こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
7月にクリエーションラインの全エンジニアが集まって Engineer All Handsと題した1泊2日の合宿を開催しました。
その時の川口耕介さんの基調講演がとても素晴らしかったので 10/4ランチタイムに再演をいたします!
個人的には、グローバルなキャリアを手に入れた川口さんが みずみずしい感性をもって、コトに当たっている秘訣を聞いた思いがしました。 たくさんの方のご参加をお待ちしてます!川口耕介さんからのメッセージ...エンジニアとしてキャリアアップ・スキルアップするために自分がどのような事をしてきたのか。学び方やアウトプットに関して渡米してここ20年位考え・実践してきた自分なりのやり方や考えを語ります。
会の様子
川口さんのこれまでの体験
エンジニアとしての最初の転換点
川口さんは高校生の時点でプログラミングができたそうですが、その際にコミュニティを訪問してプロのエンジニアとの交流や作ったソフトウェアの公開をしたことがエンジニアとしてのキャリアの転換点になったということでした。
村田さんとの出逢い
上記の経験がきっかけでプログラミングを大学でも続けていた川口さんですが、大学で研究した内容を大阪の学会で発信した際、村田さんという学会を仕切っていた方と出逢い、発表を聴いた後に急にXML絡みの論文を渡され、「明日までに読んできてください」と言われたそうです。
論文を読んだ後に読んだ感想を話して村田さんと仲良くなり、そこを起点に今度はSun Microsystemsに声をかけられたということでした。
Sun Microsystemsでの経験
「美しいプログラミングをしたい」というこだわりが出てくるようになり、Sun Microsystemsでは業務中も業務外でも一人で*1とにかくプログラミングをしまくって、とにかくプログラミングを読みまくっていたということでした。(project of the dayで1日1つライブラリを作るとかやっていた)
美しいプログラミングとは、最初は放物線的な要素や一点に負荷がかかっておらず部品のように自在に使いこなせるか?を大事にしていたそうですが、そういうコードは川口さんが書いたコード感が出てしまうということで、現在はそういう感じが出ないある種の中庸的なコード(誰が書いたのかわからないコード)が美しいと感じるようになったそうです。
Jenkinsの作成とSun Microsystemsの倒産
作り始めたJenkinsが人に受けいれられはじめた一方、Sun Microsystemsはあっさりと潰れてしまい、自分たちのこれまでの働き方だった自分の領域を守り続けるような働き方を見直すきっかけができたということでした。
その後は一瞬Sun Microsystemsの買収をしたOracleの見物をしたそうですが、すぐにここにいてはだめだと思うようになったそうで、Jenkinsを手に3ヶ月ほどで何もしらないスタートアップに飛び込んだということでした。
スタートアップ時代
スタートアップを始めたときは何も知らない状態だったそうですが、そこで出逢った色々な道のプロの方と仕事をしたことで、色々な発見をすることができたそうです。
交渉の際の戦略や、文句を言われるのはいいことだという考え方や(もっと情報を求めている証拠)、様々な問題解決の手法を知って試行錯誤する経験、ストーリーテリングなどでスケーラブルな手法を取っていくこと、書く技能などは、特に参考になったそうです。
Launchableの立ち上げ
これまでの経験でエンジニアに自分が美しいと思ったコードを書いてもらえなかった経験から、エンジニアマニュフェスト的なものを書いてみたそうです。
結果的にそこまで上手くいかなかったそうで、書くだけじゃなくて言い続けることが大事だなという結論に至ったそうですが、言語化してみた経験は非常に学びになったそうです。
コロナの流行と自転車
学生時代は、「スポーツをしている人は何も生み出していないのに自分たちは世界のためにものを生み出しているんだ」くらいに思っていたそうですが、コロナの流行で外に出れなくなったことに耐えられなくなり、毎日必ず自転車に乗るようになった結果、スポーツの素晴らしさ*2に気がついたそうです。
なお、自転車は結果的に、1週間で1,000kmくらいを走れるまでになったということでした。
川口さんの教訓
Sun Microsystemsに至るまでの過程の教訓
ふりかえってみると、自分の前に来たチャンスを掴んでいたような感じだったそうですが、ここで「チャンスを掴まないと二度とないかもしれない」といったような強迫観念にとらわれず、いい意味で気楽に来たものを掴むことが重要だと思っているそうです。
Sun Microsystemsでプログラミングをしまくった際の教訓
自分のこだわりを持つことが学びのために重要だと考えているということでした。
一方で、こだわりを持ったり強いゴールを持つことは、人を排除することにも繋がりかねないため、色々な歪さを許容するような経験も重要だと思っているそうです。(家族関係における嫁姑みたいなイメージ)
スタートアップ時代の教訓
色々な道を経験して色々な学びをそこで得たことから、キャリアみたいなものを念入りに考えることには意味がなく、サイコロで次何をするか決めるくらいのほうがよいのではないか?と思うようになったということでした。
Launchableの立ち上げと自転車で学んだこと
嫌いだった運動でもそれなりにできるようになったという経験から、とにかくやってみるのが重要だと思うようになり、そのためには好奇心を持って何にでも挑戦してみるのが大切だと考えられるようになったということでした。
川口さんは学ぶことはPDCAサイクルにほかならないと思っているそうで、そのためにも興味がないことであってもまずやってみようということを大切にしているということです。
Q&A
アウトプットの仕方に関して気をつけていることはあるか?
フィードバックをもらうことと、自分が下手なことを気にしないことが重要だと思っているということでした。
ある分野に詳しくなるにつれて傲慢になっていくのだが、制御するコツはあるのか?
川口さんは、Podcastで「誰か」の物語を聴いてみるのが好きだそうで、物語を聴いてみることで共感する力を鍛えたということでした。
また、飛行機で隣に座った人に話をしてみるということもしているそうで、知らない人の話を聴くことで他人の考えを受け入れられ、自分の傲慢さを抑えることができるようになったというお話がありました。
アラフォーアラフィフエンジニアが生きていくコツは?
中庸的な能力が必要なのかな、と思っているということでした。
人を繋げたりしながら、自分なりのやり方を見つけて実践してみるのが大切だと思っているそうです。
他にも楽しいことをやってみるというのも重要だと考えているということでした。
また、ドナルド・トランプやイーロン・マスクなど例外はいるかもしれませんが、自分のやり方やキャリアに対する不安は一定みんな抱えているものだと思っているそうです。
会全体を通した感想
川口さんの話は謙虚さと頑固さが共存している感じがあった点が、非常に面白かったです。(このあたりが中庸なのかな?と思って聴いていました)
そんなに得意ではないことでもとにかくやってみる、というのは自分はあまり得意ではないので、今日聞いた話を参考にTryしてみようと思いました。