天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

ふりかえりカンファレンスの全セッション感想

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ふりかえりカンファレンスの全セッションを見たのでその感想を書いていこうと思います。

なお、カンファレンス当日に見たセッションの感想に関しては、当日に書いたブログ記事の内容から引用しています。

aki-m.hatenadiary.com

ふりかえり変幻自在

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「味変といえば唐揚げが思いついた」というメタファーからのスタートでしたが、そこからぐんぐんと話が伸び、唐揚げはもちろん途中で出てきた大富豪のメタファーからやっとむさんが考えている味変のイメージがひしひしと伝わってきました。

もちろんメタファー紹介だけに閉じず具体的にやっとむさんがやっていることも紹介してくれたのですが、やっとむさんは再現性がある形での言語化/話の整理がめちゃくちゃ上手だなあというのが素直な感想で、プレゼン自体からも学ぶことが多くありました。

また、Fun/Done/Learnが生まれた場で起きていたことや、Fun/Done/Learnが育っていく過程の話を聞くことができたのも、何かしらが生まれる過程の話を聞くのが好きな自分にとっては最高でした。

こうしてふりかえりは終わってしまった〜ふりかえりが停滞するメカニズムと息を吹き返すためのいくつかの方法〜

具体的で実際にありそうな例からスタートし、わかりやすい切り口で何が起きていたのかを説明してくれて、最後にふりかえりの停滞から脱却する具体的な方法を教えてくれるという流れで、チーム形成初期の方々にはめちゃくちゃ刺さる内容なんじゃないかなあと思いました。

この発表で触れられているのは学習の変化が起きるような過渡期で起きうるシグナルの一つだと思うのですが、そこでただ手法を変える話にとどまらず、どのようなことをチームに伝えていくのか?という説明を丁寧に行っている部分はさすがのいくおさんクオリティで、素晴らしかったです。

スライドも話し方も含め、発表の細かいところまで作り込まれているなあと感じる話で、あっという間の45分に感じました。

古いから新しい! Project Retrospectives のふりかえり〜1年弱翻訳を続けて得た学び〜

これは自分たちの発表なので省略します。

ふりかえりは関係性の再構築から始める 〜 話し合える関係性を作る方法

知識と参加意欲でチームメンバーをマッピングして、ふりかえりの中で関係性を活かしていくのか?それとも活かさないようにするのか?を考えていくというお話でした。

関係性を「活かさない」というのがいまひとつイメージがつかなかったのですが、チームメンバーが一言ずつ話したりチームメンバー全員に付箋を書いてもらうようにしたりといった割と普段見る光景が説明されて、関係性を「活かさない」のも選択肢の一部なのかーというのを知れたのは学びでした。

また、関係性を再構築する時のテクニックは、自分自身も違う意図でやることが多いプラクティスやTipsが話されていて、「なんとなくこういうときにやればうまくいくなー」と実感していたものが、どういうメカニズムでうまくいくのか聞けたのもよかったです。

「ふりかえりアレルギー」だった私がFun Done Learnをここまで好きになった理由

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ふりかえりアレルギーだったところからFun/Done/Learnの歌を作るまでふりかえりが好きになった理由や、そこに寄与したいきいきとした楽しい職場の話を聞くことができて、元気をもらえる発表でした。
最後はお待ちかねのFun/Done/Learnの歌のふりかえりカンファレンスバージョンを聞くことができて最高でした。

なお、piyoさんが今後プロポーザルや自身のキャラづけの領域展開をどうしていくのか悩んでいるという話を聞いた後に聞くと、なお味がある発表でした。

インフラ構築をふりかえりでカイゼンする! - お互い何してるかわからないチームから、モブ・ネットワーク機器コンフィグ作成をやるチームへ

インフラ構築に対するふりかえりという部分が独自性として打ち出されていた発表でしたが、ボランティアに近い形のPJで行ったふりかえりの話をこれまで聞いたことがなく、その部分が個人的には面白かったです。
具体的には、定期的に集まることで起きたことや、PJに対するモチベーションの向上のような話が聞けたのは学びになりました。

また、みずきさんが発表で紹介していたPJが、めちゃくちゃ面白そう&メンバーとして素敵な方々が集まっていそうだったので、今度もっとPJの話を聞いてみたいなあと思いました。

実録!ふりかえりを400日間続けると人はどう変わるのか?ふりかえりをふりかえり!

