天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

スクフェス三河(Day2)に参加してきた

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昨日に引き続き、今日もスクフェス三河に参加してきたので、自身がみたセッションとフェス全体の感想を書いていこうと思います。

消えたかったのに ごめんなさい (弱虫が重ねる小さな小さなイノベーション

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三河といえばeroccoさんということで、まずはeroccoさんのセッションから聞いていきました。

eroccoさんが出せるありったけのパワーを絞って自身が与えられた状況や資質をフルに活かした話は、単に勇気をもらえる話で終わることはなく、活用することが難しい(あるいは自身で見つめたくない)と思って自身が隠してしまうような面をどう活用していくかというお話で、これまでのeroccoさんのセッションの中でもトップクラスに学びが多い発表でした。

また、そんなeroccoさんだからこそ起こせたような変化や、立ち向かい続けても決して報われなかったことなど、「突然の『ミルクレープ戦法』への取り組みと、そこから見えた光と闇」のセッションを見て感じた後に改めて感じる内容もすごく多くて、とてつもない作品を作り出したな、、と言う感想でした。

eroccoさんにしかできないセッションが聞けてすごく良かったです。今回もどうもありがとうございました。

開発にテストプロセスを融合させていく取り組み

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続いて区長のありがたいお話を正座で聞いていきました。

開発チームの品質に対する当事者意識を地道に変えつつ、マインド面ではなく技術的な面からもQAとしてサポートする活動を、具体的に知ることができて学びになりました。
開発者のマインドを変えていこう!とする際に、仕組みレベルで設計しているのは、まさにエンジニアと言う感じで、とても良かったです。
特に、非常に細かい粒度で品質の定義を早い段階でしてその定義をベースに開発しつつ、品質の定義が形骸化しないようにアップデートし続けるというのは、さすが区長の一言でした。

テストの街葛飾をテストに関するセミナーと冒頭で紹介するなど、いつも通りふわふわと優しい雰囲気を醸し出している区長でしたが、全体を通して高い技術力と現場で起きていることに徹底的に寄り添う姿勢を今回の発表では見ることができて、最高の発表でした。

突然の『ミルクレープ戦法』への取り組みと、そこから見えた光と闇

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大注目のIkumiさんセッション(スケジュールを見る限り一番参加者数も多そうだったセッション)を続いて見てきました。

スクラムフェスという関係上、アジャイルスクラムに好意的な人たちに発表がすごく多い印象がいつもありますが、ikumiさんの発表では、アジャイルな考え方に素直に共感できなかった話や、考え方が合わないメンバーが去っていった話を聞くことができて面白かったです。

また、そういう中でも会社や仲間への愛着心、そして自身のキャリアを考えて前向きに日々の仕事に取り組む姿には心を打たれました。

最後はアジャイル開発に対する理解も進み、素敵なチームができて、最高の結果でハッピーエンドかと思いきや全然そんなことはなくて、とんでもないどんでん返しを用意していたのは、プレゼンとしてのドラマチックさはあったものの、さすがに切なさが勝りました。。。

スクラムPJを通して気づいた当たり前で大切なこと

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昨年に引き続き、藤田さんのセッションを見てきました。

昨年お話があった大混乱期を経て(?)、成熟したチームができたこと/できなかったこと、そしてそこから気がついた大切なことを、丁寧に藤田さんの言葉でお話してくれるセッションに感動しましたし、教科書からは伝わってこないプロダクト開発の「当たり前で大切なこと」が心に響きました。

また、話もすごく上手で、参加者の緊張を和らげるような自然な笑いが生まれるポイントを作り出したり、うまく初日のスポンサーセッションから繋げたりしてくれて、とても聞きやすかったです。CTCさんの素敵さもひしひしと伝わってきました。

1年間を通してアップデートがあった話を登壇という形で継続して発信され続けていることにまず尊敬なのですが、(自分も含め)そんな藤田さんの登壇を楽しみにされている方がすごく多いというのも、めちゃくちゃすごいなあと素直に感じました。

変化の種探し〜コーチングを一年半受け続けてみて〜

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発表のふりかえりは別記事に書こうと思いますが、話してきました。

今回はさまざまな事情もあって、いつも以上に緊張しましたが、なんとか無事に終わることができて良かったです。

Discordのコメントがすごく温かったのも助かりました。どうもありがとうございました!

