こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
主にIT企業においてひときわ目立つ存在であるエヴァンジェリストという職種の方々
彼らはどのようなバックグラウンドを持ち、どのような経緯を経てエヴァンジェリストになったのか。
そしてどのような考え方、手法を用いて企業の理念や製品の機能を伝導しているのか。今回は様々な企業でエヴァンジェリストとしてご活躍されている方々をパネリストとしてお招きし、実際にどういったお仕事をされているのか、その意義や面白さ、会社ごとの特徴など、様々な共通点や相違点などについて深堀りしていきたいと思います。
会の様子
エヴァンジェリストってなにか?
以下のような特徴がある仕事だという話が出ていました。
- 色んな人にものを使ってもらうことを仕事にしている
- さまざまなSNSで技術の話を発信する
- 注目を集めることが仕事になるので、仕事とプライベートの境は曖昧になる
- テクノロジーが高度化したことで、重要なテクノロジーをタイムリーかつ適切に伝えることが重要になってきてできた仕事
- ヒーローを作るための仕事
- 記憶が残るような話し方をするにはどうしたらいいか?を考えるような仕事
エヴァンジェリストになったきっかけは?
エヴァンジェリストを志す人のために、エヴァンジェリストになったきっかけをパネリストのお三方が話してくれました。
戸倉さんは、Microsoft Azureをパブリック公開していくにあたって、認知度を上げるために何かしらキャラクタ(=クラウディ窓辺)を作っていくという取り組みに出逢ったのがきっかけだったということでした。
そして、クラウディ窓辺のようなエンジニアになりたいと感じたことや、誕生日が全く同じだったことに運命を感じ、選考に応募したそうです。応募したときはエヴァンジェリストのポジションがなかったそうで営業からのスタートになったということですが、営業をしながらMicrosoft Azureをめちゃくちゃ勉強すると共に周囲にエヴァンジェリストになりたい旨を宣言し続け、結果的にエヴァンジェリストになることができたということでした。
亀田さんは、認証と暗号をもともと専門に働いていた際に、TLS/SSLをわかりやすく人に説明する能力が高いことがわかり、そこから徐々にエヴァンジェリストのような仕事が増えていったそうです。
エヴァンジェリストになるための技術スタックはそこまで関係ない*1ものの、エヴァンジェリストの仕事をしていると(最初の方は特に)ネガティブなコメントが多数来たり批判にさらされることになるため、「エヴァンジェリストになるためにはどうしたらいいですか?」と言っているようなスタンスの人はあまり向いていないように感じる仕事だということでした。
高橋さんの場合は、エヴァンジェリストをやっていた人がいなくなってしまったことがきっかけでエヴァンジェリストを志したということでした。
Twilioは一ユーザーとしてめちゃくちゃいいサービスだと感じていたにも関わらず、前任のエヴァンジェリストがいなくなったことでコミュニティ活動が停滞してしまっていた現状に危機感を持って、エヴァンジェリストに立候補したそうです。
また、エヴァンジェリストになるための技術スタックの広さはそこまで重要ではないと思うのですが、サービスに対する深い愛とロジックをうまく組み立てて話をするようなちょっとしたセンスは重要だということでした。
エヴァンジェリストのダイバーシティ
エヴァンジェリストはなぜ女性や若手が少ないのか?というダイバーシティにまつわる話をしていきました。
戸倉さんは、エヴァンジェリスト特有の問題で女性や若手が少ないというよりはIT業界の性質の話も大きいと思うとお話をしてくれて、強いメンタルが求められること, 事前準備がめちゃくちゃ大変なので時間的制約が強いこと, コロナになってからオンラインセミナーが増えたものの出張や懇親会による疲労度との付き合い方が難しいこと、の3点が女性や若手の割合が低い理由として挙げられるということです。
亀田さんは、ワークライフバランスが著しく悪いこと, exit planがないことが原因でエヴァンジェリストの後継者がいないこと, ルッキズムに晒されることの3点が女性の活躍の障壁になっているという印象を持っているということでした。
高橋さんは、そもそもエヴァンジェリストになりたい人が若手とか女性関係なくほとんどいない印象を受けているということで、この原因はこれまでのお二方が話してくれた内容が理由になっているのでは?とお話してくれました。
エヴァンジェリストになってよかったこと
亀田さんはエヴァンジェリストになったことで、全国出張で友人と夜に死ぬまで財産つなるような時間を過ごすことができたことと、普通の仕事をしていて絶対出逢えないような人と出逢えた経験を挙げていきました。
