天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

JaSST nano vol.17に参加してきた

jasst-nano.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

社外へのアウトプットもするといいの byブロッコリーさん

まず、ブロッコリーさんがアウトプットをどのような過程でしてきたのか?アウトプットをした結果どのようないいことがあったのか?というのを、2011年から遡って聞いていきました。

はじめはTwitterで「よろしくお願いします」とだけTweetしたところがスタートで、その後はイベントの実況(2011年)→イベントの感想ブログ(2014年)→趣味丸出しのLT(2015年)→翻訳(2020年)と変遷をしていったということで、それぞれの過程で感じられたメリットと併せて聞くことができたのが非常に良かったです。

特にブログの部分で感じられたメリットは、自分が記事を書いていて感じたメリットと重なる部分が多数あり、共感がすごい発表でした。

レビューの目的なあに? byきたのしろくまさん

レビューの目的に関する理解を自身で言語化し、チームで議論していく重要性の説明があった後、実際に「レビューの目的は何か?」について考えてチームで議論したコミュニティの様子を見せてもらいました。
実際の様子を見て、「レビュー」と一言で言ってもものすごい量が出ていた点と、相当数の量が出ていても完全に重なるものがない点は、特に印象的でした。

現場では、どんなプロセスでレビューを組み込むかというコンテキストの違いもあるので、唯一解となる答えは当然ないと思うのですが、何気なくやっているレビューであれば特に、チーム間で見直しをしてみる重要性も実感できる発表でした。

水銀中毒はAI羊の夢を見るか byにしさん

最後ににしさんから、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?*1」のオマージュになる(?)発表を聞いていきました。

まず最初に、超高額なWinRunner*2が市場を制覇していた状況を「治療」したSelenium*3、そのあとを追う形で開発されたAIテストツール(MagicPod, Autify, mabl, Eggplant DAI, ML Test...)という自動テストツールに関する流れを紹介してくれました。

その流れで、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の世界観が実現する未来、すなわち「テストツールが賢くなるならテストエンジニアはいらない」という未来が訪れるか?という話に移りました。

現在も時々聞く「アジャイルを実践するならテストエンジニアはいらないよね」と同じようなムーブがくるのではないか?第一次テストエンジニア不要論*4と同じムーブが起きるのではないか?という問題提起をしてくれたのですが、にしさんとしてはテストエンジニアとテストツールがチームになって明るい未来が訪れるのでは?ということで、いくつかのSF*5などを参照しながら、来るであろう未来を語ってくれました。
その一方で、品質を保証した基準を明確化する必要性が出てくることで保証容易性が高い開発が求められる*6ようになるのではないか?という話もしてくれて、今後はHMTの保守容易性も同時に必要になってくるということです。

明るい未来が来るであろう根拠としては、Alexaのバグを見つけるテストをHMTとAI単独と人間単独それぞれにやらせるとHMTが勝利したという実験結果を示してくれたのですが、非常に興味深い実験で、とっても面白かったです。

会全体を通した感想

今回も内容が濃い発表を3つ聞くことができて、非常に楽しかったです。

どのセッションも、過去にあったことや歴史をふりかえりながら未来(発表を聞いた後)の行動変容につながるようなセッションだったのも印象的でした。

*1:ブレードランナーの原作タイトル

*2:Windows環境のGUI自動操作ツール

*3:WinRunnerが市場を制覇していた状況は「水銀中毒」と呼ばれており、これを治療したという意味

*4:「テストは誰でもできるからテストエンジニアはいらない」という言説が唱えられた時代

*5:アイアンマンとJ.A.R.V.I.S, マイケルナイトとK.I.T.T, 草薙素子タチコマ...

*6:AIがテストするとなると定量的で曖昧性のない基準が必要になる