天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

エンジニアのためのマネジメント入門 - Forkwell Library #20に参加してきた

forkwell.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

なお、すでにアーカイブや資料が公開されているので、動画をご覧になりたい方は以下の動画や資料を参照ください。

www.youtube.com

steam.place

会の概要

以下、イベントページから引用です。

これまで Forkwell のイベントで登壇されたエキスパートの方々は、先達が記した書籍から「気づき」を得て実践し、振り返り、再現性のある「学び」として身に付けていく中で、実績を築いてこられました。

しかし、日々限られた時間の中で知識や情報をアップデートし続けるのはそう簡単ではありません。 Forkwell Library では、著者・訳者・実践者らを登壇者として招き、そんな思いを抱えた開発者の皆さまが「学びのきっかけ」を得られる勉強会を目指します。

第20回目の今回は3月9日に発売の『エンジニアのためのマネジメント入門』を取り上げます。エンジニアリングマネージャーというロールは2010年代後半に認知を広げ、明確なキャリアパスの一つとなりました。一方で、「エンジニアリングマネージャーは何をすればよいのか」と悩む人を見るようになりました。日本には、1万人以上のエンジニアリングマネージャーが存在すると考えられますが、定義は曖昧で組織によって役割は違います。マネジメントを成功させるには、マネジメントの知識を学び、エンジニアからマネージャーへの「転職」ともいえる大きな変化を乗り越える必要があります。 そこで本書の著者であり株式会社Showcase Gig VPoEの佐藤 大典氏をお迎えしてマネジメントの基礎知識や実践的なトピックを扱い、エンジニアがマネージャーとして働くための第一歩を解説していただきます。

会の様子

エンジニアリングマネージャーの旅路

最初に佐藤さんから基調講演がありました。

章ごとに書籍紹介〜第一章 こんにちは、マネージャー〜

この章では、マネジメントの歴史やリーダーとマネージャー、エンジニアリングマネージャーとはなにか?といった話がされているということです。

章ごとに書籍紹介〜第二章 対話の基礎を学ぶ〜

この章では、対話の基礎技術となる以下のような項目を学ぶようになっているということです。

章ごとに書籍紹介〜第三章 チームをエンジニアリングする〜

この章では、チームづくりにおけるリーダーシップの使い分けや良いチームを作る方法、心構えについて話しているということでした。

章ごとに書籍紹介〜第四章 組織のマネジメント〜

この章では、組織の構造やシステムとの関係性を説明しているということでした。
組織における他チームとの関わりについても説明があるそうです。

章ごとに書籍紹介〜第五章 戦略実現のためのマネジメント〜

この章では、戦略の作り方や実現方法を整理し、予算や目標設計、組織デザインといった話をしているということです。

章ごとに書籍紹介〜第六章 人材の成功にコミットする〜

この章では、人材採用と人材育成について話をしているそうです。

章ごとに書籍紹介〜第七章 技術と私のマネジメント〜

この章では、技術のマネジメントと自分自身のマネジメントの話をしているそうです。

マネジメントドメイン

本書ではマネジメント領域を「マネジメントドメイン」と呼んでいるそうで、その中でも特に、

  • ストラテジック
  • ビジネスパフォーマンス
  • ラインマネジメント
  • ピープルマネジメント
  • チームマネジメント

について触れているということでした。

マネジメントに入門しにくい理由

マネジメント入門のハードルとなっているポイントとして、

  • マネジメント領域が広い(wikiにもXX managementは30以上ある)
  • マネジメント領域が深い(1つのマネジメントを取ってみても多くの資格や文献がある)
  • 情報過多(7,000以上の書籍が存在している)

を挙げてくれました。
佐藤さんとしては、このハードルを下げるためにはマネジメント全体を俯瞰する(=自分だけの「マネジメント地図」を描く)のが重要だと考えているそうです。

マネジメントワークフロー

マネジメントワークフローとして、先程あった書籍の各章がマッピングされていきました。以下のようにマッピングされているそうです。

  • 戦略のマネジメント*1...第五章, 第七章
  • 組織のマネジメント*2...第四章, 第六章
  • 戦略のマネジメント*3...第二章, 第三章
エンジニアリングマネジメントワークフロー(ドラフト)

