天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

インフラエンジニアBooks 30分でわかる「GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかたに参加してきた

infra-eng-books.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

世界最大のリモート組織が実践する徹底したドキュメント化の手法

本書では世界最先端のリモート組織を実現するためのノウハウを、GitLab社が公開している「GitLab Handbook」をベースにしながら解説していきます。

GitLab社とは?

・世界67カ国以上に従業員2,000名以上

・自社オフィスを持たない「世界最大のオールリモートカンパニー」

・リモートワークのための方法論やカルチャーを「GitLab Handbook」として公開

・リモートワークの方法だけでなく評価、給料の決め方、部門ごとの仕事の進め方など、社員として必要な知識をすべて支えるドキュメント文化が浸透

著者は、GitLab社の取り組みをもとに、自社をオフィスを持たない完全フルリモート化企業とする取り組みの中心に立ってきました。

その際、GitLab社の各種マニュアルを翻訳し、日本企業に合う形で自社向けのマニュアルを作成。 GitLab社のマニュアルは膨大であり、いきなりこれらすべてを読み解くのはハードルが高いため、本書では以下の構成にまとめ、各施策の背景まで理解しやすいように整理しています。

・世界最先端といわれるリモート組織の実態やメリットなどの概要説明 ・世界最先端のリモート組織への移行プロセス、発生する問題への対処法

・リモート組織が円滑に機能するためのカルチャーの醸成方法

・パフォーマンスを上げるための人事制度・業務ルール設計

いずれも著者自身が実践してきたものなので、多くの企業にとっても再現性が高いものばかりです。

会の様子

書籍の特徴と使い方

書籍の特徴としては、GitLabハンドブックのHowをまとめつつ著者のHRオタク知識を学術的知見からWhyとして入れ込んだ本になっているということでした。

そのため、GitLabのリモートノウハウを自分たちのチームに適用・活用する使い方ができるとよいということでした。(Whyを入れ込むことによってGitLabと異なるコンテキストの組織にもGitLabのエッセンスを盛り込める)

書籍の概要

第一部〜GitLab社の解説〜

ここは釈迦に説法かもしれませんが、GitLabの組織解説を最初はしているということでした。

第二部〜リモート組織を導入するメリット〜

リモート組織のメリットとして、

  • 高いエンゲージメント(GitLabの場合は94%)
  • 人材採用に有利
  • パフォーマンス最大化
  • 成果にコミットするカルチャー醸成
  • コスト削減
  • オフィスの仕事の効率化

を紹介しているということでした。

第三部〜リモート組織に移行するプロセス〜

リモート組織に移行するプロセスとして、

  1. リモートを基準にする前提を揃える(オフィスを中心にしてリモートをサブとしないようにする)
  2. リモート責任者を任命
  3. ハンドブックを制定し、信頼できる唯一の情報源を作る
  4. コミュニケーションガイドラインの明示
  5. ツールの種類を最小限に抑える
  6. 経営陣のデフォルトをリモートにする
  7. リモート作業環境の整備
  8. インフォーマルコミュニケーション設計

が紹介されているということでした。

第四部〜カルチャー醸成〜

第四部では、カルチャーの醸成に関して説明しているということでした。

この章では、エドガー・シャインのレベル構成を参考に根底にある暗黙の前提を形成しようという話をしたり、GitLab Valueを実行することで組織カルチャーを遵守するという具体的な方法、オンボーディングのしくみや心理的安全性の構築などを解説しているということです。

第五部〜具体的な運用ルール〜

この章では具体的な組織運用のルールとして、成果(60%)×行動(40%)の人事評価や、マネジメントスキルを高めるための具体的な領域説明(EQ/衝突の解決/フィードバック文化の体現/高業績チームの構築/コーチング)の説明がされているということでした。

人々の多様性

人はドーパミン受容体D4というタンパク質の存在により、遺伝によって体質が異なるため、「フルリモートしましょう」「フル出社しましょう」みたいな極端な施策は多くの人の活躍を妨げる可能性があるという話がありました。

実際に本イベントのために取られたアンケートでも、人と会わずに一人で何かしらの趣味に没頭することで活力を得るという人と、たくさんの人と会ったりコミュニティに参加することで活力を得るという人の2種類の方が存在することが示されていました。

会全体を通した感想

本書籍に関するイベント自体は2回目で、千田さんの話を聞くのも今回が2回目でしたが、前回とはまた異なった観点で話が聞けて非常に面白かったです。

特に多様性の部分はそれはそうだと頭で思っていても、実際にアンケート結果や遺伝学の観点から話が展開されると、より高い解像度で話を捉えられて面白かったです。