天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

(オンライン読書会) これが現象学だに参加してきた

educational-psychology.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。今回はP194-読んでいきました。

基礎づけ主義

時代がいつかは定かではないけれど、構造主義などからフッサールが批判されていた時期があったそうで、安易なレッテルを貼っていると著者が警鐘を鳴らしているのはこういった時代背景があったんじゃないか?という話がありました。

ウィトゲンシュタインフッサールの議論の近さ

ウィトゲンシュタインは論理自体を論理で語ることができないという話をしていて、世界をノエマ的構造で捉えると基体がないという意味では異質な存在になるという話と関連性がありそうだという意見が出ていました。

時間の原構造

時間の原構造に関しては、本書の説明の仕方だと、そういうものだよねと受け取る以外の理解の仕方は難しそうだという話はありつつも、時間は常に幅があるものなので、このように原構造を定義しないといけないというのは一定理解できるという意見が出ていました。

フッサールにおける自我・反省・時間によれば、把持・現印象・予持という内在的時間はあくまでも道具の一つであり、受動的に与えられる材料である時間化する次元というもっと手前の概念も必要だよね、という話だそうで、たしかにこういった志向性に先立つ概念がない状態では時間化する次元といった概念が必要そうだということで納得することができました。

原初の世界の隠蔽

原初の世界を内在的時間をはじめとしたもので隠蔽してしまうというのは、フッサールが元々抱えていた諸科学への問題意識にも繋がりそうだという話が出ていました。

全体を通した感想

本も終盤に差し掛かってきたということもあって、元々フッサールが持っていた問題意識や、前に議論したけれどもやもやを残して終わった部分が、どんどん明らかになっていくという時間が多くて、非常に楽しかったです。

また、内在的時間と時間化する次元といった議論では、フッサールの緻密性を改めて実感することができました。