こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
- 会の概要
- 会の様子
- 沖縄移住のきっかけは?東京/大阪/沖縄、その他の勤務割合は?
- 多数のスタートアップのメンターをしているということですが、具体的にどんな会社にどんなことをやっているのか?メンターをやる/やらないの基準はあるのか?
- 人に対する意識
- 評価制度
- 伊勢さん
- 次の社長になる人には何を望んでいるのか?
- 田中さんが最近注目している技術
- 会社の成長は何のためにやるか?
- (参加者からの質問) Web3の分散という思想は、国産技術にとって世界とつながる大きいチャンスがありそうだが、現状だと法整備が追いついていないなど課題も山積している認識ですが、私達エンジニアはどのようにアプローチし壁を壊していくとよいでしょうか。
- (参加者からの質問) メンターをたくさんされているとのことですが、コミュニティの若手や新規参入者について、何を意識され、何に価値をおいてメンタリングされていますか?
- (参加者からの質問) 個人・会社として、スタートアップに投資したかったのに投資できなかったことはありますか?その場合は、なぜ投資できなかったかの理由も知りたいです。
- (参加者からの質問) 田中さんが3年後に実現したい目標
- (参加者からの質問) 会社の目標で、時価総額1000億と人材ポートフォリオということでしたが、その時のさくらの事業構成はどんなイメージですか?成長戦略における事業戦略も聞ける範囲で聞きたいです!
- 雑談タイム
- 全体を通した感想
会の概要
以下、イベントページから引用です。
喜びあるエンジニアライフを送るために、登壇者と参加者がともに学ぶ場を作りたくてCreationline MeetUpを立ち上げました。
経営者の頭の中身を理解し働くための「社長が社長に聞く」シリーズ(第2回)は、さくらインターネットの田中邦裕社長をお招きし、経営判断を迫られたときにどんなことを意識しているのか、会社の方向性/将来に向けて普段どんなことを考えているのか等々お聞きしたいという、クリエーションライン安田社長の思いから出た企画です。
晩御飯を食べながら、ラジオのように聞きながらでもOKです
お申し込みお待ちしてます!
会の様子
沖縄移住のきっかけは?東京/大阪/沖縄、その他の勤務割合は?
スタートはライトな内容からと言うことで、まずは田中さんが沖縄に移住したきっかけの話を聞いていきました。
田中さんは10年くらいスキューバダイビングを経験していたそうで、リタイア後には沖縄に移住することを元々考えていたそうです。
ただ、COVID-19前に飛行機やホテル代が高くなったことと、意外と沖縄の物価が安いことを知ったことを契機に、沖縄に家を買ったそうで、そこから週2日くらい沖縄にいる生活を始めたということでした。
その後COVID-19になってリモート勤務が一般的になり、本格的に沖縄に移住して、現在は沖縄5割東京4割大阪1割くらいの割合になっているということでした。
なお、リスク管理の観点で代表印は総務が管理しているため、代表印が原因で自身が東京にいないといけないような状況は少ないということです。
多数のスタートアップのメンターをしているということですが、具体的にどんな会社にどんなことをやっているのか?メンターをやる/やらないの基準はあるのか?
具体的な取り組みという意味だと、40社くらいいるので、田中さんが出資している方々を集めた「合宿」を行なったりすることが多いということでした。(個人個人にメンタリングしていると間に合わない)
出資先という意味だと、以前はどんな案件でもメンタリングしていたそうですが、現状はEOの事務局が選んでくるやコンテストで入賞者した方々に対するメンタリングをしており、自分から選ぶというよりは自然なマッチングの中で選ぶことも多いということでした。
出資先を自分で決まる場合のポイントは、とにかく人をポイントにしており、「つながりを大事にしているか」を基準に選んでいるそうです。
出資額は500,000〜5,000,000くらいの金額としているということで、なるべく幅広い方々に投資をしているそうです。
人に対する意識
田中さんは元々人(社員)のことを自分の分身だと捉えていたそうで、「この人はしばらくやめるだろう」と考えていたりした(ある種のリソースだと捉えていた)時期が長かったそうです。
ただ、コーチングをしていったり年数を重ねていくにあたって、人が一番大事だと思えるようになり、「入社してくれた人や自身と関わってきた人は幸せになってほしい」と感じるようになったそうです。
変容した現在でも、距離感に悩むことは多いそうですが*1最近EOの経営陣友達からは「めちゃくちゃ社員を大切にしている」というフィードバックをいただいたそうで、すごく嬉しかったというお話も出ていました。
評価制度
年俸制を廃止して「影響力」を重視した制度を打ち出しているさくらネットさんの評価制度話を聞いていきました。
さくらネットさんでは、スキルだけではなく多面的な評価を重視することや、年功序列は一切重視しない評価制度*2になっているそうで、その中でも特に誰を出世させるか?というのは非常に重要だと考えているそうです。*3
また、こうした評価制度の見直しは、査定会議や全社員の給料を3日くらい眺めながら個々人の評価を考える時間や、新卒からの訴え*4をトリガーに決めているということでした。
なお、評価制度でベンチマークとしているような企業は特にないそうですが、よくメンターをしてもらっているサイボウズの青野さんからの影響は受けているのではないか?ということで、「社員の訴えをわがままとして捉えるのではなく真摯に向き合う」ことを重視した結果、今のような評価制度になっていると捉えているそうです。*5
伊勢さん
田中さんはリベラルな「中道」であること*6を重要視しているそうですが、ラジカルで会社の変化を楽しめるような方を経営者とすることは意図的に意識しているそうです。
ただ、周囲への相談は必ずするということで、相談した結果提案を取り下げることもあるということでした。
人選という意味だと、自分のYesマンを多数できれば楽だし意思決定も早くなるだろうとは思いつつも、多様性を重視して、多少は意思決定が遅くなっても自身と意見が違うような人を採用しているということです。
次の社長になる人には何を望んでいるのか?
