天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

その自律型組織、オレでなきゃ見逃しちゃうね!  〜マネージャー不在のチームはここにある〜に参加してきた

devlove.doorkeeper.jp

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

アジャイル開発のキーワードの一つ、「自律型組織」。今回はこの、自律型組織をテーマにします。自律型組織、わかっているけど、組織という中に入ってしまうと、なかなか実現できないのが実情。自律型組織の事例として、徳冨 優一さんに、RGSTの運営の現場についてお話いただきます。マネージャー不在、指示や依頼がない中、RGSTをどう実現していったのか、今の現場に活かせるヒントを得ることができる会にしていきます。

会の様子

RSGTが自律型組織であると思える理由

まずは、なぜRSGTが自律型組織だとTommyさんが考えているのかをお話してくれました。
Tommyさんは、以下の点からRSGTが自律型組織だと感じているそうです。

  • ストレスが溜まることなく仕事がすっと進む
  • 特に問題が起きない
  • 指示や要請が一切ない

自律型組織であるRSGTを支える仕組み

続いて、RSGTが自律型組織によって運営できている仕組みの話をしてくれました。

安定したチーム

まずは毎年同じ人たちがRSGTのスタッフ/運営メンバーとして参加しているという点が挙げられるという話がありました。

メンバーは8割固定しているようにしている上に意欲があるスタッフ*1のみを集めているということで、アジャイルマニフェストの「意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します」を実現しているというお話がありました。

ゆとり

RSGTのスタッフでは、如何に仕事をしないかをアピールしあうようにしているそうで、皆歩数計をつけて誰がもっとも活動していないか?を競う文化があるとお話がありました。
これがスタッフのゆとりにつながり、頑張りすぎることなく仕事ができているということです。

価値観、ビジョンの共有

川口さん永瀬さんを中心に、RSGTスタッフの価値観やビジョンの共有を日頃からしているそうで、RSGTの価値観やビジョンがメンバーに浸透しているそうです。

RSGTをリードしている川口さんがいらっしゃる品川アジャイルでも、川口さんがくだらないことを言いながらもたまに川口さんがどう考えているのかを共有してくれているそうで、メンバーの意思は尊重されながらも似たようなことが起きているということでした。

マネージャー不在

前述したように川口さん永瀬さんが中心となっているため、お二方がマネージャーのような役割に見えるが、実体は全く異なるということです。

何かしらを決定する際には話し合いをして、その人が決めるようにしているし、誰かに意見を伺うことはあっても誰かに依存するようなことはないということでした。

品川アジャイルでも同様なことが起きているということで、誰かが指示をしたり監督するのではなく、メンバーそれぞれが勝手に実験をしているとのことです。
他にも、機材知識をはじめとした普通なら知らないこと(業者に発注するようなこと)を川口さんが当たり前のように勉強していて、なぜ勉強しているのか聞いたときに「え、自分が知らないことをどうやって発注するの?」と言っていたり、"マネージャー"との像からはかけ離れているということでした。

スコープ調整

RSGTではスコープが固定されていないため、誰もバックログのチケットを取らない場合はそのチケットはあっさり見捨てられるということでした。

本当に大事なことは誰かにアサインをするのではなく、常日頃からその仕事がどうして大事なのか?参加者にどんなメリットがあるのか?という話を共有することで(必要だと思った人が)見捨てることなく仕事をするそうです。

伝承とモビング

スクフェス仙台/スクフェス新潟/スクフェス沖縄/DevOpsDays Tokyoと、昨年新規に誕生したスクラムフェスでの様子のお話がありました。

例えばスクフェスで担当決めの話題*2が発生すると、「いやいやそしたらいまここでモブでやりましょう」という具合にモブワークでメンバーに伝達され、いつの間にか全員ができる状態になっているということでした。

まとめ

根本的には、課題だけに向き合う姿勢を継続した結果生じる作業指示からの脱却(=誰かがタスク管理していてそれが誰かに明確にアサインされて、それをこなしていく)があるのでは?ということでした。

Q&A

発表後にQ&Aがありました。以下に常体で内容を記載していきます。

例えばどんな雑談で価値観を共有してた?

くだらない話なことが多いが、ちょっと仲が悪くなるような激しめの話をすることもある。

いうべきことをいう、コンフリクトから目を背けない心理的安全性の高いチームだと感じるが、それを保つ要素はなにか?

川口さんを見ていると、なにか話がずれたときには相手に寄り添って丁寧なフィードバックをする。(相手が嫌がるような事は言わないし、どんなところがずれているのかを丁寧に話す)

どれくらい対面で会っているのか?(チームビルディングはオフラインでないとできないのか?)

会場の下見くらいで、普段はオンラインで会話する。

会全体を通した感想

Tommyさんの言葉でRSGTを運営しているチームの様子が語られていて、非常に楽しかったです。

カレーの話と冗談は少し少な目でしたが、めちゃくちゃ参考になる話が散りばめられていたのも楽しかったです。

*1:例えば他のカンファレンスでスタッフしている人

*2:「〜は誰がやるのか決めましょう」