高橋さんは、技術に対する愛を大手を振ってアピールできることや、高橋さん自身のフットワークの良さを生かして好き勝手に振る舞えること、移動のコストを負担してもらえること、を挙げてくれました。
戸倉さんも基本的にお二方と同じ意見で、加えるなら新しい技術にがんがん触れられることも非常にラッキーだと思ったということでした。
エヴァンジェリストになって苦労したこと
戸倉さんは、新しい技術であるがゆえに実行環境が不安定でそもそも動くかというせめぎあいと戦いながら時間をめちゃくちゃ使ったのは苦労したということでした。
亀田さんは、そんなに苦労した経験はなかったそうですが、これは前社のブランディング力に守られていたことも原因だと考えているそうで、アンチとの付き合い方などは今後覚えていくんだろうなあというお話をしてくれました。また、COVID-19が流行りだした直後は仕事が一気に減って不安になったそうです。
高橋さんは、「どう伝えるか?」を考えるのは非常に大変だったというのと、多くのプログラミング言語を覚えないといけないのは苦労したということでした。
また、技術の移り変わりの速さをダイレクトに受けるので、必死にブランディングしていた話を数ヶ月で捨てないといけなくなったりするのは大変だったということです。
アンチに関しては、社外よりも社内で活動している際に感じることが多いということで、「あいつはなんであんな仕事でお金がもらえるんだ」のようなことを言われることはあったそうです。*2
キャリアの選択肢としてエヴァンジェリストのよさは?
戸倉さんは、大好きだったエヴァンゲリヲンを守る仕事ができた(自分がやりたいことを思いっきりできた)のはすごくキャリアとして価値があると思えたそうです。
また、多くのエンジニアと出逢えることで一緒に成長できたのもこの仕事を選んで良かったと感じるポイントだったということでした。
亀田さんは、エヴァンジェリストにはKPIがないためえげつない自由を手に入れることができる*3のは非常に良かったということです。
高橋さんは、セルフブランディングができるのが高橋さんの性格とあって楽しかったということで、いろいろな人に名前を知ってもらえて声を何度もかけてもらえるのは楽しかったということでした。
エヴァンジェリストとしての腕の見せどころは?
戸倉さんは、最初はアンケートでの満足度やイベントの集客数を高めることがエヴァンジェリストの腕の見せどころだと考えていたそうですが、最近は開発者が実際に手を動かして紹介した技術を使ってもらえるか?というのが腕の見せどころになるということでした。
また、VSCodeですべての言語を書くのは鉄板ネタだそうです。
亀田さんは、keynoteでエモーショナルな話をパワポ一枚絵で話せてしまう&一切練習せずに話しができるのは亀田さんの鉄板ネタということでした。
高橋さんは、喋りの力を使って(特に笑いの力を使って)人を集客するのは腕の見せどころだということでした。
他の登壇者に聞きたいことは?
戸倉さん〜健康の秘訣を聞きたい〜
亀田さんは特に何も気をつけなくてもここ20年近く風邪を引いていないということでした笑
高橋さんはストレスを溜めないように美味しいご飯を食べることは大事にしているそうです。
亀田さん〜なぜ髪を染めているの?(営業でプラスになる?)〜
戸倉さんは、ウィッグをイベント時に使うことを時々していたそうですが、夏にウィッグが原因で意識朦朧とした経験をし、ここはもう「こういう人です」というイメージを作るためにやりきろうという話を気持ちになり、髪を染めたということです。
高橋さんは、誕生日に坊主にする癖があった&運転免許証写真を坊主で取らないといけなかったのが恥ずかしかったそうで、坊主以外の解決方法を模索した結果ピンクの髪にすることを思いついたそうです。
また、「髪の色なんでピンクなんですか?」という話のネタが一つ持てて美味しいということでした。
高橋さん〜エヴァンジェリストの属人化に対してどのように乗り越えればよいのか?〜
戸倉さんは、自分よりパワフルなちょまどさんがjoinしたので、前職ではあまりそういう心配をしたことがないということでした。
その上で今の仕事で考えていることとしては、チーム登壇やチーム作りが挙げられるそうです。
亀田さんは、一言で言えば周りの人や前任の人を気にしないことが重要だということでした。
また、何をしてほしいのかという期待値はコミュニティの方々が教えてくれるはずなので、その話を聞いた上で自分が何をしたいのか?というのを改めて考えると良いそうです。
会全体を通した感想
エヴァンジェリストの方々がやっている仕事の裏側(?)のお話を聞くことができて楽しかったです。
みなさんが持っている情熱に触れられることができたのもすごく楽しかったです。