天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

Don’t just Do Agile, Be Agile ~アジャイルの価値観で行動しよう~に参加してきた

tebiki.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

アジャイル開発者がどのように考えて開発をしているか知りたい!」「他社ではアジャイルな開発をどのように実践しているんだろう?」というすべてのエンジニアにお届けするオンラインイベントを開催します!

本イベントでは、特別ゲストに平鍋氏(株式会社永和システムマネジメント 代表取締役社長)をご招待し、パネルディスカッションをメインにお届けします。

会の様子

Tebikiのアジャイル実践事例

最初に三宅さんから、Tebikiさんのアジャイル実践事例に関する話がありました。

Tebikiさんでは、スクラムを採用し、開発者+プロダクトオーナー+スクラムマスターでチームを構成して、ここにSREとQAが支援するような体制を取っているそうです。

ポイントとしては、チームで開発が完結するようにサポートしているところだそうで、これに加えてペアプロ/モブプロでスキルトランスファーも行っているそうです。

ユーザーベースのアジャイル実践事例

続いて、なかじまさんから、ユーザーベースさんのアジャイル実践事例に関する話がありました。

なかじまさんは開発組織(プロダクトチーム)に所属しているそうで、XPの考え方やshared Leadershipの考え方を大切にしながらアジャイルを実践しているそうです。

ラクティスとしては、ATDDやペアプロ、チームシャッフル、カオスWeek(そのプロダクトに一番詳しい人とコミュニケーションを取ることができないような一週間を作るプラクティス)を特に好んで採用しているそうです。

また、XPの価値を体現しやすくするために、360度FBや全員での採用活動、Clean Agileの輪読会を実施しているということでした。

パネルディスカッション with 平鍋さん

アジャイルのプラクティス実践

最初に、パネルディスカッションに参加している皆さんが好きなアジャイルラクティスの紹介がありました。(平鍋さんはメタファー、三宅さんはTDD、なかじまさんはペアプロが一番好きなプラクティスだそうです。)

次に、ユーザーベースさんのチームシャッフルに関して、スクラムの安定したチームとは逆を行っていないか?という話がありました。
ユーザーベースさんではペアプロを基本的に採用しているということもあり、知識のトランスファーがしやすくて初心者が入っても機能するようになっていて、今のところはうまくいっているという話がありました。

続いて、ユーザーベースさんがやっているATDDに関する話がありました。
E2Eテストは重たいテストになることが多いので取り組めているのがすごいという話があった後、平鍋さんからはATDDの次のステップとしてビジネステスト駆動開発の紹介がありました。
ビジネス駆動開発では、プロダクトが価値を出しているのか?というのをテストするのでプログラムでコントロールすることができなくなり、難度は高くなりますが、是非チャレンジしてみてほしいということでした。

また、先日のXP祭りであったE2Eでスクショを撮っておくという試みもすごく印象的だったという話が出ていました。

アジャイルのプラクティス適用に失敗したことはあるか?

2つめのテーマとして、各社でプラクティス運用に失敗した話がされました。
Tebikiさんでは、仮説検証をするような機会が少ないプロジェクトでスクラムをした結果、ただスクラムの形に沿っただけになってしまったそうです。
結果的にカンバンを採用することになったそうですが、スクラムの形に沿っているだけの状態になっていたときに「今の状態ってスクラムの意味がなくない?」という発言が出たのはアジャイルの価値観に沿っていたと思うということでした。

ユーザーベースさんでは、カンバンの適用が上手くいかなかったことがあったそうで、付箋の動かし忘れや付箋の一個流しが無視されてしまう事象が起きたということです。(なお、その事象が起きた後は、レーンの項目などを見直しするようにしたそうで、結果的には機能するようになったそうです)

カンバンの話が出たこともあり、タスクの優先順位付けと粒度に関する話が出ていました。
優先順位付けは、基本的に価値が高い順に並び替え、粒度としては一番minimumな価値になるように切るということでした。
タスクの粒度に関しては、平鍋さんが見ているチームだと2時間くらいに切るところもあれば1日に切るところもあるということですが、とにかくスプリントをまたぐことがないようにするということでした。
また、ここでいう「価値」に関してですが、これは一つの解釈として「画面に変化が表れるか?」を一つの基準とすることができるというお話もありました。

なお、平鍋さんはメタファーの適用が上手くいかなかった記憶があるそうで、途中でメタファーが嘘くさくなってしまい誤解が発生してしまうという話がありました。

これまでチームや組織がアジャイルな価値観に基づいて行動するためにどのような取り組みをしてきたのか?

なかじまさんからは、Valueが評価基準に組み込むことと、ふりかえりの中で価値基準を中心にフィードバックしたこと(XPの価値に沿ってよかったこと/悪かったことを書いたこと)はよかったと思うという話がありました。

平鍋さんは、具体的でわかりやすい活動(ふりかえりや朝会など)を行うことが重要だと思っているそうで、Do+Be -> Becomeにしていくことを大切にしているということでした。

三宅さんからは、ふりかえりの場で「アジャイルの観点では...」という話をすることや心理的安全性を構築することで、Face to Faceの会話を促進する取り組みを大切にしているという話がありました。

アジャイルをどう学ぶか?

最後の一言として、それぞれからどうやってアジャイルを学ぶと良いと思うか?という話が一言ありました。

三宅さん...先人たちの知恵から学ぶこと

なかじまさん...打席に立つこと(やる打席→考える打席が理想)

平鍋さん...良き先輩や良き同僚に学ぶこと

会全体を通した感想

アジャイルを実践しているんだなあというのが伝わってくる話が全体的に多かったので、タイトルに期待していた通りの満足できるイベントでした。

平鍋さんがメタファーのプラクティスが一番好きだというのは知らなかったので驚きましたし、意外でした。(てっきりふりかえりだと思っていました)