こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
現代のビジネス環境では、素晴らしいサービスは単に機能的な部分だけでなく、UX(ユーザーエクスペリエンス)の質にも大きく依存しています。しかし、実際には、UXを向上させるためにどのようにアプローチすべきか、どこから手をつけていいかわからないと感じることも少なくありません。
そこで、このイベントでは、ユーザビリティテストという実践的な手法を用いて、サービスに潜む課題を明らかにし、それを解決するための具体的な方法をお伝えします。具体的なケーススタディを通じて、実際の課題解決のプロセスを理解することができます。
さらに、時間や費用といった制約がある状況でも、どのように効率的にUXリサーチを進めていけるかについてもご紹介します。
ユーザーの満足度を向上させるための有効な手法を探求しましょう。
会の様子
サービス改善にUXリサーチが必要な理由
ユーザーにしてもらいたい体験ができるからという当たり前の理由に加えて、不要な機能開発を避けたりやらなくてよいことの判断をするためにUXリサーチが必要だという話がありました。
ユーザビリティテストで得られること
適切にユーザビリティテストを行うことで、以下の3要素が得られるというお話がありました。
- ユーザ視点での行動・心理がわかる
- サイトやシステムの課題点が見つかる
- プロジェクトで課題感を共有できる
これらの要素が得られるユーザビリティテストをするためには、「プロダクトがどのような問題を解決するのか?」という戦略の部分からユーザーが触れる表層部分に至るまで一貫性を持つことが重要だというお話でした。(UX5段階モデルを参照)
ニジボックスでの事例
ニジボックスでは、ユーザビリティテストを以下の順番でやっているということでした。
- 調査内容整理/目的の明確化
- テスト設計
- リクルーティング
- テスト実施
- 分析/リクルーティングの改善
以下、フェーズごとにそれぞれどのような内容かを記載していきます。
調査内容整理/目的の明確化
ユーザビリティテストの背景や目的を整理した後、調査対象とするユースケースや対象条件を確認するということでした。他にも、調査方法や実施期限、実施場所といったものも特定するそうです。
テスト設計
Lo-Fiプロトタイプを作成するそうです。同時に、ユーザビリティテストで質問する際の質問項目も作成することが多いというお話でした。
なお、プロトタイプを作るのにはデータをモック化したりすることで時間が短縮できるということです。
リクルーティング
インタビュー対象や日程を調整するということです。
また、リクルーティングコストを減らすためには、社内の人などとりあえず身近な人に聞いてもらうのも有効だというお話でした。
テスト実施
社内で用意されているガイドブックを見ながら、シナリオやタスク*1を事前に洗い出し、ユーザーに思考発話法でタスクを実行してもらうようにしているということでした。
分析/リクルーティングの改善
人数、効果効率満足度のユーザビリティ指標とUX5段階モデルの掛け合わせで、スコアリング評価を実施しているということでした。
その後、シーンやタスクごとに効率/効果/満足度の割合を示した結果を作り、分析やリクルーティングを改善していくそうです。
ユーザビリティテストにかかる時間を短縮するためのコツ
ユーザビリティテストにはどうしても時間がかかってしまいがちで、これがテストを実施するのを妨げてしまう可能性があるため、ガイドラインなどで型にするようにしているということでした。
また、仮説設計の評価を早く回せるように仮説を設定するのと、前述した型をすることで、ユーザビリティを早くすることができるということです。
また、ユーザビリティテストをしながらデザインし、ABテストをするという方法もあるということでした。
ユーザビリティテストのターゲットとなるユーザの多様化への対応
ユーザビリティテストのターゲットは多岐に渡ることが多いため、課題をベースにしてターゲットを定めていくのが重要だというお話でした。
また、ターゲットを定める際には、「ITリテラシーが低い人」など、弱い立場に置かれがちな人のことを考えるのも重要だということです。
会全体を通した感想
教科書的な話をベースにしつつも、実際にどのように教科書的な話を現場で実践しているのか?という事例が聞けてよかったです。
特に、UX5段階モデルを活用してどのようにユーザビリティテストを設計しているのか?という話は特に面白かったです。
*1:実際にテストしたい作業