天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます

「失敗の本質」を読んだ

 

失敗の本質を読んだので感想を書いていきます。

読んだきっかけ

組織論の勉強をしていく過程で、本書を引用 or 推薦している記事を多く見かけたので、読んでみることにしました。

本の概要

太平洋戦争で日本が惨敗に終わった6つの戦い*1をピックアップし、それぞれについて、日本軍が敗北に至るまでの経緯や敗北した理由を考察した本です。

本を通して学べたこと

当初計画していた作戦が失敗する幾つかの要因を学ぶことができました。
プロジェクトの失敗と深く関連する話だったので、参考になる内容が多かったです。

曖昧な目的

作戦がどういう意義をもっていて、なぜ実行されるのかが不明確になっている or 明確になっているが、組織によって理解がばらばらになっている場合に、作戦が失敗しやすくなる旨が記載されていました。
プロジェクト立ち上げ時にインセプションデッキで「私たちはなぜここにいるのか」を考えるのはまさにこれを防ぐためだな、と感じました。

長期的視点の欠落

短期的視点, 長期的視点の両方から物事を捉えられていない場合、作戦が失敗しやすくなる旨が記載されていました。
プロダクトのリリースをするために技術的負債を負う状態は、まさに長期的視点が欠落している状態なんだろうな、と感じました。

科学的思考の欠落

科学的根拠のない思考は、必然的に人間が本来持つ偏った思考になり、楽観的判断や個人最適な判断に帰結しやすい旨が記載されていました。
経験による判断で痛い目を見たことは何回もあるので、身に沁みました。

戦略オプションの狭さ

過去上手くいった例や過去のシナリオを基に戦略を立てることで、予測不能な事態への対応力が低下して、失敗する可能性が高くなる旨が記載されていました。
プロジェクトを進めていく上でも、先の見えない未来が怖くて、過去と同じ仮定を置いてしまうことが多いですが、過去と同じ仮定を置くのではなく、不確実な未来への対応力を高める進め方の重要性を再認知できました。

人的ネットワークの偏重

組織をまとめる際、組織全体よりも個々人の関係性を偏重し過ぎた結果、組織全体が機能不全に陥り失敗する可能性が高くなる旨が記載されていました。
この話を読んで、自分自身が、他者を尊敬して相手の気持ちを傷つけないようにすることと、組織を良くするために自身の意見を発することを対立構造にしてしまっていたことに気が付けたので良かったです。

言語化された方法論やプロセス論に解決策があると信じ込む

与えられた前提や解決しようとしている問題自体を疑わないと、シングル・ループ学習に陥り、理論や組織が発展していかずに失敗するという旨が記載されていました。
答えくれくれ君になってしまうのはまさにこの原因で失敗しやすいんだろうな、と思いました。
また、シングル・ループ学習に陥らないように、コストを下げて改善することのみを考えるのではなく、成果を上げる方法や革新的手法を考える必要性を改めて感じました。(伊賀さんの「生産性」に載っていた話を思い出しました)

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

  • 作者:伊賀 泰代
  • 発売日: 2016/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

全体を通しての感想

分量が多い上に文章がやや難解だったこともあり、読むのに時間がかかりましたが、組織のあるべき姿について考えさせられる良著でした。
自分は戦いをプロジェクトに置き換えて読んでいましたが、身に覚えがありすぎる状況や問題が幾度となく出てきて、心が痛くなる場面が多かったです。
また、戦いで失敗した原因を抽象化した言葉に印象的なものが多かったのも本書の特長の一つです。
個人的には、「戦略の失敗は戦術で補えないし、戦術の失敗は戦略で補えない」という言葉が特に印象的で、計画の失敗を実行段階で補う危険性(逆も然)を自覚できました。

*1:ノモンハン事件, ミッドウェー作戦, ガダルカナル作戦, インパール作戦, レイテ海戦, 沖縄戦