RSGT〜スクラムフェス〜スクラム祭りとつながったスクラムコミュニティでのかけがえのない体験
この記事は、Regional Scrum Gathering Tokyo & Scrum Fest Advent Calendar 2024の記事です。
- 要約
- ちょっとした疎外感がありながらも楽しめたRSGT2021(自分のRSGT原体験)
- RSGT2021の縁からスクラムフェス大阪2021の金沢トラックで登壇する
- 小規模なコミュニティで体験したカンファレンスとは違った良さ
- RSGT2022でコミュニティとの向き合い方を少し変える
- コミュニティでの「よい」振る舞いや「よい」コミュニティの言語化をRSGT2023でする
- コミュニティとの関わり方を一旦薄める
- スクラムフェス金沢で初運営を経験する
- スクラムフェス金沢をやってみて感じた地方スクラムフェスの意義
- 地元のつながりを強く感じられる今年までのスクラムフェス大阪のリブート版を考える
- つながりは必ずしも地方でなくてもいい
- スクラム祭りを「よい」場にするために今取り組んでいること
- おわりに
要約
10,000文字を超えてしまったのと記事のタイトルから内容をすべて伝えるのが難しいので、Claudeに要約してもらいました。以下、要約です。
スクラムコミュニティへの参加から運営に立場を移してみるまでの過程を綴った個人の体験談です。RSGT2021からスクラムフェス大阪2021での登壇、そして2024年のスクラムフェス金沢での運営経験を経て、地域のつながりの重要性を実感しました。その経験を活かし、小規模コミュニティの価値に着目した新イベント「スクラム祭り」の開催を2025年に計画しています。
====ここから本編(11,026文字)====
ちょっとした疎外感がありながらも楽しめたRSGT2021(自分のRSGT原体験)
初めてRSGTに参加したのは2021年でした。
音声で会話したことのある方は2人、イベント内のチャットで少し会話したことのある方は7人という孤独に近い状態でのオンライン参加だったのですが、そんな自分にぴったりな知り合いを増やしてRSGTへのドキドキをワクワクにする会がDay0にあったのは自分にとって大変嬉しかったです。
そんな中いざDay0のZoomがオープンしてみると、「〇〇さんお久しぶりです!」「〇〇さんらしい背景で安心しましたw」といった、この人たちすでに知り合いじゃない...?というトークが繰り広げられたり、チャット欄でもその人のことがわからないと意味の解釈が難しいネタが多くあってちょっとうっとなりました。当時の自分のブログにもこんな記載がありました。
これは誰も悪くないですしどうしようもないことなのですが、「久しぶりです」みたいな話が飛び交っていて、アウェー感を少し持つ場面がありました。
ただ、自分もこの場の人たち(=スクラム実践者の人たち)と一緒にいろいろなことを話したかったり仲間の輪に入りたいと思っているからこそこういう感想を抱いたんだな、というのも自分の中では認知できたので、仲間の輪に入れるこの機会を目一杯活用しようと思いましたし、実際にブレイクアウトルームではyanagiさんや荒井さん、mctkさん、小島(しょうこ)さんといった方々と会話しながら交流を深めることができました。
また、その後も3日間参加してみて、選ぶことが常に困難なセッションの数々、知的好奇心がすごいそそられるkeynote、書籍などからは獲得が難しいリアルな実践知が集結されたセッション...を経験し、素晴らしい場だなというのを実感し、継続的に参加し続けたいという想いを強めました。
RSGT2021の縁からスクラムフェス大阪2021の金沢トラックで登壇する
RSGT2021の半年後、スクラムフェス大阪2021が開催されたのですが、そこにプロポーザルを出したところ、RSGT2021のDay0で話をしたyanagiさんが金沢トラックのオーナーをやられており、採択をしてくれました。
当時からブログを書いていたりはしたのですが、極少数の方しか見ていない内容だったので*1、Day0で知り合ったこときっかけで注目をしていただいていたお陰で採択されたのかな、と思っています。yanagiさんのブログにも、RSGT Day0きっかけで採択を検討したという話が以下のように書かれています。
スクラムフェス大阪のセッションはプロポーザルからドラフト会議で各トラックのオーナーが指名するという方式なんですが、せっかくの金沢トラックということでできるだけ金沢や北陸三県にゆかりのあるプロポーザルや個人的に興味があるプロポーザルを選択、指名することにしました。