なお、完全に力を使い切ってしまい、15:00-のセッションは何も見ることができませんでした笑

「プロダクトは分かったことしか作れない!?」 YOW(やったこと/起きたこと/分かったこと)から始める分かったことの積み上げと、プラクティス・エフェクトを軸にした知識創造と仕事の全体設計

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大トリで、自分が一番楽しみにしてきたセッションを聞いていきました。(最後のセッションにこれでもかと気になるセッションが詰め込まれていてどれを見るかは悩みましたが...)

YOWを駆使することで仮説検証をはじめとした仕事にどうつながるかと言う話や、YOWがどのような点で他のフレームワークよりも優れているのか?知ってる/できる/当事者意識の状態に発展する過程では何が起きているのか?といったことを前提を一つ一つ積み上げながら丁寧に解説してくれて、これぞ森さん!という感覚が味わうことができたので、幸せでした。

また、自身もYOWは何回も実践しているのですが、YOWのアンチパターンの幾つかは結構やってしまっていることも多く、もっと前に聞いておきたかったと感じる話が多数ありました笑

ラクティス・エフェクトの部分をはじめとした後半部分は、現在の自分では一度で理解するのがまだ早かったようなので、あと100回は見直そうと思います。

クロージング

森さんのセッションは45分枠のはずですが、発表が終わるとなぜかクロージングが始まっていました。

運営の皆さんと現地登壇の皆さんから一言一言メッセージがあったのですが、「異物を飲み込もう!」という昨日のまんじさんのメッセージを受け継いだような感想や、来年に向けた熱い想い、情熱あふれる素敵な感想が聞けて、本当にいいスクフェスだったなあと感じました。

参加した皆さん、お疲れ様でした!

フェス全体を通した感想

まず、セッションがどれもめちゃくちゃ良かったと言うのが第一に出てくる感想です。

一つ一つのセッションが、登壇者それぞれの個性を存分に出していて、なおかつそのセッションを参加者の皆さんが受け止めている様子がすごく感じられるフェスでした。
この辺りはkeynoteのまんじさんの影響もあったのかな、と思いつつ、関わっている全ての方々ひとりひとりが輝き、プロダクト開発への情熱を体現した結果生まれたものだったのかなあと勝手に感じていました。

昨年から引き続きの参加でしたが、スクフェス三河の色は確実に強まっているなあというのをすごく感じていて、これからもずーっと続いて欲しいし、自分自身も継続的に関わり続けたいと心から思えるスクフェスでした。

スクラムフェス三河(Day1)に参加してきた

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スクフェス三河のDay1に参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

オープニングトーク

最初にオープニングトークとして、小笠原さんとAckyさんがお話をしてくれました。

今年が初のオンサイト開催ということで、会場や準備含めて色々大変なことがあったと思いますが、スムーズに進行をされていて、お二人とも安心感がありました。

また、まつしゅーさんが、元々しゅーいちだったという話は驚きました笑

スポンサーセッション

続いてプラチナスポンサーのCTCさんからスポンサーセッションがありました。

クイズ形式でCTCさんのことを紹介してくれましたが、すごく前向きに変化をされている会社なのが伝わってきましたし、スポンサーセッションとは思えないほどDiscordも盛り上がっており、とても楽しかったです。

www.ctc-g.co.jp

keynote - 違う人材の共創が世界を前に進める〜スーツとハッカー互いにリスペクトする世界〜 -

続いて、鈴木さんのkeynoteを聞いていきました。

鈴木さんの人生観

まずは鈴木さんの自己紹介も兼ねて、鈴木さんの信条やこれまで歩んできたキャリアの話を聞いていきました。

自身が苦手なことや変化が大きくなる選択を意図的に選び、チャレンジし続けるという姿勢を人生で貫き通していることや、毎日「今日は勝負したのか?」を問い続けているのは本当にすごいことだと思いましたし、心から尊敬しました。

シリコンバレーに赴任した際のエピソード

自己紹介の中で、シリコンバレーに赴任した際のエピソードとシリコンバレーで学んだことを聞いていきました。

具体的には、以下のような点を共有してくれました。

  • とにかくやってみること。いいか悪いかではなくとにかく触ってみること
  • クレイジーに全力で思いっきり走るような人は誰もいない。ほんの少しだけ進んで、結果を見てそろりそろりと進む方向を変えている人がいる。
  • 失敗は成功の過程。何か選択をするときにどちらの選択が成功でどちらが失敗か?という考え方になりがちだが、失敗を連続するうちに、正解が選べるようになっていくイメージが正しい。

