過程を、スクフェス三河のスーツとハッカーkeynoteやコミュニティでの出逢いを交えて聞くことができて楽しかったです。

最初は小さくスタートしつつも、情報発信をしながら周りに潜在的にいる仲間の人たちを徐々に巻き込み、最終的に大きなムーブメントを作っていくという動き方は、自分が見てきた多くの発展しているコミュニティが取っていた動き方と同じだったので、共感が非常にできる発表でした。

また、多くのイベントで講師として招くような方々を、講師ではなくコミュニティメンバーとして巻き込むというところにまつしゅーさんらしさを感じましたし、コミュニティの隆盛に寄与した大きなポイントだったのかな?と勝手に思いました。

あなたの言葉からチームを強化するペップトーク

ペップトーク自体を全然知らなかったので、どういうバックグラウンドで活用されているのものかやどんな点がポイントなのかなどが整理された話を20分で聞けて非常によかったです。

フィードバックするときやふりかえりなどで意見を出すときにも使えそうだなあと感じましたし、外からの支援や関係性がまだできていない状態での支援が必要な際にも相性が良さそうだなあと思いました。

自分は野球観戦が好きで、チームが試合を始まる前に組むエンジンの台詞をよく聞いているのですが、発表の中で触れられていた要素が見事に組み込まれていて、面白かったです。

菅原道真とスクラム

自分のセッションなので割愛します。

スクラムじゃ物足りない!アジャイルテストに没頭したきっかけ

アジャイルテストにJBさんがなぜ魅力を感じ、自社でアジャイルテストのトレーニングを開こうとまで思ったのか?という話がJBさんの過去の経験から分かる素敵なプレゼンテーションでした。

前半にあったせっかく作ったプロダクトに対して「こんなの当たり前品質なんじゃないの?」と反省会で言われてしまうなどテストが楽しくない活動になっていたというエピソードには思わず感情移入してしまいましたが、そういった前段があったからこそ、後半のテストマニュフェストとの出逢いやそこで感じた「これだ!」という感覚は画面越しでもひしひしと伝わってきました。

スクラム未経験の銀行員がPOになって感じた違和感

新米POの話は一定数聞くのですが、自身が望んだわけではなく任命されてPOになった人の話というのはそんなに聞く機会がなかったので、どんな風にPOに適応していったのかを聞くことができて面白かったです。

発表の中で出てきた違和感を乗り越えていった話は勿論素晴らしくて、主張されていたことにも納得したのですが、違和感を自分の中でこれだけ言語化できていたことが、すごく大きな一歩だったんじゃないかなあと聞いていて感じました。

福岡県(九州支店)勤務の社員による組織変革、本社の巻き込みによる変革のキーパーソン創出

組織の高齢化や厳しい品質基準といった制約条件がある中で、組織がどのように新しいマインドやツール導入を進めていったのか?という話を聞くことができました。

九州LABOをはじめとした具体的な取り組みをいくつか聞いていく中で、事前に安全な環境で失敗できるようなサンドボックスの存在だったり、人それぞれの好みに合わせた学びの導線の導入といったところが、変化への抵抗を和らげる要因になったのかなあというのを、発表を聞きながら個人的に思っていました。

また、やる気がある人の熱意を後押しするメンバーに囲まれていたという話はすごく素敵だなあと思って聞いていました。

ゼロからスクラムを推進したスクラムマスターがラスボスゾンビEMになるまでの失敗と心の中

実際にスクラムを推進して成果も出して、会社から評価もされてまさに順風満帆なスタートを切ったにも関わらず、いつの間にか自分がいないとチームが成り立たないような状態になってしまい自分が自己組織化を妨げてしまっていた...というのは心を痛めながら聞いていましたが、ゾンビスクラムサバイバルガイドを読んでそんな自分に気が付き行動を変えたというのストーリーは圧巻でした。

自分がいないとチームが成り立たないような状態になってしまった後は、そのことに気がついてもなかなか行動をすることは難しいように思えるのですが、書籍を読んで客観的な視点で内省ができているのは素直に尊敬の一言です。

「地獄への道は善意の道で舗装されている」を実感するような発表でした。

うちのスプリントレビューが楽しすぎる件について

おおひらさんがスプリントレビューを楽しいものにするために、「みんなで」をすごく大事にしているんだなあというのが発表の至るところで感じられたプレゼンテーションでした。

おおひらさんのプレゼン力が高かったからかも知れませんが、会で出てきたクイズ大会やバグバッシュ会はめちゃくちゃ楽しそうな感じがめちゃくちゃ出ていて、自分もその場に是非参加したかったなあと思いました。

プレゼンの本筋ではないということですが、レビューから逆算したスプリント計画など、Deep Dive スプリントレビューで言われていたようなスプリントレビューを効果的にやるための工夫が至るところでしっかりと散りばめられていたのもさすがおおひらさんだなあと思いながら聞いていました。

認知特性に合わせたコミュニケーションの工夫を紹介します

コミュニケーションを取っていると、自分の理解速度が全然追いつかないというのが自分自身はよくあるのですが、そうしたときに理解速度を追いつかせるための工夫が具体的に紹介されていて、面白かったです。

他人の認知特性を決めつけないというのは本当にそのとおりだなあと思ったのですが、自分自身の認知特性に関しても経験則からの思い込みに依る部分があるかもしれないなあと思ったので、WAIS-IV知能検査は自分も受けてみようと思いました。

小さな「うっ」は成長のチャンス

みほらぶさんが単独で話しているのを見るのは初めてだったのですが、ほとんど何も文字が書かれていないスライドでもがんがん話すことができて、しかもその話の一つ一つがパワフルかつ声がめちゃくちゃ聞きやすかったです。
自分の想像をはるかに超えたクオリティになっていて驚きました。

期待していた通りの話で本当に素晴らしかったのですが、特に、自分の人生が変わったといっても全く過言ではないRSGTの場がどのような想いの基で作り上げられたのかを聞くことができたのは感動しました。

「そうそう! それ、ほんと助かる~!!」サポートを明らかにすることを通して、助け合い上手なチームに爆速でなろう!

この発表を聞くまでは、ソーシャルサポートの種類というと、感情面のサポートと情報面のサポートと思考のサポートくらいの解像度でしか捉えられていなかったのですが発表を聞いて、7種類のサポートと効果的な状況やサポートが成功した時の効果というのがめちゃくちゃ丁寧に整理されており、今の自分がどういうサポートを望んでいるのか?相手にどんなサポートをするのが効果的なのか?をより詳細に考えることができるようになりました。

また、サポートを受ける側の「受け取りの質」というのが、コーチングを受ける資質として挙げられるコーチャブルかどうか?と重なる部分があり、個人的には非常に面白いなあと感じながら聞いていました。

聴こえに依らず「ワイワイ発言しつつガシガシ開発する」ために必要なこと

RSGTからnoteや講演を追っていますが、琉球大AgileMiniCampで得たことをベースにしつつ、ハッカソンやTDDYYxなどで一つずつ学んだことの検証や新たなチャレンジを積み重ね、検証結果を丁寧にふりかえっているのがすごくいいなあと想いました。

意図的に使っていたのかはわかりませんが、この試行錯誤をしていく際にYOWを活用して、自身がやったこと/その結果起きたこと/わかったことを整理していたのも個人的には印象的でした。

また、発表の中で参加者の方にフィードバックを明確に求めて、自分たちの考えをレビューしてもらうというスタイルは、その手があったか!と思いました。

RSGT2023全セッションの感想

2023.scrumgatheringtokyo.org

タイトルの通り、RSGT2023の全セッションの感想ブログです。

注意点

  • 一部のセッションについては、以前のブログで感想を書いたりしたので、そのようなセッションは過去に書いた感想の内容と被っています。
  • 英語セッションも一通り見て感想を書いているのですが、リスニング能力が乏しい関係で内容を不正確に理解して感想を書いている可能性があります。
  • ワークショップセッションは感想から省いています

知り合いを増やしてRSGTへのドキドキをワクワクにする会

毎年お世話になっており、過去には自分にとっても大きな転機となるきっかけを作ってもらったセッションなので、今年も楽しく参加できました。

勿論無理がない範囲でという形にはなりますが、来年以降も続いてほしいなあと心から思っています。

Five Practices for Building Software with Scrum

自分がRSGTで聞いた記憶があるkeynoteだと、もっともがっつり技術寄りなkeynoteだったので、楽しかったです。

触れられている内容的には、Davidの記事や本、動画などで網羅されていた内容が整理されていた感じでそんなに新しい情報はありましたが、TDDやXPへの熱をはじめ、エネルギッシュな感じがひしひしと感じられるプレゼンテーションで、聞いていて心が持っていかれるような話し方だったのは素敵でした。

内容の整理の仕方としても見事だったので、スライドや発表を見ればDavidの本や記事の概要がつかめるような形になっていて、Davidの本を読みたいという人がいたときに、その前に概要を掴む目的で見てもらうことをおすすめできるような発表でした。

