こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていきます。
会の概要
以下、connpassのイベントページから引用です。
本ウェビナーでは、LAPRAS株式会社と株式会社PR tableの共催で、「優秀エンジニア獲得のための技術広報・採用広報のはじめかた」というテーマで採用広報の事例やトレンドについてをお話させていただきます。
パーソルキャリア社が発表した2021年7月度の最新職種別有効求人倍率(※)において、 エンジニアの有効求人倍率は7.84倍 と、全職種の1.86倍に比べて非常に高い倍率となっております。
※https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/
つまりエンジニアという職種においては、企業がエンジニアを「選ぶ」のではなく、企業がエンジニアから「選ばれる」 という前提で、エンジニアから「選ばれる」企業になるためにどうすれば良いか、各企業においては採用の戦略設計の腕が試されると言えるでしょう。
今回は、その1つの手段である「採用広報」というテーマにおいて、エンジニアから「選ばれる」企業になるために、自社の何を発信しどう伝えていくべきなのか、過去400社のエンジニア採用を支援してきたLAPRAS社と、大企業からスタートアップまで数々の企業で広報・PR支援をしてきたPR table社が最新のトレンドや事例をお話します。
エンジニア採用を強化したい企業様は勿論のこと、エンジニアを惹きつける採用広報の在り方を模索しているご担当者様は、ぜひお申し込みください!
会の内容
LAPRAS SCOUTが考える技術広報・採用広報について
3つのフェーズ
LAPRUSさんは採用のフェーズには3つあると考えているというお話でした。具体的には、以下の3つの時期があるということです。
立ち上げ期
まだ認知がそもそもされていない状態。この状態ではTech-blogだったり企業のリブランディングの効果が出にくい。
まずは採用媒体に広告を打つなど、自社の認知度を上げていくことが重要。自分たちがどうしても伝えたい内容だけを発信する。
継続期
認知はそれなりにされている状態。
この段階では、継続的に採用活動(Tech-blogやカンファレンススポンサー...)を行うことが重要。自分たちのターゲットを策定し、ターゲットに合わせて発表の軸を整理する(アピールポイントとなる軸は後述)
スター期
主にエンジニアから、Tech企業という認知がされる状態。
企業名だけでイベントに人がある程度集まるようになる。
このように時期に合わせて採用活動で力を入れるポイントを変えていくのが重要だということです。
アピールポイントとなる軸の策定
技術・事業・チームの3軸×会社・チーム/職種/人の2軸を掛け算し、計6つのパターンでターゲットに合わせて情報発信を行っていくとよいのではないかという話でした。
技術×会社
Tech-blog, カンファレンススポンサー...
技術×チーム/職種/人
勉強会資料, Tech-blog, Qiita, zenn...
事業×会社
コーポレートサイト, ピッチ資料...
事業×チーム/職種/人
採用イベント, カジュアル面談...
チーム×会社
採用ブログ, 組織図...