異なる価値観と文化を持った人たちが理解し合うために

ハードウェアを作る人たちとソフトウェアを作る人たちの協働を例にして、異なる価値観と文化を持った人たちがお互いに理解し合うために必要なことを3つ紹介してくれました。

共有感覚の共有

以下の記事のような、ソフトウェア, ハードウェアお互いに共有できること(お互いが納得しあえること)を見つけ、その見つけたことを共有する

jabba.cloud

www.youtube.com

後工程はお客様

続いて、テスラの自動車と普通の自動車の違いを具体例として、ものを安く作って高くうる(粗利率を高くする)ために、後工程に起きる制約条件を考えてその制約条件を満たすような設計をすることが重要だという話がありました。(もちろん簡単なことではない)

守破離

変化が大きい時代だと、積み上げてきた経験が大きな蛸壷に変換してしまうという前提があるため、本質を忘れずにUnlearn/Relearn(守破離~規矩作法~)し続けることが重要だというお話が出ていました。

殻を破って異物を飲み込め

最後にこれらの話をまとめたメッセージとして、「殻を破って異物を飲み込め!」というメッセージをくれました。

お互いに分かりあうために、そして変化に対応するために、積極的に新しい世界や新しい人たちに足を運び、その中でも特に自分が苦手だと思うようなことや苦手な人と話したり関わりを持ってみるチャレンジをすることが大切なのではないか?ということでした。

全体を通した感想

最高の1日目でした。

keynoteではものづくりに真摯に向き合う鈴木さんのお話を聞くことができて、最近の自身にとって身が引き締まるメッセージがいだたけて、とても学びが深いお話でした。

フェス感もひしひしと伝わってきて、明日がより一層楽しみになる1日目でもありました!

スクフェス札幌 #scrumsapporo のプロポーザルをみてコメントしたり、つくったり、わいわいに参加してきた

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今週も分散アジャイルチームの会に参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

まずは会のテーマにある通り、以下のプロポーザルを眺めていきました。

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具体的にどんなことが会の参加者から挙がっていたのは、実際にプロポーザルとそのコメントを見ていただければと思います!

その上で、会でコメントをみんなで考えていく様子を見て、自分自身が感じたことを幾つか書いていきます。

会でコメントをみんなで考えていく様子を見て感じたこと

プロポーザルで響くポイントが全然違うのが面白い

プロポーザルを眺めていく際は、当然同じプロポーザルを見て、同じlearning outcomeを共有しているはずなのですが、感想で「こういう部分が面白い!」と出てくるのは全然人によって異なっていたのが面白かったです。

それぞれがこういうところに注目するのか!という発見がすでに得られたので、参加者全員でプロポーザル*1を読むメリットをとても実感しました。

プロポーザル同士に見えてくるつながり

複数のプロポーザルを連続して読んだことで、最初に見た二つのプロポーザルがつながっているように感じたり、そこから派生して過去のセッションとのつながりを感じたりと、プロポーザル同士の内容がつながってくるのが面白かったです。

プロポーザルを見ながらふとしたタイミングで出てくるために興味深い小話

プロポーザルを見ているとふとしたタイミングで小話が出てくるのですが、これがめちゃくちゃ面白かったです。例えば、以下のようなトピックが出ていました。

  • 最初期のスクラム(スクラムガイドやウォータースクラムフォールなど)
  • TDDが、「テスト」という単語を使ってしまったのは罪深い
  • ちょっと乱暴だけどソフトウェアのQAはあり得ない

全体を通した感想

上にも色々と楽しかったポイントや感じたことを書きましたが、ちょっとしたTypoやちょっとだけザワザワする表現といった小さなことに対して、くだらない話も含めてわいわい盛り上がれたのがなんだかんだ一番幸せを感じました。

今日も素敵な場で、スクフェス札幌がより楽しみになりました!

