天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます(たまに関係ない雑記も)

和田卓人さん&ラムダノート鹿野さんと語る『事業をエンジニアリングする技術者たち』改訂・改題の裏側!に参加してきた

cartaholdings.connpass.com

こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、Connpassのイベントページから引用です。

書籍『事業をエンジニアリングする技術者たち―フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』 は、2022年8月に改訂・改題*1をし、ありがたいことに好評をいただいております。これを記念して書籍に関わった方のパネルディスカッションを実施します!

本書の編者である和田さん、出版社の鹿野さん、をゲストにお招きします。CARTA HOLDINGSからはCTOの鈴木と、Tech Boardアドバイザリーの小賀が登壇します。

最初に和田さんに『事業をエンジニアリングする技術者たち』についてご紹介いただきます。その後、和田さん・鹿野さん・小賀・鈴木の4名で改訂改題の裏側についてパネルディスカッションしていきます。

本の概要にも触れますので、まだ読んだことが無い方もお楽しみいただけますし、もちろん読んだことある方にも楽しんでもらえるような内容にしていく予定です。 是非ご参加ください。

会の様子

書籍紹介

最初にt_wadaさんから書籍の紹介がありました。

本書の改定のきっかけは社名の変更が理由だそうですが、技術部門大賞を受賞したことともきっかけになっているという前置きの後、追加された部分*2がなにか?をお話してくれました。

本書の特徴としては、

  • インタビューの内容がかなり生々しい
  • 対レガシー戦略の宝庫になっている(状況によって違うアプローチが一冊の中に紹介されている)
  • コードだけではなく事業をエンジニアリングしていくフルサイクル開発者の姿がみえる

が挙げられるそうで、HOW以外のすべて(What, Why, Who, When, Where)が書かれているという評価ももらっており、2025年の崖問題も考えるとこれからの5年間を前取りしたような本になっているということでした。

最後はこれまでのまとめとして、「本書はこれまでの問題解決と、これからの技術者像を、生々しいインタビューであぶり出し、2025年の日本企業とエンジニアの姿を見せてくれる本である」という言葉で締めくくられて、安心と安全のt_wadaさん品質な素晴らしい発表でした。

パネルディスカッション

改訂を出したことについて

さすがに2年での改訂は予想していなかったという話や、エッジが効いた表紙ができた経緯*3を聞くことができました。

合併してよかったこと/悪かったこと

まさに本書を読んでほしいということだそうですが、合併当時の想いを中心に話をしてくれました。

システムの統合は、なぜそのシステムを選択したのか?をお互いに説明しながら新たな選択肢を創発させる必要がある上に、自分たちが統合後に作りたい文化も踏まえながら論理的にだけではなく感情的にも落とし所を作らないと行けない部分があるので、これは非常に大変だったというお話が出ていました。

どんな職業の人やどのポジションの人が登場するのか?(人選)

フィーチャーする会社(テーマ)をまず決めた上で、その後に人を決めたということでした。

登場する人は章によって全然変わるそうですが、そのシステムに長く関わっている生き字引的な人+これからそのシステムを支えていくことが期待されるような若手〜中堅エンジニア*4のペアで話していることが多いということでした。

また、どういうポジションだから何をする、じゃなくて、自身が関わる事業にオーナーシップを持っているというのはどの章からも読み取れるだろうということでした。

本に載せられなかった話題は?

具体的な社名(クライアント)・人名・数字以外はすべて本になっているということです。

それなりの規模になるとフルサイクル開発をする文化はなかなか醸成しにくいと思うが、どのように醸成したのか?

以下のような話が出ていました。

  • システムを作るのが仕事ではなく事業を成功させるのが仕事だというメッセージを伝えていた
  • フルサイクル開発という名前がついたのはそんなに早い時期じゃなかったが、事業に対してかかるフィードバックを重要視していたので、そこから来た
  • 現場で学ぶ文化(配属初日にリリースする...)が醸成されている

会全体を通した感想

まだ改訂版は読んでいないのですが、改訂した内容が非常に楽しみになるイベントでした。

皆さんの事業に対する熱量や本に対する自信度が溢れていて、改めて素敵な会社だなあというのを実感しました。

*1:2020年に発行された『Engineers in VOYAGE―事業をエンジニアリングする技術者たち』の改訂改題版です。

*2:7章のテレシーと8章の基幹システム統合プロジェクト

*3:改訂前はいい意味ではっちゃけたような会社だったのでそういうイメージが伝わるようなカバーにしたが、少し地に足をついたイメージが加わった。また、帯をつけたかったのでその点をデザインするのは大変だった

*4:ただし若手と言っても事業をがんがん引っ張っている主戦力のような人