distributed-agile-team.connpass.com
こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
最近話題のOpenAIのChatGPTを中心に、2022年3月14日にリリースされたGPT-4がSNSで大きな話題となっています。その使い勝手と進化のスピードにより、仕事のし方や時間の使い方、プロダクト開発の進め方、チームのあり方まで、ゲームチェンジャーとなる変化が予感されます。既に個人や業務で活用し始めている方や、実験を行っている方も多いでしょう。
本イベントでは、GhatGPTを活用した新たな仕事のし方やプロダクトの作り方、チームのあり方について、深くまでダイビングしてみます。この機会に、AI技術を活用したプロダクト開発やチームの未来を共に考えてみませんか?
GPT-4の登場によって生まれる新たなチャレンジや機会を探求し、アジャイル開発やプロダクト開発に携わる方々と共に、未来の働き方を創り出す糸口を見つけましょう。プロダクト開発に関心のある方、最新のAI技術に興味がある方、ぜひご参加ください。
※ChatGPTに書いてもらいました
会の様子
ChatGPT4になってよかったこと
まず最初に、ChatGPT3.5からChatGPT4になって感じた進歩の話を聞いていきました。
- ChatGPT3.5までは事細かにプロンプトを指示する必要があったのが、1/3くらいに済むようになったこと
- トートロジーが極端になくなったこと
- 質問内容にダイレクトに答えてくれるようになった。例えば、「詳細に言ってください」と言うと、ただ言葉を言い換えられることが多かった
- スペルミスを勝手に直してくれたり、使いこなす労力がだいぶ減った。Prompt Engineering GuideのTechniquesを使わなくても良くなった。プログラミングのスペルミスも勝手に修正する
などが挙げられていました。
ChatGPT4になっても変わらないこと
進歩を感じる一方で、以下の点はChatGPT3.5からChatGPT4になっても変わらないという話が出ていました。
- 局所的なローカル情報が出せない(東京駅近辺のおすすめラーメン店はまったくあてにならない)
- 批評してもらうのが難しい(マツコ・デラックス的に言ってと話してもらうと解決する)
ChatGPTにどのような印象を抱いているのか?
- インターネットが普及した時や、Google検索エンジンが出てきた時や、DeepLが出てきた時に感じた印象と似ている。日常が変化するような感じがする
- ChatGPTの使用回数制限がどんどん厳しくなっており、PMFを感じる
- 使い方や使う頻度に差はあれど、どのクライアントも使っているのはすごいなと感じる
- ChatGPTに何度も聞けるのがめちゃくちゃ強い。何度も聞き返してもイラッとされない
ChatGPTの使い方
及部さん森さんきょんさんspring.akiさんが普段どのようにChatGPTを使っているのか?を聞いていきました。
- それと同じようなことをgit push以外でもできるようになっている(エンジニアとして仕事をしている時にgit pushしてコーヒーを入れて後はCIにおまかせみたいな時間の使い方をしているのと同じ)
- 指示, 背景, 質問/依頼, フォーマットの4つを入れて投げている。テンプレを50個くらい用意している
- 書籍の要約時に、リーンキャンバスの形式で要約をしてもらうようにしている
- 翻訳やロールプレイングが非常にうまいので、「小学生にもわかるように教えて」「XXXXみたいな形式で翻訳をして」みたいなことができる
- Superpower ChatGPTやGlarity-Summary for Google/YouTube (ChatGPT)をChrome拡張で活用している
- まずコンテキストを作ってあげて(few-shotを入れて)、その上で質問をすると飛躍的に回答の質が上がったりする
ChatGPTに期待していること
及部さん森さんきょんさんspring.akiさんがChatGPTに何を期待しているのか聞いていきました。
- 動画と文章だと学習時間がぜんぜん違うので、動画や絵とかをどのようにしてテキストに落とし込むのか?というのに期待している
- 今までバリアにしていたものがバリアじゃないことがわかることに期待している。視覚障害の人が絵を理解できるようになったりするんじゃないか?ということを期待してる
- 企業の新人教育にかけられるリソースはカツカツなので、ここでChatGPTでアクション・ラーニングを入れてあげると学ぶ速度が大幅に向上するんじゃないか?と思っている(例えば何かを学ぶ時の目次を書いてもらってその目次で自分がわからないことを学んでみるとか)
ChatGPTで仕事の仕方は変わってくるか?
ChatGPTが普及すると仕事がどのように変わってくる?という話を聞いていきました。途中からは仕事の仕方に変わらず、ChatGPTによって訪れそうな未来みたいな話にもなっていきました
- LLMは帰納法的な推論が得意なので、ChatGPTができないアブダクション推論できるか?が大切になってくると思う
- コーディングする時間はめちゃくちゃ減っていく
- モブプロが一人でもできるようになっていく
- 検証サイクルでちょっと考えればわかるような課題を逃すみたいなことはなくなっていく
- 受け入れ条件で漏れがある部分を検知しやすくなるなど、初心者が陥りやすい罠というのは一掃されそうだと感じている(タスクのLinter的なイメージ)
- オレオレPOや発言が強い人の力がChatGPTによって緩和されることが予想される
- ChatGPTに対して丁寧に依頼する癖がつくことで、人に使う言葉づかいが大きく変わってくる。文章を構造化する能力が飛躍的に上がり得るため、趣旨説明などがめちゃくちゃ上手になると思う。逆に練習しない人との差はどんどんついていくと思うので、文章を構造化するスキルや企画書を作るスキルは大きく差がつきそうだと感じている
- スクラムマスターの初心者的なふるまいはChatGPTで補完されてしまう。スクラムマスターのプロンプトが作られることによって、初心者スクラムマスターを抱えるチームにアジャイルコーチが不要になる
- 初心者専門コーチングみたいなことをしている人は駆逐される
- 開発サイクルが大幅に短縮されて、楽しめるところにフォーカスできるようになってくる(極端な話、タグ構造だけ指定してサイトを書くみたいなことができるようになるかもしれない)
- やる夫とやらない夫、みたいな自分が学びやすい学習コンテンツをそれぞれが生成できるようになる
- 本当に欲しかった大学が作られるようになる。自分のロールモデルをChatGPTにインストールできるようになる
- 手元に教材がなかったりといったリソース不足による待ち時間が減り、質の高い「ぐだぐだ」ができるようになっていく
ChatGPTでなくなっていく仕事はあるか?
