天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

(オンライン読書会) 能動的推論  ~心、脳、行動の自由エネルギー原理~に参加してきた

educational-psychology.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会で印象的だったことと感想を書いていこうと思います。

図4.3と図4.4と図4.6の対応関係

図4.3と図4.4と図4.6では時間変化に関するモデル(りんごと蛙の問題など、カテゴリ変数に関するモデル)と連続モデル(グラデーションがあるグラフィカルモデル)の言及があり、それぞれについて話をしていきました。

離散と連続を分けて考えるという話や、微分積分関係にある話が階層として表せるという話をきいて、理解がだいぶ深まりました。

統一理論たる所以

図4.3と図4.4と図4.6の話を聞いて、これって行為を通じて信念を更新していく話を説明することができるよねという話や、第一次視覚野と第二次視覚野の関係性や人が部分から全体を認知するメカニズムも説明できるよね、という話が出てきました。

このあたりはまさに能動的推論が大統一理論といえるような所以だろうということが実感できて、最高でした。

期待自由エネルギーと変分自由エネルギーの関係性

曖昧で不確実な未来があったときに、より曖昧さを減らすためのデータを選択する行為を行うのが変分自由エネルギーの最小化ですが、変分エネルギーの最小化をし続けてしまうと生物は最終的に死に至ってしまうため、期待自由エネルギーを減らしながら変分自由エネルギーを増やすという話がありました。*1

これは情報に基づいて信念を更新する場合と信念構築するために情報を取りに行く場合の違いという形でも言えるよねという話や、前の章で出てきたカフェオレを飲みに行くために日付を調べる話、餌がないからサバンナに出たという言説のあやうさの話など、多数の話を聞くことができました。

自由エネルギーを下げきれないChatGPT

ChatGPTがAIハルシネーションを起こしてしまう原因として、インターネット上という限られたリソースしか持ち合わせていないがゆえに自由エネルギーの最小化が難しいんじゃないか?という話をしていきました。

全体を通した感想

今日は第四章がメインターゲットでしたが、第三章までの内容のふりかえりやこれまで出てきた説明とのつながりも聞くことができて、内容の理解がより深まった有意義な読書会でした。

いろいろな読書会に参加していますが、難度が非常に高い本を猛者の方々と一緒に読める学びと心理学コミュニティの読書会は学びがダントツに多く、楽しさを改めて実感する会でした。(言わずもがな、他の読書会は他の読書会で楽しさがあるので良い悪いはないです)

*1:例えば、安定した食物が手に入れられる場所を知っていても、別の場所にもっと多数の食物があるのではないか?と探索を繰り返す