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こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
ベイズメッセージングパッシングとメッセージパッシングは同じ?
最初に本書に出てくるメッセージパッシングという単語の定義を改めて確認していきました。
メッセージパッシングというと(エンジニア界隈だと特に)システム開発文脈の話を想像してしまいますが、本書におけるメッセージパッシングはベイズメッセージパッシングの話だよね、ということで合意しました。
信念伝播
章の冒頭で信念伝播に関する言及がありましたが、これが章の後半で触れられていないよねという話や、確率伝播法という訳がつけられていることが多いようだけどあんまり直感的な訳ではないのでなんで確率伝播法の方が一般的なんだろう?という話をしていきました。
章で詳細な解説がないことから、信念伝播や変分メッセージパッシング自体は生成モデルとメッセージパッシングを接続するための足場であって、そこまでクリティカルな説明ではないよね、という結論に落ち着きました。
章全体の概要は?
今回は神経生物学にかなり踏み込んだ章だったということもあり、神経生物学の前提知識がないと読むのがなかなかきつかったです。
そのため、いつものように章の記述を細かく追っていくというよりは、章全体がどういう立ち位置だったのか?という話をしていきました。
- 第一章〜第四章で語られた内容が具体的な学問ではどのように活かされているのか?を話す章だった
- 神経生物学では色々な結果や反応が観察されているけれど、その反応が起きているメカニズムの探求という点で能動的推論が役に立つという話がされている章だった
- 神経生物学の探求をする(RQをたてる)ために能動的推論が役に立つという話がされている章で、幾つかRQも提示されていた
2つの調整経路
直接経路として期待自由エネルギーを触るメカニズムと、間接経路として経験プライアをπ(i)を触るメカニズムの2つがあるのは、直接経路間接経路どちらかで人が動くというのではないという点で面白いよね、という話をしていきました。
予測・習慣・目標・運動計画・行為
メッセージパッシングのモデルとして定義されていた推論の解剖図に関して議論していきました。
このようにメッセージパッシングモデルとして表現できるという点や、自分たちが何かしらを認識している時に発生している反応を認識と出来事という形でマッピング関係として表現できること、個別の電気信号と1対1に紐付けられるのではないということが能動的推論によって明らかになっていることなどを話していきました。
科学史
科学の発展とオッカムの剃刀の話から、観測したデータの説明ができないような事象は科学で溢れているという話になり、金森修の「この瞬間を歴史に刻む」を紹介してもらいました。
科学の歴史を専門しているという人に吹く逆風の話をしたり歴史を学ぶ意味や歴史を学ぶ姿勢を語ったり、因果推論の科学の話などにつながったりと、素晴らしい具合に発散していったのが印象的でした。
特に、乗り換えることによって何が解決し、何が問題として残るのか?などが分かることが重要なのに、メタ認知の問題で自分が使ってみてどうだったか?でしか判断できない人がいたり、そうなってしまう場面が訪れるというのには非常に納得感がありました。
全体を通した感想
今回読んだ5章はこれまで読んだ章と比べると本書の主題からは少しそれていて、ある一分野への適応事例というような位置づけに感じるような章でした。
ただ、その中でも他書籍や他分野の話を交えながら楽しい話を多数聞けたので大満足でしたし楽しかったです。