上の話題とも関連しますが、ChatGPTでなくなっていく仕事はないのか?という話がありました。
- コンサルタントの初期フェーズで多くあるデスクリサーチ系の仕事は大幅に時間短縮されそうな気がしている
- 答えが収束している仕事はなくなっていくと思う
- 教師やカウンセラーも、なくなっていくとまではいかずともあり方は変わっていきそう
- 「プログラマーとかエンジニアがいなくなる」のように、0/1で語るのはつまらないと感じる
- ノーコードよりは仕事の仕方に大きな影響を与えていく気がする
- 要件定義で決まったことや言われたことをそのまま実装するみたいな受託開発会社は完全になくなりそう
- ワンストップでやってくれるところはChatGPTの強みとしてあるので、アーキテクトみたいな人は職を失いそうな気がしている。アーキテクトは、POがわーっと言っていることをすごい経験値からソリューションとして成立させること+ビジネススケールするアーキテクティングをする教育をする、の2面があるが、ソリューションとして成立させる方は知識量の差から完全駆逐されて、教育の方は素晴らしいプロンプトが完成すると駆逐されそう
- アプリケーションプログラマはライブラリのアップデートなどが3ヶ月に一回アップデートがかかったりと使う変数が多いので、駆逐はされにくいと思っている
- ChatGPTはUIが簡素なので、情弱ビジネスみたいなのは発生しにくいのではないかと思っている
- モダンな技術をめちゃくちゃ早くキャッチアップしようとしている会社はChatGPTとの戦いになって売上がたてられなくなる可能性が高い。一方でレガシーシステムのメンテナンスをしている会社(パブリッククラウドに載せられないような仕事をしている会社)は売上がしばらく安定しそう
プロダクトマネジメントとChatGPT
実践ではマネされない(再現できない)ものに価値があり、研究ではマネできる(再現できる)ものに価値がある
— 角 征典/Masanori Kado (@kdmsnr) 2023年3月2日
角さんのTweetを参考にしながら、プロダクトマネジメントにChatGPTがどのように組み込まれていくのか?という話を森さんを中心に聞いていきました。
- 新規製品開発ではルーティン的な仕事と新規性がある仕事が出てくるので、当たり前品質に近いところはChatGPTにまかせて魅力的品質に近いところは会社の力の見せ所(フォーカスするところ)という感じで仕事に組み込んでいくと思う
- 空間が固定されているようなもの(例えばラノベらしいタイトルみたいな感じである程度パターンがあるもの)には広く取り入れることができそう
- 直感的な天才肌みたいな人がやっていることをヒアリングして、それを構造化するみたいなことが、広範囲で起きるのではないか?と思う
- ChatGPTとあまり関わらない話ではあるが、収束した答えが欲しいのか拡散させたいのかみたいなパターンをChatGPTで選択していくようになるはず
- 物事を考えるスキーマを獲得していることが前提となっているようなものはどんどん明らかになっていくのでは?と思っている。例えば行政の文章とかは行政の文章だという認知スキーマを持っていないと読むことができないと思っているが、そのことがChatGPTによって明らかになるようなイメージ
コーチング領域にChatGPTがどのように組み込まれていくのか?
続いてspring.akiさんを中心に、コーチングや人と人とのコミュニケーションにどのようにChatGPTが組み込まれていくのか?という話を聞いていきました。
- 予測可能性だけで返答しているChatGPTだが、それでもいいという人はたくさんいるので、人じゃないからこそ壁打ちしてもらいやすいみたいな人は出てきて、そういう人はChatGPTとのコミュニケーションに勤しむ可能性はありそう
- 人と人との関係性がコーチングにエンパワーメントすることがある。でも、ChatGPTに対して人格を見いだせるような人はいるので、そういう人はChatGPTにコミュニケーションを頼むみたいなことは起きそう
- 人って人が壁打ちしているを見ていると自分の問題が解決されるみたいなことがある。そのため、例えば結構論文がある臨床系は、ChatGPTにロールプレイをさせてみることによって、医療行為に適応させることができるようになるかもしれない
- コーチング領域に限らないが、活用していこうという人は「ChatGPTからも」コミュニケーションを学ぶことができる。一方で雑にChatGPTをただ使っているだけだと、ChatGPTは雑に返しても丁寧に対話してくれるのに現実世界の人って全然コミュニケーション取ってくれないなあみたいな発想になって、コミュニケーションがどんどん下手になってくる人も出てきそうだと思っている
会全体を通した感想
いつもの4人がChatGPTにまつわるいろいろな話題で盛り上がっていて、楽しかったです。
全体的に新しい発見というよりも共感できるなーという話が多かったのですが、その中でも特に、どういう仕事がなくなるかとかを考えるよりもどういう仕事の仕方に変わっていくのか?を考えるのが重要という話は自分もすごく思っていたところなので、みなさんのお話が聞けてよかったです。