Outcomeにフォーカスするチームへのジャーニー

たくさんのチームを見てきたであろう洋さんがスタート地点として、チームのスキル獲得/スキルを持ったメンバーがチームに加わる/チームを別に作るの3つをなぜ選んだのか?というのはもっと聞いてみたさがありましたが、Outcomeにフォーカスするチームになるための入門として素晴らしいセッションに感じました。

特に、こういう点でおすすめだよ、という話で終わらせるのではなくこういう点が難しいから壁に当たる可能性があるよ、という話までセットでされているのが、個人的には好きでした。

発表の聞きやすさもスライドも洗練されていて、さすがのクオリティでした。

スクラムチームが自信をもってアウトカムとスプリント活動に集中するためのコツ

長沢さんのセッションということで、今回も楽しく見ていくことができました。

今回は一部の説明の仕方に関しては見方を広げるような説明の仕方じゃない部分もあったりといった部分を中心に、これまで自分が聞いてきた長沢さんのプレゼンからは少し意図的にずらした感じを自分が受ける部分もあって、そのあたりのGapも含めて面白く聞くことができました。

20分セッションということもあって、プロダクトゴールやEBMの話はセッションの説明だけではまだまだ理解をし損ねる部分も多くあったのですが、長沢さん監修のサイトや翻訳記事を見ることで理解が補えるので、そのあたりの相性もよいなあと思って見ていました。

エンジニアリングマネージャー業の具象と抽象

EMのしごとを抽象度で整理した上で、チームの成熟度に合わせて仕事の抽象度を上げていくという話は、これまで聞いたことがない話で面白かったです。

また、「影響範囲が大きくなることで視点を切り替える必要のある尺度」という形で抽象度の定義をしてくれていたので、一般的な抽象度の定義よりも発表で触れられた内容に対して親和性が高く、納得感がありました。

発表としてはEMにフォーカスした内容でしたが、全体的にEM以外にも転用できそうな話が多くて、EMとは無縁の自分が見ても参考になるセッションでした。

RSGT2022のOSTから学んだ人事評価における公平性と納得感を得るための軸作り

組織が拡大すると特に不満が出がちな評価制度に関して、抱えていた問題意識、その問題意識を解消するために出たアイデア、アイデアを実践してみてわかったこと、リファレンス…と整理された構成で話が展開されているのがすごく良かったです。

特に、公平感と納得感をキーワードにして作った評価軸を具体的に知ることができたのが面白かったです。

また、セッションの内容と直接は関係ないのですが、OSTで悩みを挙げる→みんなで話し合う→そこで得た成果を現場に持ち帰る→現場で出た成果を登壇で話す、というサイクルが見事に回っていて、素敵だなあとまじまじと感じました。

成長が鈍化したチームを変えるためにやったこと

長くチームを続けていると停滞感を感じるような場面に出くわすことも多くありますが、そんな中でその停滞感をどう打破していくのか?という実例が知れる発表でした。

視野を「狭くする」という部分に関しては、狭くしているというより広くしているようにも見えたのですが、普段と見える部分を変えてみるというアイデアは納得感がありましたし、チームで起きている変化を追従体験できるようなプレゼンテーションだったこともあって、すっと入ってきました。

一定の課題感が見えてきた後には、数多くのプラクティスを打つというのが有効なんだなあというのが知れて面白かったです。

(新米)エンジニアリングマネージャーのしごと

チームの変遷と自分の成長の変遷を合わせることで、ストーリーを聞きながら自然な流れで必要な知識が紹介されていたプレゼンでした。

そのため、新米EMはこんな感じの知識が必要なんですよ、と内容ごとに整理されるよりも、どういう知識やどんなマネジメントスタイルが大切になったのか?がすっと頭に入ってきて、非常によかったです。

半年間という期間とは思えないほど話の密度が濃くて、短期間でこれだけの経験をして、これだけ整理された形で話ができるというのはめちゃくちゃすごいなあと心から思いました。

チームのパフォーマンスを引き出す、ワクワクするプロダクトゴール/OKR

書籍で言われているようなセオリーや理想的な取り組みを発表に入れ込みつつも、組織で実際に行ったからこそ見えてきた課題やこれまでのセッション(稲野さんのセッション)で話された内容だったり会場の声だったり当日にいくおさんが話した内容だったりを見事に組み合わせながら話が組み立てられていて、発表を聞くと本当に自分たちでワクワクするようなプロダクトゴールが立てられるようになっている実感が持てる発表でした。

プレゼンの構成もめちゃくちゃ上手で、最高のタイミングでワーク(参加者同士でのインタラクション)が組み込まれていたおかげで発表のキーメッセージが見事に補強されていましたし、発表の中で自然にインタラクションの結果が組み込まれていて、レベルの高さに驚きました。

また、自分が好きなLearn Betterが複数回引用されていたのも、個人的にはすごく嬉しかったです。

[招待講演] どうすれば新しいアイデアが生まれるのか

これまで数々のおもちゃを作られている高橋さんだからこそできる話を、RSGTという場で聞けたことが最高でした。

もちろんどんな業界でも必ず当てはまるような話ではもしかしたらなかったかもしれませんが、ペルソナを決めて...というやり方ではなくてあくまでも個人的な欲求から入っていくというのはこれまで教科書をなぞって知識をインプットしてきた自分にとっては新しい視点で、すごく面白かったです。

あと、話もめちゃくちゃ上手で、プレゼンに引き込まれるとともに、時間の経過があっという間に感じられるセッションでした。

4年かけていよいよ拡がりをみせる銀行DX

毎年RSGTで楽しみにしているFFGさんのプレゼンテーションですが、昨年に引き続き今年もアジャイルな文化やDXの拡がりを追体験できるプレゼンテーションで素敵でした。

金融ドメインに携わっていた身からすると、銀行でエンジニアが企画から入って話をしているという点や、エンジニア0だった地点から内製開発が着々と進んでいるという点は、めちゃくちゃ驚きで、こうして変革を支えられている松崎さんや口石さんの日々の取り組みのすごさが伺えました。(気になったからこそ、このあたりの日々の取り組みはもっと詳しく聞いてみたいと思いました)

4年という期間だけを聞くとだいぶ長い道のりだなあと感じる部分もあるのですが、スタートの状態だったり既存の文化の話を聞くと、目まぐるしいスピードで社内が変革されているように感じられ、どんな組織であっても変革を必ず起こすことができるんだなあというのを実感できるプレゼンテーションでした。

大企業がアジャイルになる途中で起きること

大企業の強みが弱みに変わってしまうという話をはじめ、大企業でアジャイルを推進する難しさが生々しく語られていて、市谷さんの発表と合わせて非常に味わい深い発表でした。

大企業だからこそのコンテキストや職位によってはコントロールが難しいような制約条件がありつつも、ちんもさんがどうしたいのか?というところからスタートして取り組みを推進しているのがすごくいいなあと感じて、それだからこそこれだけ長い期間熱意を持って社内変革を続けているのかな?と勝手に思いながら聞いていきました。

市谷さんの書籍(デジタルトランスフォーメーションジャーニー/組織を芯からアジャイルにする)は両方とも読んでいたのですが、現場の視点でどんなことが起きていたのか示されていたのはすごくよかったです。

人や組織を取り巻くシステムに刺激を与えるマインドセットとしてのManagement 3.0

自分自身はマネジメント3.0もマネージング・フォー・ハピネスも読んでいたので、新しい知識が仕入れられるというわけではなかったのですが、45分にManagement3.0にまつわる話がぎゅっと詰まっていて、翻訳者だからこそのクオリティで仕上げられていた発表でした。

発表タイトルからマインドセットの話に終始するのかな?と思っていたのですが、バックグラウンドの原理の詳細な説明や具体的な指針も含まれていて、良い意味で予想が裏切られる発表でした。

また、発表の内容でも十分詳しい説明がなされていましたが、さらなるリファレンスとして参考文献がまとまっていたのも良かったです。

Effective Retrospective++~楽しいだけじゃない、次の一歩を自分で踏み出し続けられるふりかえりへ~

まず、参加者が発表に入り込めるための準備がどのセッションよりも丁寧だな、というのを感じました。
ふりかえり界隈?で起きている変化やインタラクション、参加者へのアンケート等でコンテキストを共有しつつ、参加している人たち全員が発表に入り込んでふりかえりをそれぞれのペースでよりよくできるための工夫が散りばめられていて、めちゃくちゃ素敵でした。

内容としても、初心者からふりかえりに慣れてきている人までが楽しめるように、段階を追ってそれぞれのステップで起きがちな悩みや、それに対しての具体的な解決策を丁寧に説明してくれていて、幅広い層に刺さるようなプレゼンになっていたのが印象的でした。

スプリントレビュー Deep Dive

スプリントレビューというテーマにおいて、今後しばらくは教科書的な立ち位置になるような発表で、まさにryuzeeさんという完成度の高いプレゼンテーションになっていました。