1位は北陸三県つながりということで石川のとなりの福井のESM岡島(@okajima_yukio)さんを、2位はRSGT 2021の「とにかく知り合いを増やすことを目的とした会」で話をしたaki.m(@Aki_Moon_)さんを(約半年間の活動をリアルタイムで見ていて是非発表の機会を持ってほしいと思った)、3位以降はドラフト会議の様子を見ながら指名しようと決めドラフト会議に臨みました。
「Scrum Fest Osaka 2021 金沢トラック」を担当した より
小規模なコミュニティで体験したカンファレンスとは違った良さ
当時はまだCOVID-19の真っ最中だったこともあり、上述したスクラムフェス大阪も含めオンライン開催のイベントがほぼ100%でした。
そういった背景もあるのか大人数が一同に介して会話するようなイベントはカンファレンス等を除くとほとんどなかったので、少人数(多くても15人程度)が集まるコミュニティに普段は多く参加していました。
この参加していたコミュニティの多くはRSGTの中で紹介を受けたコミュニティだったのですが、どのコミュニティでも濃い会話が繰り広げられていて、自分の中では学びの連続でとても楽しかったです。
こういった少人数で会話する形式のイベントで、1年間で91個のテーマ(=悩み)を持っていって何回も相談にのってもらい、今思うと酷い質問をしたものだなと恥ずかしくなることもありますが、毎回アジャイルやスクラムの実践者の皆さんが真摯に向き合ってくれて大変ありがたかったのが記憶に鮮明に残っています。
アジャイルやスクラムの知識も実践経験も0に近かった自分にとってこういった少人数のコミュニティに参加し続けられたのは結果的に非常に幸運なことでした。
具体的に何が幸運だったこととしては以下のポイントが挙げられます。
- 相談事項を持っていくことへの抵抗が薄くて済んだ
- 思っていることや事実をあまりマスキングしたりせずに素直に話せた
- 顔なじみのメンバーを徐々に増やすことができた
- 自分の話をしてそれを経験者に聞いてもらうという機会がたくさん得られた
こうしてコミュニティで良質な体験を得た自分は、自分がコミュニティのコアメンバー(=運営)として関わるということにも興味が出ていました。
RSGT2022でコミュニティとの向き合い方を少し変える
そんな自分ですが、RSGT2022に参加して、コミュニティのコアメンバー(=運営)として関わることは一旦諦めることにしました。
「諦める」というと少しネガティブにも聞こえる表現かもしれませんが、全然そんなことはなくて、これは当時の懇親会でも話題になっていて川口さんの開催後記にも記載があった正統的周辺参加の概念がRSGTをはじめとした素晴らしい場がスクラムコミュニティの中で複数できているメカニズムの一つとしてあることを知ったからです。
少し長いですが、自分が本当に好きな文章で読んでからはずっと大切にしている考え方なので、文章をそのまま持ってきます。
今回のカンファレンスを通じて、思い出したところがあるので最後ですが書いておきます。スクラムでは「自己組織化 Self Organization」したチームを重視しています(最新のスクラムガイドでは自己管理に代わりましたが意味するところは同じと思います )。この用語は、竹内野中 “The New New Product Development Game” から来ています。優れたプロダクトチームの人たちは、それぞれが自律的に動き、創造的に解決していくさまを表しています。メンバーを子供扱いせず、自分からチームに貢献するすべを考えていただくことを、信頼するということです。RSGTというカンファレンスが、これだけ少ないスタッフで、また多くのスピーカー、スポンサー、参加者の皆さんに支えていただけているのは、多くの参加者の方々が、この場を「よいもの」だと思い、もっとよくしたいと感じて、自ら動いていただいているからに他なりません。もしかすると、他の多くのカンファレンスに比べると、丁寧な文書での説明や、入り口での大声でのアナウンスが欠けているんじゃないかなと、思います。この点は初参加の方には申し訳なく感じることもありますが、少なくとも私は「いつも来てくれる皆さん」を重視しています。そしてそうした皆さんが、さらに新しく来た方々と繋がって、親切にご案内いただいたり、会の外でも新しい活動につなげていただいているのを見聞きします。「正統的周辺参加」という概念があります。人は専門知識を身につけるときに、組織の外延から参画して、徐々に学びながら、活動しながら、徐々に中心に向かっていく、という組織学習のモデルのようなものです。今年もしかしたら、残念だったなー、知らなかったなー、というところがあったかもしれません。会期の終了後に聞いた、面白い取り組みがあったのかもしれません。でも、焦らないでください。また来年も、その先も、できる限り同じような場を作っていきたいと考えています。みんなが飽きて来なくなるまで、RSGTがRSGTであり続けたらいいな、と考えています。
