天の月

ソフトウェア開発をしていく上での悩み, 考えたこと, 学びを書いてきます

これから必要とされるPM、必要とされないPMに参加してきた

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こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。

会の概要

以下、イベントページから引用です。

新規事業、DX、プロダクト開発においてはプロジェクトマネジメントのスキルがその成否を大きく左右します。

ですが、我流で取り組む場合も多く、それが失敗の引き金となり、炎上してしまうことが少なくありません。

本イベントでは22年のPMキャリアの中で数えきれないくらいの失敗と成功を経験してきた橋本将功さんに、ユニークなプロジェクト理論を提唱し、企業向け研修や著書を通じて人気を集めている後藤洋平さんが、PMとして生きていくために本当に大切なことを伺います。

ITプロダクト開発の話題が中心となりますが、さまざまな領域のプロジェクトマネジメントにも応用できる普遍的な仕事観が得られる対談ですので、少しでもプロジェクトマネジメントにかかわる方であれば気軽にご参加ください。

会の様子

著書トーク

橋本さんの著書である「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 交渉・タスクマネジメント・計画立案から見積り・契約・要件定義・設計・テスト・保守改善まで」を書いたきっかけについて話を聞いていきました。

橋本さんは、丸投げプロジェクトで叩き上げられたようなコンテキストだったので、とりあえず本を読むくらいしかやれることがなく、常に困りながら仕事をしていたので、そういった人が少しでも助かるような本(自分が読みたかった本)を書いたということでした。

後任のPMをどう育てるのか?

橋本さんや後藤さんの本を読む以外でどのようなPMの育成方法があるのか?という話を聞いていきました。

PMの仕事は暗黙知が多くあるため、実践経験が豊富な人をはじめとしたお手本と仕事をすることが大事だということです。

特にジュニアクラスの場合は、ブルシット・ジョブを任される頻度もそれなりにあるため、先が見えず今の仕事を続けていいのか?という不安がつきまとう傾向があるということで、今の仕事を続けるとどのような仕事や役割になるかを組織や上司がサポートする必要があるとお話をされていました。

PMは誰でもなれるのか?資質的なものはあるのか?

これは正直あるという話でした。

具体的にいうと、性格的に権力志向が強すぎないか?細かいことの気配りができるかどうか?人の様子から状況や心情を察せるか?というのは、資質として持ち合わせていないとPMは難しいかもしれない、ということです。

シニアPMへのメッセージ

サバイバル能力があると思うのでスキル云々はあまり心配しなくていいと思っているということでした。
また、報酬的な欲求は減ってくるはずなので、どれだけお金がもらえるか?よりも、プロジェクトを理解してくれるような環境を選ぶことが重要なのでは?ということでした。

選択肢の一つとして独立も考えておいても良いという話もしてくれました。

ジュニアPM*1へのメッセージ

現状だと色々何か条件や環境を選ぶのは難しいと思うけれども、育成環境がある場所で仕事をするかどうかは全然違うので、そこは見極めていくことが重要だとお話されていました。

育成環境は、もちろん会社によってかなりギャップがあるため、カジュアル面談で突っ込んで聞いてみたり、即戦力採用をしていない企業に行ってみても良いのでは?という話が出ていました。
また、育成環境という意味では受託開発をしている会社でも充実していることもよくあるので、一概に受託開発会社だからだめ、と判断するのは危ないということでした。

これからPMを志す人へのメッセージ

PM未経験OKでも、営業企画やカスタマーサポートは重宝されるので、まずはそういったところからキャリアをスタートしていくのがいいのでは?というお話が出ていました。

モンスタークライアントの判断

プロジェクトを受けてしまうと契約上の絡みもあって途中で解除することは難しいので、まず受けるかどうか?という判断をするのが重要だということでした。

具体的には、以下のようなポイントを見極めするということでした。

  • 権力志向が強すぎないか?「客なんだから偉い」「客なんだから上」というスタンスでいないか?
  • 座組みを早めにチェックする。担当者が至極まともでも、上司がいてめちゃくちゃだったりする。
  • 統括的な地位にいる人が仕事をしていないのは危険(ドキュメントに対して突っ込んだ質問をしてみて、真っ当な答えが統括的な地位にいる人から返ってこないのは危ない)
  • 損切りができないクライアントかどうか?