一個一個は聞いたことがあるような内容であっても、これだけの解像度で整理がされていたりばらばらに散らばっていたようなTipsやコツの話がスクラムガイド2020を中核にして繋げられているのがすごかったです。

個人的には、「完成していないものがあった場合途中断面で提示しない」「環境の変化をレビューする」というのは、特にわかりみが強かったです。

大規模ゲーム開発におけるリモートモブワークの導入事例

大規模なゲーム開発の様子をこれまで聞く機会がなかったので、好奇心がずっとくすぐられっぱなしの発表で、最初から最後まで聞き入ってしまい、あっという間にセッションが終わった発表でした。

バトル班を構成した理由のところで、いざ内容を付け合わせてみるとゲームバランスがめちゃくちゃで体験がいまいちだった...というエピソードはくすっと笑ってしまうような話でしたが、よくよく考えるとゲーム開発じゃなくてもそういうことは普通に起きるよなあという感じで、チーム構成の仕方やモブワークのプラクティスは普通にどんな組織でも参考になりそうな話だなあと思いながら聞いていました。

また、菊池さんの話を聞くのは実は今回が初めてだったのですが、携わっているゲームの種類が名作すぎて驚きました。

アジャイルな組織改善 〜手法とマインドセット

テーマとしているナラティブと対話ということで、内容自体は色々なプレゼンで聞く話だったのでトピックの目新しさみたいなものはなかったのですが、いっしーさんの言葉やいっしーさんの経験が多く使われていたので、いっしーさんの解釈や業務での具体的な実装方法がすごく腑に落ちて、非常に面白いプレゼンテーションでした。

個人的には、昨年のプレゼンやいっしーさんがおそらく最初に発表したスクフェス大阪2021のプレゼンから、内容の構成や話の上手さがものすごいスピードでレベルアップしている部分もすごく印象的で、「着実に」をすごいスピードで積み重ねるいっしーさんの姿にすごく刺激を受けました。

運用業務とスクラムは本当に組み合わせにくいのか?プロダクトオーナーから見た2つのプロダクトを担当するチームでの試行錯誤の軌跡とこれから / Is there chemistry between Operation work and Scrum? - Path of trial and error in our team -

発表でも話されていましたが、「運用でスクラムは無理(or 難しい)」って色々なOSTに参加しているとそれなりの頻度で聞く話なのですが、そこに対してなぜ難しいと思われがちなのか?具体的にどうやって実際に生きた現場で対処しているのか?を、めちゃくちゃ高いクオリティで話してくれていて、これぞカンファレンスに参加したからこそ聞けるプレゼン(本を読むのでは得られない体験)というプレゼンでした。

内容が素晴らしかったのは言わずもがなですが、スライドにしてもプレゼン構成にしても話し方にしてもどれをとってもめちゃくちゃ上手で、プレゼン自体からも学ぶことが非常に多かったです。 カンファレンスに参加したり録画を見直した方複数名も、自分同様にこのプレゼンがよかったと話をしている人が自分の周りでは非常に多くて*3、本当に文句なしのセッションでした。

聴覚障害のある大学生チームによる臆さない発言環境の形成

チームメンバーが同じことを同じ時にやる「おててつないでさあわたろ」の説明として、物理的な行動の威力が話されていたのですが、それが実際に行われたクイズ大会で実証されていたのがすごいなあと思いました。(特に発表者が促しているわけでもないのに、バンザイをしたタイミングで自然と拍手が起きていたり)

可視化の話に関しては、めちゃくちゃ進んだ取り組みをしているなあという印象で、紹介された一つ一つの取り組みに対して感心が止まりませんでした。

また、臆さない発言環境の形成を作っていく過程では起きていることを一つ一つ丁寧に探り、それぞれに対して仮説検証をしながら問題を解消していった話は、すごい素敵だなあと思いました。

アジャイルコーチング × システムコーチング 〜Agile & ORSC are eating the world〜

アジャイルコーチの方々を中心に、昨年いろいろな場所で耳に聞くことが多かったORSCですが、なぜアジャイルコーチの方々がORSCに莫大な投資をしようと思ったのかが分かった気がするような発表でした。

稲野さんがアジャイルやシステムコーチングに出逢う前に抱いていた課題感や、自分にはある種怒りに近いようなものに聞こえた葛藤がアジャイルコーチやシステムコーチングが寄与したのか?というのを聞けて非常によかったです。

また、内容もさることながら、これまでの稲野さんの話と比べて出ていた熱量が印象的でした。
稲野さんのスタイルからして、はっきりとわかりやすく熱量が上がっていたというわけではなかったのですが、プレゼンの節々から溢れていたシステムコーチングに対して抱く可能性を高い熱量で聞くのは楽しかったです。

CQ x Agile で価値観の違いを紐解き、人と組織の関係性に橋をかける

人と価値観が違うというのはもはや当たり前に感じる話なのですが、そこで「違う人間なんだからわかりあえないのは仕方ないよね」の一歩先を行く話をコーチングを実践されているAkiさんの立場から聞けたのが非常に良かったです。

CQの領域は自分が不勉強で全然わかっていないのですが、スタート地点が自己認知という部分に近いのは感覚的にしっくり来て、面白かったです。

自分(というより人間?)が陥りがちなある種のバイアスを提示してくれただけではなく、20分という枠の中で、明日から行動できること(スキルを鍛える方法)までがしっかりと提示されていたのもすごく良かったです。

”エラい人”にチームの状態を見える化セヨ 〜組織にアジャイル浸透の輪を広げる チーム状況の定義/可視化/運用 のアイディア共有〜

"エラい人"がチームに実際に足を運んで様子を見てもらうことができるならそれは素晴らしいことだけどなかなかそうはいかない現場や状況もあるよね、という前提で、どうしたら現場に来てもらう以外の選択肢でチームの状態を"エラい人"に共有できるか?という話でした。

進捗よりも状態にフォーカスという言語化が見事で、状態が見えるような共有をするといいというのは自分の経験からもすごく腹落ちしたのですが、取り組み状況マップをはじめとした具体的な例も紹介してもらえたので、すごく実践しやすい発表になっていたのかな、と個人的には感じました。

魔法使いLyssa Adkinsの『Coaching Agile Teams』をひも解く

もしかしたら打ち合わせで事前に章を割り振る等の工夫があったのかもですが、名だたるコーチの方々それぞれで好きな章(参考になる章)が違うというのが本としてすごいなあと思いました。

章の紹介からも、それぞれの「らしさ」が全開だったので、どんな部分に共感したのか?というのが録画でもひしひしと伝わってきてよかったです。

名だたるコーチの方々が集っていたので、コーチ陣がどのように本書の内容を実践しているのか?という部分がもっと聞けるといいなあと勝手に感じてはいたのですが、それぞれの熱意がプレゼンから溢れていたので、聞いていて元気がもらえるような発表でした。

「エセ自己組織化」症候群から脱却し、約束を守るプロフェッショナルなアジャイルチームになるには -アジャイル時代のマネジメント進化論-

自己組織化に関連すると発表者の方々が考えられている文献を紹介してくれていたり、実際に社内でこれまでにない指標で計測をしてその結果を公開してくださっているのは非常にありがたかったです。

また、社内で実際に試行錯誤をしている段階にもかかわらずこうした場でPublicに内容を公開してくれていた点にも非常に意義を感じました。

一方で、冒頭で「今回は時間がないと思います」と話されていたように時間は足りない感じがして、どういう理由やどういう文脈でそれぞれの文献を紹介してくれているのかがわからず、話のつながりを理解することが難しく感じたので、その点は消化不良に感じました。

初参加者同士が知り合いになりDay1からワクワク3倍ロケットスタートが切れるセッション

当日セッション参加していた人がつながりを作るセッションだったため、セッションの内容的に後で録画を視聴してもしょうがなかったのですが、スポンサーセッションをこうして使っていいんだ、という感想を抱くセッションでした笑

Day0の知り合いを増やす会と比較した感想としては、RSGT参加者という共通のコンテキストをこちらのセッションの方がより利用しているなあと感じました。

三歩進んで二歩下がるスクラム〜一歩ずつ変化する開発組織〜

スクラムをスタートした時の話としては、導入としてとりあえずスクラムをそのままやってみる(まずはHowだけ実践してみる)というのにも一定の効果があるんだなあという感想を抱きました。

また、機械化したスクラムというのは、社内規定の標準化などの文脈だとめちゃくちゃあるあるだなあと感じるとともに、その後に混沌を起こしてでも変化と適応を促すという対応からは組織の本気度が伺えました。

3歩進んで2歩下がるというタイトルどおり、短期的には後退がありながらも長期的に見ると着実に前に進んでいる様子が伺えた良い発表でした。

右手に「正しいものを正しくつくる」、左手に「組織を芯からアジャイルにする」

前半にあった分断の話、誰も悪意を持っていないのに関係が悪くなる話、自分たちのWHYがなかなか見つからない話...は多くのリアルな現場を見てきたから市谷さんだからこそ重みを感じられる内容で、ずしんと響くような内容でした。(このプレゼン以外でも課題意識としてプレゼン内で述べられていたような話は何度も挙がっていたのでより重く感じました)

プレゼンでは組織全体を対象に話を展開してくれていましたが、チームに置き換えても通じる話は多くあるなあという印象で、実際にプロダクトづくりをしているからこそ自分たちの芯が見つかるという部分は、新たな示唆を与えてくれました。

だいくしーのスクラムBar出張開店!!