Regional Scrum Gathering Tokyo 2022 ご参加ありがとうございました - kawaguti’s diary より
この当時自分はコミュニティに゙参加して一年くらいが経過していましたが、「この場を「よいもの」だと思い、もっとよくしたいと感じて、自ら動く」ということは全然やっていませんでした。
自分が好きなように行動して好きなように話をして自分が一番楽しめることだけをしていて、もちろんそれは必ずしも咎められることではないし(ハラスメントなどがある場合は別だと思いますが)参加者として自然な行動ではあるのですが、コミュニティのコアメンバーからの距離や振る舞いからの距離はまだかなりあるんだろうな、と思い、一旦諦めることにしました。*2
あと、諦められたのは、また来年も、何なら数ヶ月後にもRSGTやスクラムフェスという場が存在することも大きかったかもしれません。継続して行われるという信頼感が自分なりのペースでゆっくり歩めることを許容してくれる安心感がありました。
そんな想いをRSGT2022に参加して持ってからは、カンファレンスやコミュニティでの振る舞いを少しだけ変えてみました。
もちろん自分の興味をひたすら話したり今まで通り自分が一番やりたい行動をすることも多かったのですが、この場を「よいもの」にするために自分ができること(かつ一番やりたいことではないにせよ自分がやっていて楽しいこと)を意図的にやってみました。
OSTや雑談で消化不良に終わっていそうな困り事がありそうな参加者に対して続きを話せるような場を紹介したり話題によっては自分から続きを話しに行ってみたり、参加者と交流したいとSNSなどで本人が言っていたけれどもあんまり交流ができていなさそうな方がいたら自分から話をしに行ってみたり、カンファレンスに参加したかったけれど参加できなかった人を頭の中で浮かべてその人に向けた参加ブログを書いてみたり、本当に色々と行動をしてみました。
コミュニティでの「よい」振る舞いや「よい」コミュニティの言語化をRSGT2023でする
色々行動してみて、もちろんたくさん失敗も成功もして、自分なりに経験をふりかえってみたとき、コミュニティが価値を生み出す理由やどういう振る舞いが「よい」コミュニティを作るのか(壊すのか)が言語化できるようになってきて、RSGT2023ではその成果を発表できる機会に恵まれました。
実践してきたことをRSGTで話せたというだけで自分にとってはとても嬉しかったのですが、このスライドに反応してくれる多くの方がカンファレンスの運営に近い立場だったというのも嬉しさに拍車をかけました。
昨年諦めた運営としての参加を、そろそろやってみてもいいかな?と自分で思えるくらいの自信もつきました。
コミュニティとの関わり方を一旦薄める
運営をやってみてもよいかな?と思えた2023年ですが、子供が誕生したり2022/12に転職したこともあって結構バタバタしていたこともあって、コミュニティ活動への関わりのペース自体を一気に落とすことになりました。
このとき、ペースを落とすことやそろそろできそうな気がしたコミュニティ運営にチャレンジできなかったことには辛さも焦りもまるでなかったのですが、これもRSGTやスクラムフェスという場が継続して存在していることが大きかったかもしれません。
やれるならやりたいけれども、別にいつでもやるチャンスは訪れる(=いつでも出入りできる)という安心感がありました。
こうして自分のペースで生活をしばらくおくることができていたおかげで、徐々にコミュニティへの関わりも戻すことができるようになってきて、ペースを落としてから8ヶ月後くらいに行われたRSGT2024は無事に参加し、楽しむことができました。
スクラムフェス金沢で初運営を経験する
そんな経緯で2024年はじめにはコミュニティへの関わりを再開させられていたこともあって、2024年早々に発生した能登半島地震を契機としてyanagiさんが復興も兼ねてスクラムフェス金沢を開催することを決意された際は、二つ返事で運営として関わらせてほしいという連絡をさせていただきました。
前述したように自分が初登壇したのはyanagiさんがトラックオーナーを務めていた金沢トラックなので、運営として関わるモチベーションもより強いものになりました。