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400日続けようとしてみた結果、その過程で起きたことや続ける際のモチベーション...の話をそれぞれ異なる視点で聞けたので、「自分の場合もそうなりそうだなー」「自分の場合はこうならないなー」みたいなことを考えながら楽しく想像できて、とっても楽しかったです。

最後の実践ふりかえりのところは、昨年以上に皆さんの仲の良さを実感することができて、ほっこりしました。

DevOpsに投資するリソースの無いスタートアップがふりかえりを改革して自己組織化されたチームへ近づいている話

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スタートアップという多忙なコンテキストになりがちな環境で、如何にしてふりかえりを活用していったか?というのを聞くことができる発表でした。

keynoteから怒涛のFun/Done/Learn祭りで、Fun/Done/Learnのパワーを実感できたのが非常に印象的だったのと、忙しいからこそふりかえりが強力なプラクティスになるんだなあというのがまじまじと感じられるプレゼンで楽しかったです。

また、発表の内容とは直接関係ないのですが、「ふりかえりが趣味なんですよねー」「ふりかえりが好きなんですよねー」という方は自分の周りだとたくさんいらっしゃるのですが、毎日ふりかえりを続けて3年40冊というのは圧巻でした...!

塩をひとふり、素材の味を引き出す、ふりかえりランゲージ

ふりかえりで場を和ます言葉、学びを促す言葉を中心に紹介してくれるセッションでした。

場を和ます言葉の部分では、明るい=笑いが必須ではないよ、個人が努力でできる範囲でムリがない提案で素敵だなあというのを感じました。

学びを促す言葉の部分では、色々な言葉を紹介しつつも、問いかけが思いつかなかったときに「ここから学べることは何かありますか?」と端的に聞いてしまうというのが、河野さんらしさを感じて個人的には好きでした。

台詞のレベルで言葉が紹介されていたので、実用性も再現可能性も高いし、明日からすぐに使えるような内容の発表になっていたのかなあと感じました。

シリコンバレーのチームで経験したふりかえり - 共通点とギャップ

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よこなさんも話していた通り、シリコンバレーの一社だけの話ではありますが、ふりかえりで出てくるテーマの違いやAgile Retrospectivesの話をはじめ、聞いていて思わず「へー」という言葉が自然と出てくるような話が幾つも聞けて面白かったです。

特に、Easter RetrospectiveやThanks Giving Retrospectiveといった手法は、使用しているメタファーの視点が普段の話と絶妙にずれていたので、ぜひ一度Tryしてみようと思いました。

(以降はプレゼンの直接的な内容に対してのコメントというわけではないのですが)よこなさんのチャレンジと行われている取り組みや考え方にはいつも刺激を受けていて本当に尊敬しています。大変なことは幾つもあるかと思うのですが、よこなさんがわくわくするような選択がこのあとできるようになることを、心から願っています。

誰もが大嫌いな「振り返りと名付けられたアウトプットのない儀式」をhackした

噂には聞いていましたが、録画でみてもなかなか強烈な発表でした。

言葉が出なくなってしまうほど強烈な障壁が訪れる中で、相手のメリットを考えつつも自分たちのチームをよくすることに貪欲に取り組まれている話を聞くことができて、非常によかったです。

この発表を聞くまで、現実には存在しないような事象を仮想敵として話しているんじゃないかな?と思っていた話が実際に存在することを知って、こういう現場もまだまだ実在するんだなあ...となんとも言葉にし難い心情になる発表でしたが、そうした現場でも成果を出しているnambuさんに対して強烈なリスペクトを抱きました。

チームの状態を「即興性」の視点からふりかえってみよう~素早く学習できるチームになるために

チームの類型化の話は色々な論文がありますが、インプロバイザーの視点(利他性/自発性/挑戦性の視点)からチームを類型化した話は初めてで、非常に面白かったです。
それぞれの視点で、どういう人は合わない可能性があってどういうことが起こりがちなのか?という部分の説明も時間を割いて丁寧に話してくれたので、イメージがつきやすく簡単なセルフチェックにも使えるなーと思いながら聞いていました。

発表の構成としても、インプロを強くpushしていくようなスタイルではなく、聴講者にとって馴染みがあるであろう心理的安全性とインプロの共通点という部分から、聴講者のコンテキストで話を組み立ててられていた感じがあって、非常によかったです。

ポジティブとネガティブを両立させる ふりかえりのファシリテーション - Deep Democracy Retrospective -

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LT前最後のセッションとして、Ryoさんから学びの最大化をするためにネガティブポジティブを両立させようというお話を聞いていきました。

場の流れに合わせて無理やり処理するのではなく他社の発言をまず認めるというお話や、そうして発散したふりかえりの場を如何にして閉じるのか?という話など、あまり他の発表では聞けないような発表を聞くことができて楽しかったです。