普段はイベントで参加しているだいくしーさんのスクラムBarが、RSGTでも開催されていて驚きました。

ゆるやかな雰囲気で語りつつも、参加者とインタラクティブに交流しながら、セッションに参加した人が今年の良いスタートを切れるようにプレゼン内で仕掛けがしてあって、非常によかったです。

このセッションだけには限らないのですが、スポンサーセッションといいつつもセッション参加者やRSGT全体の盛り上がりに大きく貢献するようなセッションばかりで、本当に尊いスポンサーの方々が集まっているなあというのを実感しました。

書籍「A Scrum Book: The Spirit of the Game」に記載されている実践や適応の順序を眺めてみよう

自分が大好きなA Scrum Bookをチラ見することができて、とても楽しいセッションでした。

純粋に本の内容の一部を紹介するようなセッションで、プレゼンテーションの中で何かしら独自の解釈が展開されるようなことはなかったのですが、Value Stream Sequenceにフォーカスして本の紹介があったのは、他セッションのラインナップからうまく差別化されていて良かったなあと思いました。

また、セッション終了後にA Scrum Bookをはじめとした本が無料で配布されるのは豪華すぎて、当日リアルタイムで参加しなかったことが悔やまれます。

対話を通して、自己管理できる組織に変化する歩み

方向性が揃っていないと感じる時に、まず仲間づくりにいったというのはなかなか聞かないアプローチでしたが、チームの中である種のロールモデル的な存在になってチームをぐいぐい引っ張ってくれた結果良い方向に行き出したというのが面白かったです。

また、ベストプラクティスを実施した後もそれをただ継続することはせず、定期的に向き直って丁寧に対話をしていくというのも素晴らしいなあと感じました。

一方で、時間の都合もあるのでやむを得ないところはあるのですが、導入部分の話のつながり(チームが目指している方向がばらばらだから冒頭のあるあるな状況が起きたのか)はもうちょい聞きたいなあと思いました。

パワポカラオケでYYしよう! 〜スクラムの価値基準を体現?!〜

一世を風靡した(??)パワポカラオケの元祖バージョンが聞けました。一体なんのセッションを聞いているのかわけがわからなかったのですが笑、最後はスクラムの価値基準で締めてなんとなくスクラムっぽくなっていたことに安心しました。

大物ゲストの登場とそのプレゼン内容、さらに大物ゲストと本家のデュエットが発生するという展開には吹き出しましたw

継続的な事業成長を実現する、ビジネスアジリティ獲得に向けた3つの視点からのアプローチ

ビジネスレベルにアジャイルを取り入れる際に、どのような形でNECさんがアプローチをしているのかが一通り説明されていて、支援内容のイメージがつくようなプレゼンテーションでした。

ビジネスアジリティが何を示しているのかや、アジリティスケーリングロードマップなど、もう少し説明が欲しい部分が多くありましたが、プレゼンの構成やスタイル的にやむを得なかったのかな、とも思いました。

The Agilists’ Emerging Superpower and Our Planetary Challenge

RSGTをはじめとしたスクラムフェスで講演を聞いていると、自分事にできている課題の大きさが自分とはぜんぜん違うなあというのを度々感じるのですが、これまで以上にそんな気持ちになる発表でした。

また、自身がパーソナルコーチングを受けているということもあり、エッジを渡るような行動を起こす重要性というのは非常に共感できましたし、そのためにまずは自分自身をよく知る&自分自身の意見に対してフィードバックをもらうことの重要性がセッションを通して実感できました。

スケールが途中からどんどん大きくなったのと、プレゼンテーションがめちゃくちゃ上手で感情を揺さぶるような発表だったという2点から、後半部分は話についていけず消化不良になってしまった感じがあったので、同時視聴などを活用しながら、何度か繰り返して話を聞いていきたいです。

ソフトウェア開発関係ない人向けに作ってみた、アジャイルにものを作るってどういうことか?

親しみやすい導入からスタートし、タイトルの通りアジャイルなものづくりがどんなものなのか?というのが具体的な例や論文を通して見事に整理されている発表でした。

個人的には、QUICKのシステムと馴染みが深い仕事をしていたこともあって、川口さんがQUICK時代に携わっていたシステムの話が導入で丁寧にされていたのが特に面白かったですし、狩野モデルや野中先生竹内先生のスクラムを体現していた様子が伺えたことに感動しました。

また、「Transforming Your Tech Talk: Sharing Technical Information With Non-Technical Audiences」のセッションで、技術に明るくない人に技術の話をするときにはどう説明すると良いのか?で語られていたようなTipsが見事に体現されていて、セットで見ると面白かったです。

自治体DXにアジャイルなマインドとスキルはどれほど役立つのか

自治体DXをしていく中でどんなポイントを岡島さんが意識しているのか?という話を聞くことができたのですが、その際にただ意識している内容を伝えるだけではなくて、岡島さんのバックグラウンドと紐付けながら話をしてくれたので、スキルのつながりや転用の仕方が分かって、すごくよかったです。

自分が特にすごいなあと思ったのは、固めなドメイン領域で知見があまり流通していないにも関わらず、ドメイン知識の勉強をめちゃくちゃ熱心に行い、エキスパートと会話ができるレベルまでスキルを高めているところで、ここは自分も見習っていきたいなあと思いました。

また、発表の本筋からは少し逸れているかも知れませんが、ツボ探索力、船中八策メソッド...言葉の作り方が絶妙な点にも感動しました。

「私考える人、あなた作業する人」を越えて、プロダクトマネジメントがあたりまえになるチームを明日から実現していく方法

森さんのセッションは毎回何百回と見返しているのですが、今回も自分の期待を超えてくる素晴らしいセッションでした。

これまでの話のおさらいみたいなところからスタートして、森さんらしく丁寧に一個一個の現象や問題を積み重ねていくスタイルが個人的にすごく好きというのがヒットしている理由としては一番あるのですが、今回はいつもに増してはっきりと問題提起と現実を突きつけられた感じがあったのがとても良かったです。

セッションを見て、この後の人生を通して向き合い続けたいと思えるようなテーマに出逢えたのは本当に久しぶりで、すごくわくわく感が溢れるセッションでした。

「笑顔の合意」のテクニック - 噛み合わない会話と対立を克服するための、エモさを排した実践的なスキルと技法 -

伊藤さんのセッションらしく丁寧に構成やスライドが作り込まれており、登壇者が二人という特徴も上手に活かされていて、素敵なセッションでした。

コアビリーフの話やNVCにおける観察やニーズの話など理論的な部分を話しながらも、kumagaiさんとの対話や現場での実際の体験談などを適度に混ぜながらお話されていて、抽象的な話になりがちなテーマを見事にまとめてくれていたのは特に印象的でした。

伊藤さんはこれまで技術にはっきりと寄ったテーマを話されることが多かったのですが、今回のセッションのように毎年新しい形を模索され、自身も学習を続けられていて、本当に尊敬の一言です。

ログの書き方がチームの生産性を爆上げする話

牛尾さんの経験(+会場の人の経験)を基にしながら、インシデント対応や問い合わせ対応のコストを下げる(=生産性を爆上げする)重要性が説明されたことで、技術的な内容が楽しく学べる発表でした。

個人的には、Database BrowseのつらみやAuto-Diagnosticsの威力が特に共感できました。
また、「自動化を原則としてログを書く」「LogはAPI」というのは、原則として持って置けると有効な判断指針として機能しそうだなあと思いながら聞いていました。

牛尾さんのエピソードを語るパワーはめちゃくちゃすごくて、技術系の話がこれだけいきいきと話されているのを見るのは自分は初めてでしたし、話を聞いているときもめちゃくちゃ楽しく聞くことができました。

ペアプロのすすめ

ペアプロに関する解説をする前半戦と実際にペアプロしてみたり皆でわいわい議論する後半戦の二本立てで、ペアプロの効果が実感できるセッションでした。

前半戦では、モブプロとペアプロの比較や心理的安全性が低い状態ならペアプロをやってみるといいのではないかという話が聞けて、それだけでもふむふむという感じだったのですが、後半戦では実際に心理的安全性が低いであろう初対面の人とペアプロを実践してくれたおかげで、前半戦の話の主張がより理解できてよかったです。

どんな人が来るかわからない状態でペアプロを後半で一緒に実践してみようというセッションにするのは、自分であれば相当な勇気が必要だしすごく緊張もしそうに思えたのですが、まったく物怖じせずに堂々とやりきっている様子は、尊敬しかありませんでした。

スタートアップはいつからスクラムを始めるのだろう?