yanagiさんからも快諾いただき、こうして無事に運営として携われることになったのですが、いざ携わってみると想像以上に答えを見つけるのが難しいことだったりこれまでの自分の考え方を変える必要があることだったり大変なことが多いと気が付きました。個人的に特に頭を悩ませたのは、「なぜスクラムフェス金沢をやるのか?」が自分でも運営の中でもあまり見えてこなかったことです。能登半島地震という話が2024年はあるものの、2025年以降続けていく理由としては薄い気がする上に収益を全額寄付したりするわけでもないので復興支援というにも少し弱い気がする、という話になり、開催意義がよくわからなくなってしまいました。
これまで自分が仕事やコミュニティで関わってきた人たちや仕事の性質上「なぜ?」の根拠が大分薄いまま何かを進めるということはかなり抵抗があったのと、ちょくちょく懇親会などで突っ込んだ話題が出る時に、「スクラムフェスが徒に増えていきそうな今の流れってどうなんだろうか?」みたいな話題が出ていたりしたこともあって自分も共感していたところもあり、長い時間「なんでスクラムフェス金沢をやるんだろう?」「どういうスクラムフェスにしたいんだろう?」を考え続けていました。
結局自分では納得がいくような答えが出てこなかったのですが、自分の悩みを知った生成AIが自分が独自で用意しているデータベースから素晴らしいコメントを持ってきてくれました。それがこちらです。
「我々はなぜこれをやるのか?」を考え出した結果止まっちゃった勉強会やコミュニティはたくさんある気がする。いいからコンスタントにやりなよ、って思うし、やりながら考えないで、いちいち立ち止まるから、コストばっかりあがっちゃうんだよ、とも思う。相手があるのに自分本位で考えてもムダかもよ
— Yasunobu Kawaguchi (@kawaguti) 2022年7月30日
自分自身膨大な数のコミュニティに参加して、中には活動が衰退したり潰れる経験も何度もあったので、これを見た時に「あーたしかにそういうのはあるかもしれない」となりました。
「なぜ?」があんまり見えていない中で進むことに一抹の不安はありましたが、一旦前に進んで一度開催した後に再度理由を考えてみようと思いました。
スクラムフェス金沢をやってみて感じた地方スクラムフェスの意義
こうして開催されたスクラムフェス金沢でしたが、運営ということもあったのか、これまで参加してきたスクラムフェスと比べると、どちらかというとオブザーバー的な形で参加者の様子を眺めるような感じで参加していました。(もちろんいつも通り参加者との交流を楽しんだりすることもできました)
色々なやり取りが行われていてどれもいいなーと思いながら見ていたのですが、自分が特に印象深かったのは地元の参加者同士のやり取りです。
「自分は〇〇の出身で地元をまだ出たことがないんです」「え、自分も〇〇の近くなんです」「え、もしかして〇〇とか知っていますか??」「知っているどころからめっちゃ行きます!」みたいなローカルトークが繰り広げられていて、それだけ見るとまあよくある会話の導入的な話題だなーと思うのですが、ローカルトークで繋がるとぐっと距離が縮まるのが他の会話と違った大きな特長で、会話が止まらなくなってセッションが始まると言われるまでずっと立ち話していたり、そのまま懇親会に旅立っていったり、連絡先を交換して「今度外に出る時声かけますね」と言って別れたり、あの人たち今知りあったんだよね??と不思議に思ってしまうくらい距離が近くなるなあと思いました。
そしてOSTや参加者との立ち話をするタイミングの後、運営Tシャツを着ている自分に感謝してもらう機会が複数回あったのですが、ダントツに多いのが「金沢でこんなイベントを開催してもらってありがとうございます」でした。
感謝してくれた方々がどこ出身なのかは聞けていないことも多くありましたが、おそらく皆さん地元出身あるいは金沢に縁故がある方々なんだと思います。金沢にスクラムを実践している人たちが集まるイベントが開催される、もっと一般的に言えばソフトウェア開発をしている人たちが金沢に集まってくる、それだけで尊いことなんだと思いました。
その地域にゆかりや愛着がある方々が集まれる場が用意される、そしてその場が「よい」ものになるように他のスクラムフェス常連参加者を中心とした参加者が貢献している、それが大きな価値でスクラムフェス金沢をやる理由、ひいてはスクラムフェス〇〇をやる大きな理由なんだとそこで初めて実感しました。(なのでスクラムフェス三島やスクラムフェス四国も応援しています!)