*1:あるいは何かしらの同じ文章でも良いのかも

ホラクラシー組織としての成長 with ぺーちゃんに参加してきた

engineering-floor.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

企業の形態はヒエラルキー型が最も多く採用されていますが、別の型も存在しその1つで近年注目を集めているものとしてホラクラシー型があります。書籍やプレゼンテーションを聴いた人も多いのではないでしょうか?今回はホラクラシー組織の成長にチャレンジしているぺーちゃんと、アジャイルコーチとして組織変革の一端を担っているkyon_mmが雑談します。  

会で印象的だったこと

ラクラシー組織の導入にあたって障壁が高い部分

ラクラシー組織と言うと、「社員一人一人がやりたいことを自由にやっていいんでしょ?」や「ホラクラシー組織はフラットではない組織だから何をしてもいいんでしょ?」といった誤解が蔓延していることが多く、ホラクラシー組織を導入するにあたって必要なホラクラシー憲法を浸透させるのが、かなりハードルが高かったということでした。

具体的には、ホラクラシー憲法の解釈で齟齬が起きたり、ある種独善的な解釈をしてしまったりする事態が起きていたということです。

github.com

他にも、経営層を中心とした元々ヒエラルキー組織時代に権限を強く持っていた方々が、なかなか権限を手放すのが難しいという点も、導入にあたって苦労された*1ということでした。

憲法を破ったときの処罰

憲法というからには何かしら破った時には処罰があるのでは...という気持ちになったのですが、基本的には性善説に基づいて運営がされているため、ペーちゃんさんの会社では特に処罰がなされることはないそうです。*2

ラクラシー組織を導入したきっかけ

メンバー一人一人が本当に熱量を持つものを軸にして世の中を変えていこうということをペーちゃんさんの組織ではパーパスとして掲げているそうですが、組織が五人->数十人に増えていく中で社員の自律性が失われつつあったことと、VUCA時代にトップダウンで動くような組織では変化に対応しきれないという危機感が、ホラクラシー組織を導入するきっかけになったということでした。

課題としては多くの企業で抱えていそうなものですが、その課題に対してホラクラシー組織でやっていく決断をされたペーちゃんさんの組織はすごいなあと感じました。

コミュニティ・オブ・プラクティスとホラクラシー組織

ラクラシー組織との関連として、コミュニティ・オブ・プラクティスの考え方と近いかもしれないという話が出ていました。

コミュニティ・オブ・プラクティスでは、既存の組織構造を変えずにどのようにホラクラシー組織のような組織を考えていくのか?というテーマを考えているため、コミュニティ・オブ・プラクティスを前提とした組織づくりをした結果がホラクラシー組織になったという考え方もできるのでは?という視点はとても面白かったです。

会全体の感想

元々期待していた、ホラクラシー組織を現場で実践してみた際の壁や起きたことを聞けて満足でした。

また、ホラクラシー憲法やコミュニティ・オブ・プラクティスを中心に、これまで知らなかった知識にも出逢うことができて、楽しかったです。

*1:厳密には現在も少し課題として残っている

*2:ただし、会社独自で定義(例えば減給など)することもできるということです

大人のソフトウェアテスト雑談会 #124【箱根とリリース当日】に参加してきた

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今週もテストの街葛飾に行ってきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

三河談義

今日はリトリートとPJの大規模リリースが被っていることが理由で30分経過した状態でもeroccoさんと自分しかおらず、最初はスクフェス三河の談義をしていきました。

お互いにコンテンツの内容(今回の困っているポイント)をシェアしたり、テーマ設定の話をしたり、三河のセッションに関する話をしたりとスクフェス三河に関する話をしていたのですが、eroccoさんの発表がめちゃくちゃ楽しみになる時間でした。

楽しい(充実した)生き方

eroccoさんとMarkさんを中心に、充実した生き方って何なのか?楽しい生き方とか充実した生き方って言われてもなかなかそんな器用なことはできないよね、という深い話を聞いていきました。

普通の学び方はできない・勉強をとりあえずしないように倒す、敢えてネガティブな面に目を向け続けるというeroccoさんの戦略*1や、向学心ではなく収集心から勉強をしているというMarkさんの話はとても面白かったです。

ストレングスファインダー

上に書いた生き方の話から、自身の特性について話が飛び、好奇心や収集心を活用して学んでいるという話をはじめとしたストレングスファインダーの話を聞いていきました。

(自分も含めて)今日話していた皆さんが収集心を共通点として持っていたのは面白かったです。

ストーリーから学ぶ

人は(教科書に書いてある内容からは学べなくても)他人の人生から多数学べるという話や、そういう考え方をしているからこそMarkさんは自身の生き様を語るようにしているという話を聞いていきました。