スタートアップが立ち向かう課題やフェーズごとの特徴を基にしつつ、それぞれのフェーズでどのような意思決定をしていくのか?スクラムはどう活用できるのか?という話を聞けたことで、自分があまり馴染みのないスタートアップの様子やスクラムとの相性を知れて面白かったです。

リーンスタートアップの話が中心になるのかと想像していましたが、別の切り口からの説明も多く、良い意味で予想を裏切られました。

RSGTだとディスカバリーフェーズの話を詳しく聞けるような発表は少ない印象があるので、希少価値の高い発表に感じました。

1つのアプリを開発する複数の職能横断チームの運用と今後 - タクシーアプリ「GO」の現状と未来

以前発表してくれた内容の続編に近いような形で、チームの現在地点を紹介してくれた印象を持った発表でした。

足並みを揃えて組織全体でプロダクトをリリースしていくことの難しさが発表からひしひしと伝わってきましたが、その中でも独自の試行錯誤を繰り返されている様子が伺えたので、今後も継続して話を聞いてみたいなあと思いました。

また、以前の話を聞いていたからの感想かもしれませんが、こうして途中段階で一度ダンプして取り組みを共有してくれるのは過程の話がより鮮明に知れてよかったです。

The Stable Team - 機能する安定したチームをつくる -

丁寧な前置きからスタートして、ふわふわした内容&理解で終わりがちな内容に切り込んでいくスタイルが、自分が好きな近年の及部さんのスタイルらしくてよかったです。

内容としても「安定したチーム」を体現している及部さんだからこそ聞けるような話と、色々なナレッジがバランス良く詰められていて、面白く聞ける発表でした。

今回は、前半に色々な文献を持ってきながら足固めをしつつ、後半にSECIモデル→YOWという流れで、及部さんがきっと面白い(好き)と感じているんだろうなあという話題を詰め込んでまとめに帰着させていたところは、いい意味での強引さを感じられてすごくよかったです。

価値あるコミュニティを育む方法〜224個のコミュニティ観察記録〜

自分のセッションなので割愛します。

Transforming Your Tech Talk: Sharing Technical Information With Non-Technical Audiences

技術に明るくない人たちに対してアナロジーやメタファーを活用することでどのように自分たちの仕事を説明できるのか?という部分が具体的な例やアンチパターンに近い話を通して理解できてよかったです。

特に、キャッチーなケーススタディーでは、アナロジーやメタファーが理解にどれくらいの差をもたらすのか?がデータでも自身の感覚でもつかめたので、効果的なメタファーのパワフルさを実感することができました。

個人的には、ポップカルチャーやスポーツがメタファーが理解されにくい要因として、その分野にのめり込んでいる人からするとメタファーが表層的すぎてニュアンスが掴みきれないみたいなのがあるんじゃないのかな?とも感じました。

Fearless Change

医療機器の開発にもアジャイルなアプローチが十分に適用できるんだな、というのがストーリーを通して体験できる素晴らしいプレゼンテーションでした。

変化を起こす際のCulture/Structure/Processの整理はComing of Age day, SM Electionなどのおしゃれなセレモニーが素敵で、チームが遊び心を持ちながら主体的に変化するようなアクティビティになっており、チームに大きな変化が起きたポイントになったのかなあと勝手に想像していました。

また、プレゼンで触れられていた事例が他のプレゼンで触れられている事例と比較しても超劇的な改善が見られていて、純粋に感動しました。

Extreme Team Ownership

チーム全員がリーダーだという考え方やチーム同士の協力がミッションや忍耐から生まれてくる、というのはプレゼンテーションで出てきた事例や自身の経験からも共感できる話でした。

リーダーになる上での必須要素として挙げられていた謙虚さや素直さ、自身のミスを改善する姿勢などは、自分が一緒に働きたいと思うリーダー(もっと言ってしまえばチームメンバー)像とも被っていて、まずは自分自身がそうなれるように精進していきたいという気持ちがより強くなりました。

この直後にあったChibanaさん/Kimuraさん/Aratakeさんのプレゼンテーションと合わせて聞くことで、会社のバックグラウンドやリーダーとオーナーシップの関係性がつかめて、より興味深く聞けるなあと感じました。

リーダーの新常識ー80人の米国女性リーダー大調査!ー今のリーダーのペルソナと、女性社員40%超を実現し続ける組織の20年の改善

helpにHappyやLoveが出てくる話などを中心に、出てくるエピソードがリアリティと熱意に溢れていて、意識せずとも自然と聞き入ってしまうようなプレゼンテーションでした。

発表の構成としても、定量的な調査と定性的な一人のエピソードが見事に合わさっていて、プレゼンのコンテキストやバックグラウンドを頭に入れながら、調査結果がどのような個々人の想いから生まれているのか?というのが知れて非常に面白かったです。

リーダーは決して強い人や自分自身で望んでリーダーになっている人ばかりではないよ、という話はエラスティックリーダーシップの話も思い出しながら聞いていたのですが、チームメンバーに対して徹底的に寄り添おうという姿勢が根源にあるのかなあと発表を聞きながら思っていました。(特にSponsorの話を聞いたときにそう感じました)

Living Management -Good bye Scrum, Hello Semilattice-

「経営とアジャイルチームの溝」というテーマは、きょんさんがまさにこの数年で立ち向かってきたテーマだと思うので、今回のタイミングでこの話が聞けたのはめちゃくちゃよかったです。

「経営層」に限らず「QAチーム」や「PdM層」でもいいのですが、相手の立場がよくわからないときに相手のチームに入りこんで一緒に仕事をしてみるというのはよく取られるし有効性も証明されていると思うのですが、そこで「経営層に飛び込んだから一緒に成長できたからよかった」で終わらせないのがきょんさんらしくて、個人的には一番印象深い部分でした。

今回の発表は自分がきょんさんと同じ職場で働くようになってから初めて見た発表だったのですが、「職場で実際にやられていることを発表として言語化するとこういう感じになるんだなあ」という視点で話を聞くことができて、なんとも不思議な感じがする印象的な発表でした。(実際に仕事で見慣れた問いや見慣れたMiroボードが出てきたのも面白かったです)

だったら WF でやればいいぢゃない! 〜 ところでホントに WF をご存知ですか? 〜

本人も言っていたように、プレゼンというよりもエンタメという感じがすごくするプレゼンで、ウォーターフォールにまつわる色々な知識を色々な角度から話しつつも、しっかり笑いに昇華させようという姿勢が節々に見えて、楽しく聞ける発表でした。

内容としてもRoyceウォーターフォールの周辺領域をいい感じにまとめてくれていて、ウォーターフォールにまつわる誤解をしている人には結構ささったんじゃないかな?と思って聞いていました。

個人的にはところどころにあったカレーの写真がどういう理由でチョイスされているのか?がすごく気になったのですが、そのあたりもTommyさんの術中にはまっているのかな?という気がしましたw

ラグビー元日本代表がスクラムやってみた

今回最大のキラーコンテンツな発表でした。

多少強引に紐付けていないか疑いを持つ部分もありましたが笑、チームビルディング、スクラムフレームワーク、3つのロール...と至るところでラグビーとの共通点を感じられて楽しかったです。
その道のエキスパート(今回であればラグビー)になると、スクラムではなかったとしても何でもその道の内容に紐付けて話ができるようになるのかな?と思えるような発表でした。

そして、プレゼンのゴールが「ラグビーに興味を持ってもらう」なのは自分の中では前代未聞すぎて吹き出しましたw

デスマーチから身を守るたったひとつの方法

デスマーチからは逃げるしかなくいということですが、逃げることを躊躇させる魔物がいるということで、その紹介がありました。

仕事にすべてを捧げてしまうという話や自分しかできないからやるんだ、みたいな思想には、思い当たる場面がいくつかあり、苦くて辛い記憶を呼び起こされ、プライベートの時間の重要性やバス係数=1の危険性を改めて実感しました。

デスマーチを複数回経験してきたであろうshioyaさんがプレゼンの中で繰り返された、「逃げる」以外にデスマーチから身を守る方法はないよという話を非常に重く受け止めることができた実感があるプレゼンでした。

F1 お茶の水グランプリ'23

RSGT仕様だったのか、お題がいつも以上に刺激的に感じるレースでした。
お題の影響もあったのか、お互いの様子を伺うような場面やお題の解釈に対して探りを入れる場面も数多くあったのですが、結果的にいつも通り鋭いフィードバックが返されていて面白かったです。