地元の方の熱量は自分以外の運営の皆さんも感じられていたようで、スクラムフェス金沢が終わった後のふりかえりで話した際も、これは来年以降考慮してセッションを決めたりテーマを打ち出したりしてもいいという意見があったりしました。*3
地元のつながりを強く感じられる今年までのスクラムフェス大阪のリブート版を考える
こうした地元のつながりが感じられるようなスクラムフェスを思い出した時、自分がまず脳裏に浮かんだのはスクラムフェス大阪でした。
来年以降は名前通り大阪を中心としたスクラムフェスに回帰する予定のスクラムフェス大阪ですが、2024年までのスクラムフェス大阪は多くの地方トラックがあり、その地方トラックにゆかりがある人はゆかりがある人で盛り上がり、ゆかりがなくても指名された人はまさに自分が金沢に対してそうだったように勝手に愛着を抱いてその地方に愛着を持ち、地方をキーワードにしたつながりができていたスクラムフェスだったと思います。
特に地方サテライトがものすごい数開催された今年はそれが顕著で、自分自身はニセコを満喫していましたし、他の地方トラックに参加していた方々もその地方トラックサテライトに参加している方々で普段以上に濃い繋がりが持てたと話されていました。
そして同時に、今年までのスクラムフェス大阪のような形式の場が来年以降なくなってしまうのは勿体ないと思い、来年以降も名前を変えて継続するような形は取れないか?というのを模索しだしました。
#scrumkanazawa を実施して感じたことは色々あったけど、一番感じたのは地域に縁のある方々のエネルギーの凄さだった
— aki.m (@Aki_Moon_) 2024年7月22日
そして地域というと、個人的にはここ数年の #scrumosaka が一番印象に残っていて、あれがなくなるのは寂しいなあ...と改めて思った
ということで、ここ数年の #scrumosaka の場を再現できるような場を新しく作りたいなあという気持ちが強くなったのでした
— aki.m (@Aki_Moon_) 2024年7月22日
どういう形がいいのかとかは全くアイデアないし、自分のキャパ不足もあってあんまりできる自信がないんだけれど、何とかなる気もしているので笑、その内動こうと思いますー
色々紆余曲折はありましたが、「スクラム祭り」という名前で継続して開催することにしました。
つながりは必ずしも地方でなくてもいい
こうしてスクラムフェス大阪のリブート版をスクラム祭りとして来年以降も継続できるように準備していこうと思い至ったのですが、つながりのきっかけは必ずしも地元ではなくてもいいよな、ということを考えるようになりました。
地元というつながり方はきっかけとしても分かりやすいし、強力な絆が生まれやすいという研究もあったりしますが、他の共通項でも「この人(たち)と会話することができれば間違いなく楽しいと思う」「この人(たち)と会話することができれば何かが得られる」と思えることができれば、次も会話する場ができるでしょうし、自分が仕事をしていくうえで助けられたような濃い議論がコミュニティで体験できる確率も上がるはずです。
では、こうしたつながりを見出しやすくするためにはなにが有効なのか?そう考えた時、一つの要素としてありそうなのはコミュニティの大きさ(≒参加者の人数)を小さくすることでした。
小さなコミュニティは流入してくる知識量が薄かったり偏りがあるため、知識やものの見方という意味では大きな刺激を期待しにくいですが、参加者とのコミュニケーションパスが少ないがゆえに、一つの話題に対して他参加者と集中的な議論交換がしやすく、匿名性も比較的高いことから突っ込んだ話題や世間とは逆行していて大勢の前ではあまり言い出しにくいような意見を投げかけることもできます。
これは強い紐帯と弱い紐帯という考え方とも通ずることがある話で、コミュニティに数千回参加してきた自分の経験則でも一定はあっている感覚を持っています。
普段のカンファレンスでも大人数が介しているカンファレンス中ではなくその後の懇親会が本番だという人がいますが、これは大きなコミュニティと小さなコミュニティ両方の恩恵を活用できているんだろうな、と思います。
https://homepage.ntu.edu.tw/~khsu/network/reading/burt.pdf
