開発者とアーキテクトのためのコミュニケーションガイド ―パターンで学ぶ情報伝達術 - FL #95に参加してきた
こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
第95回目では『開発者とアーキテクトのためのコミュニケーションガイド ― パターンで学ぶ情報伝達術』を取り上げます。
プロジェクトを円滑に進めるためには、ステークホルダーの理解と支持を得て、チームが協力できる環境を作ることが重要です。本書では、そのために不可欠で効果的なコミュニケーションの方法を解説しています。
会の様子
講演
視覚的コミュニケーション(第一部)
UMLの実践研修とかはあるものの、分かりやすい図の書き方をコンパクトに伝える技術書というのは少ないので希少なんじゃないか?という話がありました。
マルチモーダル・コミュニケーション(第二部)
こういうときは口頭で、こういうときは身振りを使おう、というのが整理されているということでした。
ナレッジを伝達する(第三部)
ADRを中心とした、ナレッジを文脈によって整理して活用することが重要だという話が書かれているそうです。
リモート・コミュニケーション(第四部)
ハイブリットや分散チームが当たり前の中でどういうコミュニケーションを取るといいのか?という話が書かれているそうです。
本書の読み方
正直読みにくいんじゃないか?という話がありました。
内容が小さな単位でパッケージ化されているがゆえに、ツールキット的な使い方をするような想定をしている本であるということで、作者も意図的に全部最初から最後まで読むみたいな読み方は推奨していないそうです。
とはいえ百科事典として置いておくにはもったいなさもあると感じられているそうで、共感設計ガイドとして読むといいんじゃないかということでした。
具体的には、情報は届き方は人によって違うし正しいことを言いさえすればいいわけではないので、相手の認知的負荷を下げるための配慮を行うことが大切だという話で、プロトコル(信頼構築能力*1 )×メッセージ(届けるための設計力*2 )という2観点が大切だというお話がありました。
Q&A
講演の後はQ&Aがありました。以下、内容と回答を一問一答形式かつ常体で記載していきます。
相手が攻撃的だと感じたときの対処法は?
キャリアアドバイスなどに相談してみる。相手を変えようとするのは難しいし、人間性が試されている機会だと思う。
また、攻撃的な言い方になっている理由を事実ベースで考えてみる。人がどういうときに怒りを感じるのか?というのは大切。
人が持っているバックグラウンドは異なるので、攻撃的に見える振る舞いをするのは普通だったりする。
送り手のコストが高くなりすぎると受け手とのコミュニケーションの総和は大きくなってしまうのでは?
場を作ったうえでのショートカットはあると思う。例えばここはFactレベルの話をするんだと決めたうえで話をするなど。
このショートカットは信頼になるんだと考えている。
また、送り手としての立ち振る舞いを考えることで受け手の気持ちがわかるようになってきたり、歩み寄りがされていく状態というのはよく分かる。一方でTaker気質の人が相手にいるとコミュニケーション取るのがかなり難しくなるというのは経験的にもその通りなので難しいなとは思う。
大抵は情報不足に起因していると思うのだが相互理解をコスパよくやるためにはどうすれば良いか?
自己開示はあると思う。お互いの理解度合いは高まっていく印象がある。情報が不足していることやこれで足りていますか?をまずやることが大切。
また、信頼を築くことをコスパよく、というのは難しいなと考えている。
配慮をすると1文字あたりの情報量が小さくなるのが気になるのだが、なにかルールを決めるといいのか?
信頼性のプロトコルをコミュニケーションの中だけで作るのではなく組織として作るのは必要だと思う。
ルールを決めるというのは、信頼がない段階では特に良いと思う。
一方で、どうしても今じゃないといけないこととかルールでがんじがらめになってしまう瞬間もある。ルールは破られたときのダメージや守っときゃいいんだよね、みたいな考え方になりがちな側面もあるので難しい。
AIが台頭してきたコミュニケーションの価値はどのように変化するか?
情報を知っているか知っていないかみたいなのはAIが答えてくれる印象がある。
一方でコミュニケーションの価値はあまり変わっていない所感はあるし、AIとのコミュニケーションに慣れてしまうことで人とのコミュニケーションがやりにくくなるリスクもあると考えている。
タスクを任せた後の心構えは?
任せた責任があることは忘れてはいけない。「この人ならきっと全部完璧にやってくれるだろう」は信頼でもなんでもないと考えている。
会全体を通した感想
本に書かれている内容の紹介では、そんなに真新しいことはないような感覚はあったのですが、Q&Aでのやり取りに関して回答内容だけではなく答え方含めて非常に勉強になる点が多くあったのがよかったです。
プロトコルを探っていく作業みたいなのが具体的にどうやるのか?みたいなところが言語化まではできないのですが何となくこれまで見られてこなかった勘所みたいなのが分かってきて学びがあるイベントになりました。