観衆を盛り上げる解説も見事で、適度に煽りながらたまにぽろりと出るお題を見て感じたことも見事でした。

しばらく見られなくなってしまうのは寂しいのですが、またどこかの機会で見られるよことを楽しみにしています。

auでんきアプリチームのカイゼンジャーニー

スクラムを7年間続ける中で、惰性に近いような形にしらずしらずになってしまっていたスクラムチームを、タイガーチーム(発表の中では鬼さんチーム)を作るような形で刺激を入れ、改善していったというストーリーが面白かったです。

まずは「守」となる部分を守ろうという文脈で、スクラムガイドに書いてある内容に半信半疑でありつつも書いてある内容そのままに徹底的に取り組んでみると良いことが起きる好例の発表でした。

話を聞いていて、自分たちが惰性でこなしている状態になっているのか?望ましい取り組みを継続できているのか?というのは一見すると大きな違いに見えて中の人視点だと違いが見えにくくなってしまうんだなあというのを実感しました。

異世界から始めるアジャイルな仕事場の創出

ゲームのデモ動画(!?)が発表時間の大半を占めるという斬新な発表でした笑

もともと発表で紹介されていたプロダクトは知っていて、ゲームでアジャイルを体験してみようというアイデアはすごくいいなあと思っていたのですが、実際に異世界に転生した様子を見たのは初めてで楽しかったです。

リアルな人が出てくることでリアリティがだいぶ出ていて、本当に混乱している職場に迷い込んだような気がしました。

発表の最後に少し聞けた開発の裏側的な話も、これまただいぶリアルで、他の発表と比べても明らかに異色なプレゼンを聞いた後の聴後感を得ました。

Can you really avoid being termed as a Ticket Master or Meeting Master?

スクラムマスターが"チケットマスター"になったり"司会者"になってしまうというありがちなトラップを避けるためにどのようなことをすればいいのか?という話を、クイズや"チケットマスター"をはじめとしたキャッチーな単語のもとに聞けました。

原則チームで一人だけの役割ということもあって、脚光を浴びたくなってしまったり自分の存在意義を高めるようなふるまいをしようとしたりしてしまうというのは、どこでもよくある話なんだなあというのが改めて感じられるセッションでした。

Agile Nepalにもぜひ行ってみたいです。

デイリースクラムの”守破離” - 日々をより楽しく有意義にするヒント -

頻度の高いイベントだからこそ楽しくやりたいよね、という部分を原点にして、デイリースクラムの改善アイデアを聞けた発表でした。

個人的には、守/破/離の3stepの話というよりは、デイリースクラムを改善するための3つの異なる観点からのアイデアになりそうだという印象を受けましたが、一つ一つのアイデアが生まれた背景や、なぜそういうアイデアがいいと思ったのか?という部分とアイデアの繋がりが丁寧に説明されていたので、すっと内容が入ってきやすかったです。

また、デイリースクラムの話は意外と一つのプレゼントして話を聞く機会が少ないので、こうして話を聞くことができて楽しかったです。

サイボウズスクラムマスター育成・評価事情を語る会

評価をする際に年収をどう設定したか?サイボウズさんが考えるスクラムマスターが育ちやすい環境とはどのような環境か?という話を時間が許す限り聞くことができて、非常に面白い発表でした。

個人的には、年収の下限を設定した際に現れていた考え方の部分が特に面白くて、「ソフトウェア開発をしたことのない新人がいきなりスクラムマスターとして活躍するのは難しい」「最低額にスクラムマスターという仕事の厳しさも載せている」という考え方は金額の下限設定をする上で、スクラムマスター評価の一つの軸になってくるんだろうなあと思いました。

一般的には評価の話ってなかなかセンシティブな話題で、こうしたオープンな場ではなかなか聞くことができない話なのですが、質疑応答を含めて包み隠さず公開されていたのがよかったです。

最近のアジャイルな現場における傾向をオージス総研のモデラー目線で語る

業務フロー図やステークホルダーマップ、CJM、USMなどを使っている際に気にしている観点やそれぞれのツールのユースケースと効果、ツールを作る中で大切にしていること...が聞けたのが非常によかったです。

特に山内さんの話にあった法律関連の整理などは金融ドメインに携わっていた自分の立場からするとめちゃくちゃ分かるような話が多く、規制業界でアジャイルに進めていく上でめちゃくちゃ大事なポイントや知見が詰まった発表だなあと感じました。

Discover to Deliverを切り口にして、豊富な経験を持つ方々がシステムの性質別にどのような観点から入り込んでいくのか?という話を聞くことができて非常に学びになるセッションでした。

スタメンのLeSSの導入と事業部全体を巻き込んだアウトカム文化への道のり

「頑張って仕事をしているんだけど価値が提供できていない気がする...」という悩みから、思い切ってかなり大規模スクラムの導入を組織レベルで実施した話を聞くことができました。

スクラムを経験したことがない状態でいきなり大規模スクラムを導入、というのは聞いただけで身構えてしまうような状況ですが、マネージャーがコーチングを受けたり書籍を社員に無料で配布したり、評価項目を大きく見直したり1on1を導入したり...数々の試行錯誤を繰り返してステークホルダーの評価を良化させたという話は素晴らしかったです。

もちろんうまくいかなかったところや試行錯誤段階の話も多数あったんだろうとは思いつつも、本気度が高ければこれだけの変革を1年という期間でこれだけ推進することができるんだなあというのはまじまじと感じました。

オンラインのアジャイルチームにみる「ながら聞き」の効能と副作用

リモートワークでスクラムをしたら失敗してしまったという事例の話と、「ながら聞き」を活用してそこから脱した話を聞くことができた、生々しい発表でした。

オンラインでスクラムを実施したことで個人主義が蔓延したり当事者意識が欠如したり情報の偏在があったりといった失敗続きだったチームに対して、いわゆるベストプラクティス*1に近い取り組みがうまくいかなかったというのはなかなか辛い話でしたが、そこで生まれた「ながら聞き」を取り入れのアイデア話は非常に面白かったです。

話を聞いていて、ながら聞きすることでチームの状況が「ほどよい感じ」で理解ができる(100%理解できないがなんとなく困っていることは把握できる)というのが大切だったんだろうなあと感じました。

なぜ変化を起こすのが難しいのか? - 数年以上に渡って難しさに向き合い考え取り組んできたこと / The reason why changing organization is so hard - What I thought and faced for more than several years

「組織変革って大変だよね」「文化を変化させるのには長い時間がかかるよね」という話が主軸になるプレゼンやディスカッションは、組織やチーム関連のイベントまたはカンファレンスに参加すると必ずといっていいほど聞く話で、これまで数百回くらい聞いてきた気もするのですが、これまで聞いてきた話の中でももっとも素晴らしい話でした。

前半の理論的な部分は、多くの書籍をベースにした引用や説明がありましたが、知識の押しつけをされているような感覚はまったくなく、RSGTの参加者のコンテキストからすっと受け入れられるような話になっていてお見事でしたし、後半の話はiwashiさんのこれまでの経験や成し遂げられていたことがぎゅっと濃縮されて、見事な内容でした。

特に後半部分は、90分丸々話さなかったことがすごくよかったと思っていて、短い時間だからこそ濃縮度がぎゅっと高まりつつRSGT参加者というコンテキストでプレゼンを聞いていた人たちの心を鷲掴みするような内容になっていて、本当に素晴らしかったです。

OSTを120%楽しもう‼︎ 誰でも簡単に実践できるtips教えます。

プレゼンの内容+寸劇のセットで、こちらのセッションも5本の指に入るくらい印象的でした。

これまでOSTといえば及部さんのスライドのイメージが強かったのですが、そこを上書きされるような素晴らしい内容だったのに加えて、OSTでテーマを出してみることに対するハードルが一気に下がるような寸劇がセットになっていて、素晴らしかったです。

表現が難しいのですが、悪い意味でハードルが下がってテーマ自体の質も低下してしまうパターンと良い意味でハードルが下がってテーマ自体の質は低下しないパターンの2つがあると思っていて、今回は後者の良い意味でハードルが下がってテーマ自体の質は低下しないパターンだったというのも個人的にはすごいなあと感じました。

実際にOSTのテーマが爆発的に増加したという形でアウトカムが出ていたのも、印象的でした。

*1:状況の見える化や全員Zoom繋ぎっぱなしなど

ふりかえりカンファレンスの全セッション感想

retrospective.connpass.com

ふりかえりカンファレンスの全セッションを見たのでその感想を書いていこうと思います。

なお、カンファレンス当日に見たセッションの感想に関しては、当日に書いたブログ記事の内容から引用しています。

aki-m.hatenadiary.com

ふりかえり変幻自在

confengine.com

「味変といえば唐揚げが思いついた」というメタファーからのスタートでしたが、そこからぐんぐんと話が伸び、唐揚げはもちろん途中で出てきた大富豪のメタファーからやっとむさんが考えている味変のイメージがひしひしと伝わってきました。

もちろんメタファー紹介だけに閉じず具体的にやっとむさんがやっていることも紹介してくれたのですが、やっとむさんは再現性がある形での言語化/話の整理がめちゃくちゃ上手だなあというのが素直な感想で、プレゼン自体からも学ぶことが多くありました。

