天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方を読んだ

こちらを読んだので、感想を書いていこうと思います。

本の概要

海軍一のダメ軍艦と呼ばれていた「ベンフォルド」に配属された艦長(筆者)が、成果も士気もの上がらない問題だらけの艦隊を立て直し、「強い艦隊」をつくり上げた手法について語っている本です。
人が組織から離れる要因の第一位が「上司から大切に扱ってもらえないこと」であるという話が紹介されて話題となっていたことがきっかけで本書を手に取りました。

印象的だった箇所

放置と部下の自律に任せるの違い

本書では、部下に権限を委譲する重要性(上司の言いなりにさせたり、上司が全てを知っている必要性がないこと)が書かれていましたが、個人的には、放置と部下の自律に任せることの違いが少し理解できたのが良かったです。
具体的には、「権限を任せる際にはミッションの共有と、任せる範囲の明示を行う」というのが、放置との大きな違いとして刺さりました。

後悔しない意思決定の基準

目標に辿り着くかはもちろん大事だが、目標に辿り着くまでの過程は同じように大事だという話があり共感しました。
この目標に辿り着くまでの過程を歩むために、自分自身が後悔しない選択ができる意思決定基準*1というのを持っておく重要性を実感しました。

批評家の重要性

物事が上手くいかなかった時はもちろん、上手くいったときにも敢えて批評することで、多角的な視点を与えてくれたり、自律性を促す視点に繋がることが分かったのが良かったです。
ふりかえりの「斜に構える/斜に構えない」を繰り返す手法などは、メンバーが多角的な視点をもつための手法なんだろうな、というのを実感しました。

最悪なシナリオを想定しておく

マニュアルに記載されているシナリオよりも悪い状況だったり、最悪のシナリオを常に想定しておくことで、経験したことのない事態に備えておくという話がありました。
艦隊だと、生死が分かれる場面が訪れる可能性が充分にあるというコンテキストがあるためやっていることで、ここまで最悪なシナリオを想定しておく必要性は普通の組織ではないような気が個人的にはしますが、経験してからでは遅いことを事前に学んでおいたり、経験しないと得られれない部分以外は座学などで学んでおくことは、自分自身も意識していきたいと思いました。

全体を通した感想

泣けるビジネス書というのがあまりイメージ付かなかったのですが、生命の危機を彷徨う状況の中で部下を信頼したり、熾烈な出世競争や厳しい上下関係の中で自分の意志や部下を尊重する勇気を感じられ、泣けるビジネス書というのはこういうことか、と読んでみて納得した一冊でした。

*1:後悔しない意思決定基準として、筆者は「明日自分の行動がワシントン・ポストに知れ渡った時、恥ずかしくないか」という基準を持っているという話でした