年齢は何歳でもいいけれど、「さくららしい人」を次の社長には望んでいるそうです。
「さくららしい人」とはどんな人かは全く言語化していないそうでうすが、話をしていると「それは社長がいうよりもさくららしい」と感じることもあるそうで、こういう人に社長を任せられればいいなあと思っているということでした。
剰余転換をはじめ、市場選びを10年スパンで上手にしながらそこに文化をマッチさせられるようなことができればまず会社を維持できると考えているというお話もありました。
田中さんが最近注目している技術
強いていうならクラウドテクノロジーだということでした。(ネットワークの仮想化やクラウドのレジリエンスにグローバルの多くのベンダーが投資している現状もある)
Web3やNFTは素晴らしいと思いつつも、基盤が多様でないといけないのにクラウドだけ動いている現状がいいとは思っているわけではないと考えていることもあって*7、10年続いていくようなテクノロジーを探求/発掘することに興味があるそうことを理由に、クラウドテクノロジーに注目しているそうです。
会社の成長は何のためにやるか?
会社は成長をさせる必要は必ずしもないということですが、仕事を作れるかどうか?は重要視しているということでした。
ただ、成長していないと社員が安心した生活*8を送ることが難しいので、さくらでは結果的に成長を目指しているというお話も出ていました。
(参加者からの質問) Web3の分散という思想は、国産技術にとって世界とつながる大きいチャンスがありそうだが、現状だと法整備が追いついていないなど課題も山積している認識ですが、私達エンジニアはどのようにアプローチし壁を壊していくとよいでしょうか。
政治家からしてみると議論になっていないのが問題だと思っているそうで、エンジニアの方から課題を放り込んでいくような姿勢が必要になってくるのではないか?ということでした。
(参加者からの質問) メンターをたくさんされているとのことですが、コミュニティの若手や新規参入者について、何を意識され、何に価値をおいてメンタリングされていますか?
内発的動機付けを重視しているそうで、個々人によってここは変わってくるというお話がありました。
最初に会社を成長させたいか?を聞いたりしているのもそのためだということです。
(参加者からの質問) 個人・会社として、スタートアップに投資したかったのに投資できなかったことはありますか?その場合は、なぜ投資できなかったかの理由も知りたいです。
これはバイネームでメルカリを挙げられていました。
Yahooに勝てるのか?という疑念があったそうですが、30万円が数億になっているのを見ると、これは投資しておけばよかったなーと思っているそうです。
(参加者からの質問) 田中さんが3年後に実現したい目標
会社では、1,000億企業になっている&さくらにフィットしている人を15%くらい採用することを目指しているということでした。
個人では、モビリティと沖縄を変えて豊かな日本を実現することを目指しているそうです。そのためにも鉄道会社を買うことを考えているというお話もありました。
(参加者からの質問) 会社の目標で、時価総額1000億と人材ポートフォリオということでしたが、その時のさくらの事業構成はどんなイメージですか?成長戦略における事業戦略も聞ける範囲で聞きたいです!
スタートアップに出資しているけどさくらのサービスをあまり勧められないという話が若手から出てきていますが、その問題意識は田中さんも持っているそうで、ここは戦略に組み込んでいきたいということでした。
他にも、スタートアップで出資している会社の中から100億くらいの企業が出てくるような状態を目指したいという話も出ていました。
雑談タイム
ITのことを何も知らないけれどさくらインターネットでブログをずっと書かれている(ブログをずっと書き続けて4,000記事くらい書かれているとのこと!!)方がいらっしゃったり、制作会社のディレクターさんに出逢えたりと、普段出逢えない方々と雑談ができて非常に楽しかったです。
全体を通した感想
田中さんの人柄がすごく素敵で、あっという間に好きになってしまいました。
こうしたイベントだと、質問から回答者の話が派生してどんどん脇道に逸れていくことが多いのですが*9、田中さんの場合は必要十分な量の情報で分かりやすく回答してくださっていたのが個人的には特に印象的で、途中でも少し出ていた、人の話をよく聞いてその人に合わせて物腰柔らかに話をしている姿勢を会全体を通して感じました!
*1:どんなに若い人でもタメ口をきくことができない...
*2:25歳で経営者になるような事例や、いきなり年収が大きく上がったり数%年収がガッツリ下がるようなケースもある
*3:ただし出世しなくてもその人が特性を活かして働かせるような取り組みも実施している
*4:もう少し初任給を上げてほしい!...
*5:結果としてユニークな評価制度になっているとは思うが、あくまでも「社員の訴えをわがままとして捉えるのではなく真摯に向き合う」スタンスを重要にしてきた結果だと思っている
*6:ただしこれは意見を持たないとは全く違い、意識を強く持った「中道」である
*7:Web3の分散という思想に注目している
*8:給料をもらえることはもちろん、育休なども含む。終身雇用できるような状態
*9:それはそれで楽しさもありますが...笑