スクラムの教科書から学ぼうとした時とカンファレンスやコミュニティで人の話を聞いた時の違いが個人的にも思い出され、納得感がありました。

リトリートからの中継

Tommyさんがリトリートの中継を回してくれて、リトリートの様子をチラッと見ることができました。

皆さんめちゃくちゃ楽しそうで、改めて行きたかったかなあと思いました笑

ブログを楽に書くパターン

自分が毎日ブログを楽に書くためにどんなことをしているのか?という話を聞いていきました。
詳しくはXP祭りで発表するつもりですが、以下のようなことを意識しています

  • 書いた内容は見直ししない
  • 書いたらすぐにブログに出す
  • ある程度書くパターンを決めておく
  • ...

Markさんに、自分のブログはニュース速報的な感じがあると言ってもらえて、面白い観点かつ納得ができて面白かったです。

全体を通した感想

今回は参加している面々が普段と違うこともあって、普段とまた違う雰囲気&話題で盛り上がっていきましたが、いつも通り楽しかったです。

eroccoさんもMarkさんも話の引き出し方が上手で、話せる内容も幅広いなあと改めて感じました。

*1:どっかでこれでいいだろうと過信するような瞬間が普通の人はあると思うが、eroccoさんは常にネガティブな見方をしているので過信するようなことがないというお話でした

アジャイルよもやま話 ~ 川口 恭伸さんとアジャイルの歴史を振り返りながら学ぼう !に参加してきた

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こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

アジャイルよもやま話は、アジャイル開発に関する「よもやま話」を毎回アジャイル界隈で有名な人をゲストに迎えて、お話を伺うというスペシャルイベントです。アジャイルの歴史から、アジャイル開発プロセスの変遷、アジャイル開発の苦労話やアジャイル開発を長年実践している中で学んだことなど、様々な話を伺いながら、どうすればアジャイル開発をうまく導入できるのかを学びましょう。

今回はゲストにアジャイルコーチとして著名な川口 恭伸さん (アギレルゴコンサルティング株式会社シニアアジャイルコーチ) をお迎えして、アジャイル開発の夜明け前から現在に至るまでの歴史と流れについて語って頂き、アジャイル開発についての理解を深めていきます。川口さんのセッションの後は、AWS の SA も参加してセッション内容について、さらに深掘りをしていきます。どうぞお楽しみに !

会の様子

川口さんのセッション

歴史観

ITバブルが崩壊した2001年にアジャイルマニュフェストが誕生し、リーマンショックが起きた2009年にDevOpsが誕生したという話からまずはスタートしました。

大きなイベントが起きたタイミングで何かしらムーブメントが起きていることを考えると、COVID-19や戦争など大きなイベントが起きている2020年/2022年(あるいは2023年)は、アジャイルやDevOpsのようなムーブメントが誕生する機会になるかもしれないという示唆もありました。

以降では、時系列でどのようにアジャイルが歴史的に築かれていたのか?というお話をしてくれました。

スクラムの源流

スクラムを発明したのはジェフ・サザーランドですが、ジェフが影響を受けたと考えられるものとして、以下のものが紹介されていました。

また、トヨタのミッション(地域→チームメンバー→お客さんという優先順位)や、「予測しようとしたときには一点しか見えていなくても、試行錯誤を繰り返していく過程で見えてくるものがある」というトヨタの思想(by 野中先生の本)にも強く影響を受けているというお話もしてくれました。

スクラムの実現に必要な文化変革

上述したスクラムを実現するための条件として、中央集権型(コマンド&コントロール)を打ち破る文化にシフトしていくという流れが必要だとジェフ・サザーランドが提言したという話をしてくれました。

これに追従するような形で、Googleがマネジメントの撤廃をしたり、クロスファンクショナルチームに注目が集まるようになったりと徐々に開発プロセスに変化が訪れ、日本でもトヨタでがプリウスを超短期間で製作した事例(4年→15ヶ月)が誕生したという事例も出てきたそうです。

経験主義プロセス制御

進化生物学で語られているように、不確実な状況に対処するには経験主義プロセスの制御が求められ、経験主義プロセスの制御のためには自己組織化されたチームが必要だというお話がありました。

ソフトウェアの品質とは?

