天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

【ニジボックス主催】Webを超え、リアルの体験もデザインする「体験設計」の身につけ方に参加してきた

nijibox.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

現状、UXデザイナーやビジネスデザイナーの活躍のフィールドはWebサービスやアプリが中心です。しかし、今後はWebやアプリはもちろんのこと、リアルの世界の体験も設計できないと活躍のフィールドが限られてきてしまうかもしれません。 UXデザインはWebやアプリに留まらず、あらゆる体験を最適化し、私たちの社会生活に大きな価値を創出することが可能です。「体験の設計」という観点で、みなさんが日常生活で触れる身近な体験を見つめ直してみることが、大きなビジネスチャンスへの糸口になるかもしれません。

今回は、発売1ヶ月で早くも増刷が決定した話題の書籍『はじめてのUXデザイン図鑑』の著者、荻原昂彦氏をお招きし、Webを超えて身の回りのあらゆる体験をデザインするアプローチについてお話しいただきます。これからの不確実性に満ちた社会で、デザイナーは体験設計にどのように向き合えば良いのか?その心構えや具体的な手法について、事例を交えながら学んでいきましょう!

会の様子

「Webを超え、リアルの体験もデザインする「体験設計」の身につけ方」というタイトルで荻原さんから講演がありました。

以下、項目ごとに内容を記載していきます。

リアルの体験設計が求められる背景

以下のような背景から、リアルの体験設計が求められるようになりつつあるというお話がありました。

  • IoT発達と浸透
  • AIデータ活用機運
  • 空間コンピューティング
  • 非IT企業のUXへの興味/認知up
  • WEB完結サービスの飽和
  • デザイナーの職域(期待)拡大

リアルの体験設計ができるメリット

背景の次は、リアルの体験設計ができるとどのようなメリットがあるのか?という話がありました。以下のようなポイントが話としてありました。

  • 活躍のフィールドが広がる
  • WEBの体験設計すらも進化する
  • 巻き込めるステークホルダーが拡大する

リアルの体験設計をどう磨くか?

続いて、リアルの体験設計を具体的にどう磨いていくのかについて、基礎的な部分を中心に解説がありました。

シーンの多面的な捉え方

ペルソナにとどまらず、体験を届けるシーン分析やコンテキストの理解などが重要になってくるということでした。
同じペルソナであっても様々なシーンによってニーズや能力、行動などが変わるため、出来事/タイミング/役割意識/人の目/物理的環境/制約条件/期待値や先入観といった切り口で分析することが重要だということです。

モニター以外のタッチポイントの分析力と配置力

WEBやスマホ以外のタッチポイントをまず認識し、そのタッチポイントをもとに体験設計をする必要があるというお話がありました。

例えば、

  • 構造物
  • 遠近
  • 聴覚
  • 嗅覚
  • 触覚
  • 移動
  • 時間経過
  • 密閉/オープン

などが、タッチポイントになり得るということです。

ただし、これらは専門性が必須な領域であるため、ユーザー目線で感性を磨くだけではなく、プロ同士(専門性同士)をつなぐことが重要だということでした。

人間の認知ゾーン

リアルな体験設計では、視野に絞っても、「どこが」「どのくらいの範囲で」視野に入るのかの難度は上がるため、前後の広告をはじめとしたコミュニケーションや期待値など、人間の視野特性を踏まえたデザインが重要だということです。

リアル、WEBを横断した人格やトンマナ

ユーザーは、リアルか?やWEBか?とか関係なく、複数のタッチポイントを経由して体験をしていく必要性があるということでした。

リアルからの体験エッセンス抽出力

22パターンの体験エッセンスのうち、6割はリアル体験から体験エッセンスが生まれるため、「UXデザイン図鑑」を参考にしながら鍛え始めるのがよいのではないか?ということでした。

リアル体験設計への第一歩

今日の内容をとりあえず試してみる他、まずはジャーニーの前後や最中のリアル分析や反映レベルを更に上げられないか模索することが重要だということでした。

他にも、自分自身のUXデザイン図鑑をつくる取り組みも有意義だということです。

UXデザインに対する感度が低い場合にまずやること

荻原さんは、UXデザインに対してリテラシーがそこまでないような状態では、わざわざ「デザイン」という言葉を使わないということでした。

会社の課題に沿った言葉遣いをしてデザインの重要性の話(課題の話)をすることが重要だということです。

リアルな体験設計をするために必要な力

俯瞰的な想像力が必要であるため、小説を読んで登場人物の行動を分析したり、発表で話したような取り組みにチャレンジしてみるのがよいのでは?というお話がありました。

多岐のユーザー行動変数をどのように扱うかのコツ

引き算の設計(どういう基準で行動変数を減らすのか?)をしていくことと、体験設計の中で「誘導・コントロール」を重視しすぎないことが重要だということです。

一貫した体験、トンマナ、サービスの人格になっているかの判断やデザインがおろそかになる原因

リアルな体験設計では、「何が」影響を及ぼすのか発見するのがそもそも難しいという話がありました。

会全体を通した感想

荻原さんの話を聞く機会は今回が初めてだったのですが、説明の順序がめちゃくちゃ綺麗で、発表や質疑応答ので荻原さんが意図している内容が聞きやすかったです。

具体的なトレーニングの話もあったので、日常的にやり始める部分からまずは始めたいと思います。