チーム×チーム/職種/人
単発で必ず書いておいた方がいい記事
以下の内容は、継続の必要もなくそこまでコストもかからないため*1、必ず書いておくと良いという話でした。
- スカウトメールでリンクとして補足するような内容
- カジュアル面談で何度も伝える内容
- エグゼクティブ層のインタビュー
- 組織図のスナップショット
- 自社技術の紹介
(特に継続期においての)アンチパターン
継続期においてアンチパターンとなる施策が挙げられていました。
- Tech-blogを採用担当が書く
- ブログの投稿頻度や閲覧数をKPIとする
- 仲が良い企業と開催ありきの技術勉強会
- カンファレンススポンサーを単発で行う
メディアミクス(コンテンツの再利用)
継続期でターゲット層が見えていくと、以下のように再利用できるコンテンツの効果が高くなるという話でした。
- 著名人の招待
- 社内勉強会の記事/動画/資料を公開
- イベント開催
talentbookが考える技術広報・採用広報について
企業PRの差別化
SNSを中心とした媒体でいかに継続ができているか(常時発信しているか)、人の多様性がどのくらいあるか(ロールモデルがどれ位充実しているか)という2点が差別化の要素として挙がっていました。
エンジニアが転職先の決め手とする要因
上(1位)から順に、
- 収入・待遇
- 開発技術・開発環境
- 自身の成長可能性
- プロダクトの魅力
- 従業員の人柄
が挙がっているということでした。
収入・待遇面のアピール施策
もちろん給与テーブルを底上げできればベストですが、給与計算は現実は中々難しいということです。
そのため、どのような行為が評価や給与に影響するのか、評価制度がどのように設計されているのか、評価制度がどのように改訂されているのか、というのを書いておくと良いという話でした。
開発技術・開発環境、プロダクトの魅力のアピール施策
採用担当や広報担当ではなく、エンジニアに開発技術や開発環境の話をしてもらうのが重要というお話が出ていました。
優秀なエンジニアを採用するために、敢えてめちゃくちゃ技術に特化した(一部のエンジニアしか内容が分からないであろう)話をしたり、実際に開発チームがどのように開発しているのかを話してもらうと良いということでした。
従業員の人柄のアピール施策
ロールモデルに多様性を持たせたり、社員の個人個人がどのような過程でキャリアを歩んできたのか、という話をアピールしていくのが重要だということでした。
Q&A
大量の質問が来たこともあって一問一答形式ではありますが、質問に回答してくださいました。
Tech-blogの推進者は?
推進はCTOやPMといった工数調整がやりやすいメンバーがやるべきだが、実際に書くのはやはりエンジニアがやるべき。
Tech-blogをエンジニアが書いてくれない
モチベーションを上げるには、実際にエンジニアに書いてもらった記事に対してどのようなフィードバックが返ってきているのかを教えてあげるのがベスト。(フィードバックサイクルを継続的に回すのが重要)
それまでは、粘り強くお願いするか、モチベーションが既に高い人たちで継続する前提でやり遂げるしかない。
採用活動におけるKPIは何がいいのか?
採用数、PV数は最初の内に設定すべきではない。すぐに上がるものではないので、その内に効果でないのに何でこれやっているんだっけ?となる。
そのため、最初の内(半年位)は継続的にコンテンツを外部に発信できているか?をKPIにして、その次の半年位では、記事を読んだ読者にどれ位記事の内容が正確に伝わっているのか?をKPIにするのがお勧め。(実際にtalentbookを利用している企業の殆どがそう)
採用サイトのスタートはいつがベストか?
新卒前提だと、学生が夏休みに入る前。
talentbookを採用広報目的で使っている企業のKPIは?
採用活動におけるKPIは何がいいのか?という話と関連しているが、
初期 : コンテンツの継続性
1年後 : 内定者アンケートでGapをどれ位埋められているのか?
が多い。
プラットフォームのお勧め
安くてすぐに始められるところがいいと思う。
SEO的な観点で採用活動時に注意すべきこと
コンテンツ量が担保されていることと、タイトルで差別化ができているか?というのが重要。
ネガティブワードで自社を検索すると敢えて引っかかるような記事を書いている会社も多い。
エンジニアのイベント集客に苦戦している
ターゲット層を広げてまずは認知度を上げるのはお勧め。また、外部の著名人を招くのも効果が大きい。
一人目エンジニアの採用はどうすればいいか?
前提として、めちゃくちゃ難度は高い。
今の採用環境だと、エンジニアがいないなら、社長や役員クラスの人が必ず話をすべきである。
また、話をする人はエンジニアについて勉強し、エンジニアの気持ちに共感する必要がある。
全体を通した感想
ランチタイム開催でしたが、内容が盛りだくさんで充実したイベントでした。
色々な意見を聴けたり実際の運用事例を教えてもらうことができたので、その意見の根拠や現在の運用事例に至るまでの過程を今度はより聴いてみたいという興味が湧きました。
また次の機会も参加してみたいです。
*1:むしろ1~2週間で書いた方がいいような内容