なお、巷では「Excelでドキュメントを必ず作ってくれ、と言ってくるようなITリテラシーが低い人は危険」という言説が流れていることがありますが、これは意外とそんなことはないというお話でした。(コミュニケーションが取れて、おかしいことを言っていると気がついてもらえる場合も多い)

円満な関係を築くためのコミュニケーションの取り方

顧客が事業会社なら、まずは対面で会いにいくことが重要だというお話がありました。

出張になってしまっても、直接会いに行った上で業務のメモを熱心にとり、どのようにシステムに落とすのかを一緒に考えると、顧客が喜んで信頼度も増すということです。

なお、コミュニケーションテクニックを重視する人が最近は多い印象があるということですが、相手にテクニックを使っていることがバレてしまうことが多いので、あまりお勧めしないということでした。

馴れ合い

苦境に直面してどうしようもないと思えるような状況で開催するピザパーティーは効果があるけれど、定例化しだすと緊張感が緩み、言いたいことが言えない馴れ合い的な関係になることもあって危険だということでした。

また、(本にも記載があるそうですが)敬語を使わなくなるのも一つの危ないシグナルだと考えているということで、橋本さんは立場に関わらず必ず敬語で話をするようにしているそうです。

リモートワークの難しさ

リモート環境だと、声の大きい人, スタンドプレーができる人の行動がよりはっきり見えてしまうので、見えないリスクを探すプロジェクトマネジメントとなかなか相性が悪いという話が出ていました。

また、仕事が抱え込まれやすい&抱え込んでいることが見にくい、ということもよくあるため、ボールが止まっているようであればPMが直接介入する必要があるというお話もありました。(ただし止まっていることは大体本人が自覚しているので、刺激を与えすぎないように注意するということです)

PMのメンタルケア

後藤さんは一度危機的なメンタル状況になって、半年仕事を休んだこともあるそうですが、その期間はすごく大事だったと今は捉えているそうで、この期間のおかげで「俺がやらなきゃ」「こんなにみんなのこと考えているのに」という一種の執着を手放すことができたと実感しているそうです。

無事故が評価されず炎上からの復活が評価されてしまう

これは本当にあるあるだそうで、橋本さんは事前に定量的なKPIを持つようにしているというお話がありました。

受託であれば利益率だったり、自社開発であればメンバーの工数とアウトプットの比率などをKPIにすることがあるということです。

メンバーがめちゃくちゃ優秀で自律している場合PMの評価はどうする?

これは素直に高い評価でいいのでは?ということでした。
その上で、次のPJでも再現性高くできなければそのタイミングで評価を更新すれば良いのでは?という話がありました。

上司に評価してもらうための取り組み

上司のリテラシーが高い場合は、フラットにコンスタントに報告をするのがいいのでは?ということでした。一方でリテラシーが低い場合は、上司が気に入るようなことをやる必要が出てくるため、そういう仕事が嫌だった場合は環境選びに力を入れた方が良いのでは?ということでした。

ただ、評価を気にし出すと案件に対する目が濁ってくる*2ため、評価に固執しすぎている状態は危険だということでした。

プロジェクトの見える化はどうしているか?

一番やりやすいのは報告フォーマットを作ってしまうのが良いということでした。
フォーマットを作るときは非言語的な情報も見えるような仕組みを作っておくことが良いという話で、WBSのXX%のような数値をフォーマット化するのは危険だということでした。

大荒れのプロジェクトのPMが回ってきたらどう対処する?

同じ労力でどれだけの人を幸せにできるか?ということを考えると、そもそも案件を取らないということでした笑

どんなに優秀なPMでも、組織再編からやっていくというのはなかなか厳しいので、座組みを最初に確認しておく重要性が強調されていました。

プロマネ以外にも仕事を兼務している状態でキャリアが不安

(個人的な人生哲学も多く入っている前提で)キャリアの道筋のようなものって、人がどれだけ喜んでもらえるか?ということだと思っているので、そういう観点で考えてみるのが良いのでは?というお話でした。

独立して仕事は見つかるのか?

今は人手不足なので、絶対見つかるということでした。
また、一度仕事をやってリピート案件につながることも多くあるので、仕事がなくて困ることはまずないというお話でした。

また、下世話な話になるがお金はめちゃくちゃもらえるので、自分が継続して取り組めるか?という部分が重要になってくるということでした。

PMをなぜやっているのか?

孤独感もあってしんどいけれど、隠れたヒーロー感を感じられるのは楽しいということでした。

また、一緒にPJを一度やり切ると戦友的な仲間ができるので、PM以外でなかなか構築できないような関係性ができるのも魅力的だということです。

転職ガチャを回すのか今の環境でやるのかの判断は?

勿論自身の判断になるが、シニアPMの需要はある一方でシニアに至るまでのPM経験はなかなか積めないので、たまに怒られているくらいであれば今の環境にいるのが良いのでは?という話が出ていました。

会全体を通した感想

ここ最近はプロダクトマネジメントの話を聞く機会の方が多かったので、久しぶりにこうしてプロジェクトマネジメントの話を聞くことができたのはよかったです。

モンスタークライアントの見分け方の部分は、特に参考になりました。

*1:ジュニアとシニアの違いは、モンスタークライアントかどうかの見分けがつくかどうかが一つの指標になるということでした。また、プロジェクトの一部分しか携わっていないか全体に携わっているかも指標の一つになるということでした

*2:以下に自分をプレゼンするか?みたいな話になってしまう