天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

Techpit.Author #02 注目企業に聞く!エンジニア研修資料作りの裏側に参加してきた

techpit.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、connpassのイベントページから引用です。

近年、有名ベンチャー教育機関までもが、研修コンテンツを惜しみなく公開しております。  そこで今回は、研修資料作りで注目されている企業のコンテンツ制作責任者さまをパネリストとしてお招きし、研修コンテンツを公開する意義や取り組み事例を共有いただきます。例えば資料作成の体制や注意点をお伺い予定です。

会の様子

以下、会で話されていたテーマについて、各社の話をまとめていきます。

なぜ研修資料を全体に公開しているのか?

はてなさんでは、敢えて全体に公開することで、研修を担当している人に質を高める適度なプレッシャーをかけつつ、社内の技術をより最先端に進める目的があるということでした。

サイボウズさんでは、技術ブランディングの目的がスタートだったということですが、公開したところ想像以上に反響があり、業界への貢献につながっている実感も出てきたため、継続して公開するようにしているということです。

ゆめみさんもサイボウズさんと同じく、技術ブランディング&業界貢献のために公開しているということでした。
また、Githubで研修資料の管理をしているため、一般公開して個人のアカウントからcloneしてもらうようにすることで運用負荷を下げることができるという面もあるようです。

研修資料を作る体制

サイボウズさんでは、運営数人+講義するエンジニア、という体制で運営しているということでした。また、イレギュラーなパターンとして、社内で「この話をしたい!」という意見が出たものを採用し、その意見を出した人に話してもらうというのもやられているようです。

はてなさんでは、全体のコントロールにはチーフ級のエンジニア*1を置きつつ、若手〜中堅エンジニアをスキルアップの目的も兼ねてアサインしているということです(人に教えることを重要な成長機会と考えているということです)

ゆめみさんでは、有志のワーキンググループで形成しているということです。(誤植やTypoについてはPull Requestが来やすくなっている)

教える話のスコープはどう決めている?

ゆめみさんでは、どのPJに入っても使うであろう技術を教えるというコンセプトを起きつつ、あくまでも研修ではエントリーポイントにとどめることを意識しているということでした。(あんまり細かくやりすぎると、メンテナンスコストが膨大になる)

はてなさんでは、技術が発展してきた背景なども含め、多少詰め込みになってしまう前提で主要技術を細かいところまで網羅する形になるようです。

サイボウズさんでは、講義をする人に一任しているので、講師によりけりになるということで、現場の人も多く聞くようなものもあれば、新人向けに分かりやすい部分だけ構成されるようなものもあるということです。

どれくらいコストかける?

はてなさんでは、3ヶ月前くらいからちょこちょこ準備をしていく*2というお話でした。

ゆめみさんでは、最初は短期集中で3日くらいかけて資料を一気に作っていたということですが、有志の方々が準備をするようになってきてからは、週次でチェックポイントを設けてコツコツと進めるようになってきたようです。

サイボウズさんでは、個人に任せているのでまちまちという話はありつつ、最近は前年から一部だけをインクリメントするような形になっているので、そこまでコストはかかっていないかもしれないということです。

コストをかける部分とかけない部分の分け方

サイボウズさんでは、事前に作っているコンセプトに沿って意思決定しているということです。

はてなさんも、講義の大枠を最初に決めているので、その大枠に沿っている部分かどうかで判断をしているということでした(ただ、エンジニアが資料作成に関わっているので、最高の資料を作ろうとめちゃくちゃコストをかける傾向にあり、止める役割をすることが多いということでした)

研修資料を公開してどんなフィードバックがあったか?

はてなさんは、かなり好意的なコメントが多いうえに、Githubで誤植やTypoについてはコメントをしてくれるので、公開してよかったということです。

ゆめみさんも、ポジティブな意見が多くて、特に内製支援をしているお客さんから「資料を使わせてもらっています」という話が出たのは嬉しかったと話されていました。

サイボウズさんでも、好意的なコメントが多かったということで、資料の特性上、未来のエンジニアの育成に役に立っている実感ができたのはよかったということです。

レビューはどうしてる?

ゆめみさんでは、Githubで公開しているのでPull Requestでレビューをしているということでした。

はてなさんでは、チーフエンジニアを中心とした、その技術に明るい人がレビューをしているということです。

サイボウズさんでは、会社内で一番その領域に詳しい人が作るということで、たまに不安が出た際には、その人が所属するチーム内でレビューすることが多いということでした。

資料を作る際に注意するポイント

ゆめみさんでは、メンテナンスコストを最小化すること(リファレンスを重視して記載する)と、罠に嵌めること(現場に入ったときに嵌ることは研修の段階で拾えるようにしようとしている)を特に重視しているということです。

サイボウズさんでは、資料を作る時にそこまで注意していることはなくて、実際に公開する際には社外秘情報が含まれていないかをチェックするところだけ注意を払っているということでした。

全体の流れを作ること(前の講義でやったことが生きてきて、最終的にサービスをローンチするところにつながってくること)を特に意識しているということです。

他社の研修資料は参考にするか?

他社の資料をそのまま使うことはしないけど、いい資料があるよという形で紹介するというお話がはてなさんから挙がっていました。

失敗談はある?

ゆめみさんでは、課題の設計があまり良くなくて、取り組む人が段階を踏めなかったり課題の解釈に悩んでしまうことがあり、そういった場合はその場でやりながらすぐに修正していったということでした。

はてなさんでは、講義の連携をあまり意識せずに各技術分野について深掘りした資料を作った結果、一気に詰め込む形になってしまい混乱してしまったという失敗があったようです。(こういった経緯があったため、チーフエンジニアが全体を俯瞰するようになったということです)

サイボウズさんでも、はてなさんと同じく、講義が被ってしまったり先に講義しておいた方が良いものを後に話してしまったりと講義間の連携にまつわる失敗があったということでした。

会全体を通した感想

どの会社さんの資料も見たことがあったので、資料作りの裏側を詳細に聞けてすごく楽しかったです。
どの会社さんも、自社だけではなく業界全体の成長に貢献したいと考えられていたのが、特に印象的でした。

*1:全体を取りまとめているのは一人。内容については実際作っている人を信頼することが多く、あまり干渉しない

*2:現場での仕事と掛け持ちになるので、少しずつ進めていく