2023年のふりかえりにも書いたように翻訳レビューを2件担当させていただきました、
レビューさせていただいた具体的な本の紹介はしかるべきタイミングでしようと思っているのですが、今回は翻訳レビューをさせてもらって感じたことや翻訳レビューをさせてもらうにあたって色々勉強させてもらったことなどを、今後翻訳レビューをやるか検討されている方の参考になればと思い書いてみます。
翻訳レビューにかかる時間
これは本によってまるで違います。時間に寄与する変数としては、
- 翻訳レビュー時点での翻訳の出来(もう世に出しても大丈夫な状態という最終チェック的な形でレビューを出すのか、一旦翻訳をしてみた状態で誤訳や誤字脱字なども幾つもある状態なのか、で全然変わってきます)
- ページ数
- 原著の難易度(本としての難易度はもちろん、英文法にどれだけ忠実か?というのもあります。あまり英文法に忠実ではないような表現が多用されている場合かなり難易度は高くなります)
- 翻訳する本に対する自身の理解度
などが挙げられます。
試しに数ページやってみてペースを計測し、早いうちにどれくらいの時間がかかるのかを見積もりしておくのがよいと思います。(どうしても時間的にレビューをする余裕がないとなった場合、早い段階でレビューを辞退する必要があるため)
翻訳レビューをどうやってやるのか?
翻訳者からの紹介や推薦の場合と、翻訳者がパブリックに募集をかけているところに乗っかる形になる場合の2つが主なケースになるかと思います。
翻訳者からの紹介や推薦の場合、当然翻訳者に認知されている必要があるため、翻訳本に近しい領域でなにか発信したり交流する機会を持つなどの活動が必要になってきます。
公募を狙う場合は、翻訳者のSNSをフォローするなどしておいて、依頼の機会を待つことが多いかと思います。
翻訳レビューをやる上で必要なもの
話を聴いたり自分がやってみたりして、特に以下の3つが番号が若いものから順に必要になってくると思っています。
- 日本語力(おかしい日本語に気が付き、それがなぜおかしいかやどのようにしたらより良くなるかを言語化する力)
- 書籍のテーマに関する一定の理解
- 英語力(単語熟語等はいくらでも調べられるので文法力や英語独特の言い回しの解釈)
このブログのターゲット層の方々の場合、ほぼ確実に英語→日本語への翻訳レビューを担当すると思いますが、その場合英語よりも日本語のほうが大切というのは真理だと思います。
特に、ちょっと読みにくいと思ったときに、それがなんで読みにくくてどういう風に改善する必要があるのか?というのを根拠とともに示す必要があるため、自分の場合は日本語の作文技術や日本語スタイルガイド、日本人のための日本語文法入門といった本などを参考にしながら、日本語力を補う努力をしました。
翻訳レビューをやったことで得られるもの
目に見える形で得られるものとしては、基本的に本の献本+本の中でのクレジットの場合が多いようです。(自分もそうでした)
お金が貰える場合もあるらしいですが、このブログのターゲット層の方々が読むような本だと貰えないと考えておくのが普通かと思います。
目に見えない形で得られるものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 翻訳書の出版による業界貢献
- 翻訳にまつわる知見(ツールの知見や翻訳の質を担保する工夫など)
- 訳者や(場合によっては)著者との関係性構築
- 翻訳レビュー/翻訳の機会(質の高い翻訳レビューができた場合、今後の機会に繋いでもらえる場合があります)
- 一定以上受け入れられている本(翻訳書を出版するということは海外では一定読まれていることが多い)を精読する機会
- (質の高い翻訳をするために勉強した場合)日本語文法や英文法の知識
参考書籍
翻訳をするにあたって、具体的なノウハウやスキルアップするための工夫が示されている書籍が幾つかあるので自分が読んで役に立ったものを最後に紹介しておきます。(この記事自身に関してもこれらの本に影響を受けています)