もちろんまだ自分自身による実験が足りていない仮説ではありますし、他の要素もあるのでは?と思っていますが、小さいコミュニティを作ることができれば、突っ込んだ会話がされていく中で自分が普段多くの人には見せられないような部分でのつながりが見つかったりここまで話してくれるんだという信頼感が得られることで、「この人(たち)と会話することができれば間違いなく楽しいと思う」「この人(たち)と会話することができれば何かが得られる」と思えるような深いつながりが見いだしやすくなるのでは?と今のところは考えています。
スクラム祭りでは、今年までのスクラムフェス大阪をベースにしながら、オンライン開催の旨味や地方トラックが乱立するという性質をうまく生かして、この小さなコミュニティと大きなコミュニティの考え方をうまく取り入れていき、参加者の人たちがコミュニティで自分が心から困っている生々しい話を相談してそれが解決される体験をしたり、他の場ではなかなかできないような突っ込んだ話ができるようにしていくイベントを目指す予定です。
スクラム祭りを「よい」場にするために今取り組んでいること
開催日は来年の10月予定なのでまだ期間はあるのですが、着々と準備は進めています。
他のスクラムフェスでもやっているであろう準備の話を除くスクラム祭り固有の準備の話をすると、今は上記の目的を達成できるようにするために以下の準備を進めています。
keynote
keynoteをmoriyuyaさんにお願いしようと思っています。
強い紐帯や弱い紐帯の概念も3年前くらいにmoriyuyaさんから教えてもらったものなのでそういったコミュニティで発生するメカニズムにも詳しいですし、「神回」を生成するための実験も以前されていたという話を伺っているので、そのあたりで培ったノウハウをmoriyuyaさんらしい丁寧な説明とともにお届けしてもらう予定です。
話を聞いた参加者の方々が社内外を問わずその後のコミュニティ活動で色々な人とつながり、ばんばん「神回」がコミュニティで発生し、仕事の質がコミュニティを通してどんどん良くなっていくようなkeynoteをお願いしています。
神回発生ワークショップ
keynoteで話してもらうような内容をいざ実践してみたとき、本当に「神回」が起きるのか?「神回」の発生にはどういう条件が必要なのか?というのを、moriyuyaさんが研究していた数年の時を経て、改めて運営メンバーで実験してみる予定です。
実験はkeynoteで話していただく内容のブラッシュアップにもつながればと思っていますが、まだ期間もあるので、できればスクラム祭りの参加者の多くの方々が「神回」を体験できるように運営メンバー中心に実験を重ね、ワークショップのような形でスクラム祭り当日に体験してもらえるようにしようと考えています。
moriyuyaさんの話は、話を聞いて明日からでもすぐに実践できるという特長があると個人的には思っているので、このあたりがやりやすいのではないか?と思っているのも理由の一つです。
大量の地方サテライト
今年スクラムフェスを行脚してきたおかげで色々な地方の方々とつながることができたので、その方々たちにお声がけをして、ただでさえ圧倒的な数の地方サテライトが立ち上がっていた過去のスクラムフェス大阪よりも更に多い地方にサテライトを立ち上げようと考えています。
ちょっと時期的な課題もありどこまで数が増えるのかはわからないところもあるのですが、各地方で熱量持ってソフトウェア開発に取り組んでいる方々にできるかぎり協力をお願いしてみようとは思うので、楽しみにしていてください。(このブログを読んで地方サテライト立ち上げに興味がある方はぜひ教えて下さい!)
おわりに
ということで長々と書いてしまいましたが、このブログを読んでスクラムフェスやRSGT、もっといえばスクラムコミュニティに興味がわいた方は是非参加してみてください。
アジャイルやスクラムを実践されている方々とソフトウェア開発が上手になるための議論がたくさんできる機会が増えることを、自分自身とても楽しみにしています!
*1:具体的な数は避けますが1日あたりの閲覧数は現在の1/100くらいでした
*2:正統的周辺参加の概念を詳しく知りたくてその後すぐに読んだコミュニティ・オブ・プラクティスに影響を受けている考え方な自覚もあります
*3:厳密にはプロポーザル公募の段階でうっすらとそんな予感が漂っていて、運営の間で話として出ていたりはしました