天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

ウルシステムズ 漆原さんと語る「僕らが作る未来」Vol.3に参加してきた

creationline.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。(家庭の都合で懇親会の参加が難しかったため、対談と質疑応答の途中までの参加でした)

会の概要

ウルシステムズの漆原さんとクリエーションラインの安田さんが社長同士対談をしていくというイベントです。

会の様子

漆原さんの普段の様子

会長にも関わらずゴリゴリコーディングするという漆原さんが、どのように普段過ごしているのか?という話を聞いていきました。

日中は会長の仕事だったり調べ物だったりをしているものの、仕事で余った時間はすべてコーディングにささげているということで、一日の3割くらいはコーディングをしているということでした。

好きなことだけをして生きようと考えているためこのようなスケジュールになるということで、コーディングしながら寝落ちすることもあるそうです。

顧客へのコミット(やらないことリスト)が生まれた背景

会社の立ち上げ時期は血みどろで社内の中でもばちばちに闘争があったりしつつ、皆がぎらぎらしている状態だったため、何でもやろうという姿勢を辞めようという考えに至り、顧客に向けたやらないことリストの表明につながったそうです。

また、素敵な未来や叶えたい未来を話すことはできる一方で、(厳しい時期だと特に)何をやらないか?を決めるのが重要だと考えられていたことや、エンジニアのために作った会社でそこに共感した人たちが集まっている会社なんだから「これはやりたくない」の共有ができるだろうと考えていたことも、やらないことリストの作成につながったということでした。

数字を追わない

ウルシステムズでは自社システムを持たずに、社会変革を起こせるだろうとエンジニアが心から思えるシステムの実装にコミットしているため、組織を持たない選択肢を取っているということでした。*1

新しい技術の見極め

続いて、いけている技術の判断をどのようにしているのか?という話を聞いていきました。

漆原さんはもちろん、エンジニアが様々なところで学んでいると「技術がやばい人」とつながるタイミングがあるそうで、そこでつながった人から情報を仕入れるようにしているそうです。

現時点でもいけていると思っている人は本当に多数いるそうで、例えば海外のJavaチャンピオンの方などと繋がりを持っているということでした。

仕事を断ったり仕事を途中で辞めるポイント

単純に人数が足りていない場合はもちろん、顧客に深く入り込めない場合や技術的に不可能なこと、自社の価値観と合わないこと...事前に仕事を断るパターンは多くあるということでした。

プロジェクトが始まっている段階でも、当初たてていた仮説が間違っていたと感じるタイミングや現場からこのまま続けるのはまずいという声があがっている場合は、躊躇なく途中で辞めるということでした。

評価制度

年に二回ある賞与付与のタイミングで、部長とメンバーそれぞれでどういう目標をたてて、どういう方向にいくか?どんな分野にコミットするか?という話を決め、そこで合意できた目標に向かってそれぞれが努力をするということでした。

IT業界なのだから、評価が高い人はがんがんお金をもらえるように評価制度改訂は頻繁に行っているということです。

また、評価する人とメンバーの一様的な関係で評価が決まらないように、一同に会して400人の従業員全員を評価するそうで、かなり時間もかけているということでした。

評価=育成だと考えているそうで、評価という結果でなく、それぞれの個性やそれぞれのコミットしてきたことなど、評価する過程を重視しているということでした。

高い利益率をkeepしている理由

トラブル率が極めて低いことや、顧客とのリレーションを継続し続けられていることなどが、結果的に高い利益率につながっているという話が挙がっていました。

逆に利益率を意識することは特にしていないそうです。(利益率を意識することで、人件費の削減など本質的ではない部分にフォーカスしてしまう可能性がある)

エンジニア採用

中途採用に関しては横山さんにおまかせしているそうですが、新卒に関しては漆原さんも関わるようにしているということでした。

これは、これから日本の未来を担っていくような人材がカルチャーギャップで自社に入った結果あまり伸びない事態になることを恐れていることが理由だそうです。

フリーランスの採用率

BPさんと手を組むことはあるものの、チームである以上カルチャーや方向性とのGapがあることを恐れており、結果的に社員の比率が多くなっているということでした。

社長を任せようと思った理由

横山さんに任せようと思った理由は以下があったということでした。

  • 非常に仕事ができる
  • 漆原さん以上にストイックに働く
  • 一番漆原さんに文句を言ってくる

FTX Japanの入札は検討していたか?

これはしていないということでした。

10年後のウルシステムズ

今までと同じで、間違いなくエンジニアにとって一番価値があって働きやすい会社になっていると思っていると力強い口調でおっしゃっていました。

会社経営の中で気にしている指標

数値よりも定性的なものを重視しているということでした。

例えば、顧客満足度は大切にしているものの、顧客満足度という指標を上げることを重視してしまうと、値段を安易に吊り下げたりやりたくない仕事をやるきっかけになってしまうため、そういったことを恐れているそうです。

会全体を通した感想

非常にパワフルかつエンジニアが働きやすい会社を作るんだというはっきりとした目標をもっている漆原さんの様子がとても印象的でした。

途中退出ではありましたが、非常に濃い時間を過ごすことができました。

*1:自社システムを売る場合は営業組織が必要になってくるし、これに伴い数字を追うことも必要になってくると考えている