こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
- 会の概要
- 会の様子
- 岡澤さんからの講演
- Q&A(平鍋さん&岡澤さん)
- ソフトウェア開発以外の分野にも全社展開をしたのか?
- 別会社としてアジャイル開発センターを立ち上げたがその理由は?
- アジャイル導入の効果を測定するメトリクスは?
- 心理的安全性を確保するためにやった具体的な施策は?
- メンバー全体の志向やマインドセットをプロダクト志向にしていく上でやったこと
- POやSMの育成/採用をどのように進めたのか?
- 一番パワーが必要だった局面は?
- 社内イベントで430名参加するのはすごいと思うがどのように募集したのか?
- 評価制度は変えられたのか?
- 別会社にすると管理コストや発注にまつわるコストが増加しそうだがそういう課題はあったのか?
- 品質保証にまつわる取り組みがあれば聞きたい
- 会全体を通した感想
会の概要
以下、イベントページから引用です。
VUCAといわれる時代において、企業の機敏性や柔軟性がより一層ビジネスに直結してきます。そんな中、顧客ファーストを実現するために国内においてサービス開発のアジャイル推進、内製化を推進する企業も多くなってきております。
KDDIでは、2013年にアジャイル開発を導入して以降、内製組織を構築し、アジャイルなマインド、エンジニア文化を醸成してこられました。
今回のウェビナーは、KDDIアジャイル開発センター株式会社の岡澤様を講師にお招きし、立ち上げから、文化醸成までの変遷にフォーカスして、お話しいただきます。
会の様子
岡澤さんからの講演
最初に、本イベントのタイトル通り、KDDIでどのようにアジャイル内製組織に取り組んでいったのか?という話を聞いていきました。
現代の再認識
まずは現代がどういう時代なのかを再認識していきました。
VUCA/TUNAの話に加えて、5,000万ユーザーに使われるようになるまでのリードタイムの超短縮化(74year -> 19days)や大企業におけるS&P指標の変遷をはじめとした、具体的な数値の紹介がありました。
KDDIアジャイル導入の流れ
KDDIがアジャイルとどのように道を歩んできたのか、変遷を紹介してくれました。
以下、年ごとに具体的にどのようなことをやってきたのか記載します。
2013年 : 法人向けサービスにて初めてのアジャイル開発を導入した。(社内で最初のアジャイルチームが立ち上がる)
2015年 : 個人向けサービスなどにアジャイル開発領域を拡大(=複数チーム立ち上げ)
2016年 : アジャイル開発センターが発足し、多くの部門でアジャイル開発が開始(=組織立ち上げ)
2016-2018年 : 開発案件拡大&開発体制の整備+UI/UXへの取り組み強化(=全社展開)
2018-2019年 : KDDI DIGITAL GATE Scrum inc. Japan独立
2019-2021年 : AIへの取り組みを強化・加速(=自走する組織の促進)
2021年 : DX開発支援開始(=社外・グループ会社への展開)
アジャイルチーム立ち上げ時の状況
続いて、アジャイルを立ち上げたての時の状況をお話してくれました。
多種多様な技術領域でアジャイルを推進できたことに手応えを得られた一方で、現実的には多種多様な課題を抱えていたそうで、課題だらけでなんとか進んでいるような状況だったというお話しでした。
判断スピードを上げるための施策
アジャイル開発を効果的に行うためには意思決定の速度を上げる必要があり、縦割り型組織から自律型組織への変化を目指したという話を聞いていきました。
この際は、(もう聞き飽きた概念かもしれないけれど)心理的安全性を最重要視したということで、チームの中でお互いに言い合える関係性を目指したということです。
同時に、縦割り型組織で発生しがちなマイクロマネジメントをやめ、チームに対して信頼を持つことも重視したというお話でした。
組織変革をする際には、ジョン・コッターの組織変革の8アクセルを参考にしたということでした。
チームづくり
こういった自律的なチームを作るためには、まず共通言語/共通意識を(例えばインセプションデッキなどで)持つことを重要視していたそうで、アジャイル推進組織よりも先に、こうした共通意識を持てるアジャイルチームを立ち上げることを選択したそうです。
ナレッジの蓄積&成長促進
アジャイル開発のナレッジを蓄積して組織の成長を促進するために、以下のような取り組みを行ったということでした。
Q&A(平鍋さん&岡澤さん)
講演の後はQ&Aの時間が取られました。以下、常体でQ&Aセッションの内容を記載していきます。
ソフトウェア開発以外の分野にも全社展開をしたのか?
採用活動などでも展開した。他にも働き方改革推進の文脈でも展開したことがある。
別会社としてアジャイル開発センターを立ち上げたがその理由は?
社内でも普通にアジャイルをやっているのだが、「エンジニアが働きやすい会社」を考えたときに、事業会社だとどうしても影響範囲が広くなって施策変更や評価体系の定義が難しく、別会社を立ち上げる形を採用した。
アジャイル導入の効果を測定するメトリクスは?
- ユーザーストーリごとにビジネス的な生産性を割り当てた
- 社員の幸福度
- リードタイム
- ベロシティ
など、いろいろ計測した。
岡澤さん個人的には、ビジネスに直結するようなメトリクスが重要だと思っている。
心理的安全性を確保するためにやった具体的な施策は?
メンバー全体の志向やマインドセットをプロダクト志向にしていく上でやったこと
アジャイルネイティブでアジャイルを自然と実践できるようなメンバーが中心にやっているので、実はそこまで教育にコストを割いていない。
1on1でEMがフォローすることはある。
POやSMの育成/採用をどのように進めたのか?
初期は採用ではなく、内部で育成した。
視点が広くエンジニア以外のロールも経験したいと話していたようなエンジニアをまずは育てた。
一番パワーが必要だった局面は?
旧来型の組織に慣れていた人々のマインドチェンジ部分。
反対勢力の方々と話をするときは、自分がいかに納得しているか?という部分や自分が信じている想いの強さが大切になってくると思う。
社内イベントで430名参加するのはすごいと思うがどのように募集したのか?
コミュニティが既に立ち上がっていたので、そのコミュニティが率先して引っ張ってくれた。
その他にも、普通に社内ポータルのトップに出続けるようにしたりはした。(タッチポイントを増やした)
あと、コンテンツを考えるときに、社内で「この人の話が聞きたいんだろうな」という人を連れてくるようにした。
評価制度は変えられたのか?
実はKDDI自体が評価制度をどんどん変えていく会社だった。(具体的には、ジョブ型を推進した評価制度に変化していった)
別会社にすると管理コストや発注にまつわるコストが増加しそうだがそういう課題はあったのか?
これまでは一部門で動いていたが、会社になることでコーポーレート部門を強化できるメリットの方が大きく、今のところはあまり課題を感じていない。
品質保証にまつわる取り組みがあれば聞きたい
アジャイルを自然と推進していった結果、WFとアジャイルでどちらがバグが多いか?を比較したときにアジャイルの方が結果的にバグが少なかった。
直接的な原因はわからないが、自動テストなどが寄与しているのかもしれないと思っている。
会全体を通した感想
非常に大きな組織なのでアジャイル導入の難度は高かったと思うのですが、基本を大切にして、マインドと具体的な施策をバランスよく実行している印象が強くて、さすがの一言でした。
めちゃくちゃ濃密な内容で、1時間のイベントとは思えないほど具体的なお話が多数聞けてよかったです。
また、会の本題ではないのですが、ドラムロールや拍手を送ることができるシステム(永和さんの自社製)を使いながら講演を聞くことができたのはめちゃくちゃ面白かったです。