天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

PMとPMMの良い連携について話そう〜急成長プロダクト Bill Oneとログラスの事例〜に参加してきた

forkwell.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

近年、国内のSaaS企業で、市場理解や市場開拓、Go-to-Marketの戦略・戦術を強化すべく、「プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)」の役割設置が増加しています。 今年7月にはプロダクトマーケティングを専門に取り扱った書籍『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』も発売され、その動きはさらに加速しています。 同時に、PMMとプロダクトマネージャー(PM)の職務は隣接し、重なる部分が多いため、PMとPMMの役割の境界や重なりをどうすべきか、という議論が組織内で必ず発生します。 そこに唯一解は存在しませんが、事例とその背景を知ることで、自社で実践する上でのインサイトを見出すことができます。

今回のイベントでは「PMとPMMの良い連携」について、急成長プロダクトの「Bill One」「Loglass」の事例をもとに、PMの視点からディスカッションします。

会の様子

パネルディスカッション「PMとPMMの連携について」

PMM設置の動機

柴野さんは、PMFした後に自分の時間の限界を感じた(プロダクトに向き合う時間が減った)ので自分以外にプロダクトのことを考える人を置くことと、マーケットの進化スピードの牽引(市場の成長速度が速くそこについていきたかった)の2点を目標にして、PMMを設置したということでした。
きっかけとしては、社長がBill Oneプロダクトにアクセルをぐいっと踏み込むことを決めたことが大きかったということです。

浅越さんは、(プロダクトの特性上)提供価値の多様化が進んだのでそこに追従していくことと、組織感の個別最適を防ぐためにPMMを設置したということでした。
また、直接的なきっかけとしては、組織の異なる部門にどんどん人が入っていって、会社がカオスになることが目に見えたタイミングで浅見さんというプロダクトマネージャーの方が動いたことが大きかったということです。

PM/PMMの定義やコラボレーションポイント

柴野さん(SanSan)は、PM = PdM + PMMだと考えているそうで、PdMがソリューション構築、PMMがセールスモデルの構築、課題定義*1や訴求メッセージ*2はPdM, PMM両方がやるという区分けをしているそうです。
また、領域のオーバーラップがある関係上、ざっくばらんな1on1や定型的な会議など、密にコミュニケーションを取るようにしているそうです(イニシアチブはテーマによってどちらかが意識的に持っているとやりやすいと感じる)

浅越さん(ログラス)は、PMMがCS, Marketing, BizDev, Salesを担当し、PdMが開発メンバーの代表として何をなんのために作るのか?を考えるようにしているということです。
また、役割分担はそこまでかつっと分けるようなことはしないようにしているそうで、とはいえその中でなんとなくPMM, PdMどちらがイニシアチブを持つか?を決めるようにしているということでした。(会社の風土としても、他の人の領域でも自分の意見があるときは積極的に意見を出して相互協力していく事例があるので、こういったやり方でうまく回っているというのはあるそうです)
コラボレーションポイントとしては、週次定例をざっくりやってそこで見つけた課題を深ぼるようなことをしているそうです。これに加えて、日常的にもSlackで非同期にやり取りをするようにしているということでした。

Q&A

パネルディスカッションの後は参加者からのQ&Aがありました。
以下、Q&Aの内容を常体かつ箇条書きで記載していきます。

PdMとPMMがそれぞれ存在するからこそ発生した課題はあるのか?
  • 正直そこまでない。あるとすれば、目線を最初に揃えるのがなかなか難しいくらい
  • 正直ないのだが、起こるだろうなという想像で話すと、一人でやったほうが早かったわと思ってしまうみたいなこともあるのかな?とは思う
新人PMM(まず既存顧客を中心に活動し足元を揃えつつ徐々に活動範囲を広げてセールスマーケ連携でマーケット向き合いに範囲拡大していけたらいいと考えている)にアドバイスがあれば教えてほしい
  • 解像度があることが大切なので、ドメイン知識をまず整えるというのは正しいやり方だと考えている
  • どこまでいっても意思決定として重要なポジションなのは間違いないので、このやり方でいいと思っている
良いPMMとは?
  • PMMは事業を成長させるために何でもやる人だと思う
  • PMの資質は大切になってくるので、良いPMなら良いPMMだとは思う
  • 最強のなんでもやさん
PMMとPdMの現場介入ってどこまでやっているのか?
  • どんどん便利屋になっていくので、一番大切なところはどこなんだっけ?他の人に任さられないんだっけ?というのを考えながらやっていくのが重要だと思う
  • 方向性とかピン止めは現場ではなくPMMやPdMがやるイメージ
PMMのKPI/OKRの設定は?
  • なかった
  • 定量目標/定性目標がぐるぐるするし、組織のビジネス目標と被ることも多いので、同じような課題を持っているビジネス組織と同じように目標調整している気がする
  • 1ヶ月くらいの期間で変更しながらやっている
bizDevとPMMの違いは?
  • 中長期なことを考えるのがbizDev、PMMは既存事業のことを考える、みたいなイメージで役割を分けている。bizDevは飛び道具的なイメージ。
  • 今はbizDevという役割を置いていない
営業チームが機能人になって「開発がまだだから〜」という状況に陥ったことはあるか?その中でどう突破できるかを試行錯誤するか?
  • 多少機能不備があることを承知で思い切ってプロダクトバックログを変えたりする
  • 機能がないと売れないなら売れにくいところにTargetを突っ込んでいるんじゃないか?という疑問を持ちながら考えることが多い
4Pに近いボールをPMMが持つことでPMMとPdMのバランスが崩れることがあると思うが、なにか情報伝達で気をつけていることはあるのか?
  • PMMの意図と意志を中心に確認していくのが重要
  • 「伝達する」みたいな意識を持っている状態の先に行って、自然と状態共有している姿を目指している

会全体を通した感想

パネルディスカッションでは、ありがちな話かな?と思ったタイミングでモデレーターの横道さんが深く質問してくれて、事業やフェーズにおける違いや特徴的な戦略がみえたのが非常によかったです。

*1:誰の課題を解決しているのか、Marketの競合分析

*2:意識してプロダクトビジョンやプロダクトサービスを一言で定義する