天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

部門の垣根を越えて挑む業務改善のリアル - Encraft #20に参加してきた

部門の垣根を越えて挑む業務改善のリアル - Encraft #20 - connpass

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

コーポレートエンジニアや情報システム担当が、業務効率化を横断的に推進するためには、当然のことながら他部門の協力をどう得るかが大きなポイントになります。しかし、他社がどのようなアプローチで連携を進め、効率化を達成しているかを知る機会はなかなかありません。

そこで、第20回目のEncraftでは「部門の垣根を越えて挑む業務改善のリアル」に焦点を当てます。ナレッジワーク、ビビッドガーデン(食べチョク)、Helpfeelのコーポレートエンジニアが具体的な取り組みを紹介。プロジェクト推進の過程で生じた課題や学びを率直に語ります。

会の様子

セッション1〜コーポレートデータマスタ構築への道〜

スタートアップ企業ではMDMが不在になりがちで、徐々にサイロ化や工数負担を生んだり自動化ビリティが損失されていきがちだという話が最初にありました。
これはそれぞれの部署の視界や関心事が違うがゆえに発生するということで、こういったときにコーポレートITだからこそできる話があると感じたということです。

そこで実際にコーポレートマスタを構築していったそうですが、そこではまずインセプションデッキで関係者との認識合わせをしたうえで、具体的なメリットや活用シーンをイメージしてもらえることや正確なデータを投入することに気をつけたそうです。

結果的に、プロセスが整備され手作業で仕事をしていた業務の自動化が促進されたそうですが、効果を定量的測定するというところは今後の課題だったということです。

セッション2〜情シスいらずで部署・チームが主体的に業務改善を進める世界線を作りたい話〜

「人と組織」にフォーカスすることで、部門やチームが主体的に業務改善を進めるためにやってきた取り組みの紹介がありました。(なるべくお金をかけないかつ持続的な改善組織を作りたかった)

具体的な取り組みの進め方として、以下の話がありました。

  1. 現状把握 : オペレーションを実際に体験し現状の苦しみを実感する
  2. 現状分析→課題特定 : 現場にヒアリングして部署ごとの業務特徴を掴み、ボトルネックを見つける。このとき、できる限り潜在的な課題にアプローチする
  3. 施策実行 : データ基盤の作成や研修の実施を継続的に実行する

特に、非効率業務に関しては実際にそれを見つけた後に体験し、改善を回すようなサイクルを作ることが重要だということで、みんなとの関係性を構築するうえでも欠かせないステップになると考えているということでした。

セッション3〜新機能をリリースするだけ、で終わらせない!「触ってもらう」から始める他部署業務効率化のはじめ方〜

Helpfeel社で実際に行っているWD向けに改善した機能を試してもらう会の紹介がありました。(Helpfeel社ではWDの人数が増えていく中で、機能に関する期待と現実のGapが生じやすくなってリリースまでの速度が遅くなることを課題に思っていたそうで、このような会を始めたそうです)

実際にやってみると、FBが直接もらえるというメリットの他にも、開発部とWDの機能利用に関する認識齟齬がその場で解消されていったことによる関係性強化や機能の理解度向上があったそうで、やはりユーザーの実際の声を聞いていく重要性を改めて実感したそうです。

パネルディスカッション

講演の後はパネルディスカッションがありました。以下、テーマごとに話されていた内容を箇条書きかつ常体で記載していきます。

組織全体で改善意識を共有・醸成するために工夫したことは?
  • 情シス以外に主体的に業務改善するメンバーを増やす(Slackとかでテーマをさりげなく放流する)
  • 期待に対する熱量に付き合い、実際に改善できるということを実感してもらう
  • 他部署で困っていることがある、という事実を知ってもらう
  • 個人的に始めて、うまくいった事例を周りに共有していく
小さな改善を大きな改善につなげていくために必要なことは?
  • 出入り自由なZoomを定期的に開くようにしている
  • 他部署の業務内容を理解して現場の声を聞く
  • まだその部署の仕事に慣れていないような人にインタビューして、なにか困ったことがないのか?をインタビューする
業務改善の効果はどのように判断しているのか?
  • 1時間あたりの売上/人
  • 手探りでありまだ決まっていない(定量的な判断が難しい)
部署横断の業務改善の醍醐味は?
  • 異なる視点の部署と話すことになるので、こんな仕事あるのか!みたいな発見があるし、他部署と仲良くなることで自分が苦手なことやその人が得意なことを利用できるようになる
  • 会社が変化している様子を目の当たりにできる
  • 少ない時間で高い効果を出す方法を考えること
KGI/KPIは?
  • まだ納得いくものが置けていない
Zendesk内のExploreよりもZendesk API × BQを使った理由を知りたい

どう集計しているのか?みたいなところの解像度を上げたかったのと対応が必要なドキュメントの数が大きくてカスタマイズ要素が必要なニーズが強くあった

業務フローの作図には何を使っているのか?
  • 箇条書きとかmermaid記法とか
  • Miro
  • Notionでmermaid
ガバナンスを利かせるための観点をどれくらい意識しているのか?

ガバナンスという言葉が広い気がするが、非生産的業務にはガバナンスが効いていないと思っているので業務改善をしていけば自然とガバナンスを強めることになると思う

改善意欲がない人からの「やって」にどう対応するのか?

どこで詰まったのか?を聞くようにしている

会全体を通した感想

タイトルから想像していたよりも人数規模としては小さめの事例だった(100人以下)のは少し驚きましたが、言葉としてよく聞く課題感みたいなところは大規模とそこまで変わらないというのが面白いなと思いました。

個人的には、非効率な業務はいきなり改善するのではなくまず自分で何回かやってみる、というのは自動化なりを検討する上でよく取りがちな戦略だったので、そこでもう一歩踏み込んで関係性構築までつなげていくという考え方は自分にとって実践しやすいな、と思いました。