また、Fun/Done/Learnが生まれた場で起きていたことや、Fun/Done/Learnが育っていく過程の話を聞くことができたのも、何かしらが生まれる過程の話を聞くのが好きな自分にとっては最高でした。

こうしてふりかえりは終わってしまった〜ふりかえりが停滞するメカニズムと息を吹き返すためのいくつかの方法〜

具体的で実際にありそうな例からスタートし、わかりやすい切り口で何が起きていたのかを説明してくれて、最後にふりかえりの停滞から脱却する具体的な方法を教えてくれるという流れで、チーム形成初期の方々にはめちゃくちゃ刺さる内容なんじゃないかなあと思いました。

この発表で触れられているのは学習の変化が起きるような過渡期で起きうるシグナルの一つだと思うのですが、そこでただ手法を変える話にとどまらず、どのようなことをチームに伝えていくのか?という説明を丁寧に行っている部分はさすがのいくおさんクオリティで、素晴らしかったです。

スライドも話し方も含め、発表の細かいところまで作り込まれているなあと感じる話で、あっという間の45分に感じました。

古いから新しい! Project Retrospectives のふりかえり〜1年弱翻訳を続けて得た学び〜

これは自分たちの発表なので省略します。

ふりかえりは関係性の再構築から始める 〜 話し合える関係性を作る方法

知識と参加意欲でチームメンバーをマッピングして、ふりかえりの中で関係性を活かしていくのか?それとも活かさないようにするのか?を考えていくというお話でした。

関係性を「活かさない」というのがいまひとつイメージがつかなかったのですが、チームメンバーが一言ずつ話したりチームメンバー全員に付箋を書いてもらうようにしたりといった割と普段見る光景が説明されて、関係性を「活かさない」のも選択肢の一部なのかーというのを知れたのは学びでした。

また、関係性を再構築する時のテクニックは、自分自身も違う意図でやることが多いプラクティスやTipsが話されていて、「なんとなくこういうときにやればうまくいくなー」と実感していたものが、どういうメカニズムでうまくいくのか聞けたのもよかったです。

「ふりかえりアレルギー」だった私がFun Done Learnをここまで好きになった理由

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ふりかえりアレルギーだったところからFun/Done/Learnの歌を作るまでふりかえりが好きになった理由や、そこに寄与したいきいきとした楽しい職場の話を聞くことができて、元気をもらえる発表でした。
最後はお待ちかねのFun/Done/Learnの歌のふりかえりカンファレンスバージョンを聞くことができて最高でした。

なお、piyoさんが今後プロポーザルや自身のキャラづけの領域展開をどうしていくのか悩んでいるという話を聞いた後に聞くと、なお味がある発表でした。

インフラ構築をふりかえりでカイゼンする! - お互い何してるかわからないチームから、モブ・ネットワーク機器コンフィグ作成をやるチームへ

インフラ構築に対するふりかえりという部分が独自性として打ち出されていた発表でしたが、ボランティアに近い形のPJで行ったふりかえりの話をこれまで聞いたことがなく、その部分が個人的には面白かったです。
具体的には、定期的に集まることで起きたことや、PJに対するモチベーションの向上のような話が聞けたのは学びになりました。

また、みずきさんが発表で紹介していたPJが、めちゃくちゃ面白そう&メンバーとして素敵な方々が集まっていそうだったので、今度もっとPJの話を聞いてみたいなあと思いました。

実録!ふりかえりを400日間続けると人はどう変わるのか?ふりかえりをふりかえり!

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400日続けようとしてみた結果、その過程で起きたことや続ける際のモチベーション...の話をそれぞれ異なる視点で聞けたので、「自分の場合もそうなりそうだなー」「自分の場合はこうならないなー」みたいなことを考えながら楽しく想像できて、とっても楽しかったです。

最後の実践ふりかえりのところは、昨年以上に皆さんの仲の良さを実感することができて、ほっこりしました。

DevOpsに投資するリソースの無いスタートアップがふりかえりを改革して自己組織化されたチームへ近づいている話

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スタートアップという多忙なコンテキストになりがちな環境で、如何にしてふりかえりを活用していったか?というのを聞くことができる発表でした。

keynoteから怒涛のFun/Done/Learn祭りで、Fun/Done/Learnのパワーを実感できたのが非常に印象的だったのと、忙しいからこそふりかえりが強力なプラクティスになるんだなあというのがまじまじと感じられるプレゼンで楽しかったです。

また、発表の内容とは直接関係ないのですが、「ふりかえりが趣味なんですよねー」「ふりかえりが好きなんですよねー」という方は自分の周りだとたくさんいらっしゃるのですが、毎日ふりかえりを続けて3年40冊というのは圧巻でした...!

塩をひとふり、素材の味を引き出す、ふりかえりランゲージ

ふりかえりで場を和ます言葉、学びを促す言葉を中心に紹介してくれるセッションでした。

場を和ます言葉の部分では、明るい=笑いが必須ではないよ、個人が努力でできる範囲でムリがない提案で素敵だなあというのを感じました。

学びを促す言葉の部分では、色々な言葉を紹介しつつも、問いかけが思いつかなかったときに「ここから学べることは何かありますか?」と端的に聞いてしまうというのが、河野さんらしさを感じて個人的には好きでした。

台詞のレベルで言葉が紹介されていたので、実用性も再現可能性も高いし、明日からすぐに使えるような内容の発表になっていたのかなあと感じました。

シリコンバレーのチームで経験したふりかえり - 共通点とギャップ

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よこなさんも話していた通り、シリコンバレーの一社だけの話ではありますが、ふりかえりで出てくるテーマの違いやAgile Retrospectivesの話をはじめ、聞いていて思わず「へー」という言葉が自然と出てくるような話が幾つも聞けて面白かったです。

特に、Easter RetrospectiveやThanks Giving Retrospectiveといった手法は、使用しているメタファーの視点が普段の話と絶妙にずれていたので、ぜひ一度Tryしてみようと思いました。

(以降はプレゼンの直接的な内容に対してのコメントというわけではないのですが)よこなさんのチャレンジと行われている取り組みや考え方にはいつも刺激を受けていて本当に尊敬しています。大変なことは幾つもあるかと思うのですが、よこなさんがわくわくするような選択がこのあとできるようになることを、心から願っています。

誰もが大嫌いな「振り返りと名付けられたアウトプットのない儀式」をhackした

噂には聞いていましたが、録画でみてもなかなか強烈な発表でした。

言葉が出なくなってしまうほど強烈な障壁が訪れる中で、相手のメリットを考えつつも自分たちのチームをよくすることに貪欲に取り組まれている話を聞くことができて、非常によかったです。

この発表を聞くまで、現実には存在しないような事象を仮想敵として話しているんじゃないかな?と思っていた話が実際に存在することを知って、こういう現場もまだまだ実在するんだなあ...となんとも言葉にし難い心情になる発表でしたが、そうした現場でも成果を出しているnambuさんに対して強烈なリスペクトを抱きました。

チームの状態を「即興性」の視点からふりかえってみよう~素早く学習できるチームになるために

チームの類型化の話は色々な論文がありますが、インプロバイザーの視点(利他性/自発性/挑戦性の視点)からチームを類型化した話は初めてで、非常に面白かったです。
それぞれの視点で、どういう人は合わない可能性があってどういうことが起こりがちなのか?という部分の説明も時間を割いて丁寧に話してくれたので、イメージがつきやすく簡単なセルフチェックにも使えるなーと思いながら聞いていました。

発表の構成としても、インプロを強くpushしていくようなスタイルではなく、聴講者にとって馴染みがあるであろう心理的安全性とインプロの共通点という部分から、聴講者のコンテキストで話を組み立ててられていた感じがあって、非常によかったです。

ポジティブとネガティブを両立させる ふりかえりのファシリテーション - Deep Democracy Retrospective -

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LT前最後のセッションとして、Ryoさんから学びの最大化をするためにネガティブポジティブを両立させようというお話を聞いていきました。

場の流れに合わせて無理やり処理するのではなく他社の発言をまず認めるというお話や、そうして発散したふりかえりの場を如何にして閉じるのか?という話など、あまり他の発表では聞けないような発表を聞くことができて楽しかったです。

ふりかえりをファシリテートしているときの根本的な問題意識というのは2年前にされていた発表と大きくは変わっていないのかなーと思いながら聞いていたのですが、その問題に対してのアプローチや状況の取り扱い方というのは全然変わっていて、非常に面白かったです。

LT

フィードバックが欲しいと言われたインターンシップにふりかえりを導入してみた話

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インターンにふりかえりを組み込むことで、インターン生の学びを増幅させたお話を聞いていきました。

インターンにふりかえりを盛り込んだという取組ももちろん素晴らしかったのですが、積極的に自らインターンの担当に立候補して取組を考えたり、外部のカンファレンスで得た学びを積極的に社内に取り入れているのも素晴らしいなあと感じました。