30年前はソフトウェアが動いていれば品質が十分だったけれど、現状は変更容易性が十分でなければ高い品質だとは言えない、というお話が出ていました。

また、これらのソフトウェアを作る人間を中心に考える必要があるという話も、徐々に出てきたということです。

コミュニケーション手法とアジャイル

人間を中心に考える流れから、効果的なコミュニケーション手法が注目されるようになり、ここで相手へのリスペクトや自己組織化したチームというのがアジャイルソフトウェア開発宣言という形で出てきたというお話がありました。

棄却されるアジャイル

その後(2000年代)は、しばらく企業でアジャイルが広められない、システム開発をよくわかっていない人がアジャイルの思想を棄却する、という時代が続いたそうです。*1

DevOpsの誕生

このあたりで、Dev VS Opsという構図とそれに伴う変化に弱い組織が問題視されるようになり、

  • 自動化されたインフラ
  • 共有したリビジョン管理
  • ワンステップビルド
  • 小さく頻繁に変更をデプロイ(フィーチャーフラグ)
  • メトリクスの共有(経営も含め全員が同じ状態を知ることができる)
  • IRCとIMロボット(ログの集約)
  • リスペクト
  • 信頼
  • 失敗を防止するのではなく、起きた時のことを考える
  • 相手を非難しない、自分ごとで考える

が提案されたという話がありました。

これが提案されたのは2009年なのに、今でも刺さるのがすごいよね、というお話でセッションは締めくくられました。

パネルトーク

セッションの感想

まずは福井さんから、セッションの感想として、AWSでやっている内容や大切にしていることと驚くほど一致しているのが面白いという話が出ていました。

今回のセッションのような話をしたときにありがちな反応

川口さんが今日のセッションのような話をしたときに、現場からどういう反応がくるのか?というお話をしてくれました。

反応としては、「いや、そこまではやりたくないんだけど...」「一人で仕事したい気持ちがあるんだけど...」という話が多く出るということです。

開発者じゃない人は特に、ソフトウェア開発の認知をシステム1の状態に留めておきたいのが、こうした反応を引き起こすのではないか?という推測も出ていました。

ビジネスで如何に価値を出すか?というのをトップダウンから浸透されることが重要だと思うが、トップの方はコーチング時にどういう反応をされることが多いか?

ケースバイケースではあるものの、トップというよりは現場の人から要望をもらうことが多いということでした。

その上で、どこかのタイミングで実践していない人が出てくるので、社内政治だったり説得の仕方をコーチングすることが多いということです。

ただ、COVID-19になってからは、今日話したアジャイルやDevOpsの話を理解できている経営者の会社が大きく伸びている印象があるということで、徐々に変化の兆しが見えているというお話も出ていました。

権限移譲

権限がない(=お金が使えない)状態の時に、そういう状態に立ち会った人たち一人一人がどう向い合っていくのか?というのが非常に重要だというお話が出ていました。

テスラの凄さ

製造業でアジャイルを実践しているのはすごいというコメントから、テスラの事例について話をしてくれました。

テスラでは会計も全てDevOpsになっている上に「会社のお金を使うこと」が指標として定義され、お金を使ったことで失敗したことは何も問われない、ということです。

会社レベルでDev/Opsが分かれている場合の対応

今すぐに変えられないのは仕方ないとして、10年後今から何も変わっていないというのはまずいよね、という話をすることが多いということです。

ただ、現状はこそこそアジャイルを導入したりする現場は少なくなっている上に、コーチングの機会や実践者の数はどんどん多くなっており、ソフトウェア業界の環境としては全体的に良化しているのではないか?という話も出ていました。

分散チームが増えた中でアジャイルを実践するのが難しい

リモートでもオンサイトでも両方仕事ができる、というのが重要だと思うというお話でした。

なお、XP祭りでアンケートを取った時、半分の人は「アジャイルを実践しやすくなった」半分の人は「アジャイルを実践しにくくなった」という回答をしたそうで、アジャイルを実践している人たちの変化に対応する強さを実感したということです。

会全体を通した感想

(ブログで表現しきれていないのは自分の力量不足ですが)川口さんのセッションはいい感じの雑さがありつつもしっかりと重要なポイントは押さえてくれている上に、ところどころで力強いメッセージがあり、最高でした。

