こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
- 会の概要
- 会の様子
- 講演
- Q&A
- 責任の重い仕事を任されたことを苦に思うのは、どういった認知機能に困るのか?好きな仕事になるよう動機づけを行うことが重要なのか?
- 責任や負荷が「やや高い」は主観なのか?
- 失敗を許容する文化を根差す方法は?
- 今日の話はチームの規模はどれくらいを想定しているのか?
- 生え抜きと転職者が混在するチームではどうチームレジリエンスを保つべきか?
- リーダーはチームレジリエンスの観点では何をすることが重要なのか?
- 日本の研究開発力は研究機関における研究開発チームのレジリエンス低下が原因なのかも知れないが打開策はあるか?
- エンゲージメント値などは真の企業の価値を表すのか?
- 地獄のふりかえりにならないようにするための方法は?
- 組織的に犯人探しが横行している場合どうすればいいのか?組織は抜けるべきか?
- 低迷したチームのレジリエンスを回復する特効薬はあるのか?
- 会全体を通した感想
会の概要
第64回目では、『チームレジリエンス ー 困難と不確実性に強いチームのつくり方』を取り上げます。
レジリエンスとは、「困難をしなやかに乗り越え回復する力」です。 個人よがりのレジリエンスはチームや組織に負のスパイラルへと導いてしまうケースがあります。チームの真価を引き出すためにもチームレジリエンスが必要となります。 本書は国内外の50本を超える研究論文を下敷きに、ベストセラー『問いのデザイン』の著者と新進気鋭の研究者がタッグを組んで、チームレジリエンスの概要と実践可能な高め方を3ステップで解説している書籍となっております。
今回は著者の一人である池田 めぐみ 氏に本書のポイントについてお話していただきます。
会の様子
講演
本のテーマ
チームで困難を乗り越える方法と困難に強いチームの在り方を書いた本で、リーダーを任され出した池田さんの友人に寄り添えるための本を書きたいという想いから本にしたそうです。
チームレジリエンスとは
そもそもチームレジリエンスとは、チームが困難から回復したり成長したりするための能力やプロセスだという定義の説明がありました。
アプローチとしては、機会を活かす/ストレスをあしらう×素早く対処/ゆっくり対処の4軸で、
- 機会を活かす×素早く対処(バネ型。エースが抜けたことをお客さんに話して協力を仰ぐ)
- 機会を活かす×ゆっくり対処(風船型。プッシュ型からプル型に切替する)
- ストレスをあしらう×素早く対処(きつい状況でも毎日お客さんの元に足を運ぶ)
- ストレスをあしらう×ゆっくり対処(柳型。活躍する社員のノウハウを言語化して共有する)
に分類できるということでした。
チームは常に様々な困難に遭遇するものですが、そういった時は個々人がストレス源を回避しがちであり、強い力を持った個人は困難に敏感で自分を守ることに長けていたり、逆に困難を一手に請け負って疲弊してしまったりしまうもので、ここをチームで乗り越えるチームレジリエンスの考え方に注目が集まったということでした。
チームレジリエンスの3step
チームレジリエンスでは、困難が発生した際には、
- 課題を定めて対処
- 困難から学習
- 被害を最小化
という3stepを踏むそうです。
まず1では、カオスな問題を解決可能な課題に落とし込むことが重要だということでした。
個々人で困難の解釈は異なるため、すり合わせが重要だということです。
また、課題を技術的課題と適応課題に分類し、適応課題に関しては緩和課題と根治課題に分類して両面的にアプローチすることも有効だということでした。
マネージャーはこういった困難に直面したときはビジョンを示すことが有用であり、通常業務を15%程度減らしておくことが必要だということです。
次に2に関しては、良質なふりかえりをすることと困難から教訓を得ることが重要だということでした。
良質なふりかえりでは、目次を提示したり別のアプローチを思考実験したり、KMT(KPTのPをM(もやもや)に変える)に変えてふりかえりを実施することが重要だということです。
最後に最も大事なポイントだと言われている3については、システム障害を想定した避難訓練をすることで事前に予防しておいたりすることが有用だということでした。
ただし、速攻で効くような特効薬がない点には留意が必要だということでした。
チーム基礎力
上記のステップは、チーム基礎力の上に成り立っているので、まずはチーム基礎力を作っておくことが重要だという話がありました。
具体的には、
- チームの一体感
- 心理的安全性
- 適度な自信
- 状況に適応する力
- ポジティブ風土
が挙げられるということです。
Q&A
講演の後はQ&Aがありました。以下、質問と回答を一問一答形式かつ常体で記載していきます。
責任の重い仕事を任されたことを苦に思うのは、どういった認知機能に困るのか?好きな仕事になるよう動機づけを行うことが重要なのか?
そのとおりで、自分がこの仕事を好きだとか意味があると思えると苦に思いにくくなる。
ただし、好きとはいえ責任が重すぎると責任の重さが勝つことも分かっている。
責任や負荷が「やや高い」は主観なのか?
主観。そのため、上司がどう感じているかではなく部下がどう感じているかが大切。
失敗を許容する文化を根差す方法は?
上の人が積極的に失敗を話していくことが大切。
今日の話はチームの規模はどれくらいを想定しているのか?
5-6人のチームを想定している。ただ、中には人が多くても役に立つ話もある。
生え抜きと転職者が混在するチームではどうチームレジリエンスを保つべきか?
排他的に扱われている人をチームの一員として認めるようにしていくことが重要。
リーダーはチームレジリエンスの観点では何をすることが重要なのか?
自分一人ではできないことを認知すること。
日本の研究開発力は研究機関における研究開発チームのレジリエンス低下が原因なのかも知れないが打開策はあるか?
課題を整理したうえで、自分たちのチームでコントロールできることに集中する。
エンゲージメント値などは真の企業の価値を表すのか?
専門外なので回答が難しいが、回答する際にバイアスがかかる部分もある一方でそういったものがなければうまく機能するんじゃないか?と思う。
地獄のふりかえりにならないようにするための方法は?
書籍を参照したりKMTを使う。
組織的に犯人探しが横行している場合どうすればいいのか?組織は抜けるべきか?
思い切って抜けてもいいし、ストレスを一旦減らしつつ地道に活動を続けていくかだと思う。
低迷したチームのレジリエンスを回復する特効薬はあるのか?
発表でも話した通りないが、「チームが明るい」ということはかなり大切である。
会全体を通した感想
色々な学術的研究をされているのが話の端々から分かって、その内容を意図的にわかりやすい言葉にしてくれているのかな?と思って聞いていました。
解決したい事象や考え方にはすごく共感ができたので、課題分類の話や行った実験、インタビューなどを深堀りしていきたいと強く感じるイベントでした。