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こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
なお、話されていたことをそのまま文章にしてしまうと、活動の性質上文章の要約になってしまうので、文章の要約にならない範囲で(あんまり本の内容には踏み込まずに)されていた話を書いていきます。
エキスパート活動
才能教育は最近になってから語られ出したということで、これは個別最適な学びの普及が背景にあるのかな?という話をまずはしていきました。才能がある子専用の「才能学級」のようなものを作るのではなくて、あくまでもその子に対して個別最適な学びを提供するというスタンスは、子供に対して早期にラベルづけをしないことにも繋がるのでよさそうだという話をしていました。
次に、全校拡充モデルに関して、タイプⅢの成果が広まるとタイプⅠが広まる理由はなんでだろう?という話をしていきました。学校教育という文脈だと、最初はタイプⅢから入るほうが生徒の興味も惹きやすいため、タイプⅠやタイプⅡは発展的な扱いを受けているのではないか?という仮説が出ていました。
また、2Eの話からは、早期に子供の特性を判断することの危うさの話をしていきました。例えばADHDやHSPと早期に判断されたとして、それが本人のためになるのであればいいのですが、知ってしまったが故に自分ができないことをADHDやHSPが原因だと考えてしまうようになるとそれはそれで生き辛さに繋がるのではないか?という話をしていきました。(スキルや仕組みでカバーできるけれど障害があるならしょうがないと割り切れてしまう)
ジグソー活動
7章
個別最適な学びと協働的な学びを進めるための大まかなポイントが、個々人の状況把握などを考えるとめちゃくちゃコストが高そうで、状況調整にかかるコストもとんでもないことになりそうだという意見が出ていたそうです。
また、レベルによって分類せずに本に書かれているような組み立て方で授業するというのはなかなか面白いという話もでていたということでした。
完全な自由進度学習にすると個々人が好きなところを好きなだけやる感じになるので、実現方法はさておきこの方法は良さそうだということです。
他にも、目安が最初から決まっているのは個々人の学習品質を調整するような形になってしまうため望ましくない気がするという話や、アジャイルの文脈で考えるとアウトカムやMVPをどう設定するのか?という話、教材負担や個々人向けにカリキュラムを考えることを考えると教師の負担がめちゃくちゃ高いので本で設定されている期間としてはちょうど良さそうだという話などがあがっていました。
8章
エキスパート活動の内容とかぶるので詳細は割愛します。
話した内容に対しての意見としては、個別最適な学びの文脈で対応するというのは理想的ではあるけれども、才能がある子は教師の想像を超えてくるので、普通の個別最適と比べてもかなり大変そうだという話は出ていました。
9章
(このパートは子供がご機嫌だったので片手間で聞いていました)
卓越性という言葉が出ているけれど、これがベストを尽くす行為と解説されていて、卓越性という言葉から連想される意味とは少し違いそうだという話がありました。
卓越性の哲学という表現になっているので、アリストテレスの卓越性を参考にしているのでは?という意見や、本書に近い論文から察するに授業を卓越的なものにしていくみたいな話なのかな?という意見が出ていました。
また、先生の権威を譲渡していくという姿勢は権威ある人がファシリテーションするときにも同じことを言えそうだということでした。
クロストーク
マット運動の話をみて、
- 「物事を見る」(レビュー)側の練習はなかなかできていないということを痛感した
- モブプロやペアプロで自己推定位置を定めることが重要という話と似ている
- 現場でのメンターの教育が重要だという話に繋がりそう
という意見が出ていました。いずれにしても、相互作用を如何に生むか?みたいな部分が大事になってきそうだという話が出ていました。注釈の1は説明が複雑でよくわからなかったものの、Coaching Agile Teamsの説明は納得がいくということで、相互作用の観点で見ると納得がいくということです。
併せて、著者性の文脈で、教師が言っている内容をただ鵜呑みにするのと自分で考えるのは全然効果が違いそうだけれども相当大変だという話も出ていました。
また、個別最適な学びの理想と現実的な部分はありそうだよねという話をしていて、実際に先生がやってみたら生徒がついてこれなくなって不登校になってしまったりといったり個別最適な学びを取り入れてみたら3週間以上の内容を数時間で終わったと言い出してしまう学生が出たり、色々と現実は難しそうだという意見が出ていました。
理想を聞くとすぐにでも上手くできそうに思えるけど実際にやってみるとなかなか上手くいかないところや、育ってきた環境のコンテキストがぜんぜん異なると習得に苦痛と困難を伴う人もいるというのはアジャイルとも近しいね、という話をしていきました。
全体を通した感想
アジャイルや普段の仕事で起こる話との関連性がこれまで以上に感じられる章で、ディスカッションも活発に行えて楽しかったです。
現実と理想の部分は現場で実践する際のハードルになりそうですが、モブワークをはじめとした実践できそうな糸口も見つかったので、その点も良かったです。