後半のパネルトークでは、アジャイルコーチを数々の現場でされている川口さんだからこそ話せる話題も多く、これもまた面白かったです。

*1:ここは今回のセッションでは時間の関係もあってサラッと紹介されるだけで終了しました

Autify community meetup テスト自動化を軌道に乗せるまでの道のりに参加してきた

autifyjapan.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会で印象的だったことと感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

第8回のAutify Community Meetupのテーマは「Autifyでテスト自動化を軌道に乗せるまでの道のり」です。

Autifyをご活用いただき効率的で効果的なテスト自動化に成功されているユーザー様である、サイオステクノロジー株式会社から山根様、株式会社リンクアンドモチベーションから小島様をお招きし、特にAutifyの導入部分にフォーカスし、運用が軌道に乗るまでの課題やそれを乗り越えた工夫をご共有いただきます。

特に他のAutifyユーザーの方がどのようにAutifyの導入を進めているのか知りたい方にとって、他のユーザー様からのお話が直接聞けるおすすめの内容となっておりますので、お見逃しなく!

会で印象的だったこと

サイオステクノロジーでのAutify導入の軌跡と現状

まずは山根さんから、QA経験が薄い&権限的にトップダウンでツールの導入を決められないような状態から、どのようにAutifyを導入していったのか?というお話を聞いていきました。

タイトルの通り、Autifyの導入をするまでにやったことの話が中心だったのですが、現場で何かしら新しいツールを導入する際に役立つ話*1が多数聞けてよかったです。

Autify運用自走化の3steps, unfreeze-change-refreeze!

続いて小島さんから、自身(QAチームに所属していてAutifyについても一定の知識がある人)が極力手を動かさないようにせず、開発チーム内で自走してAutifyを運用する状態にまでどのように持っていったのか?というお話を聞いていきました。

導入前の段階で準備*2を丁寧に行った後、導入後は自動テストの意義が感じられるように&開発チームで自走できるように朝会で毎回自動テストの結果をチーム全員で見直したということで、自身は手を動かさないながらも継続的に開発チームの様子を見守っていたという話が特に印象的でした。

パネルディスカッション(Q&A)

トークセッションの後はパネルディスカッション(Q&A)がありました。

以下、トピックごとに内容をまとめていきます。

テスト仕様書の粒度

細かい部分はわからないが、元々あったE2Eのシナリオテストの仕様書を活用した。粒度は結構細かかった。

3,000シナリオ(シナリオの本数は64本)を作るまでにどれくらい時間がかかったか?

10シナリオを2週間で作った。実運用レベルで軌道に乗るまでは3ヶ月くらい。

アジャイル開発などで画面がよく変わる場合、Autifyの導入はありかなしか?

  • 一回導入してみると良いと思う。もし上手くいかなければやめればいいだけなので。
  • 画面がよく変わる場合だとしても、アジャイル開発をしていると他の機能変更時に意図せずデグレが起きたことを検知したい場面が多いので、アジャイル開発ならむしろ積極的に導入したい。

導入にあたっての失敗談

  • 開発部署外の人(営業の人)に説明する時、「これでどんどんリリースができるようになりますね!」と期待値が意図せず高くなってしまった。
  • パイロットケースを一番重要度が高いケースに設定していたが、仕様が多くインフラ構築にもかなり工数がかかってしまうものだった。(その後方向転換して、早めに効果が出るようにした)

オンボーディングサポートを受けてよかったことは?

  • 方法的な部分であった迷いがなくなった
  • 一人目の仲間になってくれること

「軌道に乗った」の判断基準は?

  • テストケースが無理なく増やせるか?
  • テスト回数が順調に重ねられるか?
  • 現場の人間が自動化を煩わしく思っていないか?
  • (導入して間もない時)チームのみんながそのチームの中で使い方について話をしているか?
  • (導入後)テストされた結果が活用されているか?

会全体を通した感想

テスト自動化に際して人をどうやって巻き込んでいくのかや軌道にどう乗せていくのか?という部分を聞くことができて、面白かったです。

登壇者お二人で毛色や経験が異なっていたのも非常によかったです。

*1:パイロットユーザから広めていく話、成功パターンを確立後に横展開...

*2:興味ある人を中心に巻き込みをお願いする、Whyをキックオフ会で認識合わせする