マネジメントワークフローが、書籍で紹介してる概念と照らし合わせて整理されていきました。
個々の要素は非常に量が多い上にドラフトということだったのでアーカイブに譲るのですが(動画でいうと23:50あたり)、こういったマネジメントワークフローを作ったり、マネジメント地図を作ることで、自分にとってマネジメントの何を学ぶことが重要なのかを考えるのが大切だということでした。

Q&A

基調講演の後はおなじみのQ&Aセッションがありました。以下、内容を一問一答かつ常体で記載していきます。

佐藤さんのマネジメント地図を見たい

エンジニアリングマネジメントワークフローがそれにあたる。これにテクノロジー系は追加されるイメージ。ほとんどはマネージャーになってから学んだ。

佐藤さんがマネージャーに向いていると思うタイミング

向いていないと思いながら仕事をしているので、未だにわからない。
また、向いていないというのは何をやった上でそう感じたのか?というのは考えたほうがいい。

マネジメントする上で最も注意していることは?

マネジメントの範囲が広いので回答が難しいが、課題がなんなのか?をまず気にすることはやっている。

セルフチェックの方法を知りたい

エンジニアリングマネージャーのコンピテンシーで考えることをやった。あとはエンジニアリングマネジメントトライアングルを考えたことはあった。

プロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーを兼任している場合に気をつけたほうが良いポイントは?

帽子をつけかえることは注意している。

マネージャーをやりたがるエンジニアが少ない組織でどうマネージャーを育てていくのか?

マネージャーをいきなりお願いするのではなく、まずマネジメントにふれる時間を増やしてあげることやきっかけ作りをしていくのが大事だと思っている。

マネージャーとしてどこまで技術を追っているのか?

設計、技術トレンドといった抽象的な部分を捉えようとはしている。

書籍でエンジニアだからこそ、といった部分はどこ?

エンジニアリングチームのデザインや、組織のデザインみたいな部分はエンジニアと親和性はある。ただ、エンジニアだからマネジメントで気をつけるみたいな部分はマネジメント領域だとあまりないような気がする。

一人チームでどうマネジメントスキルを身につける?

会社規模が小さいということだと思うが、これは戦略策定にがんがん入れるようになる。あとは一人で1on1をやってみるといい(1on1準備を一人でドキュメントにする)なあと思うのと、ChatGPTで1on1をやってみるのは入りとしてはよさそう。

エンジニアからマネージャーになったのだが、何を実績・自信としていけばいいのか?

その人がマネージャーとして推薦されたタイミングで期待されていたことが近いんだろうと思う。マネジメントポリシー的な話をすると、マネジメントをしていると困難にぶち当たり自信がなくなることはあるので、そういうときにマネジメントしていた人がどのような反応を見せてくれたのか?というのが大事だと思っている。

ドラッカーの「マネジメント」の感想を知りたい

マネジメントをやってから内容がすごくよく理解できるようになった。

社外でマネジメント相談をする人を作りたいのだがどうすればよいのか?

副業でメンタリングしている人もいるので、その人にアタックするといい。あとは以下のようなMeetupもある。

engineering-manager-meetup.connpass.com

メンタリングする人を選ぶ際には、その人の行動と結果を聞くとスキルが見極められると思う。

エンジニアのマネジメント職がコミットすべき数字は何があるか?

企業の根っこで何が重要視されているのか?という部分にあたると思う。
なお、佐藤さん的には、育成の定量評価は難しいと思っている。

マネージャーが採用にどこまで関与すべきか?

何を解決するのか?という話による。経営戦略上の上位目標として採用があるのなら、権限持ってスピード早めるべきだと思う。

エンジニアリングマネージャーはスクラムにおけるどのロールに近いのか?

あくまでも一例だが、スクラムマスターのコーチみたいな形でスクラムマスターを育成することにコミットしている。

会全体を通した感想

ざっくりと本の紹介があったため、どういったところが自分にとって参考になりそうかの判断がついてよかったです。

また、Q&Aで抽象的な質問に対して佐藤さんがどう答えるのかを見ることができたのも勉強になりました。

*1:内部環境/外部環境から、組織ビジョンを達成するための戦略作成がされる。ロードマップや組織デザインのインプットになる

*2:作られた戦略を人員配置によって組織適用し、複数チームおよびステークホルダーと共に戦略を実行する。実行した戦略は組織統合と調整によって推進される

*3:チームを組成して機能するチームにする。チーム及び個人を育成して組織の成果をあげる。チームはプロダクト開発しながら成果を測定する