天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

多能工化を促進するモブワークのテクニックに参加してきた

agile-studio.connpass.com

少し日が空いてしまいましたが、こちらのイベントに参加してきたので会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、connpassのイベントページから引用です。

Agile Studio の見学に来られた方に、いつも驚かれることがあります。 まず、一つのチームで複数の案件を担当していること。さらに、チーム内で担当案件を決めておらず、全員が全案件を担当できること。

アジャイルでなくても、チーム活動では、いわゆるトラックナンバーを避け、誰でもどのようなタスクでも実施できるようにしておくことが理想です。 しかし、実際問題として、このような体制を作ることは難しく、やむなく案件やタスクに担当を割り当てている現場も多いのではないでしょうか。どのような工夫をすれば多能工化を実現できるのでしょうか?

Agile Studio には多能工化したチームが複数あり、これらのチームが共通して利用しているテクニックがモブワーク(複数人でコーディングや調査などのタスクをこなすスタイル)です。今回のウェビナーでは、多能工化を実現しているチームが採用しているモブワークのテクニックについてご紹介しながら、さらに、実際のチームメンバーである高砂笑さん、山下満里子さんにインタビューすることで、ベースとなるマインドセットについても深掘りしていきます。

会で印象的だったこと

ルーチン型とアドホック

Agile Studioではモブプロを2つの型に分けて使っているというお話でした。
ルーチン型は、名前の通りリズムが決まっていて(例えば30分×8+30分×8など*1といった形)情報を一定の場所に全集約している形のモブプロで、アドホック型は、リズムが決まっておらず柔軟に仕事をして、情報も種類ごとに複数の場所に整理して管理する形のモブプロということでした。

自分はアドホック型のモブプロのイメージが強かったので、ルーチン型のモブプロというのは新鮮で、面白い分け方だなあと感じました。

レンジャーメソッド

ルーチン型の例として挙がった、8つの案件を兼任している9人チームがいて、そのチームはレンジャーメソッドと呼ばれるメソッドを採用しているという話が印象的でした。
具体的に言うと、3人×3チームに分かれて*2、知識構成ジグソー法のような活動をしているということです(チーム単位で一定時間モブワークした後、チームの構成人員が入れ替わり、別チームから来た人がまた新しい知識を伝播していく)

効果としても、POの人がエンジニアになったり、人の入れ替わりが起きても作業のペースが全然下がらなかったり、新しい技術へのキャッチアップがめちゃくちゃ早かったりと高い効果が実現されているということでした。

モブワークが上手くいくための条件

モブワークが上手くいくための条件が幾つか整理されて挙げられていました。自分は特に、

  • フロー効率への理解
  • 組織のサポートがあること
  • チームが継続する前提があること(短期間だけ形成されるチームだと難しい)

というのが、モブプロを普及していく中でまず抑えておくと良さそうなポイントと考えられそうで、印象的でした。

実践で苦労している点

まず、知らない技術に対してのキャッチアップが大変で、モブワークする際に役に立ちたい気持ちはあるのに知らない技術であるが故に申し訳ない気持ちになることが多かったという話がありました。

また、モブワーク中に分からない点があった時に、作業を止めることが怖くて質問を躊躇してしまうという話もありました。

Agile Studioでは、勉強会を開いてその場でモブワークでした仕事のフォロー(例えばあのコードはなんで書いたのか?など)をして対処したということで、エキスパートメンバーも積極的に巻き込みをしているということでした。

全体を通した感想

モブワークの定石ではなく、モブワークを実践している中で生まれた形や課題、その形になるまでの背景と言った話が聴けたのが個人的には良かったです。

上にも書きましたが、ルーチン型のモブプロ(レンジャーメソッド)はこれまであまりモブワークの文脈で聴いたことがない話だったので、とても面白かったです。

*1:会の中で出てきた実例ではなくリズムが決まっているという話を分かりやすくするために自分が考えた例です

*2:分け方はランダム