こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
- 会の概要
- 会の様子
- パネルディスカッション
- Q&A
- 技術研究に対する投資費用は全体の何割くらい?また、何人くらいで取り組んでいる?
- EMがピープルマネジメントを担うとした場合、EMの評価設計はどうなるのか?また、何人くらいの面倒を見るのか?
- ビジネスアウトプットに偏重しないというのは、具体的にどのような指標を使っているのか?
- 開発組織づくりに興味を持っているのはいつから?
- 直接手を動かすロールから離れて、どのように技術をキャッチアップしているのか?
- 「技術要素検証はビジネスに必ずしも紐づかなくて良い」と「人事評価ではアウトカムが要求される」はコンフリクトしているように聞こえるのだが、技術要素検証をやると評価されにくくなるということか?
- 技術組織のカルチャー醸成や浸透に効果的だった取り組みは?
- 会全体を通した感想
会の概要
以下、イベントページから引用です。
株式会社タイミーは「一人ひとりの時間を豊かに」をビジョンに掲げ、日々の開発を行っています。 そんな私たちが開発を通じて得ている学びを発信することで新しい取り組みを後押ししたり、アンチパターンに陥らない様に出来るのであればそれもまたエンジニア一人ひとりの時間を豊かに出来ているのではないかと考え、定期的に勉強会を通じて我々の学びを発信していく予定です。
今回の勉強会では株式会社ZOZOのCTOに就任されたそのっつさんこと瀬尾直利さんをお招きしてタイミーのVPoTであるZigorouさんこと山口徹さんとのパネルディスカッションイベントを開催します。 DeNA出身という共通点を持ちつつ百戦錬磨の経験を持つお二人に評価制度や組織設計について深掘りをしていく必見イベントになっておりますので是非、ご参加ください!
会の様子
パネルディスカッション
最初にパネルディスカッションがありました。以下、テーマと回答を常体かつ一問一答形式で記載していきます。
エンジニアの評価制度の設計が難しいが、どのようなことを意識しているのか?
- 行動指針評価を組み込む
- マネージャーにならずとも昇給できるようにしている
- 評価で重視する項目を等級が上がるごとに変えている。行動→成果→価値の順にしている
- 組織が出すアウトカムが最大化されているかを考えている
- 定量的なアウトプットに偏重しすぎないようにしている
スタッフエンジニアは会社にいるのか?もしいるならどのような人をスタッフエンジニアと呼んでいるのか?
- 経営に対してインパクトをもたらせているか?がスタッフエンジニアの基準だと思う
- (あくまでも究極の理想だが)エグゼクティブ層もスタッフエンジニアもいらないと思っている。しかし、実際には組織設計が上手くいかず属人化する部分が出てくると思っていて、その人にしかできない価値を出せるのがスタッフエンジニアになると思う
EMの定義は?
- チームリーダー(採用/育成/技術的意思決定/進捗管理を行う人)。この内採用/育成に関しては必ずその人ができないとだめだと思う
- Engineer Managerだと思っている。戦略を理解しながら組織や個人の目標をトラッキングし、目標達成に近づくようにサポートする人。
- 組織の開発生産性を上げることができる人
組織づくりで参考にしている書籍や会社はあるか?
- THE TEAM
- Team Geek
- Team Topologies
- LeanとDevOpsの科学
- プロダクトマネジメント(ビルドトラップ本)
- 会社は特に参考にしておらず、自分たちが何を一番やりたいのか?にフォーカスしている
DeNAの経験で組織づくりに活かせると感じることは?
- 情報漏洩にならない程度に「DeNAはこうだったなあ」を思い出すくらい
- 評価制度とラダー設計は今も活かせていると思う
開発組織スケールのペインを急成長する組織の中でどう乗り越えたのか?
- 大量の買収があった影響でカルチャー分断のペインがあった。そこは行動指針を整備することで乗り越えた
- 人がどんどん増えているのに抵抗感を持つ人がいたというのはあったと思う。そのため、なんでこの人を採用するのか?を大事にした
新しい技術に対する向き合い方
- 結構慎重派。個人で利点欠点を早い段階で把握し、組織で導入するときは撤退しやすい機能でまずは小さく試す
- 目的意識を持つ。オーナーシップを持つ
- 自社のテクノロジーレーダーとかを作って、扱っている技術の対抗馬を考えたりできると理想的だなあとは思っている
技術戦略と経営戦略&営業戦略との接続はどの程度意識するか?
- ビジネスあっての技術なので、100%意識する
- ほぼ100%意識するが、イノベーションを生み出すR&Dは取ることがある。なお、R&Dに大規模な投資が必要な会社は超限定的だと思っている
今までしてきた意思決定の中で特に良かったという意思決定は?
- マルチクラウドを辞めたこと
- 某巨大ゲーム会社とのアライアンスを決めた際の組織設計
Q&A
パネルディスカッションの後はQ&Aがありました。以下、テーマと回答を常体かつ一問一答形式で記載していきます。
技術研究に対する投資費用は全体の何割くらい?また、何人くらいで取り組んでいる?
- 人数としては20人くらい
- 直近は投資していない。人数も0人
EMがピープルマネジメントを担うとした場合、EMの評価設計はどうなるのか?また、何人くらいの面倒を見るのか?
- 階層構造になっているので一個上の等級の人が評価する。メンバーは5-9人くらい
- どういう目標設定をしてどういう行動をしたのか?という評価をしているので、EMだからという感じではない。人数は5-10人くらい
ビジネスアウトプットに偏重しないというのは、具体的にどのような指標を使っているのか?
- アウトカム思考で指標を作る
- メンバーのレベル感にもよるが見るべき指標がより売上に繋がっていくような指標になるイメージ
開発組織づくりに興味を持っているのはいつから?
- 今の組織に入ってから。一人で大きな成果を出すことに限界を感じるようになって意識が変わった
- 事業リーダーをやり始めてから。その後スタートアップに転職したことがきっかけで、興味を持たざるを得なくなったという感じ
直接手を動かすロールから離れて、どのように技術をキャッチアップしているのか?
- アーキテクトレビューなども担っているため、かなり積極的にやっている。Twitterを眺めたり本を読んだり技術顧問と話をしたりとか
- 段々必要性が薄くなっているというのが現状。ただ、何ができるようになっているのか?には意識を持っている
「技術要素検証はビジネスに必ずしも紐づかなくて良い」と「人事評価ではアウトカムが要求される」はコンフリクトしているように聞こえるのだが、技術要素検証をやると評価されにくくなるということか?
- 技術要素検証をしている人は例外扱い(他の人と違う評価設計)になると思う
技術組織のカルチャー醸成や浸透に効果的だった取り組みは?
- 評価制度にカルチャーを組み込む
- エンジニア視点で違和感がないバリューになっているので元々浸透しているなあと思っていた
会全体を通した感想
オンライン参加だと音声トラブルがあって司会の声が聞こえなかったのは残念でしたが、参加者のコンテキストに合わせたイベント構成になっていたのが非常に良かったです。
また、現在の評価設計や組織設計に至るまでの過程の話が聞けるとよりよいなあとは感じました。