こちらのイベントに参加してきたので、会の様子と感想を書いていこうと思います。
会の概要
以下、イベントページから引用です。
イノベーションのためには、プロダクトのビジョンを明確にして戦略と優先順位を組織に浸透させなければならない。
しかし、この一連の活動を日々の仕事にうまく落とし込むことは非常に難しい。 今期の売上、競合他社の動き、ユーザーのフィードバックなど、どうしても目先の利害にとらわれてしまうからだ。
本イベントでは、原著者のラディカ・ダットさんと監訳者の曽根原春樹さんをお招きして対談の模様をお届けする。 本書のエッセンスを紐解きつつ、米国におけるプロダクトマネジメントのトレンドや、 プロダクトマネジメントを成功に導くための考え方を探る。
ここでしか聞けない白熱の1時間。またとない有意義なお昼休憩をお過ごしください。
会で印象的だったこと
どんな想いでこの本を書いたのか
イノベーションを生み出すためには、「早く動いて早く失敗しよう」という意見を聞くことが多いですが、この意見は間違っていないものの危険性を孕んでいることも多くあるという話がありました。
具体的には、VCや起業のサポートをする人が「早く動いて早く失敗しよう」という場合は、投資対象を絞るために早く結果が欲しいだけの可能性もありますし、顧客のめちゃくちゃな要望に対して踊らされているだけの可能性もあり、カスタマーフィードバックだけからしかプロダクトを作れない「プロダクト病」にかかるリスクが非常に高いという危険性があるということです。
こうした「プロダクト病」にかかるリスクを少しでも下げるために、本書は書かれたということでした。
プロダクト病の症状
プロダクト病の症状として、戦略肥大とロックイン症候群が紹介されていました。*1
戦略肥大とは、カスタマーの言うことを聞いて捉えていくうちにプロダクトが総花的になってしまい、ペルソナの範囲も広がり徐々にペルソナ像もぼやけてしまうような状態を指しています。
ロックイン症候群とは、革新的な技術*2に対しての注目度が高くなってしまい、その技術に対してだけロックインしてしまう状態のことです。*3
プロダクトビジョン
5W1HからWhereを抜いた部分*4をプロダクトに対して問いかけることで、プロダクトビジョンが決まり、これが戦略*5や優先度決め、文化の蘇生、実行と計測といった話につながってくるというお話がありました。
ビジョンについてされがちな誤解
ビジョンという単語には誤解が多いが、上述した5W1HからWhereを抜いた部分を議論し、ビジョンを定義することが重要だというお話がありました。誤解として挙がっていたのは以下の2つです。
- ビジョンは短い方が良い(ビジョンはプロダクトに関わる全員が覚えられるような長さであるべきだ)
- ビジョンは誰か一人が考えるものだ(トップダウンで降ってくるものだ)
会全体を通した感想
訳者だけでなく著者も登壇してくださった上に、日本語で著書に関する紹介をしてくれて、めちゃくちゃ驚きましたし、力強い言葉が心にも響きました。
イテレーションを重ねて素早いフィードバックを得ることは重要ですが、プロダクトビジョンを立てたりするなど、顧客のフィードバックに振り回されない仕組みづくりの重要性を改めて実感しました。