天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

アジャイルプラクティス ツアーガイド 〜「どうやるか」から「なぜやるか」まで〜に参加してきた

agile-studio.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

アジャイル開発をはじめるには、基本的な語彙やプラクティスをチームにいる全員が知ることが必要になります。また、アジャイル開発を実践していく上ではスクラムのみならず、XP(エクストリームプログラミング)や他の手法からもプラクティスをピックアップして「自分たちのやり方」を作っていくことになります。その際にも様々なプラクティスについて、定義だけでなく、実践する意味、できた歴史的背景、トリビアが知りたくなるでしょう。

Agile Studio では現在、これからアジャイル開発をはじめたい人向けに、重要な語彙を整理したアジャイルラクティスマップ作成中です。本日は、その一部である「スクラム山手線」をご紹介します。 現在工事中のこの路線図のなかから、名所を4つ選んでお話しします。

これらのプラクティスに関する質問にもお答えしていきたいと思います。

会の様子

アジャイルラクティスマップとは?

まずはアジャイルラクティスマップに関して平鍋さんから説明がありました。

マップ1〜デイリースクラム

登壇者(橋本さん、木下さん、家永さん、平鍋さん)によるディスカッション

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家永さんからデイリースクラムの説明が上記リンクのもとにありました。

デイリースクラムは、ラグビースクラムオールブラックスが踊るハカのイメージがもとになっている*1と言うことで、Jeffがいつも黒い服を着ているのもオールブラックスのユニフォームからインスパイアされた結果だということです。

デイリースクラムでチームに問いかける設問はカスタマイズ可能ですが、カスタマイズした結果元々三つの質問としてテンプレート化されていた「昨日やったこと」がなくなった実際の例として、モブプロを日常的に行なっているチームの話が出ていました。

また、木下さんが、「最高のデイリースクラム」を考えるためのキーワードとして、「支えてくれる感がある独特な雰囲気」を挙げてくれました。*2

Q&A〜デイリースクラムが時間通りに終わらない。。〜

アジェンダを事前に定義しておくことと、議論になりそうになった時に退避できるような場所を用意しておくのが良いというお話でした。*3

Q&A〜デイリースクラムは朝やらなくても良い?〜

状況共有という意味では朝でなくてもいいけど、パネルディスカッションで話していたようなハカのイメージを考えると、「今日一日頑張るぞ!」という意味を込めて朝やるのが良いのでは?という話が出ていました。

なお、平鍋さんは、「おはようございます!」から始まる朝会が非常に好きだそうです。

マップ2〜スプリントバックログ

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続いて、スプリントゴールの説明が橋本さんからありました。(デイリースクラムで盛り上がりすぎて若干巻き気味に進みました笑)

スプリントバックログを掲載するカンバンがアレンジされた例として、カンバンに装飾が施されたチームの話だったり、リリースしたアイテムのビュー数を記載した例などの説明がありました。

Q&A〜良いスプリントゴールとは?〜

教科書的には、スプリントを通して達成したい(顧客に届けたい)価値を記載するのが良いが、実際のところなかなか名付けをするのが難しい印象はあるというお話が出ていました。

また、一番検証したい仮説を記載するようなイメージを持つと良いのでは?という話も出ていました。

マップ3〜スクラムマスター〜

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続いて平鍋さんから、上記リンクをもとにスクラムマスターのテーマで話がありました。

元々は、スクラムマスターの役割としてチームの防火壁としての機能を果たすことが強調されがちでしたが、分断を産む可能性があるので現在はあまり説明されないという話がありました。

スクラムマスターの役割は徐々に経営との相談を始め組織改革の側面も語られるようになっているため、かなり大変な役割になってきており、孤独な存在にもなりやすいことから、社内外でコミュニティとのつながりを持つ重要性の話も出ていました。

マップ4〜ベロシティ〜

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最後に、木下さんからベロシティの話が上記リンクをもとにされていきました。

ベロシティの発祥はXPであるため、上記リンクにある駅名の下の色が緑ではなく水色になっているそうです。

Q&A〜祝日が挟まる場合はどのように計算する?〜

週のうち4営業日しかないのであれば、キャパシティを考えて目標ベロシティを普段の80%にするなどの対応ができるという話でした。

Q&A〜ベロシティは安定し続けるのが良い?向上し続けるのが良い?〜

良い悪いかは別として、コーチをした経験から言うと、チームが形成したてでその後どんどん成長している段階なら向上し続けることが多い一方で、常に右肩上がりになっていくものではないことが多い理解をしているという話でした。(そこで改善のアイデアを考えるきっかけになる)

Q&A〜次のスプリント開始時に仕掛かり中のタスクのストーリーポイントは、そのままのポイントでも良い?〜

3sprint分を慣らしたりして運用することが多いので、そのままで良いのでは?と言う話がありましたが、ストーリーを分解できるのであれば個別に見積もりするのもありだと話をしてくれました。

会全体を通した感想

路線図を忠実に再現したイベントになっていて、面白かったです笑

スクラムをこれから始めるような人が楽しめるようなイベントかな?と冒頭は思ったのですが、面白い豆知識が出ていたりパネルディスカッションでちょっとユニークな事例を聞けたりして、ある程度スクラムに関する知識があっても楽しめるイベントでした。

*1:チームで結束力をつけるために全員で集まり声を出す

*2:良い朝会になっている時は、「ここ助けようか?」という空気感が自然発生的に出てくる

*3:Parking lot