入門!論理学を読んだので、久しぶりに読んだ感想を書いていこうと思います。
読んで印象的だったこと
否定の「ない」の難しさ
否定の「ない」は対概念がある場合に、対概念を積極的に肯定することに繋がるということで間違った論理展開を受け手側に抱かせる可能性が高いという話があり、結構頻繁に否定形を使ってしまう身として気を付けたいと思いました。
また、「ない」はあることを意識しないと使えないという話があり、以前森さんが話していた「ないない言葉」の危険性(問題を見ずに解決策を意識してその解決策を裏返すことで問題解決ができる気になってしまう)を思い出しました。
排中律は絶対正しいものではない
「XXXがない、またはXXXがある」という論理は自明にも思えます*1が、これを自明だと考えるのは神の立場(ただし論理学ではこの立場を基本的に支持する)という話が面白かったです。
大分偏見が入っていますが、コンサルタント気質な人が世の中を分断思考でとらえがちなことは多い気がしていて、もしかすると論理的に考えているが故に分断思考に陥りがちなのかもしれないなあと思いました。
論理的に考えるということ
本書を通して、自明に思えることも徹底的に疑い、曖昧な表現や例外に対しては積極的に飛びつき、よりたしかな法則を探し出そうという姿勢が見られました。(その姿勢こそが論理的に物事を考える態度としてふさわしいのだと思いました)
どんなものでも論理的に考えればいいかという訳では勿論ありませんが、曖昧な表現を徹底的に疑ったり、当たり前のように言われている事実に対して例外を探し、盲目的に選択肢を狭めない態度を取ることの重要性を改めて実感しました。
全体を通した感想
入門と言いつつ、読み進めるには論理力がいるという不思議な本でした。(表現や題材は平易で取っつきやすいものが多かった一方で、文章は論理的に一つ一つが繋がっており、論理を使って読み進めていく必要がありました)
まさに、論理学の本は論理力がない人が論理力をつけるために読むのではなく、論理力がある人が論理の力を実感するために読むという、筆者の主張が体現されている本でした。*2
得られた知識という意味では、正しい否定の使い方, 「かつ」「または」「ならば」の構造, 命題論理のやり方, 「すべて」と「存在する」の推論という、ある程度は誰しもが直感的には理解している知識の深堀ができただけですが、本の構成から論理的に考えるとはどういうことか、というのが実感できて、読んでいて楽しかったです。