好きな歌を手がかりに新しいふりかえりをつくろう! - GetWildの場合

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Get Wildリリース日にGet Wildを活用したふりかえり手法の提案を聞いていきました。

LTらしいネタ発表かと思っていたのですが、ふりかえりとしての完成度がめちゃくちゃ高かった上に歌詞も1番2番を見事に活用されていて、手法としても歌の利用度としても完璧な手法になっていて、普通に自分自身で一度やってみようと思いました。

「ふりかえり」は、Retrospectiveか、Reflectionか

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続いて、KPTの第一人者である天野さんの発表を聞いていきました。

ふりかえりというとRetrospectiveのイメージが自分の場合は強いのですが、Reflectionのイメージが強いという方も多く、そのあたりの差分がチーム/個人の文脈で出てくるのが発表で明らかになって、面白かったです。

天野さんらしく、丁寧に原典からRetrospectiveとReflectionの整理をしてくれていて発表のクオリティがめちゃくちゃ高かったのはさすがでした。

プロダクトチームから他部署に伝播するふりかえり文化

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自分が好きなふりかえりをどのように広げていったのか?というのを聞いていきました。
取組自体がすごく素敵だったのでそこへの共感が強かったのですが、自身がやられた活動を丁寧に言語化してくれた発表で、取組が浸透するまでの過程を追えたのはすごくよかったです。

また、経理担当者とふりかえりの相性の良さというのは今まで聞いたことがない話だったので、そこも面白かったです。

ダイエットはいいぞ!! ふりかえりに臨む前にもう一つ必要なこと

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続いて、アジャイルを知った経緯はダイエットというパワフルな出だしから始まるこちらの発表を聞いていきました。

ダイエット×ふりかえりというのはなんとなく相性の良さを感じてはいましたが、実績を出している方からの言葉に重みがあったことも影響したのか、ふりかえりなしでダイエットをするのは不可能なのではないかと思わされるほどインパクトが個人的にはありました。

ふりかえりとの共通点が学べたのはよかったのですが、ダイエット方法も知りたかったです笑

これまで10年くらいふりかえり続けて思ったふりかえりに必要なたった1つのこと

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yumechiさんの10年間の経験から、ふりかえりはアクションが重要だと思い至った経験談、コミュニティやカンファレンスでふりかえりが機能しやすい理由などを聞いていきました。

10年ふりかえりを続けているというのは単位がすごいなあと思って、n=1とはいえアクションがたった一つの大切なことになると考える理由にも納得していたのですが、途中からしれっと展開が変わって2つ目に愛が追加されていくというのは笑いましたw

KPT-TOD(KPTを味変してみた)

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続いて、海外開発拠点で多国籍なシステム開発の協働経験やふりかえり経験があるというTakaさんからの話を聞いていきました。

馴染み深いKPTの気軽なアレンジ方法としてTry Oldというお手軽なやり方を提案してくれたのですが、多くの現場で行われているKPTからの一工夫という点で実践容易性がありそうでしたし、実践した際の効果も実感できて興味深かったです。

HYOW/JYOWにしてみたYOW!〜YOWに背景(Haikei)や状態(Joutai)を足してみた

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最後にとんでもないキラーコンテンツがぶちこまれた発表でした。

YOWのカスタマイズをなにかをYOWに加えるという形でしている話はあまりみてこなかったのでどんな工夫でどんなことが起きるのか楽しみにしていたのですが、コンテンツ力があまりにも高すぎて、肝心の内容がさっぱり頭に入ってきませんでしたwww

ふりかえりカンファレンスをフリカエル

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自分が見ていたセッションを思い出せるというのはもちろん良かったですし、見ていないセッションでも多数気になるセッションの話を聞くことができて録画視聴の優先順位づけが自然とできた最高の時間でした。
他にも、セッションのつながりというのがフーリーとカエリーによって表現されているのは素晴らしかったです。

最後にふりかえりがたっぷり45分近くあるというのは本当によくて、なかなか時間の余裕がないことは承知の上で全カンファレンスで取り入れてほしいです。

アーキテクティングの面白さを語ろう ! ~未来のソリューションアーキテクトの皆さんへに参加してきた

aws-dev-live-show.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

私たちソリューションアーキテクトの仕事は、テクノロジーを活用して世の中をより良くすることです。 学生から企業の開発者、IT 担当者、経営者まで、日々あらゆる方々とお話ししながら技術的な支援を行っています。

「この課題を解決したい」「こんなサービスを実現したい」という思いが共通している点では、私たちだけではなく、私たちと関わってくださる全ての皆さんがソリューションアーキテクトです。今これをお読みになっているあなたも、もしかしたらその一人かもしれません。

そこで今回の AWS Developer Live Show では、ベテランから新卒まで、3 人のソリューションアーキテクトが座談会形式でアーキテクティングの概要と面白さをお話しします。AWS のことをまだよく知らない、使ったことがない方もぜひお気軽にご視聴ください。

会の様子

あるテーマが与えられて、そのテーマに対して荒木さん石尾さん原さんがわいわい答えてくれる形式で進みました。以下、テーマとその内容を記載していきます。

なぜソリューションアーキテクトになったのか?(ソリューションアーキテクトになったきっかけ)

  • 大きなシステムの中身を考えることが子供から好きだった
  • 情報科学を専攻していたこともあって、新卒のときから顧客を直接技術で支援するようなソリューションアーキテクトに魅力を感じた

ソリューションアーキテクトとは何か?

  • システム全体をトータルで考えるとこうなるだろうなあというのを考える仕事
  • 幅広い仕事で、何でも支援する仕事なのかな?と思っている。顧客のやりたいことを翻訳する仕事
  • あらゆる顧客のビジネス価値(システム価値)を高めるためにどうしたらいいのか?を考える仕事

普段のソリューションアーキテクトの仕事はどんな感じか?

  • 顧客から正解を教えてもらうのではなく、顧客から色々学びながらシステムをどうしたらもっとよくなるのか考えている
  • 外から介入するような形になる。顧客が思いつかないような視点からアイデアを出せたりすると面白い
  • あえて外部の目から視点を提供できるようにすることを心がけている
  • これ内部の人だと言いにくいだろうなあと思えるような意見をあえていうことを心がけている
  • AWSという冠を背負っているので、AWSに関しては間違っていることは言わずにすぱっとAWSにサービスにまつわる提案をしている。一方で、AWS以外は間違えても仕方がないという前提があるので、触媒となるような動きを意識している

フラットな関係性を気がつくために考えていることは?

  • しっかりと自分の意見を言い切ること
  • AWS以外で良いソリューションがあるんじゃないか?というのを常に考えるようになっている
  • 他サービスとの比較や自社でしくみを作ることの検討を誠実に行っている
  • 顧客の立場になりきる。自分ならどんな視点で支援をして欲しいかな?というのを考える。あるべき選択肢ではなくTime is Moneyの視点で選択肢を考えたりする
  • 答えを出すというところよりも一緒に寄り添って考えることが重要だと思っている
  • 本当に困っているポイントは何か?を一緒に考えるようにする。ただ、一旦前に進みたいみたいな状況もあるので、毎回必ず何が一番大事なんだっけ?を考えなくてもいい
  • 「寄り添う」よりも「壁打ち」くらいの気持ちでいる。ただ単に考えていることを聞くだけ
  • ソリューションアーキテクトがいなくても選択できるのか?みたいな部分を支援することを意識するようにしている

ビジネス構造に手段であるシステムが依存していることが多いのだが、どう考えているか?

  • 新しいことをやることに抵抗するのはやめたほうがいい
  • ちょっと仕事の営業みたいになってしまうが、一旦AWSを使ってみて欲しい。無料クレジットやハンズオンみたいな形でちょっとずつ管理を楽にしていくと解消されると思う

ゆるやかに新しいことにチャレンジするということに対して「こういう風によくしていく」みたいなアプローチで進める時の注意点は?

  • 少しずつ進めることも大事だけれど、目指したい未来を思い返してもらって、ゴールにいきなり近づくような思い切りみたいなのも重要だったりする
  • がっつり時間をブロックしたり、日々の仕事との兼務ではなく専任でやってもらったりする
  • ドキュメントやモックアップによるエンパワーリングをしていく

顧客としては何をどれくらい準備すればスムーズにコミュニケーションできるか?

  • 具体的な実装方法よりも背景や目標の部分を整理してもらえるとスムーズにコミュニケーションが取れる
  • AWS Practitionerレベルの実務知識は必要だと思う

ソリューションアーキテクトでなければ何をしていたか?

  • ソフトウェアエンジニア
  • 起業
  • 変な人になっていたかもしれない笑

会全体を通した感想

色々なバックグラウンドを持ったソリューションアーキテクトの方々の話を聞くことができて面白かったです。

特に、新卒でソリューションアーキテクトとしてキャリアをスタートした人の話は初めて聞いたので、興味深く聞くことができました。