ふりかえりをファシリテートしているときの根本的な問題意識というのは2年前にされていた発表と大きくは変わっていないのかなーと思いながら聞いていたのですが、その問題に対してのアプローチや状況の取り扱い方というのは全然変わっていて、非常に面白かったです。

LT

フィードバックが欲しいと言われたインターンシップにふりかえりを導入してみた話

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インターンにふりかえりを組み込むことで、インターン生の学びを増幅させたお話を聞いていきました。

インターンにふりかえりを盛り込んだという取組ももちろん素晴らしかったのですが、積極的に自らインターンの担当に立候補して取組を考えたり、外部のカンファレンスで得た学びを積極的に社内に取り入れているのも素晴らしいなあと感じました。

好きな歌を手がかりに新しいふりかえりをつくろう! - GetWildの場合

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Get Wildリリース日にGet Wildを活用したふりかえり手法の提案を聞いていきました。

LTらしいネタ発表かと思っていたのですが、ふりかえりとしての完成度がめちゃくちゃ高かった上に歌詞も1番2番を見事に活用されていて、手法としても歌の利用度としても完璧な手法になっていて、普通に自分自身で一度やってみようと思いました。

「ふりかえり」は、Retrospectiveか、Reflectionか

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続いて、KPTの第一人者である天野さんの発表を聞いていきました。

ふりかえりというとRetrospectiveのイメージが自分の場合は強いのですが、Reflectionのイメージが強いという方も多く、そのあたりの差分がチーム/個人の文脈で出てくるのが発表で明らかになって、面白かったです。

天野さんらしく、丁寧に原典からRetrospectiveとReflectionの整理をしてくれていて発表のクオリティがめちゃくちゃ高かったのはさすがでした。

プロダクトチームから他部署に伝播するふりかえり文化

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自分が好きなふりかえりをどのように広げていったのか?というのを聞いていきました。
取組自体がすごく素敵だったのでそこへの共感が強かったのですが、自身がやられた活動を丁寧に言語化してくれた発表で、取組が浸透するまでの過程を追えたのはすごくよかったです。

また、経理担当者とふりかえりの相性の良さというのは今まで聞いたことがない話だったので、そこも面白かったです。

ダイエットはいいぞ!! ふりかえりに臨む前にもう一つ必要なこと

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続いて、アジャイルを知った経緯はダイエットというパワフルな出だしから始まるこちらの発表を聞いていきました。

ダイエット×ふりかえりというのはなんとなく相性の良さを感じてはいましたが、実績を出している方からの言葉に重みがあったことも影響したのか、ふりかえりなしでダイエットをするのは不可能なのではないかと思わされるほどインパクトが個人的にはありました。

ふりかえりとの共通点が学べたのはよかったのですが、ダイエット方法も知りたかったです笑

これまで10年くらいふりかえり続けて思ったふりかえりに必要なたった1つのこと

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yumechiさんの10年間の経験から、ふりかえりはアクションが重要だと思い至った経験談、コミュニティやカンファレンスでふりかえりが機能しやすい理由などを聞いていきました。

10年ふりかえりを続けているというのは単位がすごいなあと思って、n=1とはいえアクションがたった一つの大切なことになると考える理由にも納得していたのですが、途中からしれっと展開が変わって2つ目に愛が追加されていくというのは笑いましたw

KPT-TOD(KPTを味変してみた)

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続いて、海外開発拠点で多国籍なシステム開発の協働経験やふりかえり経験があるというTakaさんからの話を聞いていきました。

馴染み深いKPTの気軽なアレンジ方法としてTry Oldというお手軽なやり方を提案してくれたのですが、多くの現場で行われているKPTからの一工夫という点で実践容易性がありそうでしたし、実践した際の効果も実感できて興味深かったです。

HYOW/JYOWにしてみたYOW!〜YOWに背景(Haikei)や状態(Joutai)を足してみた

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最後にとんでもないキラーコンテンツがぶちこまれた発表でした。

YOWのカスタマイズをなにかをYOWに加えるという形でしている話はあまりみてこなかったのでどんな工夫でどんなことが起きるのか楽しみにしていたのですが、コンテンツ力があまりにも高すぎて、肝心の内容がさっぱり頭に入ってきませんでしたwww

ふりかえりカンファレンスをフリカエル

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自分が見ていたセッションを思い出せるというのはもちろん良かったですし、見ていないセッションでも多数気になるセッションの話を聞くことができて録画視聴の優先順位づけが自然とできた最高の時間でした。
他にも、セッションのつながりというのがフーリーとカエリーによって表現されているのは素晴らしかったです。

最後にふりかえりがたっぷり45分近くあるというのは本当によくて、なかなか時間の余裕がないことは承知の上で全カンファレンスで取り入れてほしいです。